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『さらば、愛の言葉よ』公開記念レクチャー
ゴダールとマルセル・オフュルス
──戦争の記憶と映像の世紀

2015年2月22日(日) 13:30(終了予定15:30)

追加 参考上映
『サン・ジェルヴェ劇場での出会い』
La Rencontre de Saint Gervais(2011/43分/DVD上映/日本語字幕付き)

講師:堀 潤之(映画研究・表象文化論)

『映画史』Histoire(s) du cinéma (1988-98)以降のジャン=リュック・ゴダールは、映画史のみならず、20世紀の歴史への関心を前景化させる。なかでも、第二次世界大戦期の対独レジスタンスやホロコーストといった出来事は、『映画史』だけでなく、それ以降のゴダールのフィルモグラフィでも継続的に取り上げられている。

20世紀の危機的な瞬間のひとつに向けられたこのようなまなざしを介して、ゴダールの道筋は、たとえば『ショア』(1985)のクロード・ランズマンのそれと交叉する。実際、1999年にはベルナール=アンリ・レヴィの仲介で、ゴダールとランズマンが会食し、それをもとに一時間のテレビ番組を作るという未完に終わった企画もあった。

だが、『映画史』以降に取り結ばれた他の映画作家との関係のうち、最も興味深いのは、マルセル・オフュルスとの関係だろう。マックス・オフュルスを父に持ち、ゴダールより3歳年長で、当初からヌーヴェル・ヴァーグの近傍にいたこの映画作家とゴダールは、不思議なことにこれまであまり接点を持っておらず、ヴィシー政権下における対独協力を扱って物議を醸したドキュメンタリー映画『哀しみと憐れみ』(1969)に対しても、どちらかと言えば冷ややかな反応しか示していなかった。

ところが、近年、この二人の映画作家は、少なくとも二度にわたって公開対談をし、その一部は『サン・ジェルヴェ劇場での出会い』La Rencontre de Saint Gervais (2011)という記録映像にもなっている。ゴダールの遅ればせの「歴史」への関心の目醒めが二人を接近させたことは明らかだが、より具体的に、彼らの「歴史」へのまなざしはどのように重なり合い、どのようにずれているのだろうか。ゴダールとオフュルスの作品群の解説も交えながら、本講座では『サン・ジェルヴェ劇場での出会い』の内容をじっくりと読み解いてみたい。(堀 潤之)

堀 潤之(ほり じゅんじ)
1976年生まれ。映画研究・表象文化論。関西大学文学部教授。主な著訳書に、四方田犬彦との編著書『ゴダール・映像・歴史』(産業図書、2001)、菅原慶乃との共編著『越境の映画史』(関西大学出版部、2014)、コリン・マッケイブ『ゴダール伝』(みすず書房、2007)、ジャック・ランシエール『イメージの運命』(平凡社、2010)、レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』(みすず書房、2013)などがある。

協力:Les Films du Tigre

《参加費》 1000円(参考上映含む)

これまでのイベント|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。