プログラムPROGRAM

戦前日本映画蔵出し上映

大阪・中崎町出身の映画監督、山本弘之による炭鉱を舞台にした現代劇、ドキュメンタリー映画監督として著名な柳澤寿男が監督補助を務めた下加茂撮影所の時代劇など、珍しい戦前の作品を蔵出し上映。音声や画面の悪いフィルムが含まれているのでお許しのほど願います。

part 1
2017年4月29日(土)・30日(日)
「山の誓ひ」
(1939/52分/16mm)鉄道省管理局/日活多摩川
監督:山本弘之 原作:陶山鉄
脚色:石田吉男 撮影:福田寅次郎
出演:山本礼三郎、伊沢一郎、近松里子、橘公子、三井智恵

大阪・中崎町出身の山本弘之監督作品。プラネット映画資料図書館がキネマ旬報「日本映画監督全集」のために当時の嶋地孝麿編集長から戸籍謄本取りを頼まれた監督の珍しい残存作品。坑夫として弟の学費を稼ぐ男の苦労と、その苦労に心痛する弟との葛藤を、落盤事故のエピソードを交えて描く。

 

「元禄快挙余譚 土屋主税 落花篇」
(1937/53分/16㎜)松竹京都(下加茂撮影所)
監督:犬塚稔 原作:綠園子 脚本:冬島泰三
撮影:片岡清 監督補助:柳澤寿男ほか
出演:林長二郎、高田浩吉、上山草人、北見礼子、光川京子

土橋式松竹フォーンによる1935年に死去した初代中村鴈治郎の追善映画。松の廊下での浅野内匠頭の刃傷を契機に、討入りを画策する赤穂浪士や吉良邸お隣の土屋主税の動向を描く。林長二郎(後の長谷川一夫)が土屋主税と赤穂四十七士の一人である杉野十平次の二役を演じているので二人を混同しないよう鑑賞に要注意。福祉ドキュメンタリー映画で知られる柳澤寿男監督が下加茂撮影所の助監督として犬塚稔監督に付いていた証の映画としても重要。

 

part 2
2017年5月6日(土)・7日(日)
「小島の春」
(1940/87分/16mm)東京発声映画製作所
監督:豊田四郎 原作:小川正子
脚色:八木保太郎 撮影:小倉金弥
出演:夏川静江、菅井一郎、杉村春子、三津田健、勝見康太郎

瀬戸内海のハンセン病(当時の呼称は「らい病」)療養施設長島愛生園に着任し患者救済に尽力した小川正子の手記を基に映画化したもの。小川を若き日の夏川静江が好演し映画的な評価は高いが、ハンセン病を強力な伝染病のように扱っているなどの問題があるため、近年は上映の機会が少ない。

 

「結婚の生態」
(1941/87分/16mm)南旺映画
監督:今井正 原作:石川達三
脚本:山形雄策 撮影:東健
出演:夏川大二郎、原節子、沢村貞子、高田稔、日暮里子

石川達三原作の同名小説を基に映画化。新聞社会部記者の夏川大二郎が紹介された原節子と意気投合し、結婚し、出産するという展開で、よき結婚生活建設の精神を描く。後に左翼映画の巨匠になった今井正監督の若き日の作品で、原節子ファンには特に見応えがあるだろう。

 

《料金》入れ替え制
part 1 一般800円 学生・シニア700円 会員一般700円 会員学生・シニア600円
part 2 一般1000円 学生・シニア900円 会員一般900円 会員学生・シニア800円
《割引》当日2本目は200円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。