プログラムPROGRAM

ストローブ=ユイレにおける永続的闘争論
2016年1月30日(土)・31日(日)

レクチャー:荒野への出奔、革命の連鎖
1月30日(土)17:20〜 参加無料
渋谷哲也(ドイツ映画研究)
今回上映する4作品は、過去と現在における様々な階級闘争の位相をモンタージュする作品である。20世紀初頭のユダヤ人排斥とシオニズム台頭の中でシェーンベルクが作曲した楽曲は、ストローブ=ユイレによって現代社会における火急の問題として読み解かれる。また18世紀のフランス革命、19世紀のパリ・コミューン、そして20世紀エジプトの階級闘争という様々な革命の顛末を辿ることにより、現代の我々の立ち位置が問い直される。それは切り詰められた映像から遥かなる未来の地平を見出すための映画的レッスンでもある。

Aプログラム
Schoenbergs01「アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門」
Einleitung zu Arnold Schoenbergs “Begleitmusik zu einer Lichtspielscene”
(1972/15分/16mm)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:レナート・ベルタ
1923年に作曲家シェーンベルクが、反ユダヤ主義に抗して友人の画家カンディンスキーに宛てた激烈な絶縁状が朗読され、シェーンベルクが架空の映画音楽として作曲した題名曲が重なる。1935年のブレヒトによるファシズムと資本主義の関連を指摘する演説も引用され、映画は黙示録的な未来を予感させて終わる。

moses01「モーゼとアロン」
Moses und Aron
(1974-75/105分/35mm)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:ウーゴ・ピッコーネ、サヴェーリオ・ディアマンティ、レナート・ベルタ
出演:ギュンター・ライヒ(モーゼ)、ルイ・ドヴォス(アロン)
聖書の「出エジプト記」に想を得たシェーンベルクのオペラ「モーゼとアロン」を、未完の第3幕も含めて完全に映画化した。指揮はミヒャエル・ギーレン、演奏はオーストリア放送交響楽団。偶像崇拝禁止の中での民の信仰心をめぐって思索する預言者モーゼと弁舌豊かな兄アロンの思想的対決が展開する。

 

Bプログラム
subetenokakumei01「すべての革命はのるかそるかである」
Toute révolution est un coup de dés
(1977/11分/35mm)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキ
ステファヌ・マラルメの革命的な詩「賽のひと振りは決して偶然を廃棄しないであろう」を、1871年のパリ・コミューンの闘士の最後の拠点となったペール・ラシェーズ墓地の芝生に座った九人の男女が朗唱する。様々な言語を母語とする彼らが頁上に散りばめられた星座のような詩の言葉が未来的な音楽となる。

trop01「早すぎる、遅すぎる」
Trop tôt, Trop tard
(1980-81/101分/16mm)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキ(第一部)、ロベール・アラズラキ(第二部)
第一部ではエンゲルスのカウツキー宛て書簡に基づき、18世紀末の農村の貧困状況が分析され、現在のフランスの村々が映し出される。第二部ではマフムード・フセインによる『エジプトにおける階級闘争』の近現代エジプトにおける農民蜂起の歴史が朗読され、それぞれの地域の現状が示される。革命は早すぎたのか、遅すぎたのか。

 

作品解説:渋谷哲也
協力:神戸ファッション美術館、アテネ・フランセ文化センター

《料金》入れ替え制
一般:1400円 学生・シニア:1300円
会員一般:1300円 会員学生・シニア:1200円

《割引》当日2プログラム目は200円引き
*招待券のご利用不可

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。