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2015 3

公開研究会
イメージのサーキュレーションとアーカイブ

2015年3月21日(土・祝)

この公開研究会は、これまで独自の文脈を築いてきた「映像(イメージ)研究」と「アーカイブ研究」が、改めて出会う場となるべく企画されたものです。

映像は本来、単体で存在するものではなく、「群れをなす」ものでした。また同時に個々の作品も、その輪郭の内には様々な視覚表現や音像(サウンド・イメージ)、文字やフレーム、メタ情報など、「痕跡の群れ」がアンサンブルとして構造化されていました。それを踏まえると、アーカイブ研究は、これまでの映像研究が分析的に担ってきた仕事を、実践的なアプローチから解体し、また映像研究は、アーカイブ研究がメタレベルに散らしてしまう記憶と認識の核を、再び編み直す手がかりを与えてくれる、という互いの関係が見えてきます。

サーキュレーション(「循環」)は、その協働の可能性を引き寄せるコンセプトとして浮かび上がったものです。その根底には「変容」「流れ」があります。マーシャル・マクルーハンが最晩年に著した「テトラッド(強化・回復・衰退・反転)」(『メディアの法則』)はまさにこの「変容の記述」の一般化の試みの一つといえましょう。この中に起こる意味と物性の絡み合いこそが、イメージ×アーカイブが相互に指示し合う、あるいはその結節点を辿りながら転移し、乗り移り、過去から現在・未来へ渡り歩く、原メディア的な「動き(プロセス)」なのです。

今回は特に、国内における「小型映画」の存在に興味を抱いた多様な分野の研究者が集まり、議論を展開します。この100年、無数に制作され、散らばり、埋もれてしまったイメージ群に再び光を当てる方法とは何か――近年発掘されたいくつもの映像を上映しながら、様々な角度から言葉を重ねてみたいと考えています。「作者」「作品」という旧来の殻を割って、 私たちはどのような世界を描くことができるのでしょうか。
──水島久光

第一部「散逸と(再)統合」13:00〜14:40
神戸映画資料館が収蔵する戦前のアマチュア映像(神戸映画保存ネットワークと神戸大学によるデジタル化)の上映と解説。上映映像について参加者のあいだでコミュニケーションを形成する。
解説者:板倉史明(神戸大学)他
上映:
『ガランドウの太鼓』(1934/坂本為之)
『鉤を失った山彦』(1936/竹村猛児)
『蜘蛛と頼光』(1938/竹村猛児)
『かぐや姫』(1941/荒井和五郎)
『ヴォルガの舟唄』『旋律』『千鳥の曲』(森紅)

第二部「映像のミクロストリア」15:00〜18:00
アマチュア映像制作者(森紅や荻野茂二など)や彼/彼女らの映像をめぐるミクロストリアについて思考し、参加者のあいだでイメージのサーキュレーションについて検討する。
上映作品:森紅作品、荻野茂二作品他
報告者:原田健一(新潟大学)、水島久光(東海大学)、北村順生(新潟大学)、榎本千賀子(新潟大学)、椋本輔(横浜国立大学)、松谷容作(神戸大学)、藤原征生(京都大学)

《参加費》無料   《会場》神戸映画資料館

共催:神戸大学地域連携事業「映像を媒介とした大学とアーカイブの地域連携」、一般社団法人神戸映画保存ネットワーク


春 展

2015年2月24日(火)〜3月23日(月)[水・木 休み]

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会場:新長田ギャラリー(神戸映画資料館すぐ横)

 主催・問い合わせ  神戸プラネット(神戸映画資料館)

 企 画  椿崎和生、神戸プラネット

 協 力  新長田まちづくり(株)


ストローブ=ユイレ、ブレヒト、ワイマール期の音楽劇
2015年3月28日(土)17:00〜(終了予定18:30)
講師:渋谷哲也(ドイツ映画研究)
ゲスト:大田美佐子(西洋音楽史,音楽美学)

vonheute02文学の映画化とは文学のテクストを映像イメージに変換する作業だと考えられているが、実際に映画化の過程で何が起こっているのか?
映画におけるイメージとテクストとの関係は相補的でも対立的でも独立的でもありうる。そこで大胆な作風を特徴とする脚色映画を個別に取り上げ、さらに映像と文学という二つのメディアの関係として考察を広げてみたい。ブレヒトの叙事演劇やフランクフルト学派の文化産業批判の影響を強く受けた戦後ドイツのニューシネマのラディカルな映画美学を映画とテクストの関係性から読み解くシリーズ。ストローブ=ユイレ、ファスビンダーを中心に文学の脚色映画を順次取り上げる予定。

ストローブ=ユイレが映画の下敷きにするテクストは、同時代的関心によるもの(ベル)と、歴史的な題材(神話、聖書、ギリシャ悲劇)が際立っているが、実は1920年代にも一つの重要な核がある。ブレヒト、カフカ、シェーンベルクのテクスト群だが、そこにはワイマール期の爛熟した都市文化の片鱗も見出すことはできない。そんな中唯一の例外として当時の風俗劇であるオペラ『今日から明日へ』が映画化されたことは貴重だ。ストローブ=ユイレから見たワイマール文化はどのようなものだったのか、彼らが敬愛するブレヒトの代表作『三文オペラ』の映画化とともに、映画・舞台・音楽というジャンル横断だけでなく、20世紀の歴史と社会も俯瞰しつつ考えてみたい。28日は音楽学者大田美佐子さんをゲストに迎えてワイマール期の音楽劇を中心に討論し、29日はストローブ=ユイレ映画の音楽の使い方に焦点を当てて解説してみたい。(渋谷哲也)

 

[関連上映] 『今日から明日へ』『三文オペラ』[予定]

渋谷哲也
1965年、兵庫県生まれ。東京国際大学准教授。ドイツ映画研究。ドイツ映画字幕翻訳やマイナーな映画作家の上映など紹介活動も行う。著作は『ファスビンダー』(共著・現代思潮新社)『ベルリンのモダンガール』(共著・三修社)など。

《参加費》 無料

主催:渋谷哲也[科学研究費助成 基盤研究(C)24520172]
共催:神戸映画資料館


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※内容は予告無く変更する場合があります。