プログラムPROGRAM

阪神・淡路大震災15周年 神戸長田・まちと生活の再生
2010年1月16日(土)〜19日(火)

1995年1月17日未明、兵庫県南部地方を襲った大地震は、都市を直撃した自然災害としては関東大震災以来の被害をもたらしました。
神戸市長田区野田北部地区も、その家屋の3割が全焼、7割が全半壊、死者41人という大きな被害をうけました。
この地区の、町の再生と、人々がその生活を立て直してゆくプロセスを丹念に追った「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』」と、長編ドキュメンタリー「阪神大震災 再生の日々を生きる」をご覧いただきます。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』」は全14部ですが、今回は震災から1年目までを記録した6部までと、最終14部の証言篇を選んでの上映です。

 青池憲司監督からのメッセージ
 わたしが阪神大震災後の神戸にはじめて入ったのは、地震から10日目の1995年1月27日でした。東京から新大阪までは新幹線で(その先は運行されていなかった)、大阪天保山からフェリーで神戸メリケン波止場へ。冬の日はすでにとっぷりと暮れ、灯火はわずかしかなく、周囲はほとんど闇でした。そこから、国道2号線を歩いて、長田区野田北部・鷹取へと向かいました。その地には、震災前からお付き合いのある人たちがいて、わたしは、その人たちのお見舞いにやってきたのです。一夜が明け、わたしが見たのは焼け落ちたまちと全壊半壊の建物でした。思わず息をのみました。そして、瓦礫のなかで立ち働く人びとの姿を目にして、この人たちのことを記憶しておきたい、とつよく思いました。
 わたしが記憶するということは、映像で記録することです。しかし、ここへきた目的はお見舞いですから、撮影機材などもとより持っていません。知人に相談して、被災した地域の住民さんからホームヴィデオのカメラを借りてもらいました。そのカメラで撮った最初のカットは鮮明におぼえています。のちに、<記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』>(全14部)となるドキュメンタリー映画のはじまりです。それから足掛け5年、わたしとスタッフは、住民さんの復興の日々に同行させていただきました。
 撮影した地域は長田区の1エリアですが、ここに記録されている「人とまちの復興のプロセス」は、阪神大震災の被災地10市10町のどこでもみられた出来事であり、起りえた物語です。かけがえのない命、家、財産などを一瞬にして失う災害に見舞われながらも、新しい時代を切り開いた住民活動がそこにはあります。
 今回上映する作品が多くのみなさんにご覧いただけることを願っていますが、とくに若い世代の人たちに観ていただくことを望みます。阪神大震災の記憶の共有のために。

 
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』」第1部〜6部、14部
(オリジナル全14部/撮影期間1995年1月~1999年4月/カラー/DVCAM)
製作:野田北部を記録する会 監督・製作:青池憲司
編集・監督補:村本勝 撮影:千葉景房 音声:青池雄太 音楽:津田左近
ナレーター:青池憲司 VTR編集:鳥原淳一 MA:川合 廣 編集助手:小幡寿一

第1部 1995年1月〜3月(85分)
圧倒的な災害の様相。復興に立ち上がる人びと。「まちづくり協議会」のうごき始まる。鷹取救援基地のボランティアによる炊き出しや家屋の解体。

第2部 1995年3月下旬〜4月下旬(60分)
自衛隊による瓦礫撤去作業。焼け跡で土さらいをする住民、人びとはそれを宝さがしと呼んだ。桜咲くも、春の嵐のなか合同慰霊祭。

第3部 1995年5月~6月(64分)
うっとうしい梅雨空のもと人はたゆまず進み、地区計画の勉強会が頻繁に開かれる。更地にひまわり(希望)の種を蒔く。住民と専門家とボランティアの協働。

第4部 1995年7月~8月(67分)
区画整理をめぐって人もまちも揺れ、議論活発になる。家族を亡くした住民の悲しみ。子どもだんじりと盆踊り、人びとは夏まつりにしばし憩う。

第5部 1995年9月~12月(67分)
まちは落ち着いたかに見えたが、家屋の違法新築が目につく。震災に新しくうまれたものは何か? 小学生と救援基地の神田さんが話す。正月の餅をつく。

第6部 1996年1月~3月(67分)
震災1周年の日の全容。区画整理の一時凍結で地域は混乱し、住民の困難さらにます。協議会の仮設住宅訪問。修学旅行高校生の被災地見学。

第14部  証言篇 (80分)
その日、人びとは何を見、何を感じ、どう行動したのか。復興対策委員会はどのように立ち上げられたのか。地震からの3日間を地域の人たちが語る。

 
 
 

「阪神大震災 再生の日々を生きる」
(2000/156分/カラー/DVCAM)
製作:野田北部を記録する会 監督・製作:青池憲司
編集・監督補:村本勝 撮影:千葉景房 音声:青池雄太 音楽:津田左近
ナレーター:古谷敏郎 VTR編集:伊地智恭平 MA:吉田茂一
 
神戸市長田区野田北部地区には震災前から、「野田北部まちづくり協議会」があって、住民が自主的に自分たちの地域をみつめ、住環境の改善に取り組んでいました。震災直後、まちづくり協議会は復興対策本部を立ち上げ、被災者の生活再建とコミュニティの再生を模索する活動を始め、住民が主体となったまちづくりを進めたのです。
時間がかかり、試行錯誤もありながら、地域のなかでじっくりと議論を重ね、専門家やボランティアと協働し、行政とも根気よく話しあうことで、「人間のまち」がつくられていきました。
この作品は、野田北部という一地域にキャメラを据えて、震災直後から1999年4月まで、4年3か月におよぶコミュニティ再生のプロセスを、まちづくり協議会の活動を中心に記録した長編ドキュメンタリーです。
 
 

《料金》
1本(1部)あたり500円
全プログラム:2500円

中学生以下は無料

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※内容は予告無く変更する場合があります。

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