プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2009

SFX前史 特撮技術の誕生
2009年1月9日(金)・11日(日)・12日(月・祝)※10日(土)休映
映画のテクニックのひとつに特殊撮影がある。撮影や編集などのテクニックを駆使し、現実にはありえない画面を作り出すことに古今東西の世界の映画人はチャレンジしてきた。映画初期の特撮アンソロジーをはじめ、有名な『キングコング』、幻の日米特撮・大橋史典の『おらあカッパだ』、撮影所での特撮技術を紹介する『映画の秘密』と特撮ファン必見のプログラムだ。
Aプログラム3本立て
「マジック・メモリーズ1900-1925」Magic Memories
([英語]/14分[16fps]/16mm/無声/日本語字幕無し)
タイトルからも想像できるように、初期トリック映画の名場面集。メリエスからフェルディナン・ゼッカ、ハル・ローチ『イッツ・ア・ギフト』、ジェームス・ウィリアムソンの『ザ・ビッグ・スワロウ』(1901)などなど。
 
「おらあカッパだ」
(1968/30分/カラー/16mm)
製作・特撮監督:大橋史典
監督・脚本:八束 基
制作:日米特撮映画
出演:保積ペペ、明石潮、仁礼功太郎
日米特撮株式会社の大橋史典は『用心棒』など黒澤明作品の出演者としても知られるが、京都にアトリエを構えて「マグマ大使」「怪獣王子」「アゴン」「恐竜怪鳥の伝説」などの造形作家として活躍した。この作品はテレビ局に売り込むためのパイロット版として制作したが、放送はされず幻の作品となっていた。上映フィルムは生前の大橋史典から当館館長が譲り受けたもの。戦前のスター明石潮や二礼功太郎が出演するなど京都の映画の歴史が感じられる作品。
 
「映画の秘密」
(製作年不詳/15分/ 35mm)
製作:大浦清三郎
構成:日本特殊技術グループ
トリック場面を撮影する技術「特殊撮影」を解説した映画。模型撮影や合成撮影の実際を「透明人間」などの実例を示しながら分かりやすく紹介する。
Bプログラム2本立て
「ロスト・ワールド(部分)」The Lost World
(アメリカ/1925/19分[16fps]/16mm/無声/日本語字幕無し)
特殊効果・技術監督:ウィリス・オブライエン(Willis O’brien)
監督:ハリー・O・ホイト
脚本:マリオン・フェファックス
撮影:アーサー・エディソン
出演:ウォーレス・ビアリー、ベッシー・ラヴ、ルイス・ストーン
コナン・ドイルによるSF小説が原作。人形アニメの先駆者としても有名なウィリス・オブライエンが、恐竜に生命を吹き込み、特撮映画の古典とした。今回上映するフィルムはダイジェスト版。
 
「キング・コング」King Kong
(アメリカ/1933/100分/16mm/日本語字幕無し)
特撮技術:ウィリス・オブライエン(Willis O’brien)
製作・監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック
脚本:ジェームス・クリールマン、ルース・ローズ
撮影:エドワード・リンドン、バーノン・L・ウォーカー
音楽:マックス・スタイナー
特殊効果:ハリー・レッドモンド・Jr
恐竜製作:マーセル・デルガド
出演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、ブルース・キャボット、フランク・ライチャー、サム・ハーディー、ノーブル・ジョンソン、スティーブ・クレメンテ
トーキーの怪獣映画第1作。円谷英二が特撮監督を志すきっかけとなった作品でもある。
 
 

《料金》
1プログラムあたり
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円
《割引》
2プログラム目より200円引き


震災体験を越えて パート1
『with・・・若き女性美術作家の生涯』上映
2009年1月16日(金)~18日(日)
「with・・・若き女性美術作家の生涯」
(2001/60分)
監督・プロデューサー:榛葉 健
撮影:丸山幸之輔、新家克巳、榛葉 健
編集:西村周也
制作:辰巳隆一
音楽:酒井 亮
配給:「with・・・若き女性美術作家の生涯」全国上映委員会
 1975年神戸市長田区で生まれた佐野由美さんは、阪神大震災で神戸の自宅が全壊し、ガレキの中から命拾いしていました。そして、その時の多くの人々から支えられた経験が、彼女を変えたのです。大学卒業と同時にネパールに渡り、貧困地区の小学校でボランティアの美術教師になります。
 美術作家であることを「世の中での自分の使命にしたかった」と志した彼女が、貧困下で生きる人々と日々ふれ合うことで、社会の矛盾に悩み苦しみながらも成長していきます。そんなみずみずしい姿に、誰もが本当の「生きる意味」を見つけるでしょう・・。
 受賞歴 
《映画版》
 2002年
  文部科学省特別選定作品
  優秀映画鑑賞会推奨作品
 2001年
  国際連合児童基金(ユニセフ)推薦作品
《テレビ版》
 2001年
  アジア太平洋放送連合賞
  ニューヨーク祭優秀賞
  上海テレビ祭推薦作品
 2000年
  日本賞(NHK主催)特別賞(ユニセフ賞)
  アジアテレビ賞最優秀ドキュメンタリー部門第2位
  「放送と女性ネットワークin関西」最優秀賞

《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 学生会員・シニア会員700円

[関連イベント] 佐野由美 絵画展
[関連イベント] 震災体験を越えて パート2 『ダンシング・ウィズ・ライブズ』上映+トーク


日本映画名画鑑賞会
2009年1月23日(金)
月1回の「日本映画名画鑑賞会」。上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。

《料金》
一律500円


インディペンデント・ムーヴィーの作り方
2009年1月24日(土)・25日(日)
デジタル・ムービーカメラとパソコンさえあれば誰でも明日から映画監督になれるって?世の中そんなに甘かったろうか?気軽に製作を始めてしまえば意外にもに形にはなってしまう。それをちょっとしたコンテストに出して、その上、友人などが誉めたりしてしまえば、大きな勘違いが始まる。しかし、そんな甘い話はない。さてここからが勝負だ。「本気で映画を撮る」ためには覚悟が必要なのだ。あなたにその覚悟はあるのだろうか?
「赤い束縛」
(2005/74分/DV)

監督・脚本:唐津正樹
撮影:近藤龍人
美術:樋口麻衣
制作:松井敏喜、木村文洋
ラインプロデューサー:城内政芳
音楽:PROVOKE 
出演:後藤直樹、平原夕馨、金本健吾、山本華菜子、武藤美帆、福森一世、島田大志
 フリーターの傍らでWEBデザイナーを生活の糧とする浅井は、興味から偶然出会った澤田夫婦に接近。夫婦の悲惨な生活と妻に関心を示した浅井は、「悲惨さ」と「愛らしさ」が平行した愛着を妻に抱き始めるが・・。
 現代的なテーマをモチーフに、シンプルな題材と画面構成で作られた現代ドラマ。貧富や階級などで問題視されてきた「格差」が、「感性」のレベルで起こっているという、かつてない切り口で、現代社会における無意識の価値観を揺さぶる。“人間関係の希薄” “同世代感覚の喪失”“若年性痴呆症”などのモチーフを日常の生活を舞台に繰り広げるダークファンタジー。MIDNIGHT EYE.com 2005年度日本映画BEST10。
「おそいひと」
(2004/83分/モノクロ/35mm)
監督:柴田剛
「おそいひと」作品詳細はこちら

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き

[関連イベント] インディペンデント・ムーヴィーの作り方 トーク・合評会(イベントは1/24土のみです)


「おそいひと」ロードショー
2009年1月24日(土)~2月1日(日)※水曜休映
柴田剛監督は、『鬼畜大宴会』(97/熊切和嘉監督)、『腐る女』(97/山下敦弘監督)の製作に協力し、99年『NN-891102』で衝撃デビュー。『おそいひと』は第5回東京フィルメックスのプレミア上映以来、身体障害者と暴力というそのセンセーショナルなテーマのため日本映画界から封殺されつづけてきた問題作。東京でのロングラン上映後、現在各地で巡回上映される中、神戸での再上映が決定。
「おそいひと」
(2004/83分/モノクロ/35mm)

監督:柴田剛
製作:志摩敏樹
原案:仲悟志
撮影:高倉雅昭、竹内敦
録音:森野順
編集:市川恵太、鈴木啓介、熊切和嘉、柴田剛
音響効果:宇野隆史
音楽:world’s end girlfriend、バミューダ★バガボンド
出演:住田雅清、とりいまり、堀田直蔵、白井純子、福永年久、有田アリコ
 電動車椅子で移動し、ボイスマシーンで会話を交わす。重度の身体障害者である住田(住田雅清)は介護者のサポートを受けて一人暮らしをしている。また、住田のよき理解者でもあるバンドマンのタケ(堀田直蔵)とつるみながら、平穏な日々を過ごしていた。
 そんなある日、住田のもとに大学の卒業論文のために介護を経験したいという敦子(とりいまり)が現れる。そんな経験は何度もしているはずの住田の中で、自身にも整理しきれない違和が蠢き始め、混沌とし、次第に狂気に身を委ねていく・・。そして、住田はあるひとつの決心をするのだが・・。すべては血塗られた結末へと加速度的に収束されていく。

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

[関連イベント] コミットメンツ・オブ・『堀川中立売』 in 神戸 〜柴田剛監督新作映画制作スタート集会〜


日本映画名画鑑賞会
2009年2月6日(金)
月1回の「日本映画名画鑑賞会」。上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。

《料金》
一律500円


牧逸郎キャメラマン 追悼上映
2009年2月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日)

関西で活躍する数少ない映画キャメラマンの一人で『ガキ帝国』『真夏の少年』などの撮影者として知られる牧逸郎さんが、2008年10月1日の未明、肺ガンのため64歳の若さで急逝された。
一緒に仕事をした仲間や友人達はみんな寂しい思いをしているところであるが、これまでの撮影の業績を偲ぶべく、1968年に牧さんを含む大阪の映画人が結集して撮影した『1968大阪の夏・反戦の貌』から、最新作で遺作となった『地球のヘソ』までの膨大な作品群の中から一般劇場用映画、ドキュメンタリー、人権啓発映画などを集めて上映する。
Aプログラム
「1968大阪の夏 反戦の貌」
(1968/40分/16mm)
スタッフ:江副宣昭、鈴木功、大庭伸一、坂田実、山崎義大、牧逸郎、大野長八、福島洋、小倉邦夫、堀純一、安西清尚、竹本敦子、加藤勝美、斉藤健男、安達弘太郎、新田三郎、北の間敢、康浩郎、黒田道粂、藤原幸夫、西野健 制作:「大阪の夏」製作団、大阪自主映画センター
70年安保闘争前夜、カルチェラタン闘争をはじめとする世界的な学生運動に呼応する形で結成された「大阪自主映画センター」制作作品。国際反戦デーに向かって盛り上がった闘争過程を、その内部の矛盾を含めてドキュメントしようとしたもの。康浩郎が主宰し、センターに集まった100人近いスタッフによる集団制作を目指した。牧さん自身は、「この頃はまだペーペーだった」と語っていた。
「京都鬼市場 千年シアター」
(1987/18分/16mm)
製作:小川プロダクション 監督:小川紳介 撮影:牧逸郎
1987年の夏、京都五条千本の空地に出現した「鬼市場」。大駱駝艦の興行と、『1000年刻みの日時計』長期上映が実現した。上映が終盤に近づいた頃、小川紳介はこの上映を記録しようと思い立ったが、あいにく小川プロの機材やスタッフ(田村正毅、菊池信之)がふさがっていたため、関西でスタッフと機材を調達することになった。映像グループ翔の会からミニ・エクレールを借り、牧逸郎キャメラマンのボランティア参加を得て急遽撮影してまとめ上げた。現場録音は小川自身が、カチンコは安井(当館館長)が担当している。
Bプログラム
「足の裏から冥王まで」
(1979/70分/16mm)
製作:竹馬企画、フィルムジャック 
製作:森重晃 企画:劇団日本維新派 監督:井筒和生 助監督:西村隆、浜田昌憲 撮影:牧逸郎、福島洋 音楽:福島洋 出演:劇団日本維新派
劇団日本維新派(後に劇団維新派と改称)による1978年の同名公演を記録したドキュメンタリー。スタッフには後に有名になる井筒和生(和幸)、森重晃、西村隆など当時の関西の映画好きが集まっている。
 [コメント]
 丸太三千本の野外劇場の夜空には小雪が舞い、
 素裸で舞台を駆け回る私たちを、
 牧さんのキャメラが挑むように追ってくるのが何かあたたかく感じられました。

   維新派 松本雄吉 
 
 
Cプログラム
「真夏の少年」
(1991/90分/35mm/ビスタ)
製作:野村企画 製作:足立源一郎 監督:野村恵一 脚本:中村努、野村恵一、小笠原恭子、松下裕治 撮影:牧逸郎 音楽:京建輔 照明:中田秀 編集:谷口登司夫
出演:江口洋介、車和也、キューティー鈴木、白川和子、汐路章、小柳みゆ
高校野球に沸き立つ海辺の町。東京から帰省した兄とその恋人の存在に心が揺れる少年の一夏を描く。江口洋介の初主演映画としても話題となった。
Dプログラム 特別有料試写
「地球のヘソ」
(2007/73分/DVD)
製作:『地球のヘソ』製作委員会(元気な事務所) 監督:東郷一重  脚本:三倉剛 撮影:牧逸郎
出演:山内明日、 J.A.T.D.にしゃんた、谷口高史、国木田かっぱ、世弥喜久代、ジェフ・バーグランド、ゾマホン・ルフィン
2057年、パスポート不要の自由往来特区に指定された京都に世界中から外国人がやってきて、観光都市として活況を呈する。やがて彼らは日本人以上に日本人らしく暮らしはじめ・・。そんな外国人と日本人少女との交流を描いた近未来劇。牧キャメラマン最後の作品で、京都を除く地域での先行試写となる。
Eプログラム
「宮大工 西岡常一の仕事 ~木の文化の本質をめぐって~」
(1992/83分/DVD)
プロデューサー:高村武次、山崎佑次 撮影:牧逸郎
ナレーション:伊藤惣一 構成演出:山崎佑次
法隆寺昭和の大修理の最初から携わり、金堂・五重塔が完成するまで棟梁として修理に従事し、薬師寺金堂を復興した宮大工として有名な西岡常一(1908-1994)。2008年に当館で上映した『西岡常一 社寺建築講座』全4部に先立って制作された作品。
Fプログラム
「のんけ」
(1997/60分/35mm/ビスタ)
製作・配給:ENKプロモーション
監督:剣崎譲 撮影:牧逸郎 脚本:岡輝男
出演:佐賀照彦、小澤義明、大木裕之、岬カオル
揺れ動くゲイの心理を丹念に描き、雑誌「薔薇族」で大絶賛の評価を得たゲイ映画の名作。「あなたがすきです、だいすきです」などの大木裕之監督が出演している。
Gプログラム ※上映後トーク:安東民兒
「ある日チビがいたよ」
(1997/25分/16mm)
プロダクション:(株)文化科学研究所 監督:三原光尋 プロデューサー:西村隆 原作:山下亜津紗 脚本:三原光尋、高橋智紀 撮影:牧逸郎
出演:梅林亮太、六車奈々、大西さちこ、鴨鈴女
恐竜の化石発掘で有名な福井県勝山市が主催している「恐竜文化賞」に入選した兵庫県姫路市の小学生の作文が原作。少年が恐竜に励まされて「いじめ」に立ち向かってゆくストーリーで、『足の裏から冥王まで』の助監督経験もあるプロデューサーの西村隆が大阪芸術大学出身の三原光尋監督を起用して映画化。
「風の中のスクラム」
(1996/53分/16mm)
製作:虹映社 監督:西森康友 脚本:安東民兒 撮影:牧逸郎 音楽:佐野芳彦 録音:田代博司 編集:藤原公司 プロデューサー:安東民兒 製作:川口行雄
出演:茂山逸平、田中規子、友里千賀子、岸辺一徳、他
高校ラグビー部を舞台に「無意識の差別観」がどれだけ人を傷つけ、心を踏みつけるものかを、多感な青春群像に重ねて描いた青春映画(人権啓発教育映画)。『蓮如とその母』(川本喜八郎の人形アニメ)のプロデューサーとしても知られる安東民兒さんが来館。牧さんのエピソードを語る。
 
 
Hプログラム ※上映後トーク:芦屋小雁
「それぞれの明日」
(2000/50分/16mm)
製作:(株)京都放送滋賀支社 監督:芦屋小雁 プロデューサー:安井喜雄 脚本:松下隆一 照明:田川聖二 撮影:牧逸郎
出演:谷口高史、杉田かおる、白木順子、マイケル松本、赤井英和、島田順司、芦屋小雁、沢田雅美 
企業における同和問題に関する職場研修を題材にしながら、在日外国人・障害者に関する問題について、また、職場における人間関係の在り方や人権教育の推進の在り方について考えさせる作品。神戸映画資料館名誉館長でもある芦屋小雁の初監督作品で、自ら率いる「小雁倶楽部」やその人脈で集まったキャスティングによりユニークな人権映画となった。上映当日は、芦屋小雁監督が来館し、撮影当時のエピソードを語る。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き

 
 
[関連イベント] 座談会[牧キャメラマンを偲ぶ]


若松孝二が描いた日本の革命
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「赤軍ーPFLP・世界戦争宣言」

2009年2月27日(金)〜3月1日(日)
Aプログラム
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」
(2007/190分/DVCAM)
製作:『実録・連合赤軍』制作委員会 製作・監督:若松孝二 音楽:ジム・オルーク 企画・構成:若松孝二、掛川正幸 脚本:若松孝二、掛川正幸、大友麻子 撮影:辻智彦、戸田義久 美術:伊藤ゲン
出演:坂井真紀、ARATA、地曵豪、並木愛枝、佐野史郎、奥貫薫、大西信満、中泉英雄、伊達建士、伴杏里
1960年代から70年代にかけて日本の体制を揺るがせた学生運動は、連合赤軍が占拠した「あさま山荘」で終わりを告げた。あの時代に、何が起きていたのか。革命戦士を志した若者たちは、なぜ、あそこまで追いつめられていったのか。なぜ、同志に手をかけたのか。なぜ、雪山を越えたのか。なぜ、山荘で銃撃戦を繰り広げたのか。
あさま山荘へと至る激動の時代を、鬼才・若松孝二が描いた本作は、2008年の日本映画ベストテンで、「キネマ旬報」第3位、「映画芸術」第2位を獲得。
Bプログラム
「赤軍ーPFLP・世界戦争宣言」
(1971/71分/DVD[オリジナル16mm])
製作:若松プロダクション 監督:若松孝二、足立正生 共同編集:赤軍(共産主義者同盟赤軍派)、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)
カンヌ映画祭への帰途でベイルートへ向かった若松孝二と足立正生が、PFLP、赤軍と共闘し、パレスチナゲリラの「日常」を写したドキュメンタリー。世界革命のためのニュースフィルムであることを目指すため、既存の劇場公開を拒否し、全国各地の大学や工場などで独自の上映運動が行われた。「あさま山荘」で銃撃戦が起きる5ヶ月前に公開された。
オリジナルの16ミリフィルムの状態が悪いため、DVDでの上映です。ご了承ください。
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』のメイキング映像を併映。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1300円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円

《割引》
2プロ目は200円引き


現代映画作家 アブラム・ローム
2009年3月6日(金)〜8日(日)
アブラム・マトヴェイエヴィチ・ローム(1894—1976)は、サイレント期の1924年に監督デビューし、1970年代までの間に約20本の作品を発表したソビエトの映画作家。『ベッドとソファ』と『未来への迷宮』を観れば、その圧倒的な現代性に驚かされ、アブラム・ロームの全貌をいまだ確認できずにいることを嘆かずにはいられない。
「ベッドとソファ」Третья мещанская
(ソ連/1927/71分/35mm/無声)
監督:アブラム・ローム 原案・脚本:ヴィクトル・シクロフスキー 撮影:グリゴーリー・ギベル 美術:ワシーリー・ラハリス、セルゲイ・ユトケーヴィチ
出演:ニコライ・バターロフ、リュドミーラ・セミョーノワ、ウラジーミル・フォーゲリ
原題は『第三メシチャンスカヤ通り』(『三人目の俗物』『三人の愛』とも表記される)。この通りにあるアパートに住む若い夫婦の部屋に夫の戦友がころがりこみ、三角関係に陥って共同生活が破綻するという物語を軸に、モスクワに出てきた若者たちの姿と女性の自立を描く。公開当時、本国では、プチブル根性の賛美と、労働者階級への誹謗があると非難され論争を巻き起こした。
「未来への迷宮」Строгий юноша
(ソ連/1935/102分/35mm)
監督:アブラム・ローム
出演:ユーリー・ユリエフ、オリガ・ジズネワ
ユーリー・オレーシャの小説を原作に、革命後のソ連社会における世代間の葛藤を描き、上映禁止となった作品。原題は『きびしい青年』(『青年たちは許さない』とも表記される)。外科医夫妻の優雅で退廃的な世界と、その夫人に反発すると同時に惹かれるものも感じてしまう若者の男女の三角関係が洗練された手つきでもって演出される。幻想と現実の交錯する奇妙な舞台装置の中で、ソビエト社会の未来への模索が語られる。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1200円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円

《割引》
2本目は200円引き

フィルム提供:映画100年ロシア・ソビエト映画祭 
協力:(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
このほか日替わりで参考上映あり。
作品詳細は当日会場でご確認ください。
会費:500円
参考上映協力:映画侠区(しゃしんきょうく)


日本映画名画鑑賞会
2009年3月13日(金)
月1回の「日本映画名画鑑賞会」。上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。

《料金》
一律500円


清水宏の旅【プラネット・シネマテーク】
2009年3月20日(金・祝)〜22日(日)
山中貞雄、小津安二郎、そして溝口健二が天才と呼んだ、清水宏監督。彼の戦後第1作であり、「子ども」と「旅」のテーマが凝縮された『蜂の巣の子供たち』(35ミリのニュープリント)を中心に特集する。映画評論家・藤井仁子氏による講義「ぼくらの伯父さん 清水宏——たったひとりのネオレアリズモ」は、清水宏再評価の新しい視点軸を与えてくれるだろう。
「蜂の巣の子供たち」
ニュープリント(1948/86分/35mm)
監督・脚本:清水宏 撮影:古山三郎 音楽:伊藤宣二
清水監督は戦災孤児を引き取りともに生活をしていたが、その子どもたちを出演させてオール・ロケーションで撮影した自主製作作品。
「奈良には古き仏たち」
(1953/37分/16mm)
監督:清水宏
清水宏のフィルモグラフィーには載っているが、長らく埋もれていて観ることができなかった記録映画。広島の映画配給会社に残存していた16ミリ・プリントを近年譲り受けたもの。他に2作品を併映
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円
《割引》
2本目は200円引き

[関連イベント] 映画講座「ぼくらの伯父さん 清水宏——たったひとりのネオレアリズモ」
講師:藤井仁子
(イベントは3/21土のみです)


プラネット・アーカイヴズ 1
文化教育映画に見る“昭和” 母・妻篇
【プラネット・シネマテーク】
2009年4月4日(土)・5日(日)
神戸映画資料館は、大阪のプラネット映画資料図書館が長年収集してきたフィルムなどの映画資料を収蔵管理しています。これらのフィルム整理作業と並行して上映を行っていこうというのが、この「プラネット・アーカイヴズ」です。
第1回目は、「母・妻」をテーマに文化教育映画を集めました。昭和の時代、家庭の中の女性が求められていた役割、当時の社会通念をかいま見ることができます。
Aプログラム3本立て
「ともかせぎ2年目」
(1957/36分/16mm)監督:宮川孝至 脚本:若杉光夫
 
「ある主婦達の記録」
(1959/30分/16mm)監督:豊田敬太
 
「夫・職業・家庭」
(1967/31分/16mm)監督:山下秀雄
Bプログラム3本立て
「母の外出」
(1963/33分/16mm)監督:酒井修
 
「ママの心づかい」
(1964/30分/16mm)
 
「母、その愛」
(1966/34分/16mm)監督:酒井修
  

《会費》
1プログラムあたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2プログラム目より200円引き


日本映画名画鑑賞会
2009年4月12日(日)
「日本映画名画鑑賞会」が日曜日に登場。
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


生誕100+1年 マキノ雅弘(正博)
2009年4月17日(金)〜19日(日)
昨年の京都映画祭・マキノ特集で上映された作品の中でも、とりわけ異彩を放つ2作品を選んでの上映。
山根貞男さんが久しぶりに神戸映画資料館に登場し、最新刊「マキノ雅弘 映画という祭り」では語り尽くせなかった2作品の魅力を中心にお話しします。
「肉体の門」
(1948/91分/35mm)
監督:マキノ正博、小崎政房 原作:田村泰次郎 脚本:小沢不二夫 撮影:山崎一雄
出演:轟夕起子、月丘千秋、逢初夢子、小夜福子
ベストセラー小説が原作で、その後鈴木清順監督などにより3度もリメイクされた最初の映画化作品。敗戦後の荒廃した街・東京に生きる娼婦たちの姿を描く。『幽霊暁に死す』の2ヶ月前に公開された。
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
 
 
 
 
「幽霊暁に死す」
(1948/97分/16mm)
監督:マキノ正博 脚本:小国英雄 撮影:三木滋人
出演:長谷川一夫、轟夕起子、斎藤達雄、沢村貞子
新婚夫婦が、成仏できずにいる父の幽霊と力を合わせて遺産を横領した親戚たちを懲らしめる。長谷川一夫が二役で演じる幽霊のみならず、不思議な風と声が異様な空気を映画に充溢させる驚愕の作品。今回は、マキノ家所蔵の16ミリフィルムを特別に上映させていただく。
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1200円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円

《割引》
2本目は200円引き

フィルム・写真提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
共催:コミュニティシネマ支援センター、東京国立近代美術館フィルムセンター
[関連イベント] 映画講座(16ミリフィルム参考上映付き) 講師:山根貞男
(イベントは4/18土のみです)


パレスチナとイスラエル
ドキュメンタリー「ルート181」

2009年4月25日(土)・26日(日)
route181.jpg
「ルート181」Route 181 –Fragment of a Journey in Palestine-Israel 
(ベルギー、フランス、イギリス、ドイツ/2003/270分/DVcam)日本語・英語字幕付き
監督・脚本・編集:ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン
撮影:フィリップ・ベライシュ 録音:リシャール・ヴェルト、サリ・エズス
パレスチナ人クレイフィとイスラエル人シヴァンの両監督は、1947年に国連決議181条で採択されたパレスチナ分割案の境界線を「ルート181」と名づけ、それに沿って故郷を共に旅する。二人は、道中に出会うユダヤ人やアラブ人の言葉に耳を傾け、ルート181に凝集された様々な人々の過去や現在を丹念にカメラに収めていく。
監督は語る、「近東の“現実”における悲劇的な状況は、人間によって作りだされたイデオロギー的で病理的な構造だ。作りだした同じ人間によって、それは解体することができる。このプロジェクトで私たちが求めるものは体験の共有である。現実に対して、そして現実に応じて行動するために、私たちは幻想化や神秘化をせず、あるがままに受け入れる準備がある。」と。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2005最優秀賞。神戸初上映。
 

《料金》
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円

後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。