プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2013

『ポッポー町の人々』&鈴木卓爾短篇集
5月18日(土)〜28日(火)[水・木休館]
 
山本政志プロデュース「シネマ☆インパクト」第一弾で製作された鈴木卓爾監督による長篇『ポッポー町の人々』を関西初上映。大地震の発生から1年後、ポッポー町の人々を通して、鈴木卓爾監督が新たなフィクションの在り方を問う野心作です。
初日5月18日、鈴木監督来館!
 
「ポッポー町の人々」
(2012/83分[決定版]/HD[ブルーレイ上映])
監督:鈴木卓爾
プロデューサー:山本政志
構成:鈴木クラス 受講生全員
制作担当:吉川正文 
助監督:加治屋彰人
撮影:鎌苅洋一 録音:島津未来介
記録:高尾憲子 編集:早野亮
美術協力:磯見俊裕
制作スタッフ:岡崎雅、鈴木徳至、荒 陸、向悠一、小林宏彰、広井砂希、白麗奈
出演:有元由妃乃、岡崎雅、小澤雄志、影山聡美、加納浩太、高麗靖子、高橋隆大、武田祐一、中鉢奈津美、長尾卓磨、長坂弘介、松下貞治、三輪江一、山田将大、諏訪敦彦
 
予告篇
 
[ストーリー]
2011年3月11日、日本で大地震が発生した。それから約1年、路面電車が行き交う東京のとある下町、ポッポー町に住む人々は、それぞれが自分の生活や人生、身の回りの小さな問題を抱えながら生きていた。その中で震災や原発事故といった大きな問題と自分たちなりの仕方で向き合っていくのだが、いよいよ2012年の3月11日を迎え、雑谷田の人々は、何かに導かれるようにして次なる一歩を踏み出していくのだった。
 
[鈴木卓爾監督のことば]
今回の企画を受けた時、「よし群像劇だ」と思った。制作者側が一切キャストを選ばず、自発的に参加した全13人の俳優と7人の制作志望者と共に、脚本もなく手探りで映画は作られた。物語の人物達が住む架空の町の名前を「ポッポー町」と名付けた。ポッポー町は日本中どこにでもあるような町で、この町の時間軸は2011年3月11日から一年後の未来だ。これは現実の撮影日でもあった。現実の響きを映像と音響に記録しつつ、どこまで我々のフィクションとグルーブが持ち堪え、ファンキーに弾めるか?が試された。
 

鈴木卓爾監督の新作『ポッポー町の人々』、とても気に入りました。雨の街頭がよい。路面電車がよい。薬屋と本屋がよい。とりわけ、どこか行き違った老若男女の出会いと別れが愉快でした。秀逸! ───蓮實重彦(映画評論家)

最近の日本映画は半径数メートル以内のことしか描かないというよくある批判を逆なでするように、鈴木卓爾は半径数メートル以内に社会の一切合財を見いだす。というか、昔からそうだった鈴木は、ご近所から一歩も出ることなく猫でも妖怪でも見つけてきては、とうとうその場にいながらにして迷子になる術まで発見してしまった。「3・11」の扱いをめぐっては異論もあろう。大いに結構。見てから談論風発、みんなでやりあえばよい。『ポッポー町の人々』は、そんな広場のような映画だ。 ───藤井仁子(映画評論家)

 
鈴木卓爾短篇集
ワンピース2012「喫茶 対岸の火事」(2012/10分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 美術 : 稲川理香子、向悠一 制作:戸田幸延 
出演:久保山智夏、川口茂人、カノユースケ、大迫茂生、佐藤彩乃、文嶋ことり、安木一之、春原陽
監督コメント:意識も気持ちもまるでばらばらに存在する人々を1カットで撮ったらどうなるかという発想の元、戸田幸延氏のムービーワークショップで知り合った俳優さん達に、再度声をかけて集まってもらいました。喫茶店を作るのに苦労をしました。2012年2月撮影、ロケ地・笹塚
 
ワンピース2012「骨肉トライアングル~骨まで愛して」 (2012/9分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 制作 : 神林理央子(ビー・ナチュラル)
助監督 : 稲川理香子、向悠一 ロケ地マネージメント : 強瀬誠(深谷フィルムコミッション)
出演:竹厚綾、礒部泰宏、宮崎達也、勇人、石坂友里、安藤多丘
監督コメント:1カットで過去と現在を同時並走させる。ワンピースで度々試みている手法を、サイコサスペンスの方向に向けてみました。ビーナチュラルの俳優さん達に参加してもらったところ、皆さんの若々しくも激しい身体性が前面に出て来ました。2012年2月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピース2012「計測少女百合1号」(2012/12分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:黄永昌 編集:田巻源太 美術:中嶋義明 制作 : 神林理央子(ビー・ナチュラル)
助監督 : 向悠一 ロケ地マネージメント : 強瀬誠(深谷フィルムコミッション)
出演:上原剛史、石坂友里、稲川理香子、勇人、礒部泰宏、宮崎達也、安藤多丘
監督コメント:今迄に作った事のないワンピースになりました。2012年2月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピース2012「鈴の音」(2012/8分)
監督:鈴木卓爾 撮影・録音:中瀬慧 編集:田巻源太
出演:唯野未歩子、宇野祥平、鈴木卓爾
監督コメント:最近、14年暮らした家を引き払いました。そこでは沢山の映画やワンピースを撮影しました。これがそこで撮影した最後のワンピースになりました。2011年12月撮影、ロケ地・登戸
 
「駄洒落が目に沁みる」ロングバージョン
(2011/8分)
監督:鈴木卓爾 撮影:鎌苅洋一 録音:川井崇満 整音 : 島津未来介 編集:菊井貴繁 音楽:松本龍之介
ロケ地マネージメント : 深谷フィルムコミッション
出演:廣田朋菜、土居伸彰、強瀬誠、加藤行宏、中嶋義明、鈴木卓爾
監督コメント:『ショートピース!仙台短篇映画祭』の菅原睦子さんから依頼を受けて、仙台短篇映画祭オムニバス映画『311明日』の一編として作った『駄洒落が目に沁みる』のロングバージョンです(『311明日』は全42篇の短篇から成ります。)。規定の3分11秒の尺に仕上げようとしたら収まらず、一度7分39秒で落ち着いた、それがこのバージョンです。電気と人との相克に荒れる惑星に住む、自転車修理屋の兄妹をとりまく人々を描いた、近似値未来SFです。隣の熊谷市で38度の記録を出した日に、猛暑の深谷市で撮影していて、みんな順番に熱中症にかかり遭難しかけました。その太陽からの思わぬ恩恵が出演者&スタッフに憑衣し、みんな気が狂ったようになって撮影しました。そういったものが映っているような気がします。2011年8月撮影、ロケ地・深谷
 
ワンピースとは「1シーン1カット固定画面、アフレコダビングなし」がルールの短篇制作企画。その新作4本に加え、仙台短篇映画祭制作プロジェクト、オムニバス映画『311 明日』のために作られた『駄洒落が目に沁みる』の特別ロングバージョンを上映。
 

《料金》入れ替え制
[ポッポー町の人々]
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
[短篇集]
非会員:1000円 会員:900円


サイレント映画鑑賞会 「溝口健二著作集」刊行記念
2013年6月9日(日)
日本が生んだ世界映画界の巨匠溝口健二が、生前に自身の署名で発表した記事を出来る限りすべて、重要と思われる発言を網羅した「溝口健二著作集」(溝口健二著 佐相勉編/発行オムロ 発売キネマ旬報社/6月上旬発売予定)刊行記念の一環として、神戸映画資料館で上映会を行います。
今回は、溝口初期の貴重なサイレント作品と、溝口と比較されるシュトロハイムの名作を、国内はもとより海外でも活躍中の演奏家、柳下美恵さんのピアノ伴奏付きでお楽しみいただきます。
 
15:00〜 第一部
「愚なる妻」Foolish Wives
(アメリカ/1921/110分[18コマ]/16mm)
監督・原作・脚本:エリッヒ・フォン・シュトロハイム 撮影:ベン・レイノルズ
出演:エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ルドルフ・クリスティアンズ、ミス・デュポン、モード・ジョーンズ、メエ・ブッシュハリソン・フォード  
ユニヴァーサルでこの映画を監督したシュトロハイムは、巨額の製作費、5時間を超える長さのためにスキャンダルとなり、短縮を余儀なくされた。欧州大戦直後のモンテカルロ。ロシアの亡命貴族カラムジン伯爵(シュトロハイム)は、ヒューズ夫妻の妻ヘレン(ミス・デュボン)に接近し、金を巻き上げようと企む。ミシェル・メニルはその著書「溝口健二」(三一書房)にてシュトロハイムの「すべてを語り、すべてを示す」点などで溝口との類似を見ている。
 
17:10〜 第二部
トーク:柳下美恵+西田宣善(「溝口健二著作集」編集・発行者)
「ふるさとの歌」
(1925/50分[20コマ]/35mm)
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:溝口健二 原作:松居張二 脚本:清水龍之介 撮影:横田達之 美術:亀原嘉明
出演:木藤茂、髙木枡二郎、伊藤寿栄子、辻峯子、川又賢太郎、加藤司郎
サイレント期の作品が殆ど失われた溝口健二の作品の中で、最古の現存作品である。欠落した部分も殆どない貴重な作品。東京から故郷に戻ってきた貧しい青年(木藤茂)が、学問を捨てて農業に従事する。日活が文部省の委嘱で製作した教育劇映画で、農本主義的プロパガンダ臭は露骨にあるが、何度も見ていると、その軽快なカッティング、水辺のシーンの美しさ、当時の溝口作品の常連だった横田達之のキャメラが見られるところなど、美点は多く感じられてくる。
 

演奏:柳下美恵                             写真:スズキマサミ
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー。以来、国内では東京国立近代美術館フィルムセンターや映画館、各地の映画祭等、海外はポルデノーネ無声映画祭やボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ)、韓国映像資料院などで伴奏した。イギリスのユリイカレーベル、㈱紀伊國屋書店から『裁かるるジャンヌ』『魔女』のブルーレイ、DVDで音楽を担当。日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。国やジャンルを越えた作品をこれまでに600以上伴奏した。

《料金》
一般1800円 学生・シニア1600円
会員一般1600円 学生会員・シニア会員1400円

*招待券のご利用不可

共催:神戸映画資料館、オムロ 協力:東京国立近代美術館フィルムセンター


サイレント映画鑑賞会 マック・セネットのキーストン喜劇②
2013年6月22日(土)・23日(日)
サイレント喜劇の大プロデューサー、マック・セネットが作った「キーストン社」で製作した3本を上映。加えて、ハル・ローチ・スタジオの人気者「ちびっこギャング(アワー・ギャング)」の1本をおまけ上映します。
いいをじゅんこさんの第4講コメディ学入門「続・3ばか大将」とあわせてお楽しみください。
 
「まずゐもの屋(小料理屋の欺瞞)」A Hash House Fraud
(アメリカ/1915/16mm/無声/20分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:チャーリー・チェイス
出演:ヒュー・フェイ、ルイーズ・ファゼンダ、フリッツ・シャーデ、チェスター・コンクリン
「愛と速力と戦ひ」Love, Speed and Thrills
(アメリカ/1915/16mm/無声/20分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:マック・スウェイン、ミンタ・ダーフィー、チェスター・コンクリン
「追駈砲弾(破弾)」The Cannon Ball
(アメリカ/1915/16mm/無声/33分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:チェスター・コンクリン、ハリー・ブッカー、チャールズ・アーリング
「アワーギャング喜劇 突貫がらくた列車」The Sun Down Limited
(アメリカ/1924/16mm/無声/15分[一部欠落/16コマ])
製作:ハル・ローチ 監督:ロバート・F・マッゴーワン
出演:アワーギャング
 
 

《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア800円

《割引》[第4講コメディ学入門] 参加者は200円引き


篠崎誠監督最新作『あれから』 +特別上映『おかえり』
6月14日(金)〜25日(火)[水・木休館]
 
「あれから」Since Then
(2012/63分/HD[ブルーレイ上映])
原案・監督・脚本:篠崎誠
脚本:酒井善三 監督補:久保朝洋
撮影監督:山田達也
照明:玉川直人 録音:臼井勝
音楽:柳下美恵
プロデューサー:松田広子
製作:コムテッグ、映画美学校
配給:コムテッグ
 
出演:竹厚 綾、磯部泰宏、太田美恵、木村知貴、川瀬陽太、杉浦千鶴子、伊沢磨紀
公式サイト
 
あの時、真っ先に浮かんだのは、
あなたのことでした。

 
2011年3月11日。東日本を襲った大震災。その夜、東京郊外の靴屋に勤める祥子(竹厚綾)は被災地に暮らす恋人、正志(礒部泰宏)と連絡がつかずにいた。余震が続く中、ようやく通じた電話で、正志が大震災をきっかけに心のバランスを崩して入院したことを家族から知らされる。すぐに駆けつけたいとの申し出も、「これを機に別れた方があなたのためでもある」と断られてしまう。母亡きあと、祥子を気にかけてくれている叔母の直子(伊沢磨紀)も、「今は行かない方がいい」との意見だった。
容赦なく戻ってくる日常生活。同僚の真実(太田美恵)の結婚式も予定通り行なわれるという。
一見、いつもどおりの日々を送りながらも、彼への想いに“揺れる”祥子。そんなとき、いるはずのない正志が目の前に現れる…。
 
『おかえり』で商業映画監督デビューし、『忘れられぬ人々』(2000)、『東京島』(2010)などを手掛けてきた篠崎誠監督が映画美学校フィクション・コースとのコラボレーション作品として制作した新作映画『あれから』。東京で311を過ごした人が感じた被災地との距離、直後に訪れた非日常への不安、急速に静けさを取り戻して行く日常に対するとまどいは、共通の体験として胸に迫ります。主演はモデルとして活躍しながら、近年は女優としても注目される竹厚綾。綾野剛と共演した『孤独な惑星』(2011/監督:筒井武文)に次ぐ主演作となります。
誰もが体験する大切な人との時間が様々な手法で折り込まれ、何層もの「あれから」が浮かび上がります。
 
二日間、限定上映
『おかえり』
6月15日(土)・16日(日)
「おかえり」
(1995/99分/35mm)
監督:篠崎誠 脚本:篠崎誠、山村玲
撮影:古谷伸 照明:鈴木一博
録音:栗林豊彦 整音:本間喜美雄
製作:筒井武文、松田広子
製作:コムテッグ 配給:ビターズ・エンド
 
出演:寺島進、上村美穂、小松正一、青木富夫、諏訪太朗
国境を越えて感動を呼ぶ 篠崎誠の鮮烈なデビュー作
 
『おかえり』は誰もが潜在的に抱える孤独感や対象のない焦燥感、そしてそこにいつもつきまとう不安を乗り越えて、共に生きてゆこうとする夫婦の愛の物語である。そばにいるから通じ合うと信じ、疑うこともなかった二人の絆は、いつの間にか少しずつ音もたてずに崩れ、遠く離れて行く。確かに二人の愛は揺るぎないまま存在しているはずなのに…。
 
完全なインディペンデント作品として製作された『おかえり』は、全世界30ヶ所以上の映画祭で上映され、フランスでの劇場公開も見事に成功を収めた。
ベルリン国際映画祭・最優秀新人監督賞
モントリオール国際映画祭・新人監督グランプリ/国際映画批評家連盟賞
ほか
 

《料金》入れ替え制
[あれから]
一般1500円(一般のみ、「おかえり」の半券で200円割引)
学生・シニア1200円 会員1000円
 
[おかえり]
一律:1000円
*招待券のご利用不可


濱口竜介プロスペクティヴ in 関西
6月29日(土)〜7月8日(月)[水・木休館]
 
神戸・大阪・京都のミニシアター5館で同時開催する「濱口竜介プロスペクティヴ in 関西」。神戸映画資料館では、4時間を超える大作『親密さ』と、東北ドキュメンタリー三部作を上映。関西に拠点を移した濱口竜介の「これから」の「はじまり」にお立ち会いください。

トーク
6月29日(土)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 芹沢高志(『なみのこえ』『うたうひと』プロデューサー、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)
 
6月30日(日)『親密さ』上映後
 丹生谷貴志(神戸市外国語大学 教授)
 濱口竜介(映画監督)
 
7月7日(日)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)

 
「親密さ」
(2012/255分[途中休憩あり]/HD[ブルーレイ上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介
撮影:北川喜雄 編集:鈴木宏
整音:黄永昌 助監督:佐々木亮介
制作:工藤渉 劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか
ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。
4時間を越える大作だが、ENBゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。
 
「なみのおと」
(2011/142分/HD[ブルーレイ上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌
2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録
酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。
 
「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。
震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。
 
「なみのこえ 気仙沼」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。
人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。
 
「うたうひと」
(2013/120分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌
宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。
酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。
*作品解説:木村建哉(映画研究者)
公式サイト
ウェブ・スペシャル 寄稿
 「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」
 井上正昭(翻訳・映画雑文)

 
ウェブ・スペシャル 映画時評[一年の十二本]
 第十二回 たどり着くことから解き放たれてすべては「はじまり」となる──『親密さ』
 藤井仁子(映画評論家)

 

《料金》入れ替え制
[親密さ]
一般2000円 会員1800円
 
[その他作品]
一般1300円 会員1200円
3回券3300円
(前売・当日あり/数に限りがあります/他会場と共通/複数人での利用可/『親密さ』にはご利用いただけません)
 
*招待券のご利用不可
*上映館により、各種料金の設定が異なりますのでご注意ください。

企画:fictive 後援:LOAD SHOW


濱口竜介プロスペクティヴ in 関西
6月29日(土)〜7月8日(月)[水・木休館]
 
神戸・大阪・京都のミニシアター5館で同時開催する「濱口竜介プロスペクティヴ in 関西」。神戸映画資料館では、4時間を超える大作『親密さ』と、東北ドキュメンタリー三部作を上映。関西に拠点を移した濱口竜介の「これから」の「はじまり」にお立ち会いください。

トーク
6月29日(土)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 芹沢高志(『なみのこえ』『うたうひと』プロデューサー、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)
 
6月30日(日)『親密さ』上映後
 丹生谷貴志(神戸市外国語大学 教授)
 濱口竜介(映画監督)
 
7月7日(日)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)

 
「親密さ」
(2012/255分[途中休憩あり]/HD[ブルーレイ上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介
撮影:北川喜雄 編集:鈴木宏
整音:黄永昌 助監督:佐々木亮介
制作:工藤渉 劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか
ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。
4時間を越える大作だが、ENBゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。
 
「なみのおと」
(2011/142分/HD[ブルーレイ上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌
2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録
酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。
 
「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。
震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。
 
「なみのこえ 気仙沼」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。
人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。
 
「うたうひと」
(2013/120分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌
宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。
酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。
*作品解説:木村建哉(映画研究者)
公式サイト
ウェブ・スペシャル 寄稿
 「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」
 井上正昭(翻訳・映画雑文)

 
ウェブ・スペシャル 映画時評[一年の十二本]
 第十二回 たどり着くことから解き放たれてすべては「はじまり」となる──『親密さ』
 藤井仁子(映画評論家)

 

《料金》入れ替え制
[親密さ]
一般2000円 会員1800円
 
[その他作品]
一般1300円 会員1200円
3回券3300円
(前売・当日あり/数に限りがあります/他会場と共通/複数人での利用可/『親密さ』にはご利用いただけません)
 
*招待券のご利用不可
*上映館により、各種料金の設定が異なりますのでご注意ください。

企画:fictive 後援:LOAD SHOW


ドキュメンタリー「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
2013年7月12日(金)〜16日(火)
誰のために、何のために、
遠い“異国”で生きるのか
自分には何がいちばん大切なのか――
東京で暮らすビルマ人青年の14年間の記録

 
「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
(2012/100分/HD[ブルーレイ上映])
監督・製作:土井敏邦
撮影・編集:土井敏邦、横井朋広
整音:藤口諒太
写真撮影・デザイン:野田 雅也
配給:浦安ドキュメンタリーオフィス  
 
1991年、ビルマ(ミャンマー)軍事政権の弾圧を逃れ、家族を祖国に残したまま、政治難民として日本に渡ったビルマ人青年チョウチョウソー(チョウ)。生活のためにレストランで働きながら、祖国で封じられた民主化運動を続ける日々。数年後、妻ヌエヌエチョウとの再会が叶うと、日本でビルマ料理店をオープンし、2人での亡命生活が始まる。第三国タイでやっと実現した14年ぶりの老父との再会。しかしその後の父の死の報にも帰国は実現しなかった。
日本での滞在はすでに20年以上になり、暮らしも安定した。しかし、そこはチョウにとって将来の保障もなく、祖国に貢献する役割も担えない“異国”であり、“自分の居場所”ではない。「家族に会いたい」「祖国で暮らしたい」という願いと、“祖国の民主化運動”のためにその望郷の想いを捨てなければならないという思い。その狭間で揺れ、迷ってきたチョウは、今の祖国の「民主化」をどう捉え、その中でどう生きようとするのか…。
『沈黙を破る』(2009)、『”私”を生きる』(2010)
で注目を浴びた土井敏邦監督の最新作!

2009年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位に輝いた『沈黙を破る』、2012年度ベスト・テンで第2位を獲得した『“私”を生きる』の土井敏邦監督が、在日ビルマ青年を14年もの歳月をかけて追い続けた注目の最新作。
主人公チョウが愛する“国”とは “国家”なのか、“故郷”なのか、それとも“大切な人”なのか。彼の生き方を通して、「愛国心」の真の意味を震災後の日本社会に静かに問いかける。
 
[公式サイト]
 

トーク付き上映 7月14日(日)13:00の回上映終了後
  中尾恵子(日本ビルマ救援センター代表)
    ×
   箱田徹
(ビルマ情報ネットワーク・ディレクター)
 
中尾恵子(なかおけいこ)
日本ビルマ救援センター代表
日本ビルマ救援センターは20年以上にわたり、関西を拠点にタイ・ビルマ国境と日本国内のビルマ難民支援を行うNGO。中尾氏は90年代後半から活動に参加。優しく誠実な人柄からビルマ人の信頼も厚い。
 
箱田徹(はこだてつ)
ビルマ情報ネットワーク・ディレクター、立命館大学専門研究員
ビルマ情報ネットワークは、ビルマの抱える様々な問題をインターネットを使って日本語で紹介する情報系NGOで、箱田氏は大学時代から創設メンバーとして15年あまり活動を行う。東京ではアドヴォカシーに力を入れる。

ビルマ(ミャンマー)料理 7月13日(土)・14日(日)11:30ごろ〜
シネマカフェ・チェリー(神戸映画資料館内)
 
新長田のミャンマー料理店TeTe(テテ)さんのメニューを、2日間限定でご提供します。
通常よりミニサイズでお出ししますので、気軽にお楽しみください。
  ミャンマーカレー300円 モヒンガー(麺類)250円 サモサ(1ッ) 180円

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア・高校生以下1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円


津軽三味線 高橋祐次郎
「祭爆 SAIBAKU」〜までぃに三味線奏でるべ〜

2013年8月2日(金)〜6日(火)

急遽決定 監督トーク 8月4日(日)11:00の回上映終了後
冨沢 満
1964年NHK函館放送局赴任。その後、NHKのドキュメンタリー畑を歩き続ける。主な作品に教養特集「五稜郭」「ある人生 605号室のカルテ」「人間列島 春昴丸の人々」「特集 天王寺界隈」「NHK特集 井伏鱒二の世界」「NHK特集 トンボに なりたかった少年」「ぐるっと 海道3万キロ~涙で書いたラブレター~」「NHKスペシャル 空海の風景」「地球に好奇心 アンデスに響く黒人音楽」など多数。著書に「僕のNHK物語~あるTVドキュメンタリストの追憶」がある。

「祭爆 SAIBAKU」
(2013/91分/HD)
企画:蘇秋月 監督:冨沢満
撮影:中野英世
録音:芝丕東、矢島隆太
プロデューサー:平林猛
製作:株式会社ボス
男、命を三筋の糸にかけて……
すべての人へ贈る、
感動のドキュメント

  
この映画は、その民謡の達人の厳しくも豊かな人生を追った人間記録です。
昭和9年生まれの祐次郎は多くの秋田民謡、郷土芸能「ささら舞」や村芝居などに触発され、その芸を目覚めさせました。
やがて昭和30年、出稼ぎで一旗揚げようと大工道具と三味線を持って高度経済成長入り口の東京へ。結局、彼は大工道具を捨て、民謡酒場の下足番になります。 そこで目を凝らし、プロの芸人たちの芸を盗み続けました。
やがて日本はもちろん世界70ヵ国に花開く祐次郎の津軽三味線の音と楽しい話術が人々を魅了することになりました。
撮影開始の2011年から彼が亡くなる2012年9月までの、この2年間の記録は、祐次郎の元気な日々、その奏でる見事な音曲の世界、稽古場を中心に次の時代へ伝える命と技と芸の燃焼を追ったものです。
そして、弟子たちと交わす愛情こもった言葉や表情を豊かに伝え、また、「祐次郎先生」「祐次郎師匠」「祐ちゃん」とさまざまな言葉で彼に親しんだ多くの人々の証言が、彼の魅力を多面的に語ってくれています。

若き日の高橋裕次郎(左から2人目)
民謡歌手を志して入店した民謡酒場「らんまん」で
昭和30年代前半撮影、東京・浅草

[公式サイト]
 

高橋祐次郎とは
昭和9年、秋田県仙北郡角館町(現:仙北市角館町)生まれ。子どもの頃から民謡の中で育つ。昭和30年、大工道具と三味線を携えて上京。浅草の国際劇場で三橋美智也のショーに感激し、民謡の世界に入る。民謡酒場で修行し、32年、日本民謡協会に入会。33年、浅草松竹演芸場にて初代浜田喜一一行に参加、初舞台。39年、民俗芸能団の一行でハワイにて6ヵ月公演。その後、民祐会を創立、アジア民俗芸能祭、海外公演などを行う。62年、津軽三味線合奏団を結成し、高橋祐次郎&KAZEとして、国内各地、海外にて公演。 また、TV、ラジオ、レコード他で活躍。平成24年9月永眠。享年78才。

《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員一般1300円 学生会員・シニア会員1000円


「加藤泰、映画を語る」増補文庫版 刊行記念
加藤泰を見る、語る
2013年8月10日(土)・11日(日)
ちくま文庫版『加藤泰、映画を語る』
出版記念上映会へ向けて

山根貞男 

加藤泰の講演集『加藤泰、映画を語る』が、ちくま文庫になった。元の単行本は1994年に筑摩書房から出版されたが、絶版になって久しい。近年、加藤泰作品の上映の機会が増えているなか、文庫版による復活は多くのファンへの贈り物になると思われる。しかも、新たに見つかった講演とエッセイを加えた増補版であり、愛娘加藤文の書き下ろしエッセイも収録されている。
この『加藤泰、映画を語る』は安井喜雄とわたし(山根)の編集による。そこで、当然のことながら、安井喜雄が館長の神戸映画資料館で加藤泰作品の上映会を催し、わたしが当館における加藤泰講座の特別版トークをおこなうことになった。
上映作品は『清水港は鬼より怖い』(1952)と『男の顔は履歴書』(1966)。この初期作品と中期作品を合わせて見れば、およそ同じ監督の撮った映画とは思えないことに、だれもが驚嘆するにちがいない。あらためて加藤泰恐るべし。

山根貞男映画講座「特別篇・加藤泰の世界」
8月10日(土)16:30〜
(終了予定18:00)


「清水港は鬼より怖い」
(1952/ 80 70分/16mm)
製作:宝プロ
監督:加藤泰 脚本:木下藤吉、友田晶二郎
撮影:近藤憲昭 音楽:高橋半 美術:鈴木孝俊
出演:大泉滉、沢村国太郎、原健作、尾上菊太郎、加東大介、朝雲照代
日本映画史には次郎長もの映画は無数にあるが、これほどデタラメな映画はめったにないだろう。江戸の老舗の若旦那が侠客に憧れて次郎長の子分になる。たったそれだけの話だが、漫才ミュージカルとでもいうべき奇天烈な時空をくりひろげてゆく。これがデビュー作『剣難女難』前後篇につづく第2作と、だれが信じられよう。(神戸映画資料館収蔵フィルムより欠落の少ない長尺16ミリ版で上映。当初80分と記していましたが、実際は約70分のプリントです。何卒ご了承ください。)
 

©1966松竹

「男の顔は履歴書」
(1966/89分/35mm)
製作:松竹
監督:加藤泰 脚本:星川清司、加藤泰
撮影:高羽哲夫 音楽:鏑木創
美術:梅田千代夫
出演:安藤昇、真理明美、伊丹一三、中谷一郎、内田良平、中原早苗、嵐寛寿郎
加藤泰が初めて松竹で撮った映画で、しかも本格的な現代劇。第2次大戦に敗れた直後の日本では、闇市に建ったマーケットが庶民の暮らしを支えてきた。そこの支配をめぐるいわゆる「マーケット戦争」が、戦中派の医師を主人公に、壮烈なアクション映画として描かれる。主役があの安藤昇なので、やくざ映画と誤解されることもあるが、戦中から戦後へかけての激動の底辺に封じ込められたマグマの噴出に焦点が合わされている。加藤泰はこのあと安藤昇と組んで『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(1966)『懲役十八年』(1967)を連作するが、その戦中派3部作の第1作である。
 

《料金》入れ替え制
[映画]1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
当日、2本目あるいは講座参加者は200円引き
 
[講座]
一般1200円 会員1000円
*講座参加ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第1回 1960年代新しいソ連映画

2013年8月15日(木)〜18日(日)
1950年代の「雪解け」の後、60年代に現れたソヴィエト映画の「新しい波」。連続上映の第1回は、タルコフスキー、パラジャーノフ、ダネリヤら新しい監督の誕生、そして彼らに先行する世代で、コージェンツェフの文芸作品、映画大学で後進を育成したロンム後期の代表作を見ていきます。
 
「殺し屋」
(1956/19分/35mm)
全ロシア国立映画大学
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー、アレクサンドル・ゴルドン
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
出演:ユーリー・ファイト、アレクサンドル・ゴルドン、アンドレイ・タルコフスキー、ヴァシーリー・シュクシン
タルコフスキーが映画大学のロンムの授業で作った習作。クラスの仲間とともに出演もしている。ヘミングウェイの短篇小説の映画化で、米国の田舎町に現れた殺し屋と殺される男をめぐる物語。
 
 
「ローラーとバイオリン」
(1960/46分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ
出演:イーゴリ・フォムチェンコ、ウラジーミル・ザマンスキー
バイオリンを学ぶ育ちのいい少年が道路整備のローラーを運転する労働者と仲良くなるが……。小品ながら、タルコフスキー監督の主要モチーフが垣間見える映画大学の卒業制作。
 
 
「一年の九日」
(1961/100分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ダニール・フラブロヴィツキー、ミハイル・ロンム
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
音楽:ジョン・テル=タテボシャン
出演:アレクセイ・バターロフ、インノケンティ・スモクトゥノフスキー、タチアナ・ラヴロワ
原子力研究所の事故で被曝した若い研究者の仕事と愛と生死をめぐる物語を、9日間の断片的エピソードを通じて描く。全ロシア映画大学で教鞭をとり、タルコフスキーらを世に送り出したロンム監督の代表作。
 
 
「火の馬」
(1964/97分/35mm)
キエフスタジオ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
原作:ミハイル・コチュビンスキー
脚本:セルゲイ・パラジャーノフ、イワン・チェンディ
撮影:ユーリー・イリエンコ
出演:イワン・ミコライチューク、ラリーサ・カードチニコワ、タチヤーナ・ベスタエワ
ウクライナの辺境・カルパチア地方の民話を映画化。人間と自然、そして超自然的なものが自由なキャメラワークでとらえられていく。パラジャーノフの名を世界に知らしめた初期の代表作。
 
 
「モスクワを歩く」
(1963/73分/35mm)
モスフィルム
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:ゲンナージ・シュパリコフ
撮影:ワジム・ユーソフ
出演:ガリーナ・ポリスキーフ、アレクセイ・ロクテフ、ニキータ・ミハルコフ
1960年代前半の自由な空気のなか、青春を謳歌するモスクワの若者たちを、『不思議惑星キン・ザ・ザ』で知られるダネリヤ監督が描く。当時18歳だったニキータ・ミハルコフが出演。
 
 
「ハムレット」
(1964/150分/35mm)
レンフィルム
監督・脚本:グリゴリー・コージェンツェフ
原作:ウィリアム・シェークスピア
撮影:イオナス・グリツュス
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
出演:インノケンティ・スモクトゥノフスキー、アナスタシア・ヴェルチンスカヤ、ミハイル・ナズワーノフ
有名な復讐劇を、「われらの同時代人シェイクスピア」の著書があるコージンツェフ監督が映画化した。音楽はショスタコーヴィチが担当。上層部の反対をはね返して作られ、イギリスでも好評を博した。1964年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞。
 
 
「野獣たちのバラード」
(1965/129分/35mm)
※日本語解説版(ナレーション:宇野重吉)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ミハイル・ロンム、マヤ・トゥロフスカヤ、ユーリー・ハニューチン
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
膨大なニュースフィルムや記録映画を駆使して、ナチス・ドイツの残虐性を描いたドキュメンタリー。日常的な環境に潜む「ありふれたファシズム」(映画の原題)が人間の本性に発することを告発し、人間が思考を放棄すれば、あらゆる国でファシズムが起こりうることを示す。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり(「殺し屋」と「ローラーとバイオリン」は2本組)
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


辛基秀映画の足跡
2013年8月31日(土)・9月1日(日)
この夏の光復節・解放記念日、韓国映像資料院で『解放の日まで 在日朝鮮人の足跡』が初上映される。この上映を受け、辛基秀映画の足跡をたどる。
Aプログラム
「江戸時代の朝鮮通信使」
(1979/48分/16mm)
プロデューサー:辛基秀
シナリオ:滝沢林三、辛基秀
監督:滝沢林三 撮影:髙岩仁
撮影助手:清水良雄 音楽:高橋悠治
演奏:ヴァン・ドリアン 語り手:西村晃
タイトル:富永浩一
現像:東映化学工業 録音:大平スタジオ
ネガ編集:創映社 製作協力:東京シネアート
企画・製作:映像文化協会
江戸時代の絢爛豪華な朝鮮通信使の歴史的意義と、その華やかな文化交流の事実に、映画史上初めてスポットを当てた記念碑的作品。辛基秀が私費を投じて収集した朝鮮通信使資料の他、全国に点在する絵巻や屏風絵などを総動員して日朝の平和友好の歴史を描く。毎日映画コンクール2位、キネマ旬報文化映画ベストテン4位、日本映画ペンクラブ推薦、文部省選定。監督は『メーデー裁判』『イルム・なまえ 朴秋子さんの本名宣言』の滝沢林三。
 
「タチソ(高槻地下倉庫)作戦 成合地下トンネル」
(1984/34分/16mm)
製作:映像文化協会 監督:辛基秀 撮影:髙岩仁
戦時中、高槻市成合の山間部に掘削された高槻地下倉庫(軍の暗号でタチソ)の建設にあたって多くの朝鮮人労働者が危険な仕事に従事した。その実態を資料に基づき描いた作品。上映の機会が少なく必見。
 
Bプログラム  
「解放の日まで  在日朝鮮人の足跡」
1980 1986/ 210 195分/16mm)
原案・構成:辛基秀
撮影:髙岩仁 編集:辛島一
録音:佐々木昌彦 音楽:関口孝
ナレータ−:伊藤惣一 指導:朴慶植
企画・制作:青丘文化ホール(代表・辛基秀)
製作会社:労働映画社
新潟県中津川水力発電所工事場における朝鮮人労働者虐殺事件、岸和田紡績工場における朝鮮人・日本人紡績女工の共同闘争、愛知県三信鉄道工事場争議、九州筑豊麻生炭坑の労働争議など、日本の植民地から解放に至る解放運動の一翼を担った多くの人々を捜し出し、その貴重な証言を集めた。辛基秀が生涯をかけて集めた映像資料を駆使して戦前の在日朝鮮人の足跡を描いた大作。
 
 

辛基秀(シン・ギス)
1931年、京都市生まれ。神戸大学経営学部卒業。同大学院中退。1974年、映像文化協会代表。1984年、青丘文化ホール主宰。2002年10月5日没。

協力:辛理華
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1300円 シニア1000円 学生700円
会員1200円 会員シニア900円 会員学生600円

《割引》
10名以上団体割引あり
当日、2プログラム目は200円引き


新発掘!大藤信郎アニメーション
2013年9月7日(土)・8日(日)
 
『くじら』『幽霊船』など世界的に評価される大藤信郎(1900−1961)の失われたと思われていた『のろまな爺』『竹取物語』の二本のフィルムが奇跡的に発見された。
これを記念して神戸映画資料館収蔵の大藤作品を一挙上映する。
なお、以下の解説は有文社刊「日本アニメーション映画史」を参照した。
 
Aプログラム
「のろまな爺」
(1924/5分[16コマ] /35mm/無声/染色)
*新発掘
スミカズ映画創作社の幸内純一に弟子入りしてアニメを学んだ大藤が初めて作った試作第一作。各種文献によると「のろまな親爺」と記載されているが、フィルムのクレジットは「のろまな爺」。復元はIMAGICAウェストが担当、発見された染色フィルムを白黒フィルムにプリントし改めてオリジナル通りに染色した。
「孫悟空物語」
(1926/8分[16コマ] /35mm/無声/白黒)自由映画研究所
お馴染みの孫悟空物語を千代紙を切り抜く方法でアニメ化したもの。孫悟空は猪八戒、沙悟浄とともに三蔵法師を守って天竺にたどり着く。
「みかん船」
(1927/6分[16コマ] /16mm/無声/白黒)大藤信郎プロダクション
嵐の中を紀州から江戸へミカンを運ぶ紀伊国屋文左衛門の話。かっぽれの総おどりで終る華やかな千代紙映画。
「黒ニャゴ」
(1929/3分[16コマ]/ 35 16 mm/無声/白黒)千代紙映画社
ニャゴよニャゴよと踊るニャゴほしや ニャゴは黒ニャゴ 首輪は赤で……
有名な童謡レコード「黒ニャゴ」の歌詞に合わせて黒猫と虎猫と四人の子供が踊る。フィルムは無声だが本来はレコードと同調するレコード・トーキー。
「お関所」
(1930/8分[16コマ] /35mm/無声/調色)千代紙映画社
箱根の山の関所に旅芸人の一座がやって来る。通行手形を持っていなかったが、芸をすれば通してやると言われ、猿回し、支那手品と賑やかに楽隊まで繰り出し関所を通る。
「村祭」
(1930/3分[16コマ]/35mm/無声/染色)千代紙映画社
村の鎮守の神様の、今日はめでたい御祭日、
ドンドンヒャララ、ドンヒャララ、朝から 聞こえる笛太鼓……
文部省唱歌「村祭」のレコードに合わして歌詞が出る。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「国歌・君が代」
(1931/3分[16コマ]/16mm/無声/白黒)千代紙映画社
君が代のレコードに合わせて四部構成(大八州国創生、君が代歌詞、天岩窟、金色のとび)で描く日本国の神話。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「春の唄」
(1931/3分[16コマ]/35mm/無声/染色)千代紙映画社
桜咲く国 桜 桜

 花は西から 東から

 此処も散りしく アスファルト……
OSK日本歌劇団春のおどりのテーマ曲「桜咲く国」としても知られる「春の唄」のレコードに合わせた千代紙アニメ。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「ちんころ平平玉手箱」
(1936/8分/16mm/白黒)千代紙映画社
昼寝の夢を亀に破られた“ちんころ平々”怒って竜宮まで追いかける。竜宮の門番に城内への立ち入りを断られるが、魚に化けて入り玉手箱を盗み出す。逃げ帰って玉手箱を開けたら出てきたのはタコ入道。
「子供と工作」
(1941/20分/16mm/白黒)十字屋映画部 
脚本:田中喜次 演出:渡辺義美 撮影:丸子幸一郎 影絵:大藤信郎 音楽:服部正
子供への工作教育の重要性を説く国策に沿った文化映画で実写が中心だが、部分的にアニメが使用されている。冒頭のタイトルバックから大藤独自の影絵が 登場する。
 
Bプログラム  
「マレー沖海戦」
(1943/27分/16mm/白黒)横浜シネマ商会
海軍省委託によりマレー沖海戦(1941)の成功を影絵映画化したもの。対米英開戦の直後、英国艦プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを日本の海軍航空隊が撃沈した様子を描く。
「雪の夜の夢」
(1947/9分/16mm/白黒)千代紙映画社
アンデルセンの「マッチ売りの少女」を中国風にした影絵で、幻想的な作品。雪の降る夜にロウソクを売る少女がある家の窓を覗くと親と子が幸福そうに暮らしている。力が尽き倒れるが、幻の母が現れ夢の中で母と一緒に戯れる。気がつくと母は消え親切な人に助けられる。
「花と蝶」
(1954/9分/16mm/カラー)千代紙映画社
擬人化された白い蝶と赤い蝶、黄色の蝶が春の光を浴びて飛んでいる。大雨となり白ユリ、紅バラ、黄色いチューリップに雨宿りを頼むが同じ色の蝶しか入れてくれない。小鳥にヒナが木の葉を落としてくれたので、それを被って雨宿り。雨が上がり再び三羽の蝶は元気を取り戻す。珍しいコニカラー作品だが上映プリントは褪色。
「団子兵衛捕物帖・開けーごまの巻」
(1955/10分/16mm/白黒)千代紙映画社
1952年「四十人の盗賊」の改題。山賊の首領は奪った千両箱を洞窟に隠しているが、「開けーゴマ」の呪文で岩戸を開けるのを目撃した団子兵衛は、同じ呪文で千両箱を取り戻す。紙恭輔の曲に合わせたミュージカル風。
「竹取物語」
(1961/3分/35mm/カラー・シネスコ/未完成)
*新発掘
1961年、61才の生涯を閉じた大藤が構想して果たせなかった竹取物語。テスト撮影のラッシュを見た人がいるとの情報はあったものの、その存在は今まで未確認であった。今回発見されたのはテスト撮影したフィルムで、作品としてはまとまっていない。コダックのネガ5248は褪色激しく完全な発色は不可能であったが、IMGICAウェスト技術陣の尽力で、デジタル技術を導入することなくフィルム作業だけで色再現を行った。
 
ウェブ・スペシャル 寄稿
 「新発掘!大藤信郎アニメーション」に寄せて
 渡辺 泰(アニメーション研究家)

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1500円 シニア・学生1300円
会員1300円 会員シニア・学生1200円

《割引》
当日、2プログラム目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第2回 音楽映画集1

2013年9月14日(土)〜16日(月・祝)
「音楽映画集」一週目は、1920年代のソヴィエト・ジャズから、グルジアの民謡、そしてペレストロイカ後のロック・ミュージックと、ポピュラー音楽をテーマにした作品集を。
そして二週目は、クラシック音楽を扱った華麗な大作を中心に集めました。
 
「陽気な連中」
(1934/95分/35mm)
モスクワ・キノコンビナート
監督:グリゴリー・アレクサンドロフ
脚本:ニコライ・エルドマン、ウラジーミル・マッス、グリゴリー・アレクサンドロフ
撮影:ウラジーミル・ニールセン
音楽:イサーク・ドゥナエフスキー
出演:レオニード・ウチョーソフ、リュボーフィ・オルローワ
音楽が好きな田舎の牧童コースチャが、モスクワの音楽学校へ入り、さまざまな偶然のおかげで隠れた才能を発揮する。エイゼンシュテインの陰に隠れていたアレクサンドロフが、その才能を一気に花開かせたハチャメチャ音楽喜劇。ソヴィエト・ジャズの創始者ウチョーソフ自ら主演。
 
 
「若き作曲家の旅」
(1985/104分/35mm)
グルジアフィルム
監督・脚本:ゲオルギー・シェンゲラーヤ
原作:オタール・チヘイゼ
出演:レヴァン・アバシーゼ、ギヤ・ベラーゼ
革命前夜の時代、古いグルジア民謡をすべて採集したいという夢に取りつかれた若い作曲家が、録音機を持ってグルジアの村々を回る。グルジア映画の重鎮シェンゲラーヤの、抑圧された祖国の歴史への思いを秘めた作品でイオセリアーニにも影響を与えた。1986年ベルリン映画祭銀熊賞受賞。
 
 
「ジャズメン」
(1983/88分/35mm)
モスフィルム
監督:カレン・シャフナザーロフ
脚本:アレクサンドル・ボロジャンスキー、カレン・シャフナザーロフ
撮影:ウラジーミル・シェフツィク
音楽:アナトリー・クロール
演奏:ソヴレメンニク
出演:イーゴリ・スクリャール、アレクサンドル・パンクラトフ=チョールヌイ、ニコライ・アヴェリュシキン、ピョートル・シチェルバコフ
1920年代、ソヴィエト・ジャズ草創期。ジャズの虜になったために音楽学校を退学させられた主人公が仲間を見つけ、ソヴィエト最初のジャズバンドを結成するまでを、豊富なジャズ音楽とともに綴る。『陽気な連中』とあわせて見て欲しい。
 
 
「僕の無事を祈ってくれ」
(1988/81分/35mm)
カザフフィルム
監督:ラシド・ヌグマノフ
脚本:アレクサンドル・バラノフ、バフイト・キリバェフ
撮影:ムラト・ヌグマノフ
音楽:ヴィクトル・ツォイ
出演:ヴィクトル・ツォイ、マリナ・スミルノーワ、ピョートル・マモノフ
映画大学の卒業制作として、ヌグマノフ監督が故郷アルマ・アタ(カザフスタン最大の都市)を舞台に、人気ロック・バンドのリーダーでやはりカザフ出身のヴィクトル・ツォイを主役に迎えて撮った長篇第1作。元恋人を麻薬密売グループから救おうと孤独な戦いを挑む主人公は、ペレストロイカ後のソ連に生まれた新しいヒーローとして人気を呼んだ。
 

第3回 音楽映画集2
2013年9月20日(金)〜23日(月・祝)
「チャイコフスキー」
(1970/155分/35mm)
モスフィルム
監督:イーゴリ・タランキン
脚本:ブジミール・メタリニコフ、ユーリー・ナギービン、イーゴリ・タランキン
撮影:マルガリータ・ピリヒナ
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:インノケンティー・スモクトゥノフスキー、アント二ーナ・シュラーノワ、エフゲニー・レオーノフ
ロシアの作曲家チャイコフスキーの生涯を、ソヴィエトの映画、音楽界が総力を結集して描きあげた音楽映画の大作。原案は、『真昼の決闘』『アラモ』などハリウッドで活躍したウクライナ出身の作曲家ディミトリ・ティオムキン。
 
 
「フランツ・リスト」
(1971/153分/35mm)
レンフィルム=マフィルム(ハンガリー)
監督:マルトン・ケチレ
脚本:レオニド・デリ、イムレ・ケシ
撮影:イシュトバン・ヒルデブラント
音楽監督:フェレンツ・ファルカーシ
出演:イムレ・シンコビッチ、アリアドナ・シェンゲラーヤ、クララ・ルーチコ
19世紀ハンガリーが生んだ作曲家でピアニスト、リストの伝記映画。ハンガリーの国立マフィルム撮影所との合作で、主なスタッフはハンガリーの映画人が固めている。高名なピアニスト、ジョルジ・シフラ、スビャトスラフ・リヒテルが演奏を担当しており、音楽ファン必見。
 
 
「ヨハン・シュトラウス」
(1971/100分/35mm)
レンフィルム
監督:ヤン・フリード
脚本:アナトーリー・グレブネフ
撮影:オレーグ・クホワレンコ
音楽:V・チスチャコフ
出演:ギルト・ヤコヴレフ、タチアナ・ベードワ、タチアナ・ピレツ力ヤ
19世紀半ばのペテルスブルグを舞台に、後に“ワルツ王”と呼ばれる若き作曲家シュトラウスの愛を描く。ロシア貴族の優雅な生活と社交界の様子も見所の一つ。演奏はレニングラード国立フィルハーモニー管弦楽団。
 
 
「クロイツェル・ソナタ」
(1987/155分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・シヴェイツェル、ソフィア・ミリキナ
原作:レフ・トルストイ
脚本:ミハイル・シヴェイツェル
撮影:ミハイル・アグラノヴィチ
出演:オレグ・ヤンコフスキー、イリーナ・セレズニョーワ、アレクサンドル・トロフィーモフ
トルストイの同名小説の映画化。題名のもとになったベートーベンの名曲にのせて、男と女の愛と性、エゴイズムと嫉妬が引き起こす悲劇を、主人公のモノローグで綴る。主演はタルコフスキーの『ノスタルジア』などで知られるオレグ・ヤンコフスキー。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第4回 SF大国1

2013年10月5日(土)・6日(日)
科学的な空想にもとづくサイエンス・フィクション(SF)というジャンルは、現実を離れたものを描いているにもかかわらず(あるいはそうであるからか)、不思議なほどその時代の様相を映し出す。今回は、1920年代の『アエリータ』に始まるソヴィエトの多様なSF映画を3回に分けて特集する予定です。
 
5日(土)は、サイレント映画『アエリータ』を、神戸を中心に活躍する山川亜紀さんの生伴奏でご覧いただきます。
 
「アエリータ」
(1924/125分[16コマ]/無声/35mm)
メジラプポム・ルーシ
監督:ヤーコフ・プロタザノフ
原作:アレクセイ・トルストイ
撮影:ユーリー・ジェリャプジスキー、エミール・シューネマン
美術:セルゲイ・コズロフスキー
出演:ユーリア・ソーンツェワ、ニコライ・ツェレテリ、ヴァレンチナ・クインジ、ニコライ・バターロフ
ロシア・アヴァンギャルド時代に作られたソ連初のSF映画。火星ロケットを設計する技師が、妻をピストルで撃ってしまい、ロケットで火星へ逃げる。そこでは火星の女王アエリータが大臣と権力闘争を繰り広げていた。ロケットで同行した赤軍兵士は、火星の奴隷たちを煽動し蜂起させる……。
 

伴奏:山川亜紀(コンポーザーピアニスト)
大阪音楽大学音楽学部ピアノ科卒業。各種コンサートにおいて独奏、伴奏、 アンサンブル等、多数出演。その他、教育CD-ROMの音楽制作、編曲、司会、高齢者や障害児の音楽療法にも携わる。 2000年、オリジナル曲1stアルバム「clear wind」を、2009年、2ndアルバム「with Friend」を発表。 大阪音楽大学演奏員。日本ピアノグレード認定協会審査員。長田のピフレホールで定期的に開かれている演奏会「おもしろ音楽博物館」でもおなじみ。

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》
[5日(土)・生伴奏付き]
一般1800円 学生・シニア1500円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1500円 学生・シニア1300円
アテネ・フランセ文化センター会員1500円
*招待券の利用不可
 
[6日(日)]
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。