プログラムPROGRAM
2008 11

文化大革命と映画
2008年11月7日(金)~9日(日)
 
1966年から1976年までの10年、中国で吹き荒れたプロレタリア社会文化運動、文化大革命(文革)。その文革、そしてマオイズム(毛沢東主義)とは何だったのか。日本人スタッフによって文革初期を記録した『夜明けの国』、そして現代ドキュメンタリーの最前線に立つ中国人監督による『鳳鳴(フォンミン)』と『私の紅衛兵時代』を一挙上映。
「夜明けの国」
(1967/110分/DVD)
製作:岩波映画製作所
監督:時枝俊江
ちょうど文革が始まった月に中国に入国した岩波映画の撮影隊により製作された記録映画。文革の象徴的存在である紅衛兵と呼ばれる学生たちの姿をとらえているほか、戦前、たくさんの日本人が住んでいた旧満州のロケーション撮影など映像記録としても貴重な作品である。
「鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶」
(中国/2007/183分/DVcam)
監督:王兵(ワン・ビン)
1950年代以降の中国で起きた反右派闘争や文化大革命の粛正運動で数々の迫害を受けた老女の壮絶な物語が、固定カメラの映像と音声を通して圧倒的な波動で押し寄せてくる。記者だった夫との情愛と別れがまるで目の前で繰り広げられるようだ。『鉄西区』で注目された王兵監督の最新作。2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)。
後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭
 
 
「私の紅衛兵時代」
(中国/1993/134分/DVcam)
監督:呉文光(ウー・ウェンガン)
文化大革命に青春時代を送り、今は学者や映画監督(『青い凧』の田壮壮)になっている元紅衛兵たちが、詳細に20数年前のその経験を語る。インディペンデント映画ならではの淡々とした本音。1993年山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞。

《料金》各回入れ替え
1本あたり
一般1500円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》
2本目より200円引き


牛肉偽装告発の行方『ハダカの城~西宮冷蔵・水谷洋一~』
2008年11月13日(木)~21日(金)※水曜休映
「ハダカの城~西宮冷蔵・水谷洋一~」
(2007/108分/DV)
製作:『鳥類』/ Sei SHIBATA
監督・撮影・編集:柴田誠
録音・整音:岸本祐典、浅井佑介
音楽:米田みちのぶ
題字:ジュンコ
配給・宣伝:Nui企画、楠瀬かおり
出演:水谷洋一、水谷甲太郎 他
2003年、冬。大阪、梅田。曾根崎陸橋。ひとりの男が佇んでいた。男の名は、水谷洋一。
2002年1月23日。国の”国産牛肉買い取り制度”を悪用した、『雪印食品・牛肉偽装詐欺事件』の告発を行った、倉庫会社【西宮冷蔵】社長である。告発から3ヶ月後、「雪印食品」は解体。しかし、その後、西宮冷蔵も、偽装詰め替え作業時に「在庫証明書が改ざんされていた」と、国土交通省より営業停止処分をうける。続けて、相次ぐ取引先の撤退、2003年5月25日には、電気代滞納により倉庫送電が停止される。
2003年10月。大阪、梅田 曾根崎陸橋。寒風に揺れる『まけへんで!! 西宮冷蔵』の幟。水谷社長は、「西宮冷蔵」再建を目指し、告発の経緯を綴った書籍販売の露店を開いていた。わずかな生活費を稼ぐのと、再建支援のカンパを募ってだが、自らの信念の火が消えていないことを証明するためだった。
この作品は、その陸橋での活動から再建、営業再開から1年目までの記録である。

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

[関連イベント] 15日(土)水谷洋一 社長&柴田誠 監督 トークイベント


アニメーション作家 相原信洋特集上映 その2
2008年11月22日(土)・23日(日)

アニメーション作家・相原信洋の初期から最新作までの作品群を上映するシリーズ第2弾。今回は70年代半ばから90年代半ばまでの作品を一望する。23日には相原信洋が来館し、ライブペインティングイベントを開催!
「未だにアニメーションをマンガ本と同じに思っている人も大勢いますが、アニメーションの作り手が、目に見るもの全てが素材でるという考えをもって、そうした偏った見方を壊していかなければいけない」と呼びかける相原は、約20年間アニメスタジオでTVシリーズに携わってスキルを磨きつつ、ときには海外に渡ってストリートパフォーマンスを行い、ワークショップや教育機関で後進を育成するなど多彩な活動のなかで、アニメーションの既成観念を破る映像表現を追求し、室内・野外を問わずに制作した。
野外でアニメーションをつくる試みには、絵を空中に放り投げてコマ撮りした『光』や、スウェーデンの田園で空の雲とドローイングの雲を同一フレーム内におさめた『UNDER THE SUN』、防空壕と雑草に蛍光色ポスターカラーで着色していくプロセスを撮影した『シェルター』などがある。ドローイング作品には、自己の心象風景を映像化した『カルマ』シリーズ(『水輪(カルマ2)』『気道』他)などがあり、有形無形のイメージが繊細な筆致で描かれ、フレームの外に奔流していく開放感と、緻密な時間・空間の構成による緊張感があいまって、見る者の身体に響きわたっていく。これらの作品は全国各地のライブハウスや、古川タク氏との上映会、海外での個展などで発表された。
企画:佐野 明子(京都造形芸術大学非常勤講師)
 

相原信洋(アニメーション作家)
あいはらのぶひろ。東京のデザイン学校を卒業後、アニメーション会社でTV・劇場用作品を多数手がける。1965年より自主制作を始め、映像個展およびワークショップを国内各地、ヨーロッパ等で開催。現在も精力的に作品を発表し、世界各国で招待上映される。1995年第5回広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員。国際アニメーション協会(ASIFA)会 員。京都造形芸術大学教授。

[70年代~80年代作品](63分)
『新はげ山の一夜』(1976)
『雲の糸』(1976)
『LIGHT』(1976)
『青マッチ』(1976)
『リンゴと少女』(1976)
『カルマ』(1977)
『光』(1978)
『BURNIN』(1980)
『シェルター』(1980)
『マイ・シェルター』(1982)
『BALVA』(1983)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
[80年代~90年代作品](73分)
『S=13』(1984/9分)
『逢魔が時』(1985)
『PRIVATE』(1986)
『映像(かげ)』(1987)
『とんぼ』(1988)
『GAVORA』(1989)
『LINE』(1990)
『MASK』(1991)
『鴉』(1992/)
『気動』(1994)
『耳鳴り』(1995)
『YELLOW FISH』(1998)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
 

《料金》各回入れ替え/
 1回券 
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
 通し券(全6プログラム) 
会員4500円 学生会員・シニア会員3800円

 
《割引》
1回券を複数枚お求めの場合
2プログラム目より200円引き

[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その1
[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その3
[関連イベント] 相原信洋 ライブペインティング
※作品へのコメントがございます。

(さらに…)


エイゼンシュテインとプドフキン
2008年11月28日(金)~30日(日)
ロシア・アヴァンギャルドを代表する二人の映画監督、エイゼンシュテインとプドフキン。それぞれが発展させたモンタージュ理論は、「衝突」のエイゼンシュテインに対し、プドフキンは「連結」であると対比して考えられている。
「ストライキ」
(ソ連/1924/81分/サウンド版/16mm)
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン(Sergei Mikhailovich Eisenstein)
脚本:ワレーリー・プレトニョーフ、セルゲイ・エイゼンシュテイン、グリゴリー・アレクサンドロフ、I・クラヴチュノフスキー
撮影:エドウアルド・テイッセ
労働者と資本家の衝突をテーマに、ストライキが自然発生的な抗議から組織的な闘争へと発展するプロセスを描いた作品で、エイゼンシュテインの長篇第一作。主要な数人を除いては素人の労働者を出演させ、ニュース映画を観るような生々しい映像世界を展開している。
「母」
(ソ連/1926/90分/サウンド版/16mm)
監督:フセヴォロド・プドフキン(Vsevolod Illarianovich Pudovkin)
原作: マクシム・ゴーリキー
脚色: ナターン・ザルヒ
撮影: アナトリー・ゴロブニヤ
ソビエト映画史で、エイゼンシュテイン監督の『戦艦ポチョムキン』と同時代の傑作として名高いのが、プドフキン監督の『母』である。20世紀初頭の帝政ロシアを舞台に、労働者の母が革命的意識に目覚める姿を描くゴーリキーの小説を映画化。モスクワ芸術座の俳優を起用し、エイゼンシュテインとはまた違ったモンタージュを試みている。
「戦艦ポチョムキン」
(ソ連/1925/65分/16mm/サウンド・英語版/日本語字幕無し)
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
脚本:セルゲイ・エイゼンシュテイン、ニーナ・アガジャノヴァ・シュトコ
撮影:エドゥアルド・ティッセ
乳母車が階段を落ちていく「オデッサの階段」と呼ばれる場面が特に有名な大作。映画の基本的文法であるモンタージュ技法を確立した作品で、「映画の教科書」と見なされるが、スペクタクル映画としての魅力はまったく古びていない。

《料金》各回入れ替え
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2本目より200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。