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「神戸の映画・大探索」上映会 『紅の流れ星』
2015年12月19日(土)・20日(日)

 

「神戸の映画・大探索」プロジェクトでは、神戸に関連する映画の情報を収集中です。今回は、現在までに集まった情報の中間報告を兼ね、国際港神戸の魅力をふんだんに盛り込んだ『紅の流れ星』をご覧いただきます。
元神戸新聞論説委員で神戸100年映画祭総合プロデューサーを長年つとめられた伊良子序さんと、神戸フィルムオフィス代表の田中まこさんという、神戸の映画を語るにふさわしいお二人によるトークもお楽しみください。

 

 

 

『紅の流れ星』讃

山根貞男(映画評論家)   

 ジャン・ギャバン、石原裕次郎、ジャン=ポール・ベルモンド、そして渡哲也──映画『紅の流れ星』には、これら日仏の人気スター4人の連鎖が内包されている。
 題名でいえば、『望郷』、『赤い波止場』、『勝手にしやがれ』、そして『紅の流れ星』。監督はジュリアン・デュヴィヴィエ、舛田利雄、ジャン=リュック・ゴダール、そして再び舛田利雄。1930年代から60年代まで、4本の映画の連関が見られるのである。
 どこがどんなふうに繋がっているのかは、この短文では説明しきれない。ちょっとした映画ファンなら、一夜飲み明かして語ることになろうと思われるほどだから。
 『紅の流れ星』は要するにムチャクチャな映画で、だから素晴らしい。
 一点だけ具体的に強調しておこう。かんかん帽を目深にかぶって酒場で踊る渡哲也の魅力を、である。そこにはギャバンとも、裕次郎とも、ベルモンドとも、決定的に違う何かが感じられる。それは何なのか。思うに、渡哲也の姿には含羞が輝いている。

 

[上映]12月19日(土)・20日(日)13:30〜
「紅の流れ星」
(1967/97分/35mm)日活
監督:舛田利雄 脚本:池上金男、舛田利雄 撮影:高村倉太郎 美術:木村威夫 照明:熊谷秀夫 音楽:鏑木創
出演:渡哲也、浅丘ルリ子、杉良太郎、松尾嘉代、奥村チヨ、藤竜也、宍戸錠

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無国籍アクションが似合った港町 ────伊良子序
神戸でロケが行われた多くの作品群でもっとも強い印象を残しているのは、往年の日活のアクション映画だろう。「無国籍アクション」といささか揶揄的に表現された一連のプログラム・ピクチャーの最盛期は昭和の30年代であった。石原裕次郎、赤木圭一郎、渡哲也らが演じたアンチヒーローが暗黒街のシンジケートと戦い、恋人とせつない別れを告げる場が国際港都・神戸だった。もっとも有名なのは、神戸出身の舛田利雄監督が人気絶頂期の裕次郎を主演に、フランスのジャン・ギャバン主演の名作「望郷」をイメージして作った「赤い波止場」(昭和33年)。五千人の見物客が殺到し、ロケがしばしば中断した騒ぎはいまも語り草になっている。さらに9年後、やはり舛田監督が「赤い波止場」を渡哲也主演でリメークした「紅の流れ星」(昭和42年)は、日活アクションが消えゆく寸前に作られた。メリケン波止場のハシケだまりなど、現在ではすっかり姿を消した懐かしい港町風景を銀幕にとどめた日活アクションは、古き良き「神戸」の面影をもっとも鮮明にとどめている。

 

[トーク]12月19日(土)15:15〜
伊良子序(作家)+ 田中まこ(神戸フィルムオフィス 代表)

 

《参加費》500円
《会場》神戸映画資料館

主催:神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会
助成:神戸市「まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成」

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