サイレント映画鑑賞会 「溝口健二著作集」刊行記念
2013年6月9日(日)
日本が生んだ世界映画界の巨匠溝口健二が、生前に自身の署名で発表した記事を出来る限りすべて、重要と思われる発言を網羅した「溝口健二著作集」(溝口健二著 佐相勉編/発行オムロ 発売キネマ旬報社/6月上旬発売予定)刊行記念の一環として、神戸映画資料館で上映会を行います。
今回は、溝口初期の貴重なサイレント作品と、溝口と比較されるシュトロハイムの名作を、国内はもとより海外でも活躍中の演奏家、柳下美恵さんのピアノ伴奏付きでお楽しみいただきます。
15:00〜 第一部
「愚なる妻」Foolish Wives
(アメリカ/1921/110分[18コマ]/16mm)
監督・原作・脚本:エリッヒ・フォン・シュトロハイム 撮影:ベン・レイノルズ
出演:エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ルドルフ・クリスティアンズ、ミス・デュポン、モード・ジョーンズ、メエ・ブッシュハリソン・フォード
ユニヴァーサルでこの映画を監督したシュトロハイムは、巨額の製作費、5時間を超える長さのためにスキャンダルとなり、短縮を余儀なくされた。欧州大戦直後のモンテカルロ。ロシアの亡命貴族カラムジン伯爵(シュトロハイム)は、ヒューズ夫妻の妻ヘレン(ミス・デュボン)に接近し、金を巻き上げようと企む。ミシェル・メニルはその著書「溝口健二」(三一書房)にてシュトロハイムの「すべてを語り、すべてを示す」点などで溝口との類似を見ている。
17:10〜 第二部
トーク:柳下美恵+西田宣善(「溝口健二著作集」編集・発行者)
「ふるさとの歌」
(1925/50分[20コマ]/35mm)
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:溝口健二 原作:松居張二 脚本:清水龍之介 撮影:横田達之 美術:亀原嘉明
出演:木藤茂、髙木枡二郎、伊藤寿栄子、辻峯子、川又賢太郎、加藤司郎
サイレント期の作品が殆ど失われた溝口健二の作品の中で、最古の現存作品である。欠落した部分も殆どない貴重な作品。東京から故郷に戻ってきた貧しい青年(木藤茂)が、学問を捨てて農業に従事する。日活が文部省の委嘱で製作した教育劇映画で、農本主義的プロパガンダ臭は露骨にあるが、何度も見ていると、その軽快なカッティング、水辺のシーンの美しさ、当時の溝口作品の常連だった横田達之のキャメラが見られるところなど、美点は多く感じられてくる。
演奏:柳下美恵 写真:スズキマサミ
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー。以来、国内では東京国立近代美術館フィルムセンターや映画館、各地の映画祭等、海外はポルデノーネ無声映画祭やボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ)、韓国映像資料院などで伴奏した。イギリスのユリイカレーベル、㈱紀伊國屋書店から『裁かるるジャンヌ』『魔女』のブルーレイ、DVDで音楽を担当。日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。国やジャンルを越えた作品をこれまでに600以上伴奏した。
《料金》
一般1800円 学生・シニア1600円
会員一般1600円 学生会員・シニア会員1400円
*招待券のご利用不可
共催:神戸映画資料館、オムロ 協力:東京国立近代美術館フィルムセンター
サイレント映画鑑賞会 マック・セネットのキーストン喜劇②
2013年6月22日(土)・23日(日)
サイレント喜劇の大プロデューサー、マック・セネットが作った「キーストン社」で製作した3本を上映。加えて、ハル・ローチ・スタジオの人気者「ちびっこギャング(アワー・ギャング)」の1本をおまけ上映します。
いいをじゅんこさんの第4講コメディ学入門「続・3ばか大将」とあわせてお楽しみください。
「まずゐもの屋(小料理屋の欺瞞)」A Hash House Fraud
(アメリカ/1915/16mm/無声/20分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:チャーリー・チェイス
出演:ヒュー・フェイ、ルイーズ・ファゼンダ、フリッツ・シャーデ、チェスター・コンクリン
「愛と速力と戦ひ」Love, Speed and Thrills
(アメリカ/1915/16mm/無声/20分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:マック・スウェイン、ミンタ・ダーフィー、チェスター・コンクリン
「追駈砲弾(破弾)」The Cannon Ball
(アメリカ/1915/16mm/無声/33分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:チェスター・コンクリン、ハリー・ブッカー、チャールズ・アーリング
「アワーギャング喜劇 突貫がらくた列車」The Sun Down Limited
(アメリカ/1924/16mm/無声/15分[一部欠落/16コマ])
製作:ハル・ローチ 監督:ロバート・F・マッゴーワン
出演:アワーギャング
《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア800円
《割引》[第4講コメディ学入門] 参加者は200円引き
濱口竜介プロスペクティヴ in 関西
6月29日(土)〜7月8日(月)[水・木休館]
神戸・大阪・京都のミニシアター5館で同時開催する「濱口竜介プロスペクティヴ in 関西」。神戸映画資料館では、4時間を超える大作『親密さ』と、東北ドキュメンタリー三部作を上映。関西に拠点を移した濱口竜介の「これから」の「はじまり」にお立ち会いください。
トーク
6月29日(土)『なみのこえ 気仙沼』上映後
芹沢高志(『なみのこえ』『うたうひと』プロデューサー、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
濱口竜介(映画監督)
6月30日(日)『親密さ』上映後
丹生谷貴志(神戸市外国語大学 教授)
濱口竜介(映画監督)
7月7日(日)『なみのこえ 気仙沼』上映後
酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
濱口竜介(映画監督)
「親密さ」
(2012/255分[途中休憩あり]/HD[ブルーレイ上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介
撮影:北川喜雄 編集:鈴木宏
整音:黄永昌 助監督:佐々木亮介
制作:工藤渉 劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか
ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。
4時間を越える大作だが、ENBゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。
「なみのおと」
(2011/142分/HD[ブルーレイ上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌
2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録
酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。
「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。
震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。
「なみのこえ 気仙沼」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。
人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。
「うたうひと」
(2013/120分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌
宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。
酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。
*作品解説:木村建哉(映画研究者)
→公式サイト
→ウェブ・スペシャル 寄稿
「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」
井上正昭(翻訳・映画雑文)
→ウェブ・スペシャル 映画時評[一年の十二本]
第十二回 たどり着くことから解き放たれてすべては「はじまり」となる──『親密さ』
藤井仁子(映画評論家)
《料金》
[親密さ]
一般2000円 会員1800円
[その他作品]
一般1300円 会員1200円
3回券3300円(前売・当日あり/数に限りがあります/他会場と共通/複数人での利用可/『親密さ』にはご利用いただけません)
*招待券のご利用不可
*上映館により、各種料金の設定が異なりますのでご注意ください。
企画:fictive 後援:LOAD SHOW
濱口竜介プロスペクティヴ in 関西
6月29日(土)〜7月8日(月)[水・木休館]
神戸・大阪・京都のミニシアター5館で同時開催する「濱口竜介プロスペクティヴ in 関西」。神戸映画資料館では、4時間を超える大作『親密さ』と、東北ドキュメンタリー三部作を上映。関西に拠点を移した濱口竜介の「これから」の「はじまり」にお立ち会いください。
トーク
6月29日(土)『なみのこえ 気仙沼』上映後
芹沢高志(『なみのこえ』『うたうひと』プロデューサー、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
濱口竜介(映画監督)
6月30日(日)『親密さ』上映後
丹生谷貴志(神戸市外国語大学 教授)
濱口竜介(映画監督)
7月7日(日)『なみのこえ 気仙沼』上映後
酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
濱口竜介(映画監督)
「親密さ」
(2012/255分[途中休憩あり]/HD[ブルーレイ上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介
撮影:北川喜雄 編集:鈴木宏
整音:黄永昌 助監督:佐々木亮介
制作:工藤渉 劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか
ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。
4時間を越える大作だが、ENBゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。
「なみのおと」
(2011/142分/HD[ブルーレイ上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌
2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録
酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。
「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。
震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。
「なみのこえ 気仙沼」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。
人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。
「うたうひと」
(2013/120分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌
宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。
酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。
*作品解説:木村建哉(映画研究者)
→公式サイト
→ウェブ・スペシャル 寄稿
「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」
井上正昭(翻訳・映画雑文)
→ウェブ・スペシャル 映画時評[一年の十二本]
第十二回 たどり着くことから解き放たれてすべては「はじまり」となる──『親密さ』
藤井仁子(映画評論家)
《料金》
[親密さ]
一般2000円 会員1800円
[その他作品]
一般1300円 会員1200円
3回券3300円(前売・当日あり/数に限りがあります/他会場と共通/複数人での利用可/『親密さ』にはご利用いただけません)
*招待券のご利用不可
*上映館により、各種料金の設定が異なりますのでご注意ください。
企画:fictive 後援:LOAD SHOW
ドキュメンタリー「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
2013年7月12日(金)〜16日(火)
誰のために、何のために、
遠い“異国”で生きるのか
自分には何がいちばん大切なのか――
東京で暮らすビルマ人青年の14年間の記録
「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
(2012/100分/HD[ブルーレイ上映])
監督・製作:土井敏邦
撮影・編集:土井敏邦、横井朋広
整音:藤口諒太
写真撮影・デザイン:野田 雅也
配給:浦安ドキュメンタリーオフィス
1991年、ビルマ(ミャンマー)軍事政権の弾圧を逃れ、家族を祖国に残したまま、政治難民として日本に渡ったビルマ人青年チョウチョウソー(チョウ)。生活のためにレストランで働きながら、祖国で封じられた民主化運動を続ける日々。数年後、妻ヌエヌエチョウとの再会が叶うと、日本でビルマ料理店をオープンし、2人での亡命生活が始まる。第三国タイでやっと実現した14年ぶりの老父との再会。しかしその後の父の死の報にも帰国は実現しなかった。
日本での滞在はすでに20年以上になり、暮らしも安定した。しかし、そこはチョウにとって将来の保障もなく、祖国に貢献する役割も担えない“異国”であり、“自分の居場所”ではない。「家族に会いたい」「祖国で暮らしたい」という願いと、“祖国の民主化運動”のためにその望郷の想いを捨てなければならないという思い。その狭間で揺れ、迷ってきたチョウは、今の祖国の「民主化」をどう捉え、その中でどう生きようとするのか…。
『沈黙を破る』(2009)、『”私”を生きる』(2010)
で注目を浴びた土井敏邦監督の最新作!
2009年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位に輝いた『沈黙を破る』、2012年度ベスト・テンで第2位を獲得した『“私”を生きる』の土井敏邦監督が、在日ビルマ青年を14年もの歳月をかけて追い続けた注目の最新作。
主人公チョウが愛する“国”とは “国家”なのか、“故郷”なのか、それとも“大切な人”なのか。彼の生き方を通して、「愛国心」の真の意味を震災後の日本社会に静かに問いかける。
[公式サイト]
トーク付き上映 7月14日(日)13:00の回上映終了後
中尾恵子(日本ビルマ救援センター代表)
×
箱田徹(ビルマ情報ネットワーク・ディレクター)
中尾恵子(なかおけいこ)
日本ビルマ救援センター代表
日本ビルマ救援センターは20年以上にわたり、関西を拠点にタイ・ビルマ国境と日本国内のビルマ難民支援を行うNGO。中尾氏は90年代後半から活動に参加。優しく誠実な人柄からビルマ人の信頼も厚い。
箱田徹(はこだてつ)
ビルマ情報ネットワーク・ディレクター、立命館大学専門研究員
ビルマ情報ネットワークは、ビルマの抱える様々な問題をインターネットを使って日本語で紹介する情報系NGOで、箱田氏は大学時代から創設メンバーとして15年あまり活動を行う。東京ではアドヴォカシーに力を入れる。
ビルマ(ミャンマー)料理 7月13日(土)・14日(日)11:30ごろ〜
シネマカフェ・チェリー(神戸映画資料館内)
新長田のミャンマー料理店TeTe(テテ)さんのメニューを、2日間限定でご提供します。
通常よりミニサイズでお出ししますので、気軽にお楽しみください。
ミャンマーカレー300円 モヒンガー(麺類)250円 サモサ(1ッ) 180円
《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア・高校生以下1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円
津軽三味線 高橋祐次郎
「祭爆 SAIBAKU」〜までぃに三味線奏でるべ〜
2013年8月2日(金)〜6日(火)
急遽決定 監督トーク 8月4日(日)11:00の回上映終了後
冨沢 満
1964年NHK函館放送局赴任。その後、NHKのドキュメンタリー畑を歩き続ける。主な作品に教養特集「五稜郭」「ある人生 605号室のカルテ」「人間列島 春昴丸の人々」「特集 天王寺界隈」「NHK特集 井伏鱒二の世界」「NHK特集 トンボに なりたかった少年」「ぐるっと 海道3万キロ~涙で書いたラブレター~」「NHKスペシャル 空海の風景」「地球に好奇心 アンデスに響く黒人音楽」など多数。著書に「僕のNHK物語~あるTVドキュメンタリストの追憶」がある。
「祭爆 SAIBAKU」
(2013/91分/HD)
企画:蘇秋月 監督:冨沢満
撮影:中野英世
録音:芝丕東、矢島隆太
プロデューサー:平林猛
製作:株式会社ボス
男、命を三筋の糸にかけて……
すべての人へ贈る、
感動のドキュメント
この映画は、その民謡の達人の厳しくも豊かな人生を追った人間記録です。
昭和9年生まれの祐次郎は多くの秋田民謡、郷土芸能「ささら舞」や村芝居などに触発され、その芸を目覚めさせました。
やがて昭和30年、出稼ぎで一旗揚げようと大工道具と三味線を持って高度経済成長入り口の東京へ。結局、彼は大工道具を捨て、民謡酒場の下足番になります。 そこで目を凝らし、プロの芸人たちの芸を盗み続けました。
やがて日本はもちろん世界70ヵ国に花開く祐次郎の津軽三味線の音と楽しい話術が人々を魅了することになりました。
撮影開始の2011年から彼が亡くなる2012年9月までの、この2年間の記録は、祐次郎の元気な日々、その奏でる見事な音曲の世界、稽古場を中心に次の時代へ伝える命と技と芸の燃焼を追ったものです。
そして、弟子たちと交わす愛情こもった言葉や表情を豊かに伝え、また、「祐次郎先生」「祐次郎師匠」「祐ちゃん」とさまざまな言葉で彼に親しんだ多くの人々の証言が、彼の魅力を多面的に語ってくれています。
若き日の高橋裕次郎(左から2人目)
民謡歌手を志して入店した民謡酒場「らんまん」で
昭和30年代前半撮影、東京・浅草
[公式サイト]
高橋祐次郎とは
昭和9年、秋田県仙北郡角館町(現:仙北市角館町)生まれ。子どもの頃から民謡の中で育つ。昭和30年、大工道具と三味線を携えて上京。浅草の国際劇場で三橋美智也のショーに感激し、民謡の世界に入る。民謡酒場で修行し、32年、日本民謡協会に入会。33年、浅草松竹演芸場にて初代浜田喜一一行に参加、初舞台。39年、民俗芸能団の一行でハワイにて6ヵ月公演。その後、民祐会を創立、アジア民俗芸能祭、海外公演などを行う。62年、津軽三味線合奏団を結成し、高橋祐次郎&KAZEとして、国内各地、海外にて公演。 また、TV、ラジオ、レコード他で活躍。平成24年9月永眠。享年78才。
《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員一般1300円 学生会員・シニア会員1000円
「加藤泰、映画を語る」増補文庫版 刊行記念
加藤泰を見る、語る
2013年8月10日(土)・11日(日)
ちくま文庫版『加藤泰、映画を語る』
出版記念上映会へ向けて
山根貞男
加藤泰の講演集『加藤泰、映画を語る』が、ちくま文庫になった。元の単行本は1994年に筑摩書房から出版されたが、絶版になって久しい。近年、加藤泰作品の上映の機会が増えているなか、文庫版による復活は多くのファンへの贈り物になると思われる。しかも、新たに見つかった講演とエッセイを加えた増補版であり、愛娘加藤文の書き下ろしエッセイも収録されている。
この『加藤泰、映画を語る』は安井喜雄とわたし(山根)の編集による。そこで、当然のことながら、安井喜雄が館長の神戸映画資料館で加藤泰作品の上映会を催し、わたしが当館における加藤泰講座の特別版トークをおこなうことになった。
上映作品は『清水港は鬼より怖い』(1952)と『男の顔は履歴書』(1966)。この初期作品と中期作品を合わせて見れば、およそ同じ監督の撮った映画とは思えないことに、だれもが驚嘆するにちがいない。あらためて加藤泰恐るべし。
山根貞男映画講座「特別篇・加藤泰の世界」
8月10日(土)16:30〜(終了予定18:00)
「清水港は鬼より怖い」
(1952/
80 70分/16mm)
製作:宝プロ
監督:加藤泰 脚本:木下藤吉、友田晶二郎
撮影:近藤憲昭 音楽:高橋半 美術:鈴木孝俊
出演:大泉滉、沢村国太郎、原健作、尾上菊太郎、加東大介、朝雲照代
日本映画史には次郎長もの映画は無数にあるが、これほどデタラメな映画はめったにないだろう。江戸の老舗の若旦那が侠客に憧れて次郎長の子分になる。たったそれだけの話だが、漫才ミュージカルとでもいうべき奇天烈な時空をくりひろげてゆく。これがデビュー作『剣難女難』前後篇につづく第2作と、だれが信じられよう。(神戸映画資料館収蔵フィルムより欠落の少ない長尺16ミリ版で上映。当初80分と記していましたが、実際は約70分のプリントです。何卒ご了承ください。)
©1966松竹
「男の顔は履歴書」
(1966/89分/35mm)
製作:松竹
監督:加藤泰 脚本:星川清司、加藤泰
撮影:高羽哲夫 音楽:鏑木創
美術:梅田千代夫
出演:安藤昇、真理明美、伊丹一三、中谷一郎、内田良平、中原早苗、嵐寛寿郎
加藤泰が初めて松竹で撮った映画で、しかも本格的な現代劇。第2次大戦に敗れた直後の日本では、闇市に建ったマーケットが庶民の暮らしを支えてきた。そこの支配をめぐるいわゆる「マーケット戦争」が、戦中派の医師を主人公に、壮烈なアクション映画として描かれる。主役があの安藤昇なので、やくざ映画と誤解されることもあるが、戦中から戦後へかけての激動の底辺に封じ込められたマグマの噴出に焦点が合わされている。加藤泰はこのあと安藤昇と組んで『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(1966)『懲役十八年』(1967)を連作するが、その戦中派3部作の第1作である。
《料金》
[映画]1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円
《割引》
当日、2本目あるいは講座参加者は200円引き
[講座]
一般1200円 会員1000円
*講座参加ご予約受付中
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。
辛基秀映画の足跡
2013年8月31日(土)・9月1日(日)
この夏の光復節・解放記念日、韓国映像資料院で『解放の日まで 在日朝鮮人の足跡』が初上映される。この上映を受け、辛基秀映画の足跡をたどる。
「江戸時代の朝鮮通信使」
(1979/48分/16mm)
プロデューサー:辛基秀
シナリオ:滝沢林三、辛基秀
監督:滝沢林三 撮影:髙岩仁
撮影助手:清水良雄 音楽:高橋悠治
演奏:ヴァン・ドリアン 語り手:西村晃
タイトル:富永浩一
現像:東映化学工業 録音:大平スタジオ
ネガ編集:創映社 製作協力:東京シネアート
企画・製作:映像文化協会
江戸時代の絢爛豪華な朝鮮通信使の歴史的意義と、その華やかな文化交流の事実に、映画史上初めてスポットを当てた記念碑的作品。辛基秀が私費を投じて収集した朝鮮通信使資料の他、全国に点在する絵巻や屏風絵などを総動員して日朝の平和友好の歴史を描く。毎日映画コンクール2位、キネマ旬報文化映画ベストテン4位、日本映画ペンクラブ推薦、文部省選定。監督は『メーデー裁判』『イルム・なまえ 朴秋子さんの本名宣言』の滝沢林三。
「タチソ(高槻地下倉庫)作戦 成合地下トンネル」
(1984/34分/16mm)
製作:映像文化協会 監督:辛基秀 撮影:髙岩仁
戦時中、高槻市成合の山間部に掘削された高槻地下倉庫(軍の暗号でタチソ)の建設にあたって多くの朝鮮人労働者が危険な仕事に従事した。その実態を資料に基づき描いた作品。上映の機会が少なく必見。
「解放の日まで 在日朝鮮人の足跡」
( 1980 1986/ 210 195分/16mm)
原案・構成:辛基秀
撮影:髙岩仁 編集:辛島一
録音:佐々木昌彦 音楽:関口孝
ナレータ−:伊藤惣一 指導:朴慶植
企画・制作:青丘文化ホール(代表・辛基秀)
製作会社:労働映画社
新潟県中津川水力発電所工事場における朝鮮人労働者虐殺事件、岸和田紡績工場における朝鮮人・日本人紡績女工の共同闘争、愛知県三信鉄道工事場争議、九州筑豊麻生炭坑の労働争議など、日本の植民地から解放に至る解放運動の一翼を担った多くの人々を捜し出し、その貴重な証言を集めた。辛基秀が生涯をかけて集めた映像資料を駆使して戦前の在日朝鮮人の足跡を描いた大作。
辛基秀(シン・ギス)
1931年、京都市生まれ。神戸大学経営学部卒業。同大学院中退。1974年、映像文化協会代表。1984年、青丘文化ホール主宰。2002年10月5日没。
協力:辛理華
《料金》
1プログラムあたり
一般1300円 シニア1000円 学生700円
会員1200円 会員シニア900円 会員学生600円
《割引》
10名以上団体割引あり
当日、2プログラム目は200円引き
ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第4回 SF大国1
2013年10月5日(土)・6日(日)
科学的な空想にもとづくサイエンス・フィクション(SF)というジャンルは、現実を離れたものを描いているにもかかわらず(あるいはそうであるからか)、不思議なほどその時代の様相を映し出す。今回は、1920年代の『アエリータ』に始まるソヴィエトの多様なSF映画を3回に分けて特集する予定です。
5日(土)は、サイレント映画『アエリータ』を、神戸を中心に活躍する山川亜紀さんの生伴奏でご覧いただきます。
「アエリータ」
(1924/125分[16コマ]/無声/35mm)
メジラプポム・ルーシ
監督:ヤーコフ・プロタザノフ
原作:アレクセイ・トルストイ
撮影:ユーリー・ジェリャプジスキー、エミール・シューネマン
美術:セルゲイ・コズロフスキー
出演:ユーリア・ソーンツェワ、ニコライ・ツェレテリ、ヴァレンチナ・クインジ、ニコライ・バターロフ
ロシア・アヴァンギャルド時代に作られたソ連初のSF映画。火星ロケットを設計する技師が、妻をピストルで撃ってしまい、ロケットで火星へ逃げる。そこでは火星の女王アエリータが大臣と権力闘争を繰り広げていた。ロケットで同行した赤軍兵士は、火星の奴隷たちを煽動し蜂起させる……。
伴奏:山川亜紀(コンポーザーピアニスト)
大阪音楽大学音楽学部ピアノ科卒業。各種コンサートにおいて独奏、伴奏、 アンサンブル等、多数出演。その他、教育CD-ROMの音楽制作、編曲、司会、高齢者や障害児の音楽療法にも携わる。 2000年、オリジナル曲1stアルバム「clear wind」を、2009年、2ndアルバム「with Friend」を発表。 大阪音楽大学演奏員。日本ピアノグレード認定協会審査員。長田のピフレホールで定期的に開かれている演奏会「おもしろ音楽博物館」でもおなじみ。
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
《料金》
[5日(土)・生伴奏付き]
一般1800円 学生・シニア1500円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1500円 学生・シニア1300円
アテネ・フランセ文化センター会員1500円
*招待券の利用不可
[6日(日)]
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円