七里圭監督最新作 『あなたはわたしじゃない』 & 初期作品35mmフィルム上映
2018年6月30日(土)・7月1日(日)
「音から作る映画」の到達点。
映画以後、の映画。
「あなたはわたしじゃない」
サロメの娘 ディコンストラクション
(2018/83分/ブルーレイ上映)
監督:七里圭 テキスト:新柵未成
撮影:高橋哲也、村上拓也、河合宏樹、本田孝義
録音・音響:宇波拓
音楽協力:池田拓実、多井智紀、西村直晃、檜垣智也
製作・配給:charmpoint
出演:青柳いづみ、長宗我部陽子、黒田育世、安藤朋子、川口隆夫、飴屋法水
「あなたはわたしじゃない」
そう言って、あの人は私のまえからいなくなった。
あの晩、私は森の中で置き去りにされた。
獣のマスクをしたあの人は、私のお母さん、だったのだろうか?
どことも知れぬ白い部屋で、若い女がつぶやき続ける。
記憶とも空想ともつかぬ独白に、呼び出されるように現れる、囚われの人々。
生き惑う男に素知らぬ振りして、女たちは踊りを止めない。
母から娘へ継がれるカルマを断ち、アイデンティティのくびきから解き放たれるために。
初期作品
「のんきな姉さん」
(2004/87分/35mm)
監督・脚本:七里圭 原作:山本直樹
撮影:たむらまさき 音楽:侘美秀俊 編集:宮島竜治
照明:佐藤譲 録音:白取貢
製作:ウォーターメロン・カンパニー、トランス・フォーマー、オービー企画
出演:梶原阿貴、塩田貞治、大森南朋、梓、佐藤允、三浦友和、細田玲菜、細田晃慶
姉(梶原阿貴)との禁じられた愛の記憶を小説に書き、雪山で自殺しようとする弟(塩田貞治)と、聖なる夜にオフィスで残業する姉。その二人の現在に、記憶=小説がフラッシュ・バックされてゆく。雪山と都会、現在と過去という二つの空間、二つの時間が錯綜し、いつしか姉弟はふたりきりで、夜空一杯に打ちあがる花火を見ている。そこは夢の世界か、黄泉の国か…。
目覚めれば目覚めるほど夢に近づいていく、不思議な感触の長編劇場公開映画第一作。七里はこのデビュー作を監督するにあたり、敬愛する山本直樹の同名漫画を原作にして、その漫画の霊感源、唐十郎『安寿子の靴』、森鴎外『山椒大夫』までを射程に収めた。
「夢で逢えたら」
(2004/20分/35mm)
監督:七里圭 撮影:高橋哲也、鈴木明彦
音楽:侘美秀俊 編集:宮島竜治
音響効果:岡瀬晶彦 整音:白取貢
記録:田口良子 プロデューサー:磯見俊裕
出演:安妙子、大友三郎
バスで眠っているうちに、僕(大友三郎)は〝どこか″にたどり着く。よく知っているような、でもぜんぜん知らないような街。長い坂道、釣り堀の向こうの公園、揺れるブランコ。そして僕は、一人の女性(安妙子)に逢った。誰だろう?よく知っているような、知らないような、彼女の部屋…。
まるで夢の中に迷い込んでしまったような、寄る辺ない不思議な切なさを湛えた実験的な短編。この映画はサイレントではない。しかし、二人の登場人物を取り巻く現実の状況音から、彼らの声だけが抜き取られているので、何を話しているのか分らない。声が失われた世界でのボーイ・ミーツ・ガール。欠如を抱えた映像として『眠り姫』、『ホッテントットエプロン』の原型であり、以後の長編を胚胎している重要な作品。「この映画でできたことと、できなかったことが、僕のすべて」とは、七里の言。
トーク 6月30日(土)14:35~ 参加無料(当日の映画鑑賞者対象)
七里 圭(監督)+堀 潤之(映画研究・表象文化論)
《料金》
一般:1700円 学生:1000円 シニア:1100円 会員:1000円
*当日2プログラム目は200円割引 *招待券のご利用不可