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分類 はたのこうぼうのアメリカ映画研究会

はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#5
フリッツ・ラング編最終回 「運命」のつくり方

2016年2月28日(日)
13:30〜 参考上映『スカーレット・ストリート』
15:30〜 発表 濱口竜介
[追加]発表終了後、トーク 濱口竜介+野原位

一人の作劇者として常に悩ましいのは「ドラマ」とは所詮はすべからく「つくりごと」ということだ。結局それはある種のご都合主義を必ず含む。にもかかわらず、世の中には「ものごとはこのようにしか起こり得なかった」という感覚、いわば「運命」が刻み込まれたような映画が存在する。過酷な地獄を生きなければならないフリッツ・ラング『スカーレット・ストリート』(脚本はダドリー・ニコルズ!)の登場人物たちに思いを馳せつつ、他のラング作品、イーストウッド、エドワード・ヤンなどを踏まえながら、映画における「運命」のつくり方について考察する。

濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット「はたのこうぼう」(『ハッピーアワー』監督:濱口竜介)のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その最終回。研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。

これまでの「はたのこうぼうのアメリカ映画研究会」

 

[参考上映]『スカーレット・ストリート』Scarlet Street
Scarlet_Street(アメリカ/1945/102分/16mm)
製作・監督:フリッツ・ラング
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:ミルトン・R・クラスナー
出演:エドワード・G・ロビンソン、ジョーン・ベネット、ダン・デュリエ

絵が趣味の中年会社員がやくざな男女に弄ばれ、女を殺した上に発狂するまでを描くフィルム・ノワール。SF映画の金字塔『メトロポリス』(1927)などで知られるフリッツ・ラングのアメリカ亡命期の一本。ラングの前作『飾窓の女』(1944)の主要キャストが再結集し、戦前はギャング役で鳴らした名優エドワード・G・ロビンソンが中年男を好演。

《参加費》 1500円
*予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。


はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#4
「ルビッチの『反復』と『反転』」

2014年5月31日(土)
13:30〜 参考上映『生きるべきか死ぬべきか』
15:30〜 発表 野原 位
 
エルンスト・ルビッチ。ハリウッド黄金期に活躍をしたこの大監督は、古典的ハリウッド映画を考える際に外すことの出来ない存在である。ただ一方で、ルビッチ映画について語られる機会はホークス、フォード、ラング、ルノワールなどと比較すると少ないように思われる。このルビッチを巡る「語ることの困難さ」は、いったい何なのか。今回の「はたのこうぼうによるアメリカ映画研究会」ではこの謎を考えたい。その鍵を握るのは、ルビッチ映画に数多く出現する(一見語りやすい)「反復」と「反転」の構造、そこに収まらない「ある感情」だ。乞うご期待。
 
濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット「はたのこうぼう」のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その第4回。研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。
 
[参考上映]『生きるべきか死ぬべきか』To Be or Not to Be
(アメリカ/1942/98分/16mm)
監督:エルンスト・ルビッチ
脚本:エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影:ルドルフ・マテ
出演:キャロル・ロンバード、ジャック・ベニー、ロバート・スタック
 
第二次世界大戦の最中。ナチス侵攻の影におびえるポーランドの首都ワルシャワだが、トゥーラー座の芝居は連日、大盛況。そんな人気劇団の座長であり、自称「ポーランドの偉大な名優」ジョゼフには、一つの悩みがあった。ジョゼフが読み上げる『ハムレット』の名台詞「生きるべきか死ぬべきか」を聞くたび、青年(ソビンスキー中尉)が中座してしまうことだ。悩むジョゼフを励ます妻であり看板女優のアンナだが、実はソビンスキーは楽屋のアンナに会うため席を立っていた。しかし、そんな三角関係もすべてナチスが壊してしまう。ナチスのスパイから、愛するアンナを助けるために手を組むジョゼフとソビンスキーを中心に、トゥーラー座はじまって以来の大芝居が幕を開ける。
ルビッチ演出が冴え渡る1942年の今作においても、様々なアイテムの「反復」と「反転」を見ることができる。その最たるものは今作では、緊迫した戦時下において「敵/味方」を超えた人物交換劇として現れる。その大胆さに何度見ても驚かずにはいられない傑作。
 
発表者:野原位(のはら・ただし)
1983年栃木県生まれ。明治大学理工学部卒。07年に東京藝術大学大学院映像研究科の第3期監督領域に入学し、黒沢清監督・北野武監督に師事する。在学中には寺島しのぶが主演する『京子』を監督。同作品は伊坂幸太郎原作のオムニバス映画『ラッシュライフ』中の一編であり、新宿バルト9をはじめ全国主要都市で公開された。また大学院修了作品では、いしだ壱成を主演に迎え、長編映画『Elephant Love』を監督。その後は、CS放送の番組AD、CGプロダクションマネージャーなどの職を経て、昨年5月より神戸に居を移し、脚本ユニット「はたのこうぼう」のメンバーとして「濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe」へ参加。

《参加費》 1500円


はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#3
「ヒッチコック――『交換』から『交換不可能』へ(前編)」

2014年1月13日(月・祝)
13:30〜 参考上映『海外特派員』
15:45〜 発表 高橋知由(脚本家)
 
かつてクロード・シャブロル=エリック・ロメールが『ヒッチコック』のなかで指摘し、後にジル・ドゥルーズが『シネマ』において二人の指摘を支持したように、ヒッチコックの多様なフィルモグラフィーを貫く主題の1つに「交換」が挙げられる。それは、登場人物間の「罪」や「責務」の交換であることもあれば、単に物理的な交換のこともある。そしてそれらは複雑に絡み合っている。一見して、ヒッチコックの作品世界において交換できないものはないように思われる。しかし、その終わりなき交換の果てに―—或いは、その果てから還ってきたところで―—突如として、「交換不可能」な物事が立ち現れる。交換可能性から交換不可能性へ。その流れは、一方で、古典的ハリウッド映画と(ハリウッドのみならず)現代映画を繋ぐ線となるだろう。
 
濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット「はたのこうぼう」のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その第3回。研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。
 
[参考上映]『海外特派員』 Foreign Correspondent
(アメリカ/1940/120分/16mm)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:チャールズ・ベネット、ジョーン・ハリソン
撮影:ルドルフ・マテ
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ジョージ・サンダース、ハーバート・マーシャル
第二次世界大戦前夜、欧州全面戦争が始まるか否かのキーマンとなる外交官の同行を探る為、アメリカの新聞社からヨーロッパに送り込まれた海外特派員が主人公である。この主人公は外交官が公衆の面前で暗殺されるのを目撃するが、暗殺された外交官が実は偽者の「替え玉」であることも知ってしまう。戦争を止めるため行方不明になった本物の外交官を探すとともに、一連の事件を引き起こしたナチスのスパイ一味から命を狙われる主人公。反ナチスのプロパガンダ的側面を持っているにも関わらず、ナチスのゲッペルスが好んで観たとも言われている。公開時既に第二次大戦は勃発しており、主人公たちが開戦を阻止出来ないのは自明であるが、クライマックスのカタルシスが予め封印されていることで、却ってヒッチコックによる「交換」の主題を浮かび上がらせている。
 
発表者:高橋知由
1985年生まれ。日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。大学在学中からシナリオを学び、卒業後、自主制作映画に参加する傍らホラー系OVやウェブ配信ドラマなどのシナリオを書く。現在は映画監督の濱口竜介、野原位とともに活動拠点を神戸に移している。脚本作に『不気味なものの肌に触れる』(監督/濱口竜介)。

《参加費》 1500円


はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#2
「ラングから黒沢清へ」

 
2013年11月3日(日) 15:15〜(終了予定16:45)
発表 濱口竜介(映画監督)
 
脚本ユニット「はたのこうぼう」のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その第2回。
研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。
 
*「はたのこうぼう」とは
  濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット。 
 
[関連上映]11月2日(土)・3日(日)・4日(月・祝)13:30〜
スクリーンに甦る 黒沢清『蛇の道』 

《参加費》 1000円

*ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。


はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#1
フリッツ・ラング 地獄/復讐/変身① 「ラングからエリック・ロメールへ」

 
2013年7月27日(土) 14:00〜(終了予定17:30)
14:00〜 参考上映『熱き夜の疼き(クラッシュ・バイ・ナイト)』
16:00〜 発表 濱口竜介(映画監督)
 
脚本ユニット「はたのこうぼう」のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その第1回。
研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。
映画監督・濱口竜介がフリッツ・ラングのアメリカ時代の作品から、現代映画作家エリック・ロメールへと至る細い線を紡ぐ。
 
*「はたのこうぼう」とは
  濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット。 
 
[参考上映]『熱き夜の疼き(クラッシュ・バイ・ナイト)』 Clash by Night
(アメリカ/1952/105分/16mm)
監督:フリッツ・ラング
脚本:アルフレッド・ヘイズ
撮影:ニコラス・ムスラカ
音楽:ロイ・ウェッブ
出演:バーバラ・スタンウィック、ポール・ダグラス、ロバート・ライアン、マリリン・モンロー
 

《参加費》 1500円

*ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。


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