プログラムPROGRAM
2012 3

ドキュメンタリー「ダスト ─塵─」
2012年3月3日(土)・4日(日)14:30〜

「ダスト ─塵─」Staub
(ドイツ・スイス/2007/94分/35mm)
監督・脚本:ハルトムート・ビトムスキー 撮影:コルヤ・ラシュケ
録音:ゲルト・メッツ 編集:テオ・ブローミン
共同製作:ヴェルナー・シュヴァイツァー、 ハルトムート・ビトムスキー
製作:ハイノ・デッカート
 
プロジェクターや部屋にたまる埃、鉱山に舞う粉塵、工場で製造される顔料の微粒子、雨に洗い流される樹木に堆積した塵、9.11に起こった世界貿易センタービルの崩壊やミサイルの爆発で巻き起こる凄まじい粉塵の嵐、あるいは宇宙のスターダスト……。世界に充満するさまざまな塵の様相を、技術者や科学者の考察を交えて観察していく。2009年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティションに出品され、「塵」という題材のユニークさと、その映画化の手法が注目された作品。
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員1300円 学生会員・シニア会員1200円

《割引》
[レクチャー:第8回 ものかき放談─世界と小説と自由] 参加者は100円引き

後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭


[貸館]黒坂圭太のミラクル・アート・アニメーション
2012年3月11日(日)

『緑子/MIDORI-KO』の公開を記念して、黒坂圭太監督のミラクルな短編アニメーション作品を上映します。
各回参考作品の上映と、黒坂圭太監督のトークあり。
Aプログラム13:00〜
『春子の冒険』(16mm/14分/1991)
無機物と交信できる超能力を持つ少女・春子は、ある朝、何者かの呼び声に目覚め、誘われるままに無数の“もののけ”が棲みついた昭和30年代の廃屋アパートに辿り着く….。少女へのほのかな憧れと、都市への郷愁を漂わせたSFホラー&ファンタジー。
 
『個人都市』(16mm/23分/1990)
賞味期限切れのポテトサラダを食べた為に腹をこわした僕が迷い込んだ場所は、摩訶 不思議な迷宮ワールド“個人都市”だった・・・。トイレという密室空間から都市空間へとくり広げられる、都会の孤独感がまきおこすシュールな妄想の倒錯劇。
 
『みみず物語』(16mm/15分/1989)
ウサギとミミズの追いかけっこという、お馴染みの民話のパロディーで始まるが、ほのぼのとした雰囲気から一転、不条理なイメージが連続的に重なり物語は脱線していく。抽象アニメーションを極めた作者が、新たに物語性を打ち出し始めた傑作。
 
 
Bプログラム14:30〜
『海の唄』(16mm/30分/1988)
延々と続く太鼓の咆哮が、無彩色のハイコントラストな映像とシンクロして、観る者を束の間の白昼夢へと誘う。作者自身の子供の頃の記憶にある能登半島の海のイメージを、全編風景写真のモノクロコピーをベースにした約3000枚の動画を使って表現した意欲作。
 
『変形作品第5番<レンブラント主題による変形解体と再構成>』
(ビデオ販/28分/1986)
17世紀オランダの画家レンブラントの絵画を、独自の技術を駆使して分解し再構成する『visual remix』作品。黒坂が敬愛する画家の二次元世界に見出した宇宙は、フルスピードで膨張と収縮を繰り返して花弁となり胎児となり、エクシタシーを伴い幾度もビッグバンに達する……。
 
『餅兵衛』(ビデオ/30秒/2005)
怒り心頭で繰り出す頭突きから、男は新たな光明を見い出している?
 
『ワタシノカオ』(ビデオ/3分/2005)
黒坂圭太が描き続けた顔のドローイングが、ぐにゃぐにゃ とメタモルフォーゼしていく。『緑子/MIDORI-KO』の制作期間中に完成したドローイング アニメの怪作。
 

黒坂圭太
1985年『変形作品第2番』がPFF入選。『海の唄』『みみず物語』『個人都市』などの短編映画を次々と発表。手がけた作品は数多くの映画祭や美術館で上映されている。代表作のMTVステーションID『パパが飛んだ朝』(1997)は、アヌシー、オタワの二大アニメ映画祭をはじめ数々の国際賞に輝き、世界中で放映された。一方、Dir en greyのPV『Agitated Screams of Maggots』(2006)は、あまりの背徳的過激さから賛否両論を巻き起こし、テレビやDVDで修正を余儀なくされた。近年では即興アニメとペインティングによるライブ・パフォーマンスもおこなっている。『緑子/MIDORI-KO』(2010)が全国ロードショー公開。武蔵野美術大学 映像学科教授。

[関連企画]黒坂圭太新作アニメーション『緑子/MIDORI-KO』3月3日(土)〜16日(金)神戸アートビレッジセンター
 
主催:ミストラルジャパン info@mistral-japan.co.jp 
 

《料金》入れ替え制
1プロ1000円  2プロ1500円


戦後復興期の白黒映画 
2012年3月17日(土)・18日(日)
「山河を越えて」は名犬、「魔の口紅」はレビュー、「やぐら太鼓」は相撲がモチーフになっており、戦後復興期の風俗や情景を見ることができる。また、人々に力を与えようとした当時の映画作家の想いが伝わってくる。夏川静江、喜多川千鶴、 高杉早苗らが出演する上映機会の少ない戦後の作品3本。
「やぐら太鼓」
(1952/81分/16mm)滝村プロダクション
監督:マキノ雅弘、滝沢英輔 
脚本:小国英雄、松浦健郎
原作:長谷川幸延 撮影:会田吉男 
音楽:服部良一 美術:南一美
録音:酒井栄三 照明:横井総一
出演:二本柳寛、高杉早苗、伊豆肇、杉葉子、渡辺篤、出羽ノ海、千代ノ山、羽黒山、照国

マキノ雅弘と滝沢英輔の共同監督作品で、マキノの特集などでも上映されていない作品。相撲を引退して田舎に引き込んだ主人公が相撲の夢に生きる物語で、出羽ノ海、千代ノ山が特別出演。羽黒山、照國、東富士の土俵入りもある。
 
 
 
 
 
「魔の口紅」
(1949/66分/16mm)映画芸術協会
監督:佐々木康 脚本:鈴木兵吾
原作:斎藤良輔 撮影:石本秀雄
音楽:万城目正
出演:水島道太郎、喜多川千鶴、月形龍之介、浜田百合子
「山の手劇場」を舞台に活動するレビュー劇団で、人気女優が自殺したあと妹がその劇団に入ったが、それから次々と不思議な事件が起き、ついに姉の貞操を奪った悪魔は警察に捕まる。山本嘉次郎、成瀬巳喜男、黒澤明、谷口千吉らによって設立された映画芸術協会の作品で、後にピンク映画監督に転身した本木荘二郎が企画。西条八十作詩・万城目正作曲の主題歌「花の宴」など歌う場面も多い。なお、トップのクレジット部分とラストの一部が欠落しています。ご了承ください。
 
 
「山河を越えて」
(1952/61分/16mm)文芸プロ
監督・脚本:山口順弘 撮影:広川朝次郎
出演:プリンス号(犬)、夏川静江、青柳光、嵯峨善兵、志摩絵子、石島房太郎
 
スコットランド産コリー種の名犬プリンス号が主役として活躍する映画。山村に疎開してきた少年が子犬を拾ってきて育てたが、家族と東京に帰ることになって、犬を友達に預けて出発したところ、犬は少年の後を追って様々な困難に遭いながら幾百キロ、東京で巡り会う涙の感動作。
    

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。


ソヴィエト映画会② 革命と映画
2012年3月24日(土)・25日(日)
1991年12月25日、ソヴィエト連邦が解体して今年で20周年。ソヴィエト、ロシア映画の古典や代表作から異色作まで、不定期のシリーズとして上映していきます。
今回は、大監督エイゼンシュテインとプドフキンのそれぞれが、ソヴィエト連邦誕生の発端である十月革命を映画化した作品を上映。
「聖ペテルブルグの最後」 Конец Санкт-Петербурга
(ソ連 / 1927 / 110分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督:フセヴォロド・プドフキン、ミハイル・ドレル
脚本:ナターン・ザルヒ
撮影:アナトーリー・ゴロヴニャ
編集:アレクサンドル・ドヴジェンコ
出演:ヴェラ・バラノフスカヤ 、アレクサンドル・チスチャコフ、セルゲイ・コマロフ
革命前夜のロシア帝国。首都の工場へ働きに出てきた農民が、工場の労働争議に参加する。獄中や第一次世界大戦の戦場で革命家たちと交わる中で目を開かれ、十月革命の山場となる冬宮襲撃では突撃の先頭に立つ…。 若者の平凡な物語を通して、革命ロシアの物語をつむぎ、前作『母』、次の『アジアの嵐(ジンギスカンの後裔)』と合わせて革命三部作と呼ばれる。
 
 
「十月」Oktyabr
(ソ連 / 1928 / 100分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督・脚本:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン、グリゴリー・アレクサンドロフ
原作:ジョン・リード
撮影:エドゥアルド・ティッセ
出演:ワシーリー・ニカンドロフ、ウラジミール・ポポフ、ボリス・リワーノフ
 
政府の依頼により、『全線』の製作を中断して十月革命十周年記念として作られた作品。1917年の労働者の武装蜂起から冬宮襲撃までを、再現による群衆シーンで描き出す。“私は、サドヴァヤへとって返した。突然、発砲があり騒ぎが起こった。私はマーケットのアーチの下に潜り込んだ。発砲のため通りからあっと言う間に人が消えた!……それらの日々は歴史となった。その歴史をどれほど懐かしみ触れてみたいと思ったことか。十年を経て、私は映画『十月』の中でそれらを再現した。”(エイゼンシュテイン)
     

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。


ドキュメンタリー映画「“私”を生きる」
2012年3月30日(金)〜4月10日(火)[水・木休館]

 
 
  いま学校で、
 
  そして日本で
  何が起きているのか?
 
  “教育現場での言論と思想の統制” に抗う
  3人の教師たちの姿をみつめる
 
 
 
 
 
 

   4月1日(日)13時40分の回終了後 トークイベント 土肥信雄さん(出演者)
        (参加無料/要当日鑑賞チケット/13:40の回鑑賞者が優先)

 
「“私”を生きる」(2010/138分/DV)
監督・撮影・編集:土井 敏邦  編集協力:(株)らくだスタジオ・森内 康弘
製作:「”私”を生きる」制作実行委員会  配給・宣伝:浦安ドキュメンタリーオフィス、スリーピン
 
山形国際ドキュメンタリー映画祭2011 出品
  
[公式サイト]
 
近年、教育現場では教師たちの言論が厳しく統制され、卒業式・入学式では 「日の丸・君が代」が強制されているが、それらの「教育統制」の巨大な流れに毅然と抗い、“教育現場での自由と民主主義”を守るため、弾圧と闘いながら “私”を貫く教師たちがいる。
 「自分に嘘をつきたくない。生徒に嘘をつきたくない」
  ―― 根津 公子(元中学校教員・家庭科)
 
 「炭鉱の危険を知らせるカナリヤの役割を担いたい」
  ―― 佐藤美和子(小学校教員・音楽専科)
 
 「今言わなければ後悔する。その後悔だけはしたくない」
  ―― 土肥 信雄(元三鷹高校校長)
2011年11月の大阪市長選で橋下徹前知事が当選するなか、11月28日には 出演者のひとり、根津公子さんの君が代不起立による停職処分取消訴訟の最高 裁弁論が行なわれ、その最高裁判決が2012年1月16日に、そして1月30日 には同じく出演者の土肥信雄元都立三鷹高校校長の非常勤教員採用拒否訴訟の 地裁判決が予定されており、その動向が注目されている。彼らの真摯な思いは、 果たして行政を、教育を動かすことができるのか。3人の今後に目が離せない。

  これは「教育」問題や「日の丸・君が代」問題を論じるドキュメンタリーではない。
  日本社会の“右傾化” “戦前への回帰” に抵抗し、“自分が自分であり続ける” ために
  凛として闘う、3人の教師たちの “生き様”の記録である。
                                    土井敏邦

《料金》
当日
一般1500円 学生・シニア1000円 高校生以下800円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。