プログラムPROGRAM
2014 4

35ミリニュープリントで甦る「トパーズ」
2014年4月4日(金)〜8日(火)
「トパーズ」
(1991/113分/35mm)
原作・脚本・監督:村上龍
エクゼクティブ・プロデューサー:多賀英典
プロデューサー:永田陽介、平尾忠信、鈴木愛孝
テーマ音楽:坂本龍一(ヴェルディ『ドン・カルロ』より)
撮影・照明:青木優、長井和久
配給:ジェイ・ブイ・ディー
 
出演:二階堂ミホ、天野小夜子、加納典明、島田雅彦、三上寛、瀬間千恵、草間弥生
 
23年ぶりに甦る
漂流のSMハードコア

  
デビュー作『限りなく透明に近いブルー』(1979)など自作の映画化に取り組んできた ”異業種監督” のはしりとも言える村上龍。大所帯のスタッフ編成によるこれまでの映画制作に困難さを感じ、監督第4作にあたる『トパーズ』では、16mmキャメラを使ったコンパクトな制作方法に挑戦した(上映用に35mmプリントに変換)。
バブル期をむかえた沈みゆく日本=東京を背景に、主人公のコールガールを通して、現代社会の欲=情報・金・過剰な快楽が映しだされる。
出演は、大野一雄舞踏研究所で舞踏を学び、後にハル・ハートリー監督夫人となった二階堂ミホ、写真家・加納典明、ポストモダン小説の旗手・島田雅彦、現代美術作家・草間彌生と、今では不可能なキャスティングで異常な輝きを放っている。
テーマ曲のアレンジ演奏を坂本龍一が手がけるほか、この作品の制作中にキューバとの運命的な出会いをした村上監督は、当時、一部の愛好家のものであったキューバ音楽をサウンドトラックとして採用している。
 
アイはSMクラブで客の求めに応じてホテルに出向くコールガール。ある日、地下道で出会った占い師に薦められるままトパーズの指輪を買う。毎夜、歪んだような世界の中で様々な男達の間を彷徨うアイ。そんな中、美しくプライド髙いサキというSM嬢に出会う。「スーパーマンのようになれる」という不思議なクスリを手渡され、アイはかつて憧れ、恋をした男に会いに行く決心をする。高級住宅街の公園にたどりついた彼女ははかない幻を見る。
 
[公式サイト]
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1200円
会員一般1200円 学生会員・シニア会員1000円

*18歳未満の方は入場できません


大阪朝高ラグビー部・長編ドキュメンタリー
「60万回のトライ」
2014年4月11日(金)〜15日(火)

監督(朴思柔・朴敦史)来館決定
4月11日(金)・13日(日)各回上映終了後、ミニトーク

「60万回のトライ」
(2013/106分/HD[ブルーレイ上映])
監督・撮影:朴思柔、朴敦史
ブロデューサー:岡本有佳、永田浩三
編集:村本勝 整音:滝澤修
音楽:大友良英
ナレーション:根岸季衣
製作:コマブレス、60万回のトライ製作委員会
後援:日本ラグビーフットボール協会
協賛:ジェイ・スポーツ
配給:浦安ドキュメンタリーオフィス
 
朝鮮半島の北と南、日本──
3つの社会をつなぐ大切な存在
在日朝鮮人高校生の“いま”を映し出す

  
大阪生まれ、大阪育ち。見た目は日本人と変わらない。そんな彼らが通うのは大阪朝高(オーサカチョーコー)。高校ラグビーの激戦地で強豪校の仲間入りを果たし、日本一を目指して闘っている彼らの胸には、いったいどんな想いがあるのか? J-POPも、K-POPも、朝鮮の大衆歌謡もこよなく愛する、いまどきの彼らの素顔を描いたドキュメンタリー映画、ここに完成!
彼らが目指す「ノーサイド」(No Side)。ラグビーで試合が終了する時に使うことばだが、この言葉には国籍や民族を越えてお互いを讃え合うという精神が込められている。近隣情勢の緊迫化、ヘイトスピーチや高校授業料無償化の問題などに注目が集まる中、ひたむきにまっすぐに生きる彼らにとっての「ノーサイド」は一体何なのか?
 
本作は、ソウル出身の女性監督・朴思柔(ぱく・さゆ)が大阪朝高ラグビー部を3年間密着取材し、在日朝鮮人3世の朴敦史(ぱく・とんさ)が共同監督を務めた初の劇場公開向け作品となる。音楽は、前衛的かつ多彩な音楽活動で海外でも評価の高い大友良英。昨年、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽を担当し脚光を浴びた。ナレーションは、朗読劇でも定評のある俳優の根岸季衣が務め、脇を固めている。
 
[公式サイト]
 

大阪朝鮮高級学校(大阪朝高)
1952年創立。所在地は東大阪市。大阪一円、広くは和歌山、奈良、三重から在日朝鮮人の生徒約350名が通う。ラグビー部をはじめ、全国区のスポーツ強豪校として知られている。しかし、ラグビー部が公式戦に参加することができるようになったのは1991年。創部から20年近くが経っていた。全国大会初出場は2003年。以来、着実に力をつけ、ベスト4を二度、ベスト8を一度経験している。
朝鮮学校の歴史は、日本の敗戦直後、日本に残ることになった朝鮮人が民族の言葉を学ぶため、「国語講習所」をつくったことに始まる。現在、全国に64校。近年、高校授業料無償化からの排除、自治体の補助金停止など、学校をとりまく日本社会の状況が生徒たちを脅かしている。

《料金》
一般1500円 学生・シニア1200円 高校生以下1000円
会員一般1200円 学生会員・シニア会員1000円
特別鑑賞券1000円(劇場窓口にて4/8まで販売)
*ラガー割
ラガーシャツ着用、もしくはラグビーボール持参のお客様は当日1000円


日本映画の黄金時代
2014年4月26日(土)・27日(日)Aプログラム
2014年4月28日(月)・29日(火・祝)Bプログラム

4月27日(日)15:10「忠治活殺剱」の上映後
解説:山根貞男(映画評論家)

Aプログラム
「河内山宗俊」
(1936 / 81分 / 16mm)
監督:山中貞雄 脚本:三村伸太郎
撮影:町井春美 音楽:西梧郎
出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、市川扇升、原節子、山岸しづ江、助高屋助蔵、清川荘司、高勢実乗、鳥羽陽之助、衣笠淳子、三好文江
情婦お静のヒモになりさがった河内山宗俊と、守銭奴森田屋の用心棒である金子市之丞が、三百両の金のため女郎に売られようとするお浪さん(16歳の原節子)の危機を知って怒り、命を張って防ごうとする。山中はこの年『怪盗白頭巾』『海鳴り街道』を作るなど意気盛んな27歳だった。
 
「忠治活殺剱」
(1936/ 45分 / 35mm)
監督:久保爲義、マキノ正博 原作:伊藤大輔
脚本:比佐芳武 撮影:大森伊八
出演:淸水英太朗、大内弘、原駒子、大倉千代子、大久保淸子、葉山純之輔、光岡龍三郎、浅野進二郎、大倉文男、島津勝二
忠治は偽名を使って居酒屋に住み込んでいたが、山城屋勝蔵に娘を売りにきた父親が、勝蔵の計略で身包みを剥がされるにおよんで、忠治は義侠心から山城屋へ殴り込む。伊藤大輔の『忠次旅日記』の脚本をマキノが借りて製作したと言われる。今回上映するのはプラネット映画資料館所蔵の35mmプリント。後にフィルムセンターが無声版16mmをこれに補完し作成した58分版が現存する最長版(初公開時75分)である。
 
Bプログラム
「人情紙風船」
(1937/ 86分 / 16mm)
監督:山中貞雄 脚本:三村伸太郎
撮影:三村明 美術:久保一雄 音楽:太田忠
出演:河原崎長十郎、中村鶴藏、中村翫右衛門、霧立のぼる、御橋公、坂東調右衛門、市川樂三郎、市川菊之助、岬たか子、原緋紗子、山岸しづ江
江戸の貧乏長屋を舞台に、髪結いの新三や浪人の海野又十郎らが繰り広げる人情劇。日中戦争の泥沼へと突っ走る情勢下、撮影期間1ヵ月の厳しいスケジュールの中、28歳の山中は「ナカ抜き」で撮影時間を短縮、予定通り仕上げて封切りの日、撮影所内で召集礼状を受け取り出征、中国で戦病死し、帰らぬ人となった。映画は興行的にもヒットし、日本映画史上の名作と言われている。
「春秋一刀流」
(1939/ 74分 / 16mm)
監督、脚本:丸根賛太郎 撮影:谷本精史
美術:鈴木孝俊 音楽:高橋半
出演:片岡千恵蔵、沢村国太郎、市川小文治、原健作、仁礼功太郎、轟夕起子
博徒の親分笹川繁蔵と知り合い、飯岡助五郎との大利根河原の決闘に笹川方の助っ人として参加し闘死した幕末の剣客平手造酒を主人公に描く。山中貞雄亡き後、その再来かと言われた丸根賛太郎のデビュー作。巻頭から始まるチャンバラに次ぐチャンバラ。テンポの良い画面編集、高橋半による力強い音楽、字幕が随時挿入され、まるで和洋合奏で観る無声映画のようだ。
 

《料金》2本立て
一般1400円 学生・シニア1200円
会員1200円 会員学生・シニア1000円

*ラスト1本のみ:900円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。