プログラムPROGRAM
2011 3

井上陽一の活弁映画シリーズ6
2011年3月5日(土)13:30〜
陽春の候、井上陽一の活弁シリーズとして今回は溝口健二監督の『滝の白糸』を取り上げる。活動写真ファンには懐かしい弁士の声色をお楽しみください。上映プリントは、最近時々上映されているフィルムセンター復元の完全版ではなく、その素材の一部となった結末部を含む関西版で、フィルム復元の研究者にとっても必見だろう。

井上陽一(弁士)
いのうえよういち。1938年、姫路市生まれ。浜星波に師事。60年から活動写真弁士として活躍。02年「OSAKA映像フェスティバル」で『雄呂血』、04年の京都映画祭では『特急三百哩』『からくり蝶』、08年には『実録忠臣蔵』を名調子で活弁するなど、各地の映画祭等で活躍。関西唯一の現役弁士である。

「滝の白糸」
(1933 / 96分[18fps]/ サイレント / 16mm)
監督:溝口健二 原作:泉鏡花
脚色:東坊城恭長、館岡謙之助、増田真二、清涼卓明
撮影:三木茂
出演:入江たか子、岡田時彦、村田宏寿、菅井一郎、見明凡太郎
入江たか子が演じる女水芸人「滝の白糸」は、岡田時彦が演じる村越欣弥のため学資を仕送りしつづけたが、ついに借金までして人を殺してしまう。出世して検事になった欣弥の手で裁かれるという不条理な結末。京都の双ヶ丘撮影所に入江プロダクションが立て籠もって撮影した伝説的作品。
  
 

《料金》
一般1800円 学生・シニア1500円
会員1500円 学生会員・シニア会員1300円


日本映画名画鑑賞会
2011年3月6日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


「淀川長治独演会」DVD発売記念特別上映 淀川長治とチャップリン特集
2011年3月12日(土)・13日(日)
この度、神戸出身の映画評論家、淀川長治さんのワンマン・トークを記録した『淀川長治独演会・わたしの映画愛』『淀川長治独演会・素晴しき哉、映画』が日本コロムビアから2枚のDVDとして発売されました。これを記念し神戸映画資料館では『淀川長治独演会・わたしの映画愛』を特別上映いたします。
これは、1994年10月に早稲田大学大隈講堂で行われた講演で、デビュー前から友人だった黒澤明監督の作品について、子供の頃から敬愛するチャップリン映画の魅力や神戸港でのチャップリンとの会見秘話、『2001年宇宙の旅』『ラストタンゴ・イン・パリ』など映画の魅力が熱く語られます。また淀川長治さんが深く愛したチャップリンの作品を参考上映いたします。
  
Aプログラム
「淀川長治独演会・わたしの映画愛」
(83分/DVD)
淀川流の映画の観方、味わい方が満載の講演ライブ映像。『羅生門』をはじめとする黒澤明監督作品の面白さ、チャップリン映画の観方とその秘話、また問題作『ラストタンゴ・イン・パリ』の映画感覚や、さらにファーストシーンとラストシーンの楽しみ方など、淀川流映画人生が熱っぽく語られる。特に黒澤作品についてのトークは圧巻である。
(1994年10月19日 早稲田大学大隈講堂で収録)
参考上映 「淀川長治のチャップリン・アルバム」
(20分/16mm)
『街の灯』『モダン・タイムス』『独裁者』『殺人狂時代』『ライムライト』『黄金狂時代』などチャップリンの名場面を淀川長治が巧みな話術で語る。1970年代にまとめられたフィルムで「日曜洋画劇場」でお馴染みの淀川節が甦る。
 
 
Bプログラム
「黄金狂時代」The Gold Rush
(アメリカ/1925/91分/サウンド版/16mm)
製作・監督・脚本・音楽:チャールズ・チャップリン
撮影:ローランド・トザロー
出演:チャールズ・チャップリン、ジョージア・ヘイル、マック・スウェイン
ゴールド・ラッシュに湧くアラスカ。一攫千金を夢みる探鉱家のチャーリーは山小屋で指名手配犯と遭遇する…。空腹のあまり靴をゆでて食べるシーンはあまりにも有名。
Cプログラム
「街の灯」City Lights
(アメリカ/1931/87分/サウンド/16mm)
製作・監督:チャーリー・チャップリン
撮影:ロリー・トザロー、ゴードン・ポロック
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:チャーリー・チャップリン、ヴァージニア・チェリル 、フローレンス・リー
浮浪者のチャーリーは街で花売りの盲目の娘と出会い一目惚れ。なけなしのコインで一輪の花を買うが、金持ちの紳士と思いこまれた。その後、娘のために献身するチャーリーの悲哀を見事に描いた傑作。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き

協力:NPO法人古き良き文化を継承する会、日本コロムビア株式会社、岡田喜一郎


ルイス・ブニュエルのメキシコ・スペイン作品
2011年3月19日(土)〜21日(月・祝)
ルイス・ブニュエルは、ダリと共同監督した初監督作『アンダルシアの犬』やドヌーブ主演の『昼顔』など、フランスで制作した作品で一般的には有名であるが、今回は、故郷スペインで監督した作品と、一時期、低予算映画を量産した地・メキシコ時代の作品を集めた。ブニュエルのアナーキーな魅力が詰まった傑作揃い。
  
Aプログラム
「忘れられた人々」LOS OLVIDADOS
(メキシコ/1950/77分/16mm)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ルイス・アルコリサ
撮影:ガブリエル・フィゲロア
音楽:ロドルフォ・ハルフター
出演:ロベルト・コボ、エステラ・インダ 、アルフォンソ・メヒア
メキシコシティのスラム街を舞台に、半ばうち棄てられた貧しい少年たちの物語。不良少年たちの救いのなさがリアリスティックに描かれるが、主人公の少年が見る夢のシュールなイメージなども見所。ブニュエルは、自伝「映画、わが自由の幻想」の中で、フランス語公開題『忘れられた人々ーあるいは、彼らを憐れみ給え』について、「あほらしい」と語っている。
 
 
Bプログラム
「ビリディアナ」VIRIDIANA
(スペイン/1960/91分/16mm)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、フリオ・アレハンドロ
撮影:ホセ・フェルナンデス・アグアイヨ
出演:シルヴィア・ピナル、フェルナンド・レイ、フランシスコ・ラバル、マルガリータ・ロサーノ
メキシコからスペインに帰還して手がけた第1作。修道女を目指しているビリディアナ。孤独な老貴族である叔父が、彼女に睡眠薬を飲ませ犯したと告げる。怒ったビリディアナが去ったことで叔父は自殺。彼女は亡き叔父の館で救済事業を始めるが…。その後のブニュエル作品に欠かせないフェルナンド・レイが初出演。
Cプログラム2本立て
「砂漠のシモン」SIMON DEL DESIERTO
(メキシコ/1965/43分/16mm)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、フリオ・アレハンドロ
撮影:ガブリエル・フィゲロア
音楽:ラウル・ラヴィスタ
出演:クラウディオ・ブルック、シルヴィア・ピナル
紀元4世紀の「柱頭の聖シメオン」を映画化。青春時代にロルカからすすめられて以来、ブニュエルの頭にあった企画である。砂漠にそびえ立つ柱の上で、日々神に祈りを捧げているシモンは、悪魔の誘惑と闘う。長編の計画が途中で資金途が底をついたため中編として完成させた。
 
「糧なき土地」LAS HURDES
(スペイン/1932/20分/16mm)
監督・脚本:ルイス・ブニュエル
撮影:エリ・ロタール
『アンダルシアの犬』『黄金時代』とシュールレアリズムの傑作を撮った後、スペインに戻り手がけた第3作。スペインの荒涼たる山岳地帯の貧困生活を描いた短編ドキュメンタリー。
  

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり 
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2プロ目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。


山根貞男 連続講座〈新編:活劇の行方〉4 阪本順治
2011年3月25日(金)「行きずりの街」の上映のみ 
         26日(土)映画講座+上映

『活劇の行方』をはじめとする著書で、一貫して活劇の観点から映画を論じてきた日本映画批評を代表する山根貞男による「活劇論」です。
今回は、2010年公開の阪本順治監督『行きずりの街』を上映の後、論じます。
(25日は上映のみ)

(C)2010「行きずりの街」製作委員会

「行きずりの街」
(2010/123分/35mm)
製作:「行きずりの街」製作委員会
配給:東映
監督:阪本順治 原作:志水辰夫
脚本:丸山昇一 撮影:仙元誠三
出演:仲村トオル、小西真奈美、南沢奈央、窪塚洋介、菅田俊、ARATA、石橋蓮司、江波杏子
十二年をまたぐ愛を取り戻す主人公の行動が三日間で描かれ、それを二時間三分の上映時間で見せる。異なる長さの「時」の重層的な圧縮が独特の魅力を結晶させる。丸山昇一が志水辰夫の小説を巧緻に脚色し、阪本順治のもと、撮影の仙元誠三らスタッフと出演者が、それの立体化に成功している。
(「キネマ旬報・日本映画時評262」より構成)
 

山根貞男(映画評論家)
1939年大阪生まれ。映画批評誌「シネマ69」(1969-71)を編集・発行。蓮實重彦とともに海外の映画祭で加藤泰、鈴木清順、成瀬巳喜男の特集に関わる。1986年より始めた「キネマ旬報」での日本映画時評は現在も連載中である。主な著書に『映画狩り』、『映画の貌』、『マキノ雅弘―映画という祭り―』などがあり、『映画渡世』(山田宏一との共編)、『加藤泰、映画を語る』(安井喜雄との共編)、『成瀬巳喜男の世界へ』(蓮實重彦との共著編)などのインタビューや編著が多数ある。

 

《料金》
[上映のみ]
一般:1200円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円
 
[映画講座+上映]
一般:1800円 学生・シニア:1500円
会員一般:1500円 会員学生・シニア:1300円

*招待券の使用不可 *ご予約受付中


即興ライブ演奏付き「イタリア麦の帽子」上映
2011年3月27日(日)16:00〜

結婚式当日を迎えた花婿。彼の馬が、逢い引き中の人妻の麦わら帽子を食べてしまい…。
後に、『自由を我等に』『巴里の屋根の下』などを手がけるルネ・クレール監督の軽快な傑作喜劇。
 
『イタリア麦の帽子』LE CHAPEAU DE PAILLE D’ITALIE
(フランス/1927/82分[20fps]/サイレント/16mm)
監督:ルネ・クレール
撮影:モーリス・デファシオ、ニコラ・ルダコフ
美術:ラザール・メールソン
出演:アルベール・プレジャン、オルガ・チェホヴァ、マリーズ・マヤ、アリス・ティソ、アレクシス・ボンディレ
 
演奏
尾中泰雄(バイオリン、マンドリン)、木内健弘(コントラバス)、ほか
 

《料金》
[生演奏付き上映会]
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。