プログラムPROGRAM
2015 4

筒井武文監督特集 part2
2015年4月11日(土)・12日(日)

筒井武文監督 来館!
監督挨拶 4月11日(土)「オーバードライヴ」の上映前
トーク 4月12日(日)「学習図鑑」「ヒカリ」の上映終了後
聞き手:吉野大地(ラジオ関西『シネマキネマ』ディレクター)

gakushu_zukan01「学習図鑑」
(1987-89/50分/16mm)
監督:筒井武文 撮影:宮武嘉昭 録音:浅利公治
音楽:太田恵資 製作:西村朗、菅安映
出演:高泉淳子、白井晃、篠崎はるく、遊◉機械/全自動シアター
高泉淳子と白井晃たちが1983年に旗揚げした劇団、遊◎機械/全自動シアターが87年に初演をおこなった『学習図鑑』をもとにした作品。テレビ番組『ポンキッキーズ』でも知られる、高泉演じる小学生「山田のぼる君」のひと夏の出来事を中心に描く。ロケ撮影パートも織り交ぜた構成で、公演記録をキャメラで収めるのではなく、「舞台を使ったフィクション映画を撮る」野心が全編にみなぎる。子供、ノスタルジー、奇想、無垢と無意味の交錯というモチーフには、初期作品『レディメイド』(82)や『ゆめこの大冒険』(86)との親和性も見出せるだろう。

hikari01「ヒカリ」
(2006/8分/HD-CAM[HDV上映])
監督:筒井武文 脚本:小林美香 撮影:宮武嘉昭
照明:箕輪栄一 美術:磯見俊裕
出演:長島良江、本間幸子、熊本野映
教鞭を執る東京藝術大学映像研究科が制作した短篇。和室に集まった三姉妹。長女の突然の告白に動揺する次女と三女。影が三人を覆うが、三女のあるアクションをきっかけに映画は光を獲得する。間取りを見失うキャメラ位置、風鈴の音色と対を成すように鳴る氷の音など、細部に趣向を凝らし、不思議な味わいを湛えた点描に仕上げている。

 

overdrive02「オーバードライヴ」
(2004/127分/35mm)
監督:筒井武文 脚本:EN 撮影:芦澤明子
照明:白石成一 美術:磯見俊裕 製作:榎本憲男
出演:柏原収史、鈴木蘭々、杏さゆり、ミッキー・カーチス、小倉一郎、諏訪太郎、石橋蓮司

overdrive01『ゆめこの大冒険』から約20年ぶりに取り組んだフィクション長篇は、サイレント/活劇/ミュージカル/アニメ/CGなど、映画の歴史を横断するかのごとく数多のスタイルで繰り広げられるエンターテインメント。音楽ユニット「ゼロデシベル」をクビになった主人公の弦が拉致同然に連行された先は下北半島。津軽三味線の修行を積み、己の再生と恋を賭けて強者たちとのバトルに火花を散らす。荒唐無稽な物語に、ハードロック/ラップとこれまた多種な音楽を絡めて束ねる手さばきは、それまでの映画制作・批評活動で培った確かなもの。当時の筒井武文の集大成と言える一作である。歌姫を語り手に据えた話の運びも軽妙。芦澤明子がHDカムで撮り上げた映像をもとに様々な加工が施された画面から、フィルムを至上のものとする筒井監督がデジタルの可能性を探求するさまが窺える。またそこには、映画をつくる悦びも息づいている。サイレントの様式で描かれたシーンは、「アタマじゃなくてからだで撮っている感じで、もしかしたら僕の生理が一番出ているかもしれない」(劇場パンフレットより)。

 

kodokuwakusei02「孤独な惑星」
(2010/94分/35mm)
監督:筒井武文 脚本:宮崎大祐 撮影:芦澤明子
照明:御木茂則 サウンドデザイン:森永泰弘
出演:竹厚綾、綾野剛、三村恭代、水橋研二、ヒカルド、市山貴章、ミッキー・カーチス

kodokuwakusei01原点である16ミリフィルム撮影に立ち返って生み出したモダンなラブ・コメディ。隣室から追い出された哲男を招き入れ、ベランダに居候させることになったOLの真里。ガラス越しに心を通わせはじめるが、その透明な扉はふたりを隔てる「見えない境界線」でもあった。真里のほのかな恋ごころの行き着く先は……? 戸や壁を使った巧みな空間設計とシュールな音響デザインにより、ありふれた都市風景が異世界へと変容。『オーバードライヴ』に続く芦澤明子の撮影とミッキー・カーチスの怪演も筒井作品ならではの虚構性を飛躍させる。ファッションモデルとしても活躍する竹厚綾が都会の片隅に暮らすヒロインをたおやかに演じ、ラストに訪れる彼女の「解放」は切なくも清々しい。身体性を生かした綾野剛のコミカルな演技も魅力。公開が待たれる新作『自由なファンシィ』へ連なる「筒井武文・愛の三部作」第一作。ヌーヴェル・ヴァーグ作品群の「部屋の映画」の記憶を呼び起こす珠玉の一本。
 
作品解説:吉野大地

●筒井武文監督インタビュー ──『筒井武文監督特集Part2』によせて──
『学習図鑑』『オーバードライヴ』『ヒカリ』『孤独な惑星』(取材・文/ラジオ関西『シネマキネマ』吉野大地)
筒井武文監督ロング・インタビュー(取材・文/ラジオ関西『シネマキネマ』吉野大地)

筒井武文
東京造形大学在学中より映画を撮り始める。フリーの助監督、フィルム編集者を経て、自主制作映画『ゆめこの大冒険』(1986)を完成させ劇場公開。映画制作と並行して、東京藝術大学大学院映像研究科、映画美学校などで後進の育成につとめるほか、映画批評を執筆。現在、「キネマ旬報」のレビューコーナーを担当している。最新監督作は、映画美学校第10期高等科生とのコラボレーション作品『孤独な惑星』(2011)。

 

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1200円 学生1000円 会員1000円 学生会員900円
《割引》
当日に限り2プログラム目は200円割引

サイレント映画鑑賞会 バスター・キートン蔵出し上映会
2015年4月18日(土)・19日(日)

Aプログラム
キートン晩年の異色作2本(16mm/計80分)

Bプログラム
キートンの伝記映画(16mm/91分)

*すべて日本語字幕無し

《料金》入れ替え制
700円(1プログラム)
《割引》
当日2プログラム目は200円引き
[第10講コメディ学入門] 参加者は1プログラム目から200円引き


[貸館]おコメダーズの映画まつりin神戸 -誰も教えてくれないアイノカタチ-
2015年4月25日(土)・26日(日)

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4月25日(土)・26日(日)
『おやじ男優Z』(池島ゆたか監督/105分)

4月25日(土)
『川下さんは何度もやってくる』
(いまおかしんじ監督/82分)

『恋のプロトタイプ』(中村公彦監督/87分)

4月26日(日)
『もうひとりのルームメイト』(中村公彦監督/30分)

『そして鬼になる』(田代尚也監督/22分)

『背徳の海 情炎に溺れて』(竹洞哲也監督/60分)

○おコメダーズのトークショー
ゲスト 25日=櫻井拓也さん、堀 有里さん 26日=田代尚也監督

○上映後、池島ゆたか監督、出演キャストらによるトークショー

○トークショー終了後、池島ゆたか監督、出演キャストらによる映画資料館ロビーでの簡単な懇親会あり(飲み物別料金/21時終了予定)

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★物販
「おやじ男優Z」公式パンフレット
「おやじ男優Z」原作者・有末剛/著書「緊縛師A 恍惚と憂鬱の日々」
「恋のプロトタイプ」DVD
「川下さんは何度もやってくる」DVD※特典としてレンタル用ジャケット

一日通し券1500円
問合せ先 090-1670-6547(担当・三輪)


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