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映画講座「ぼくらの伯父さん 清水宏——たったひとりのネオレアリズモ」
講師:藤井仁子

2009年3月21日(土)
同い歳で同じ松竹の小津安二郎の陰に隠れがちだった清水宏も、6年前の東京フィルメックスでの特集上映やDVD化を機に世界中で再評価の声が高まっている。しかし、国内での再評価が『按摩と女』のリメイク(『山のあなた 徳市の恋』)に典型的であるように、清水宏にもっぱら「古き佳きニッポン」を見ているのに対し、世界は「シミズ」に一貫して前衛的な実験精神を見てきた。そうした西洋での評価にも問題がないわけではないが、今の日本に欠けているのが清水宏をロベルト・ロッセリーニやアンソニー・マンの傍らにおいて見るような視点であることは確かだろう。この視点に立つとき浮かび上がってくるのは、撮影所システムの内部において、また後半生には実際にその外部へと「旅」を続けてやまなかった清水宏の飄々としつつも妥協を知らぬ姿であり、アッバス・キアロスタミや井口奈己のような現代の作家もまたその終わりなき「旅」の道づれだということである。
 

藤井仁子(ふじい・じんし/映画評論家)
1973年生まれ。映画評論家。早稲田大学文学学術院専任講師。映画批評サイト『テアトル・オブリーク』主宰。編著に『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)、共著に『成瀬巳喜男の世界へ』(筑摩書房)など。単著『スピルバーグ 孤児の歴史学』と『日本文化映画批判』(ともに仮題)をインスクリプトと日本経済評論社から刊行準備中。

 

《料金》

無料(要「清水宏の旅」上映会チケット半券)

 
[関連特集上映] [清水宏の旅](特集上映は3/20金祝〜3/22日です)

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