プログラムPROGRAM

木村威夫追悼上映 幻想とリアリズム
2010年6月25日(金)〜27日(日)

今年3月21日、91歳で逝去された木村威夫監督を追悼します。
80代半ばで初監督した短篇『夢幻彷徨』、遺作となった『黄金花』のほか、美術監督作品として鈴木清順監督とのコンビ作『ツィゴイネルワイゼン』を上映します。
 
「山根貞男 連続講座〈新編:活劇の行方〉3」でも美術監督・木村威夫を取り上げ、その美術世界が生み出す活劇性を論じていただきます。
 
[関連企画] [山根貞男 連続講座〈新編:活劇の行方〉3](6月26日)
 

木村威夫(きむら・たけお)
1918年生まれ。日本を代表する美術監督の一人。美術監督作品に、『警察日記』(1955/久松静児)、『赤い波止場』(1958/舛田利雄)、『東京流れ者』(1966/鈴木清順)、『ツィゴイネルワイゼン』(1980)、『夢見るように眠りたい』(1986/林海象)、『深い河』(1995/熊井啓)、『父と暮らせば』(2004/黒木和雄)など多数。
2004年に、80代半ばにして短篇映画『夢幻彷徨』を初監督。『街』(2004)、『OLD SALMON 海をみつめて過ぎた時間』(2006)、『馬頭琴夜想曲』(2007)の後、2008年、初の劇場長篇『夢のまにまに』を手がけ、長篇2作目の『黄金花』が遺作となった。

「黄金花(おうごんか) ―秘すれば花、死すれば蝶」
(2009/79分/35mm)
製作:プロジェクト ラム、エアプレーン レーベル、太秦
配給・宣伝:太秦
原案・脚本・監督:木村威夫
プロデューサー・音楽:川端潤 協力プロデューサー:林海象
撮影監督:小川真司  録音:浦田和治  整音:久保田幸雄
美術:丸山裕司  装飾:嵩村裕司  編集:白尾一博
出演:原田芳雄、松坂慶子、川津祐介、松原智恵子、三條美紀、野呂圭介、絵沢萠子、飯島大介、牧口元美、真実一路、中沢青六、河村博重(能)、麿赤兒、長門裕之、あがた森魚
 
植物学者の牧草太郎博士はじめ、物理学者、役者、自称映画女優、バーのママ、板前、質屋、などなど、多くの孤独な老人が身を寄せている老人ホーム「浴陽荘」。
虚と実、夢と現実、日常と非日常、生と死、相反するすべてのものを包み込み、傷つき苦しみながらも、生きることへの限りない想いが浮き彫りになってくる…。
植物学者・牧博士の時空を超えた魂の物語=ファンタジー。
 
「途方もなく面白い。いや、正確には、デタラメかつリアルな時空を生み出す奔放な造形力の途轍もなさが面白い。鈴木清順の映画の数々で摩訶不思議な美術をくりひろげた木村威夫だからこその仕業であろう。」(山根貞男/「キネマ旬報」2010年1月下旬号「日本映画時評251」より)
 
 
「夢幻彷徨 MUGEN-SASURAI」
(2004/35分/DVCAM)
製作・配給:ワイズ出版
監督・原案・美術思考:木村威夫 脚本:山田勇男
撮影監督・編集:白尾一博 企画・製作:岡田博
出演:銀座吟八、藤野羽衣子、秋桜子、飯島大介、石川真希、佐野史郎
 
木村威夫が85歳にして初めて監督に挑んだ短篇作品。戦後の日本を舞台に、2人の男女の魂の彷徨を、セリフを排し、映像と音楽だけで鮮烈に描く。自らの戦争体験を元にしながらも、自由なイメージの連鎖として結実したこの作品には木村美術が凝縮されている。
25日・27日[併映:木村威夫美術監督作品(覆面上映)]
 
 
「ツィゴイネルワイゼン」
(1980/144分/35mm)
製作:シネマ・プラセット 配給:リトルモア
製作:荒戸源次郎 監督:鈴木清順
原作:内田百閒 脚本:田中陽造
撮影:永塚一栄 音楽:河内紀
美術:木村威夫、多田佳人 照明:大西美津男
出演:原田芳雄、大谷直子、大楠道代、藤田敏八、麿赤児、樹木希林
 
1980年、東京タワーの下に銀色のドーム型テントの移動映画館「シネマ・プラセット」を建て、そこで上映されロングラン・ヒットした伝説的作品で、仕掛け人は『赤目四十八瀧心中未遂』『人間失格』の監督、荒戸源次郎。内田百閒の「サラサーテの盤」ほかいくつかの短編小説をもとに繰り広げられる、鈴木清順監督の斬新かつ大胆な幻想譚。
   
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き

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