プログラムPROGRAM
2011 9

新作ドキュメンタリー「まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎
     同時上映:「パルチザン前史」

2011年9月2日(金)~6日(火)

 
時代へのまなざし、人間へのまなざし。
 
ドキュメンタリー映画における
「まなざしの在り方」を問いつづけた
ふたりの男の記録である。
 
 
「まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎
(2010/92分/DV)
企画・製作:映画美学校
映画美学校2008年度ドキュメンタリー高等科コラボレーション作品
監督・編集:代島治彦
 
スタッフ:映画美学校2008年度ドキュメンタリー高等科生
 五十嵐恭子、今泉秀夫、木邨千尋、杉本暁子、鈴木洋三、舘野素子、環 健一郎
 中田 文、渕脇 勤、美野大輔、保田則子、吉田孝行、渡辺真吾
 
撮影指導・題字:大津幸四郎 録音指導:奥井義哉
整音:米山 靖(ヒポ・コミュニケーションズ)
音楽・演奏:パスカルズ
映像提供:映画同人シネ・アソシエ、ビジュアル・トラックス、記録映画保存センター、青林舎、シグロ、自由工房、ユーロスペース、アテネ・フランセ文化センター
写真提供:映画同人シネ・アソシエ、奥村祐治、井坂能行
協力:岩佐寿弥、久保田幸雄、東 陽一、土本典子、伏屋博雄、藤岡朝子
藤原敏史、山上徹二郎、山形国際ドキュメンタリー映画際
 
 映画美学校での受講生による大津幸四郎へのインタビューと生前にさまざまなかたちで記録された土本典昭の証言を時系列に絡ませ、1960年代からの映画作品を参照しながら、水俣シリーズで二人が「孤高の映画」に到達するまでを描く。
 第11回(2009年)山形国際ドキュメンタリ−映画祭の関連企画「日中ドキュメンタリ−映画道場」で若手映画作家に撮影術を教える大津幸四郎の姿を追う短編映像詩が冒頭と最終部に置かれ、また各章に合間に挿入される。
 
 
同時上映
「パルチザン前史」

(1969/120分/16mm)小川プロダクション
監督:土本典昭 撮影:大津幸四郎、一之瀬正史
関西小川プロが製作参加した作品。京都大学全共闘のノンセクト学生を組織する京都大学助手の滝田修の革命運動を追う。軍事訓練の様子のほか、家庭を持ち、予備校の教壇に立ちながら大学解体を唱えることの矛盾について率直に語る滝田の姿。60年代末の学生運動の空気を伝える歴史的作品。
 

《料金》
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


セット券(「まなざしの旅」+「パルチザン前史」)
一般2000円 学生・シニア1800円
会員1800円 学生会員・シニア会員1600円


日本映画名画鑑賞会
2011年9月11日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


[貸館]映画『もういいよ』お披露目会
2011年09月11日(日)19:00開演 (18:30開場/20:30終演)
2011年3月から一年以上を地元神戸にて製作してきた映画「もういいよ」の関係者への映像お披露目会を行います。
未完成作品であることご了承ください。
本上映に向けてちょっと第三者の印象をきてみたいなって監督の遊び心で告知さしていただきます。
0号を目標にしています。
来て下さる方が楽しめるレベルの催しを考えています。
何か面白そうやなと思った方はお気軽にお越しくださいませ。
神戸で活躍するザローキックスさんの生歌が聴けます。
開演前と終演後にギター1本で歌う男前の美声に酔いしれましょう。
 
『もういいよ』
監督:吉田勝二
製作:神戸活動写真倶楽部港館、神戸クリエーターズサロン
主人公の陽子が記憶を取り戻すまでの物語。
両親が失踪した山に登ることになった陽子と婚約者の良太とそれに反対する兄の大地と過去の
記憶の自分たちと巨大な異物の出現と混沌としたサスペンスコメディです。
巨大な異物は何のために出現したのか?地球が巻き込まれる!!
主催・お問い合わせ:吉田勝二
Tel :090-9866-2575

《参加費》
無料


まぼろしの昭和独立プロ黄金伝説 前編
2011年9月16日(金)〜19日(月・祝)
2009年の2回にわたる特集上映「60年代・独立プロ伝説 西原儀一と香取環」から、はや2年が経過した。亡くなられた西原儀一監督を追悼、その作品の主演女優でもあった香取環さんにスポットを当て、熱烈な成人映画ファン、埋もれた日本映画に興味を持つ人々など、幅広い観客を集めました。
誰も書かない映画史を研究・検証することをライフワークとするルポライターで映画史家の鈴木義昭の新刊『昭和桃色映画館』(社会評論社)も遂に完成、刊行された。
戦後の日本映画史における「独立プロ」「成人映画」の実態と全貌が、ようやく明らかになろうとしている今、《まぼろしの昭和独立プロ黄金伝説》として、4つの上映プログラムを企画しました。まず今回は、「第一の伝説 名優・野上正義 追悼」「第二の伝説 知られざる若松孝二」。17日(土)の鈴木義昭氏のトークでは、秘蔵映像を参考上映します。
 
 
野上正義さん(左)と若松孝二監督
(2010年5月の久保新二「生前祭」にて)
 
[特設コーナー]野上正義 追悼
 
「第一の伝説 名優・野上正義 追悼」
9月16日(金)・17日(土)
「痴情の罠」
(1965/70分[欠落あり]/35mm)
北星映画/ゼネラル映画 監督:甲斐清二
脚本:柴田良夫 撮影:久芳信太郎
出演:野上正義、佐原しのぶ、香取環、津崎公平、木南清、加賀祐史、沢田実、南九州男、桂駒子
桃色映画デビュー翌年、既に野上正義は独立プロを代表する主演スターだった! チンピラやくざが、顔が瓜二つという理由で河盛組の跡目を相続する若親分として送り込まれる。組長の娘とのロマンス。組内部での権力抗争。野上正義の「知られざる名作」というべき作品。
 
 
「肌のもつれ」
(1969/69分/16mm)
葵映画 監督:佐々木元
脚本:井出川実範 撮影:池田清二
出演:白川和子、野上正義、火鳥こずえ、木南清、九重京司、浜祐子、中尾ユリ
肉体関係にある看護婦と工員。関連のない殺人事件。もつれた糸を手繰り寄せて見えてきた真相とは? サスペンスタッチで魅せる佐々木元監督絶頂期の佳作。元祖「団地妻」女優として昭和史に名を残す白川和子の独立プロ時代の名演技、それを引き出す野上正義の抑えた芝居に注目を。
  
「燃えたい女」
(1969/70分/16mm/パートカラー)
ワールド映画 監督:奥脇敏夫
脚本:喜良ヒト見 撮影:斎藤雅則
出演:火鳥こずえ、野上正義、近松敏夫、九重京司、国分二郎、高島和子、川松凡人、平野元
さびれた旅館の一室。好奇な客の前でシロクロショーをする二人。やくざ社会から逃れ辿り着いた小さな港町。二人を見守る老やくざ。日本的美人の火鳥こずえのはかなげな美しさ、桃色映画界随一の名優といわれた野上正義のひたむきさ。60年代独立プロ映画が到達した極北の哀切世界がそこにある。
   
「第二の伝説 知られざる若松孝二」
9月18日(日)・19日(月・祝) 
「赤い犯行」
(1964/90分/16mm)
日本シネマ 監督:若松孝二
脚本:吉岡道夫 撮影:伊東英男
出演:路加奈子、寺島幹夫、神山卓三、有川次郎、藤森和子、葵美香、明日香実
日活大部屋女優から武智鉄二『白日夢』(64年)のヒロインで一世を風靡、その後は松竹専属になる路加奈子、ピンク映画最後の主演作。平凡なセールスマンが落ち込む人間社会の落し穴。脱獄囚と人妻の逃避行の果てに待っていたものとは…。若くして巨匠だった若松孝二の巧みな演出から目が離せない。

「乾いた肌」
(1964/80分/16mm)
日本シネマ/ムービー配給社 監督:若松孝二
脚本:池田正一 撮影:伊東英男
出演:里見孝二、三井由紀子、宮村京子、公敦子、中島文子、大原譲二
若松孝二がその昔、いわゆるメロドラマの名手でありそのことによって頭角を現したことを証明する作品。新人賞を受賞し文壇の寵児となった人妻作家が、彼女の担当編集者と関係を持つように。撮影の伊東英男は東宝系から、俳優では松竹出身の里見孝二、新東宝出身の大原譲二ら撮影所組が骨格を固める。
 
「真昼の暴行劇」
(1970/70分/35mm/パートカラー)
日本シネマ 監督:若松孝二
脚本:出口 出 撮影:伊東英男
出演:芦川絵理、鏡 勘平、今泉 洋、一星ケミ、吉志譲二、日野輝男、吉 田 進、滝井 修
骨太な人間ドラマを志向していた若松孝二は、いつからか「アングラの巨匠」になった。流入してくるアングラ青年、政治と暴力の季節に突き動かされて独自の世界を屹立させた男。告白するヌードモデル、満たされぬ愛の惨劇。芦川絵里、一星ケミという人気女優を使い描く転形期若松映画、秘密の花園。
 

9月17日(土)トーク
《昭和独立プロ黄金伝説・その1 名優と巨匠の60年代・野上正義と若松孝二》
鈴木義昭
(映画史家・ルポライター)
若松孝二は言った、「あいつと組むとみんな当たったよ」。野上正義は言った、「若松組の若い衆になっていた」。ヤクザ渡世から活動屋の世界に転がり込んだ若松、新劇やテレビから桃色映画に迷い込んだ野上、60年代の独立プロを牽引する男ふたり。一人は死に、一人は映画を作り続ける。あの時代、互いに夢見た映画は、確かに同じだった……。昨年末に物故した桃色映画を代表する名優・野上正義と快作『キャタピラー』以後も休むことなく撮り続ける独立プロの巨匠・若松孝二、それぞれの軌跡を追い、「60年代」の映画的風景の核心へと迫る!
 参考上映 :野上正義出演の短編作品、「昭和桃色映画館」出版記念会記録映像(前篇)
 
鈴木義昭
1957年、東京都台東区生まれ。76年、「キネマ旬報事件」で竹中労と出会い、以後師事する。ルポライター、映画史研究家として芸能・人物ルポなどで精力的に執筆活動を展開中。
著書に「ピンク映画水滸伝」(青心社)、「風のアナキスト・竹中労」(現代書館)、「日活ロマンポルノ異聞 国家を嫉妬させた映画監督・山口清一郎」(社会評論社)、「若松孝二 性と暴力の革命」(現代書館)、「ちんこんか ピンク映画よどこへ行く」(野上正義著・責任編集/三一書房)、近刊に「昭和桃色映画館」(社会評論社)がある。

*プリント状態が悪く映写機にかからない場合は上映作品が急遽変更になる場合があります。
企画協力:鈴木義昭、東舎利樹

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

トークイベント 1000円
《割引》
2本目は200円引き

 
[関連企画] 10月
まぼろしの昭和独立プロ黄金伝説 後編
「特別編 伝説の女王・香取環」「第三の伝説 追憶 向井寛の世界」


没後10年 甦る相米慎二
2011年9月23日(金・祝)〜25日(日)

相米慎二という偉大な映画作家を失って、早10年が経ちました。享年53歳。1980年、薬師丸ひろ子主演『翔んだカップル』での監督デビューから、劇場映画の遺作となった『風花』(2001)まで、日本映画を牽引し続けた相米慎二監督を21世紀に召還します。
 
左:『朗読紀行 にっぽんの名作「月山」』撮影中の相米慎二監督
 
[関連企画] 9月24日(土)
連続講座:映画批評_新しい映画と観客のために 第2回 甦る相米慎二
講師:藤井仁子(映画批評) ゲスト:濱口竜介(映画監督)

 
「ラブホテル」
(1985/88分/35mm)
製作:ディレクターズ・カンパニー 配給:日活
監督:相米慎二 脚本:石井隆 撮影:篠田昇 音楽:林大輔
出演:速水典子、寺田農、志水季里子、益富信孝、中川梨絵
 
劇画作家・石井隆による、「天使のはらわた」シリーズの1作品。かつて死を決意した夜に出会った娼婦・名美と運命的に再会するタクシー運転手・村木の愛の物語。にっかつロマンポルノの現場で育った相米慎二が手がけた唯一のロマンポルノ作品。1985年は『ラブホテル』『台風クラブ』『雪の断章 情熱』と立て続けに公開され、相米の時代を印象づけた。
 

(C)日活

「朗読紀行 にっぽんの名作
「月山」」

(2001/50分/HD)劇場初上映
共同制作:NHKエンタープライズ21、カズモ
監督:相米慎二 撮影:町田博 照明:木村太朗 美術:横尾嘉良 朗読:柄本明
 
毎回異なる映画監督が演出を担当したNHKハイビジョン・衛星放送の朗読シリーズ「にっぽんの名作」の1本で、相米慎二監督の最後にして唯一のテレビ作品。森敦が、自身の体験を基につづった1974年発表の異色作「月山」を取り上げている。死の山といわれる月山で、一人の男が一冬を過ごし、生死の境を歩くような不思議な体験をする。演出するにあたり「月山」を再読した相米監督は、「生と死」というテーマが身近に感じられたと語っている。今回が劇場初上映。
   
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き
講座「第2回 甦る相米慎二」参加者は1本目も200円引き

協力:東京国立近代美術館フィルセンター、インスクリプト


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。