プログラムPROGRAM

アニメーション作家 相原信洋 特集上映 その1 1日会員非対応各回入れ替え
2008年10月25日(土)・26日(日)

〈草月ホールの時代〉以降、自主制作のアニメーションを牽引し、流麗なドローイングやダイナミックな実験で、アニメーションの常識を超える映像表現を切り開いてきた巨匠・相原信洋の作品群+新作を、6プログラム・3ヶ月にわたり一挙上映する。今回は傑作選、および初期の作品群をたどる。初期の代表作『STONE』(1975)は、スウェーデンの石切り山の風景とドローイングが共にアニメートされた雄大な作品として高く評価され、松本俊夫は「岩に貼りつけられたロールシャッハ風のデカルコマニーが、大自然の風景の中で不気味に動く幻想的なイメージは卓抜である」と称賛した。その他初期作品については、相原信洋による解説を紹介したい。
「私が初めてアニメーション制作に興味をもつようになったのは、子供の頃に観たいわゆるマンガ映画を別にすると、十五、六年前に初めて観たカナダのノーマン・マクラレンや、当時の内外の個人映画作家のアニメーション・実験映画等との出会いによるものです……16ミリで作り始めて二、三年経った頃から、スタン・ブラッケージらの作品との出会いなどもあり、室内での制作と同時に野外に出てアニメーションを作りたくなってきました。『うるし』(73)は、家の近くの山麓に繁っていた漆の木と近くの風景とを、スチール写真約五〇枚に記録し、人工着色プラス動画で表現した作品です。『山かがし』(73)はそれと平行して制作した、町の近くの米軍キャンプと“山かがし”という蛇のイメージ作品で、この頃より身近なものを素材とするようになり、『短距離ランナー』(73)『おしろい羽根』(73)等を制作しました。『逢仙花』(73)は私の祖母の死を、スチール写真、実写、動画によって動かす、というより記録したもので、家の囲りに夏とは限らず花を咲かす「逢仙花」のタイトルにしたものです。また翌年の『妄動』(74)によって、私のアニメーションは大きく変わったと思います。以前からよく悩まされたテーマやストーリーから解放されたように思いますし、一〇〇フィート、約三分の作品ですが、現像上がりを見るとフィルムを切る個所が一ヶ所もなく、これによって私自身、自分の作品の流れを知ったように思います」
(『月刊イメージフォーラム』1981年、第2巻第9号より)
企画:佐野 明子(京都造形芸術大学非常勤講師)
 

相原信洋(アニメーション作家)
あいはらのぶひろ。東京のデザイン学校を卒業後、アニメーション会社でTV・劇場用作品を多数手がける。1965年より自主制作を始め、映像個展およびワークショップを国内各地、ヨーロッパ等で開催。現在も精力的に作品を発表し、世界各国で招待上映される。1995年第5回広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員。国際アニメーション協会(ASIFA)会 員。京都造形芸術大学教授。

[傑作選](65分)
『やまかがし』(1971)
『STONE』(1975)
『カルマ』(1977)
『PRIVATE』(1986)
『映像(かげ)』(1987)
『LINE』(1990)
『気動』(1994)
『RAIN』(1996)
『THE THIRD EYE』(1999)
『WIND』(2000)
『MEMORY OF RED』(2004)
『YELLOW SNAKE』(2006/DVD)
※作品は、『YELLOW SNAKE』を除いて、すべて16ミリフィルムでの上映です
[70年代前半作品](72分)
『STOP』(1969)
『TIME TO KILL』(1970)
『サクラ』(1970)
『風触』(1970)
『やまかがし』(1971)
『おしろい羽根』(1972)
『赤いギヤマン』(1972)
『みつばちの季節は去って』(1972)
『うるし』(1973)
『逢仙花』(1973)
『初春狐色』(1973)
『短距離ランナー』(1973)
『妄動』(1974)
『STONE』(1975) ※松本俊夫氏のコメントあり
『STONE No.1』(1975)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
 

《料金》
1回券 1日会員非対応各回入れ替え
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
通し券(全6プログラム) 会員限定1日会員非対応各回入れ替え
会員4500円 学生会員・シニア会員3800円
 
《割引》
1回券を複数枚お求めの場合
2プログラム目より200円引き

[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その2
[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その3
[関連イベント] 相原信洋 ライブペインティング
※作品へのコメントがございます。

相原信洋を知らない人は、作品を見て、その繊細なペンタッチに魅せられるにちがいない。人間業とは思えない複雑にして精微な動きに驚嘆するにちがいない。
(かわなかのぶひろ・映像作家)
[京都造形芸術大学刊『相原信洋アニメーション・カタログ』より抜粋]

岩に貼りつけられたロールシャッハ風のデカルコマニーが、大自然の風景の中で不気味に動く幻想的なイメージは卓抜である。
(松本俊夫・映像作家)
[美術出版社刊『新映画事典』より抜粋]

生命のとらえがたい本質に形と動きを与えようとする点で、アニメーションの本質を追求するものといえる。
(那田尚史・映画研究者)
[日本図書センター刊『世界映画大事典』より抜粋]

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

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