プログラムPROGRAM
2013 5

新収蔵ポーランド映画特集1
2013年5月3日(金・祝)〜6日(月・祝)
ポーランド映画の輸入配給、演劇研究家として知られるYAKOの山田正明氏が遺したフィルムや映画文献、オリジナル・ポスター、ビデオテープなどが神戸映画資料館に寄贈された。その新たに収蔵された日本語字幕付き35mmフィルム6本を上映。同時にポーランド映画オリジナル・ポスター展も開催。
 
「アウシュビッツの女囚」Ostatni etap
(1948/109分/35mm)
監督:ワンダ・ヤクボフスカ
脚本:ワンダ・ヤクボフスカ、ゲルダ・シュナイデル
撮影:ベンツィオン・モナスティルスキー
音楽:ロマン・パレステル
出演:バルバラ・ドラピンスカ、ワンダ・バルトヴナ、タチアナ・グレッカ、アントニーナ・ゴルドン・グレッカ、アレクサンドラ・シュロンスカ
戦前より記録映画などを手がけていた女性監督ワンダ・ヤクボフスカが、自身の収容所体験をもとにアウシュビッツにおけるエゴと暴力、そしてそれに立ち向かう地下活動を描く。死に直面するなか、歌で励まし合う収容者たちの不屈の姿が印象的。戦後ポーランドで作られた劇映画の3作目にあたる。
 
 
「ロトナ」Lotna
(1959/89分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ 
脚本:アンジェイ・ワイダ、 ヴォイチェフ・ジュクロフスキ
出演:イェジー・ピケルスキ、アダム・パウリコフスキー、イェジー・モエス、タデウシュ・カリノウスキー、ボジェナ・クロウスカ
1939年9月1日ドイツ軍のポーランドへの侵攻作戦が開始された。ポーランド騎兵中隊は砲弾の炸裂する戦場を疾走する美しい白馬・ロトナを贈られるが、その馬に乗る者が次々に死んでいきついに部隊は全滅する。ワイダにとって最初のカラー作品。
 
 
「死の教室」The Dead Class
(1976/79分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ 脚本:タデウシュ・カントール 撮影:エドヴァルト・クウォシンスキ
出演:マリア・グレツカ、ボフダン・グリボヴィッチ、ミーラ・リフリツカ、ズビグニエフ・ベトナルチック、ロマン・シヴラック
フランスの不条理演劇の作家ウジェーヌ・イヨネスコの「授業」を、タデウシュ・カントールが演出した舞台の模様をワイダ監督が映像化した異色作。テレビ放映用として製作されたが、ポーランド国内では放映、公開ともにされなかった。日本では1988年に公開。
 
 
「トップドッグ」Wodzirej
(1978/106分/35mm)
監督・脚本:フェリクス・ファルク
撮影:エドワード・クロシンスキー
出演:イエジー・ストゥール、スワバ・クワシニエフスカ、ヴィクトル・サデツキ、ミハウ・タルコフスキ
芸能団に所属する司会者ダニエルは、大役を得るためにあらゆる手段を使い始める……。アンジェイ・ワイダが代表をつとめるプロダクション・イスクによる製作。“この作品は現実の生活を良く伝えています。活動的な動きと変化、そしてアイロニーがあり、同時にコミカルでもあるといった特徴はポーランド映画には珍しいものです”(ワイダ)
 
 
「麻酔なし」Bez Znieczulenia
(1978/131分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ
脚本:アグニェシュカ・ホランド、アンジェイ・ワイダ
撮影:エドウルト・ワイダ
出演:ズビグニエフ・サパシェヴィッチ、エヴァ・ダルコウスカ、クリスティナ・ヤンダ
著名なジャーナリストが権力の目に見えぬ力によって死へ追い込まれて行く姿を描く。「手荒な扱い」を受ける主人公の姿に、ポーランドの現実に対するワイダ監督の政治的メッセージが込められている。カンヌ国際映画祭カトリック事務局映画賞受賞。
 
 
「悪夢」Zmory
(1979/100分/35mm)
監督:ボイチェフ・マルチェフスキ
脚本:パヴェル・ハイニ
撮影:ヴィエスワフ・ジドルト
音楽:ジグムント・コニエチニ
出演:ピョトル・ウィサク、トマシ・フジエッツ、ブロニスワフ・パブリック、テレサ・マルチェフスカ
第一次大戦前のガリツィア地方。少年ミコワイは性に目覚め、社会主義思想に触れ、精神的な彷徨を繰り返していく。1935年に発表されたエミル・ゼガドヴォヴィチの小説を下敷きにしたボイチェフ・マルチェフスキ監督の劇映画デビュー作で、国内新人賞、ムンク賞、文化芸術賞、サンサバスチャン国際映画祭で受賞している。
 

プラネット・シネマテーク
《会費》収蔵協力費として
入れ替え制1本あたり
会員900円 会員学生・シニア800円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録をお願いします。


『ポッポー町の人々』&鈴木卓爾短篇集
5月18日(土)〜28日(火)[水・木休館]
 
山本政志プロデュース「シネマ☆インパクト」第一弾で製作された鈴木卓爾監督による長篇『ポッポー町の人々』を関西初上映。大地震の発生から1年後、ポッポー町の人々を通して、鈴木卓爾監督が新たなフィクションの在り方を問う野心作です。
初日5月18日、鈴木監督来館!
 
「ポッポー町の人々」
(2012/83分[決定版]/HD[ブルーレイ上映])
監督:鈴木卓爾
プロデューサー:山本政志
構成:鈴木クラス 受講生全員
制作担当:吉川正文 
助監督:加治屋彰人
撮影:鎌苅洋一 録音:島津未来介
記録:高尾憲子 編集:早野亮
美術協力:磯見俊裕
制作スタッフ:岡崎雅、鈴木徳至、荒 陸、向悠一、小林宏彰、広井砂希、白麗奈
出演:有元由妃乃、岡崎雅、小澤雄志、影山聡美、加納浩太、高麗靖子、高橋隆大、武田祐一、中鉢奈津美、長尾卓磨、長坂弘介、松下貞治、三輪江一、山田将大、諏訪敦彦
 
予告篇
 
[ストーリー]
2011年3月11日、日本で大地震が発生した。それから約1年、路面電車が行き交う東京のとある下町、ポッポー町に住む人々は、それぞれが自分の生活や人生、身の回りの小さな問題を抱えながら生きていた。その中で震災や原発事故といった大きな問題と自分たちなりの仕方で向き合っていくのだが、いよいよ2012年の3月11日を迎え、雑谷田の人々は、何かに導かれるようにして次なる一歩を踏み出していくのだった。
 
[鈴木卓爾監督のことば]
今回の企画を受けた時、「よし群像劇だ」と思った。制作者側が一切キャストを選ばず、自発的に参加した全13人の俳優と7人の制作志望者と共に、脚本もなく手探りで映画は作られた。物語の人物達が住む架空の町の名前を「ポッポー町」と名付けた。ポッポー町は日本中どこにでもあるような町で、この町の時間軸は2011年3月11日から一年後の未来だ。これは現実の撮影日でもあった。現実の響きを映像と音響に記録しつつ、どこまで我々のフィクションとグルーブが持ち堪え、ファンキーに弾めるか?が試された。
 

鈴木卓爾監督の新作『ポッポー町の人々』、とても気に入りました。雨の街頭がよい。路面電車がよい。薬屋と本屋がよい。とりわけ、どこか行き違った老若男女の出会いと別れが愉快でした。秀逸! ───蓮實重彦(映画評論家)

最近の日本映画は半径数メートル以内のことしか描かないというよくある批判を逆なでするように、鈴木卓爾は半径数メートル以内に社会の一切合財を見いだす。というか、昔からそうだった鈴木は、ご近所から一歩も出ることなく猫でも妖怪でも見つけてきては、とうとうその場にいながらにして迷子になる術まで発見してしまった。「3・11」の扱いをめぐっては異論もあろう。大いに結構。見てから談論風発、みんなでやりあえばよい。『ポッポー町の人々』は、そんな広場のような映画だ。 ───藤井仁子(映画評論家)

 
鈴木卓爾短篇集
ワンピース2012「喫茶 対岸の火事」(2012/10分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 美術 : 稲川理香子、向悠一 制作:戸田幸延 
出演:久保山智夏、川口茂人、カノユースケ、大迫茂生、佐藤彩乃、文嶋ことり、安木一之、春原陽
監督コメント:意識も気持ちもまるでばらばらに存在する人々を1カットで撮ったらどうなるかという発想の元、戸田幸延氏のムービーワークショップで知り合った俳優さん達に、再度声をかけて集まってもらいました。喫茶店を作るのに苦労をしました。2012年2月撮影、ロケ地・笹塚
 
ワンピース2012「骨肉トライアングル~骨まで愛して」 (2012/9分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 制作 : 神林理央子(ビー・ナチュラル)
助監督 : 稲川理香子、向悠一 ロケ地マネージメント : 強瀬誠(深谷フィルムコミッション)
出演:竹厚綾、礒部泰宏、宮崎達也、勇人、石坂友里、安藤多丘
監督コメント:1カットで過去と現在を同時並走させる。ワンピースで度々試みている手法を、サイコサスペンスの方向に向けてみました。ビーナチュラルの俳優さん達に参加してもらったところ、皆さんの若々しくも激しい身体性が前面に出て来ました。2012年2月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピース2012「計測少女百合1号」(2012/12分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 美術:中嶋義明 制作 : 神林理央子(ビー・ナチュラル)
助監督 : 向悠一 ロケ地マネージメント : 強瀬誠(深谷フィルムコミッション)
出演:上原剛史、石坂友里、稲川理香子、勇人、礒部泰宏、宮崎達也、安藤多丘
監督コメント:今迄に作った事のないワンピースになりました。2012年2月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピース2012「鈴の音」(2012/8分)
監督:鈴木卓爾 撮影・録音:中瀬慧 編集:田巻源太
出演:唯野未歩子、宇野祥平、鈴木卓爾
監督コメント:最近、14年暮らした家を引き払いました。そこでは沢山の映画やワンピースを撮影しました。これがそこで撮影した最後のワンピースになりました。2011年12月撮影、ロケ地・登戸
 
「駄洒落が目に沁みる」ロングバージョン
(2011/8分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:川井崇満 整音 : 島津未来介 編集:菊井貴繁 音楽:松本龍之介
ロケ地マネージメント : 深谷フィルムコミッション
出演:廣田朋菜、土居伸彰、強瀬誠、加藤行宏、中嶋義明、鈴木卓爾
監督コメント:『ショートピース!仙台短篇映画祭』の菅原睦子さんから依頼を受けて、仙台短篇映画祭オムニバス映画『311明日』の一編として作った『駄洒落が目に沁みる』のロングバージョンです(『311明日』は全42篇の短篇から成ります。)。規定の3分11秒の尺に仕上げようとしたら収まらず、一度7分39秒で落ち着いた、それがこのバージョンです。電気と人との相克に荒れる惑星に住む、自転車修理屋の兄妹をとりまく人々を描いた、近似値未来SFです。隣の熊谷市で38度の記録を出した日に、猛暑の深谷市で撮影していて、みんな順番に熱中症にかかり遭難しかけました。その太陽からの思わぬ恩恵が出演者&スタッフに憑衣し、みんな気が狂ったようになって撮影しました。そういったものが映っているような気がします。2011年8月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピースとは「1シーン1カット固定画面、アフレコダビングなし」がルールの短篇制作企画。その新作4本に加え、仙台短篇映画祭制作プロジェクト、オムニバス映画『311 明日』のために作られた『駄洒落が目に沁みる』の特別ロングバージョンを上映。
 

《料金》入れ替え制
[ポッポー町の人々]
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
[短篇集]
非会員:1000円 会員:900円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。