プログラムPROGRAM

『沈黙 立ち上がる慰安婦』神戸公開記念
朴壽南(パク スナム)特集

1948年の朝鮮学校が強制的に閉鎖された「4・24阪神教育闘争」から70周年を迎えた今年、在日の抱える問題に正面から取り組んで来た朴壽南監督の業績を振り返る。
1949年に東京朝鮮中等学校入学した朴壽南は、1950年の朝鮮戦争勃発を経て、1963年の小松川事件少年被告囚との往復書簡で注目を集め、1965年の広島・長崎のコリアン被爆の実態調査や、1989年の沖縄へ強制連行された軍夫・慰安婦の実態調査、その成果である証言集を出版。活字だけでなく動く映像でその証言を集め記録するドキュメンタリー映画作家としても知られる。最新作『沈黙 立ち上がる慰安婦』神戸公開に合わせ日本ドキュメンタリー映画史に欠かせない旧作をまとめて上映する。
 安井喜雄(神戸映画資料館館長)

第一週
2018年7月7日(土)・8日(日)

「ぬちがふぅ(命果報) 玉砕場からの証言」
(2012/132分/ブルーレイ上映)
監督・製作:朴壽南 撮影:大津幸四郎、照屋真治
録音:奥井義哉、諸見長人 編集:上嶋皓之、小俣孝行
音楽:原正美 ナレーション:朴壽南、三宅健太
制作コーディネータ:安井喜雄(資料提供:プラネット映画資料図書館)
製作:「アリランのうた」製作委員会

韓国釜山平和映画祭2014大賞〈夢見る平和賞〉受賞
山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 特別招待作品
あいち国際女性映画祭2013 正式招待作品

私たちは恨の道で出会い、
ぼう大な沖縄の民衆の「恨」を撮影してきた

太平洋戦争末期、‘鉄の暴風’にさらされ、約20万人が死亡した沖縄戦。
1945年3月26日、米軍が最初に上陸をめざした慶良間諸島では、日本軍が島の住民へある命令を下していた。「玉砕」、自決の命令である。 渡嘉敷島では330名、座間味島178名、慶留間島(げるまじま)では、島の人口の半分の命が玉砕の悲犠牲になった。阿嘉島では日本軍によって、スパイ容疑がかけられ住民が殺された。

朝鮮半島から強制的に沖縄の戦場に連行された若者たち、前線の慰安所につながれ名もわからないまま死んでいった少女たちの存在を探す旅は、沖縄人自身の戦争体験の深い傷と沈黙との出会いでもあった。
その玉砕場の記憶を掘り起こす旅は、1944年7月サイパンの玉砕場から生きて帰った沖縄人との出会いからはじまる。青酸カリを兵隊に渡され、口に含み奇跡的に助かったかつての少女だ。敵に一矢報いるまでは死ねないと、かつての軍国少年は一家の自決寸前で死ぬことを拒否していった。

命がけで脱出し一命をとりとめた朝鮮人元軍属たち6名が、韓国から47年ぶりに再び島を訪れ、しまんちゅ(島人)と共に、かつて自分たちが労働を強いられ、仲間が殺されたその現場を探す旅がはじまる。
沖縄の住民たちは韓国からの元軍属の訪問をなつかしむように迎え、共に戦火の中の記憶を語りだす。沖縄の島々に連行され天皇の軍隊の奴隷として監禁され踏みにじられた朝鮮の「慰安婦」。まだ15、6歳の女の子たちが、どこにどのように連れて来られ、慰安所ではどうだったのか。朴壽南の執念の取材が、住民達の口を開かせ鮮明な記憶となって浮き彫りとなる。

講演(調整中) 7月8日(日)15:50~ 参加無料(当日の映画鑑賞者対象)

 

第二週
2018年7月21日(土)・22日(日)

「もうひとつのヒロシマ アリランのうた」(1986/58分/16mm)

監督:朴壽南 撮影:大津幸四郎、星野欣一 編集:富塚良一 整音:甲藤 勇 音楽:原正美
製作:青山企画、アリランのうた製作委員会

父や母たちは、
未曾有の原爆惨禍を証言して、
人類の未来を証言する

監督第1作。広島・長崎で十万人ともいわれながら、日本、南北朝鮮の政府からも棄民されてきた朝鮮人の原爆被爆の実態に初めて光をあてた作品。小松川事件(58年)の少年死刑囚・李珍宇との書簡集の後、朴壽南は奪われた存在を回復する「私の旅」に向かい1965年から広島、長崎、筑豊へ。南北の分断をこえ朝鮮人被爆者の沈黙を掘り起こし、73年に証言集を発表。85年からペンをカメラに替え、植民地下の強制連行と皇民化教育、差別と原爆障害に苦しむ同胞の声なき声、治療のため来日した在韓被爆者の訴えをすくいとり、日本の反核運動に衝撃を与えた。87年原水爆禁止世界大会で上映。

 

「アリランのうた オキナワからの証言」(1991/100分/16mm)

監督:朴壽南 撮影:大津幸四郎、宮内一徳 編集:富塚良一 整音:甲藤勇 音楽:原正美
製作:アリランのうた製作委員会

私のあるべき場所はどこか。
それを捜して、
戦後なお隠蔽されてきた歴史の闇へ降りていった

歴史の闇に葬られてきた沖縄戦の朝鮮人「軍属」と「慰安婦」の実相を追う第2作。本作も死者の鎮魂と再生の思いに貫かれる。1989年、朴壽南は沖縄に移住し戦争体験を聞き取り、韓国の元「軍属」や日本兵ら100人以上を取材。慶良間諸島に強制連行された軍属の日本兵による虐殺や「慰安婦」の悲劇を明らかにする。「慰安婦」は「天皇の軍隊による性暴力」と提起した本作の上映運動は、90年代、日本の責任を問う韓国の元「慰安婦」の闘いを支えた。初めて「慰安婦」と名乗りでたペ・ポンギさんの映像は反響を呼び、その死後、市民の手で「慰安婦」「軍属」を悼む「アリラン慰霊のモニュメント」が97年に沖縄・渡嘉敷島に建立された。

 

→『沈黙 立ち上がる慰安婦』7月7日〜13日 元町映画館で公開
→『沈黙 立ち上がる慰安婦』映画の公式サイト
→パク・スナム公式サイト

《料金》入れ替え制
一般:1400円 学生:1000円 会員:1000円

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。