プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2020

新春剣豪映画大会
2020年1月4日(土)・5日(日)

神戸映画資料館は難しい映画ばかり上映している、もっと楽しい映画をやって欲しいとの声を時々いただく。新春はこの要望に応えて剣豪の出て来る時代劇を上映いたします。
市川右太衛門主演でお笑いを盛り込んだ『柳生二蓋笠(改題:柳生殺陣剣)』、片岡千恵蔵主演で稲垣浩監督の『宮本武蔵 一乗寺決闘』最長版、前進座の河原崎長十郎と中村翫右ヱ門主演で溝口健二監督の『宮本武蔵』の珍しい三作品。
なお、古いフィルムにつき音声の聞き難い部分があることをご了承ください。

 

「柳生二蓋笠(改題:柳生殺陣剣)」

(1938/58分/16mm)新興キネマ(京都)
製作:高橋幹雄 監督:仁科紀彦 脚本:三室戸寛二 撮影:原義勝
出演:市川右太衛門、梅村蓉子、市川男女之助、松本泰輔、荒木忍、國友和歌子

将軍が市中で辻斬りをしていると知った大久保彦左ヱ門と柳生但馬守は天下の一大事と悩む。そこへ柳生但馬守の三男で勘当され行方知れずの又十郎が江戸の街に戻って来る。彦左ヱ門は又十郎を辻斬りに遭遇させその腕を試す。又十郎の勘当を解くため但馬守との御前試合を計画、顔を笠で隠した又十郎は見事、笠で槍を払い勝った。但馬守は試合の相手が自分の息子の又十郎だと知り、将軍の徳川家光から褒められ喜ぶのだった。

 

「宮本武蔵 一乗寺決闘」

(1942/118分/16mm)日活京都
製作:高橋幹雄 監督・脚本:稲垣浩 原作:吉川英治 撮影:石本秀雄
出演:片岡千恵蔵、香川良介、尾上華丈、市川春代、宮城千賀子

朝日新聞に連載された吉川英治の小説の映画化。京の名門、吉岡道場に勝負を挑んだ武蔵は当主の吉岡清十郎を倒し、三十三間堂で弟の吉岡伝七郎を倒し、一乗寺下り松で多数の門弟に囲まれた12歳の吉岡源次郎を倒す。比叡山に籠った武蔵は仏像を彫って祈るが山を追われた。

 

「宮本武蔵」

(1944/55分/16mm)松竹京都
製作:マキノ正博 監督:溝口健二 原作:菊池寛 脚本:川口松太郎 撮影:三木滋人
出演:河原崎長十郎、中村翫右ヱ門、生島喜五郎、田中絹代

毎日新聞連載戦時版に連載された菊池寛の宮本武蔵の評伝の映画化。父の敵討のため教えを乞う姉と弟が現れ、武蔵は一乗寺の決闘のあと剣術を教える。それを知った敵は佐々木小次郎を味方にして弟を斬る。一年後の小倉、姉の見送りで船に乗り込んだ武蔵は、小次郎が待つ巖流島に向い波打ち際での一騎打ちで小次郎を倒す。

 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
《割引》当日2本目は200円引き


神戸クラシックコメディ映画祭2020
2020年1月11日(土)〜13(月・祝)

11日・13日 会場:神戸映画資料館(新長田)
12日 会場:旧グッゲンハイム邸(塩屋)

 

お待ちかね 年の初めは
神戸クラコメの笑い初め
フェアバンクスのチャンバラにワクワク
いつも仲良しローレル&ハーディ
キートン チェイスに 千恵蔵さんも
笑いのタイムマシンに乗って
いざ 喜劇の時間旅行へ!

──いいをじゅんこ
(クラシック喜劇研究家/古典喜劇映画上映委員会委員長)

 

 

 

Aプログラムプラネットの宝石たち 神戸映画資料館所蔵コメディ集
『ボビーの離婚騒動』Reno or Bust
(1924/17分/サイレント)クリスティ・フィルム・カンパニー
監督:アーチー・メイヨ
出演:ボビー・ヴァーノン、デュアン・トンプソン

『戦争ゴッコ』Dogs of War!(欠落あり)
(1923/15分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ロバート・マクガワン
出演:ちびっこギャング

『モンティの運は天にあり』Flying Luck(短縮版)
(1927/15分/サイレント)モンティ・バンクス・エンタープライズ
監督:ハーマン・C・レイメイカー
出演:モンティ・バンクス、ジーン・アーサー

『國士無双』Kokushi Musou(不完全)
(1932/21分/サイレント)日活
監督:伊丹万作
出演:片岡千恵蔵、山田五十鈴、高勢実乗

神戸映画資料館所蔵フィルムの中からとりわけ珍しいコメディ作品を厳選したプログラム。言わずと知れた千恵プロ明朗時代劇の傑作『國士無双』は新春らしく和楽と弁士付きの貴重な上映。断片のみ現存する作品だが何度観ても面白い!

伴奏
戎屋海老(弁士)+清優の会(琴・三味線)
天宮遥(電子ピアノ)


Bプログラム100歳映画
『奇傑ゾロ』The Mark of Zorro
(1920/90分/サイレント)ダグラス・フェアバンクス・ピクチャーズ
監督:フレッド・ニブロ
出演:ダグラス・フェアバンクス、ノア・ビアリー

恒例プログラム「100歳映画」はついに20年代に突入。ダグラス・フェアバンクスが軽喜劇から剣戟映画へ路線変更したのがちょうど百年前。弱きを助け強きをくじく覆面ヒーローの元祖だ。アクションとロマンスたっぷりの痛快娯楽活劇!

伴奏
天宮遥(電子ピアノ)


Cプログラム迎春 ニッポンの喜劇

©日活

『続清水港』Zoku Shimizu Minato
(1940/90分/トーキー)日活
監督:マキノ正博
出演:片岡千恵蔵、広沢虎造、轟夕起子
(株)日活提供

清水次郎長ものをパロディ化した元祖タイムスリップ時代劇。夢と現実ならぬ時代劇と現代劇の狭間で森の石松となった千恵蔵の悪戦苦闘ぶりに彼の喜劇的センスが光る。浪曲師・広沢虎造との「石松三十石船道中」の軽妙な掛け合いは必見!子役として長門裕之が出演している。画面上のタイトルは再公開時の題『清水港 代参夢道中』。

Dプログラムショートコメディのマエストロ
『ビリーの舞台裏』The Lion’s Whiskers(短縮版)
(1925/12分/サイレント)マック・セネット・コメディーズ
監督:デル・ロード
出演:ビリー・ビーバン、マデリン・ハーロック、サンシャイン・ハート

『キルトとズボン』Putting Pants on Phillip
(1927/27分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:クライド・ブルックマン
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ

『映画の夜』Movie Night
(1929/22分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ルイス・R・フォスター
出演:チャーリー・チェイス、タイニー・サンフォード

『八百屋の恋』労工之愛情
(1922/23分 29分/サイレント/DVD)明星影片公司
監督:張石川
出演:鄭鹧鸪、余瑛、鄭正秋
現代中国映画上映会提供

喜劇の真髄は短編にあり。おなじみチャーリー・チェイス最後の無声作品やローレル&ハーディの初期傑作などに加え、現存する最古の中国映画『八百屋の恋』を関西初上映!中国無声映画についてのアフタートークも行う。

伴奏
鳥飼りょう(電子ピアノ)

トーク
菅原慶乃(関西大学教授) 聞き手:いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)

菅原慶乃
関西大学文学部教授。専門は中国語圏の映画史。1998年〜2001年まで北京電影学院に留学。著書に『映画館のなかの近代:映画観客の上海史』(晃洋書房、2019年)、『越境の映画史』(堀潤之との共編、関西大学出版部、2014年)など。


Eプログラム激レア!キートン
『拳闘屋キートン』Battling Butler
(1926/77分/サイレント/Blu-ray)バスター・キートン・プロダクションズ
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン、スニッツ・エドワーズ
(株)ダッサイ・フィルムズ提供

キートン演じる草食系の御曹司がひょんなことからボクシングに挑戦。忠実な執事に助けられ、ヒロインとの結婚目指して奮闘する。高級ファッションに身を包むキートンのおぼっちゃまぶりも見逃せない。レアなキートン喜劇を堪能しよう!

12日 説明:大森くみこ(活動弁士) 伴奏:鳥飼りょう(グランドピアノ)
13日 録音伴奏付き上映

Fプログラムよみがえる喜劇人 アリス・ハウエルの世界
『海神のやんちゃ娘』Neptune’s Naughty Daughter
(1917/24分/サイレント/Blu-ray)センチュリー・フィルム・カンパニー
監督:J・G・ブリストーン
出演:アリス・ハウエル、ファッティ・ボス

『アリスのスター誕生』How Stars are Made
(1916/12分/サイレント/Blu-ray)L-KOカンパニー
監督:J・G・ブリストーン
出演:アリス・ハウエル、レイモンド・グリフィス

『アリスの恋は儚し』Distilled Love
(1920/25分/サイレント/Blu-ray)リールクラフト・ピクチャーズ
監督:ヴィン・ムーア
出演:アリス・ハウエル、ディック・スミス、オリヴァー・ハーディ

以上、アンダー・クランク・プロダクション提供
協力:デンマーク映画協会、米国議会図書館

忘れられた喜劇人の復権もクラコメのテーマの一つ。今回紹介するアリス・ハウエルは無声時代に「女チャップリン」と称賛された名コメディエンヌだ。女性の視点と包容力をスラップスティックに織り込んだアリスの喜劇はまさにその称号にふさわしい。

伴奏:塩屋楽団(澤井まり saxophone、鈴木勝 guitar、清造理英子 trombone、森本アリ trumpet、吉野かおり trombone)

Gプログラム英国発イーリング・コメディ
『白いスーツの男』The Man with the White Suit
(1951/85分/トーキー)イーリング・スタジオ
監督:アレクサンダー・マッケンドリック
出演:アレック・ギネス、ジョーン・グリーンウッド

決して汚れない「究極の繊維」を発明した科学者を襲う予想外の危機。資本主義社会への痛烈な諷刺を独特のウィットで描く。戦後の英国で花開いたイーリング喜劇はコメディ映画史の知られざる至宝。名優アレック・ギネスのドタバタ演技は必見。


Hプログラムこども活弁ワークショップ発表会[無料]

大森くみこ弁士を講師に招いてちびっこ(+おとな)の活弁ワークショップを開催します。カツベンが熱いいま、無声映画をより身近に感じる貴重な体験です。奮闘の成果を旧グッゲンハイム邸にて発表!

1月12日(日) 会場:旧グッゲンハイム邸
こども活弁ワークショップ!開催

 

作品解説:いいをじゅんこ(『続清水港』は吉井美稀)
記載以外はすべて16mmフィルムでの上映

《料金》入れ替え制*当日に限り2プログラム目は100円割引 *未就学児は無料
活弁+演奏付き上映 一律1500円
演奏付き上映 一般1400円 会員・学生1200円 小中学生1000円
上映のみ 一般1200円 会員・学生1000円 小中学生800円

フライヤー、ポスターデザイン:萩原小麻紀

主催:古典喜劇映画上映委員会
後援:神戸市、神戸市教育委員会
助成:芸術文化振興基金
協力:プラネット・プラス・ワン


第42回 くにづか月イチ上映会
2020年1月19日(日) 13:30〜
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


[お詫びとお知らせ]
『貴族の巣』と『ワーニャ伯父さん』はカラー作品ですが、上映プリントがかなり褪色していることがわかりました。確認が遅くなり申し訳ありません。
通常の鑑賞料はいただけないと判断しカンパ制とさせていただきます。楽しみにされていた皆様にご迷惑をおかけすること、心よりお詫び申し上げます。(2020年1月24日)

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第29回 アンドレイ・コンチャロフスキー特集 後編

2020年1月25日(土)・26日(日)

アンドレイ・コンチャロフスキーが連続して手がけた文芸作品の映画化。新境地を切り開き、映画作家としての地位を世界的にも不動のものとした。

「貴族の巣」ДворянскоеГнездо
(1969/110分/35mm)モスフィルム

監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー
原作:イワン・S・ツルゲーネフ
撮影:ゲオルギー・レルベルグ
音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ
出演:イリーナ・クプチェンコ、レオニ―ド・クラーギン、ベアタ・トゥイシケヴィッチ、ヴィクトル・セルガチョフ

19世紀中葉のロシア貴族社会を背景に、理想に燃えながら夢破れるインテリ貴族の悲劇を描く。愛と信仰にひたむきで、永遠に純真さを失わないヒロイン、リーザ役には、当時、演劇学校在学中の新人イリーナ・クプチェンコが抜擢され、次回作『ワーニャ伯父さん』にも続けて出演している。

 

「ワーニャ伯父さん」Дядя Ваня
(1971/104分/35mm)モスフィルム

監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー
原作:アントン・チェーホフ
脚本:ユーリー・クレピコフ
撮影:ゲオルギー・レルベルグ、エフゲニー・グスリンスキー
美術:V・ラッポポルト
音楽:アルフレッド・シニートケ
出演:インノケンティ・スモクトゥノフスキー、セルゲイ・ボンダルチュク、イリーナ・クプチェンコ

痛風病みの老教授と若く妖艶な後妻エレーナ、宗教的な忍従と暖い愛の心を持った教授の娘ソーニャ、ソーニャとともに教授のために一生を領地の経営に捧げてきたワーニャ伯父さん、19世紀末の頽廃した時代にあってもなお、未来に希望を繋いでいる医師アーストロフらの登場人物が、たがいに交錯しあって結ぶことのない愛を織りなし、空しく孤独感を燃焼させる。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

[お詫びとお知らせ]
『貴族の巣』と『ワーニャ伯父さん』はカラー作品ですが、上映プリントがかなり褪色していることがわかりました。確認が遅くなり申し訳ありません。
通常の鑑賞料はいただけないと判断しカンパ制とさせていただきます。楽しみにされていた皆様にご迷惑をおかけすること、心よりお詫び申し上げます。(2020年1月24日)

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


[貸館]映画「夏の光、夏の音」
2020年2月1日(土)

完成・特別上映決定!!
カンヌ映画祭での上映をはじめ国際的に活動する
八十川勝監督の最新作がついに公開します。
聴覚障害者のコミュニケーションや
がん患者の日常といったマイノリティーの
“感性”を繊細にすくいとり、
丁寧に描く監督による、
視覚障害を持つ喫茶店の店員の物語。

 

→予告編映像

 

完成披露有料試写会 ※字幕有り

【上映時間】
1部 11時開場 11時20分上映開始
2部 14時開場 14時20分上映開始

 

※カメラ
撮影は上映中は禁止、それ以外は可
動画は全面禁止
 

《料金》 前売り 1800円 (おまけ付き)  当日 2000円 (おまけ付き)
▶受付にて割引があります◀
*こんにちわの手話が出来たら100円引 *点字が読めたら100円引

【メール予約】
受付メールアドレス info_summer_light@tarumimovie.com
件名に「夏の光、夏の音」とお書きの上、
①お名前(ふりがな) ②電話番号 ③メールアドレス
④人数 ⑤時間(午前の部11:00~、午後の部14:00~)
をお送りください。

受付完了メールは、info_summer_light@tarumimovie.com のアドレスで返信しております。

迷惑メール設定などで受信拒否をされている方は、必ず info_summer_light@tarumimovie.com ドメインが受信できますよう、設定の変更をお願いいたします。

また、「垂水映画劇団クリスマス上映会2017」にお越しいただいた皆様は、映画上映の鑑賞費が0円になります。

上映企画・主催:垂水映画劇団


[貸館]戦後初期日本アニメーション上映会
2020年2月2日(日) 14:00〜17:00

日本アニメーション史研究において、東映長編(1958年〜)の以前の歴史として、満州事変に始まる十五年戦争期(1931〜1945年)の研究は近年数多くなされているが、1945年〜1958年(戦後初期)の研究はいまだ蓄積に乏しい。そのため戦中と戦後が直結するような歴史に映りがちである。

しかし、戦後初期は戦争から開放されつつも、社会全体が混乱していた時代であり、アニメーション制作もまたその例外ではなかった。そこで本上映会では戦後初期の映像を参照することを通じて、演出手法や制作体制など、どのようなアニメーション制作のあり方が模索されていたのかの検討材料とする。

そこで行われた模索の多くは、東映長編やテレビアニメといった戦後主流となったアニメーションにはつながらなかった。しかし、だからこそ現代のアニメーションにも示唆を与えるものになるだろう。

 

お申し込み
Googleフォームからお申し込みください。締切は開催前々日(1月31日)の14時です。
《参加費》 3000円(カンパ歓迎)
懇親会:あり(費用別途・場所は「清本の店」を予定)

主催:アニメ・マンガ評論刊行会
主催事務担当者:たつざわ さとし→メール


第43回 くにづか月イチ上映会
2020年2月8日(土) 13:30〜
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


前田憲二監督の長編記録映画 連続上映 第1回
2020年2月22日(土)・23日(日)

NPO法人ハヌルハウス代表の前田憲二監督から、自作の映画フィルムを寄贈していただいた。それを記念し隔月を目安に全てのフィルムを上映してゆきます。
その第一弾として今回は封切り当時から評価の高い超大作『神々の履歴書』を35ミリ・フィルムでご覧いただきます。
今後の上映予定作品は『おきなわ戦の図・命どう宝』『土佐の泥繪師・繪金」『神々の履歴書』『土俗の乱声』『恨・芸能曼荼羅』『百萬人の身世打鈴』『原色に白を求める画家—呉炳学の宇宙』『月下の侵略者』など。

 

「神々の履歴書」
(1988/140分/35mm)製作:神々の履歴書製作委員会
監督:前田憲二 プロデューサー:萱沼紀子、山本和信
音楽:今井重幸 撮影:南文憲、金徳哲
ナレーター:日下武史 絵画:丸木俊 題字:岡本太郎

渡来文化の歴史を描くことで、今も日本人の心にくすぶりつづける皇国史観の亡霊ともいうべき差別意識を描く。金基雄、中西進、伊福部昭、伊福部達、金達寿、高麗澄雄、大塚初重、上田正昭らの貴重な発言とともに、カメラは韓国から福岡、島根、京都、東京、長野、岐阜、香川、埼玉、山梨、和歌山、奈良ヘと全国を縦断し、神社や祭礼を追いかけ渡来文化の痕跡を探る。


 

前田憲二
1935年大阪府出身。1960年代後半より日本各地や中国・朝鮮半島に祭りや芸能を追い続け、祭事を記録したテレビ・映画作品は250本以上におよぶ。 代表作に、『おきなわ戦の図 命どぅ宝』(1984)、『神々の履歴書』(1988)、『土俗の乱声 』(1991)、『恨・芸能曼陀羅』(1995)、『百萬人の身世打鈴』(2000)、『月下の侵略者』(2009)、『東学農民革命』(2016)などがある。2001年、韓国政府より王冠文化勲章を授与された。 NPO法人ハヌルハウス代表理事を務める。

《料金》
一般:1800円 シニア(65歳以上):1500円 ユース(25歳以下)・会員:1300円


21世紀のサイレント映画
第2回 パプスト監督『喜びなき街』『パンドラの箱』

2020年2月29日(土)

生演奏とともにサイレント映画を楽しむ新シリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

今回は、昨年12月に好評だった『パンドラの箱』のアンコール上映、そして併催の「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」で解説のあったパプスト『喜びなき街』を演奏付きで上映します。


「喜びなき街」
Die freudlose Gasse
(ドイツ/1925/97分[20コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フーゴー・ベッタウアー
脚本:ヴィリー・ハース
撮影:グイト・ゼーバー、クルト・エルテル
出演:アスタ・ニールセン、グレタ・ガルボ、ヴェルナー・クラウス

第一次世界大戦後の超インフレ時代のウィーンを舞台に、貧困に苦しむ庶民の生活をあざといほど生々しく描いたパプスト初期の代表作。これを見れば、パプストのいわゆる新即物主義が表現主義に裏打ちされたものであったことがわかる。彼は女優の存在を際だたせることに優れた監督でもあった。ガルボはもちろんだが、伝説の女優アスタ・ニールセンにも注目してほしい。実は、無名時代のディートリッヒも出ているという話があるのだが、真相は不明である。

伴奏:天宮 遥
 

「パンドラの箱」
Die Büchse der Pandora
(ドイツ[英語版]/1929/124分[18コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フランク・ヴェデキント
脚本:ラディスラウス・ヴァイダ
撮影:ギュンター・クランプ
出演:ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディーズル

F・ヴェデキントの戯曲をサイレント映画へと昇華させたパプストの傑作。女優ルイーズ・ブルックスを銀幕のアイコンとして不滅のものにしたまさに神話的作品である。ルルとは何者なのか。彼女は〈宿命の女〉なのか、それともワイマールのフラッパー娘なのか。男たちを破滅させる悪女なのか、それとも彼らによる犠牲者なのか。この問いを前に、ルル=ブルックスはただ謎のようにそこに存在し、われわれをいつまでも曖昧に魅了し続けるばかりだ。

伴奏:鳥飼 りょう
 
 
作品解説:井上正昭
協力:プラネット・プラス・ワン

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1400円 ユース(25歳以下)1000円 会員1200円


第44回 くにづか月イチ上映会
2020年3月14日(土) 13:30〜
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


[貸館]メロディフラッグ
2020年3月20日(金)OPEN 18:30 / START 19:00

須田亮太(ナードマグネット) 出演キャンセル
中山卓哉(愛しておくれ)
ヒジカタナオト(ドラマチックアラスカ)
 

《料金》 前売り3,000円 当日3,500円
予約・お問い合わせ melodyyyflag@gmail.com
*予約先着順の整理番号での入場です


ニュー・インディペンデント・シネマ vol.1
『オーファンズ・ブルース』『海抜』

2020年3月20日(金・祝)〜22日(日)

若手の注目作を紹介する新シリーズ「ニュー・インディペンデント・シネマ」。

デジタル化により、続々と制作、公開されるようになった自主製作映画。しかし、本数が激増し、熱心な観客でもすべてを追いかけることは不可能な状態です。そして公開期間が長くないため、評価する声が聴こえてきたとしてもその時には上映が終わっていて、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。

そこでこのシリーズでは、神戸初上映の作品に加え、近年の話題作を取り上げて上映していきます。

 

「オーファンズ・ブルース」
(2018/89分/デジタル)
監督・脚本:工藤梨穂 撮影:谷村咲貴
録音:佐古瑞季 照明:大﨑和
美術:柳芽似、プロムムアン・ソムチャイ
衣装:西田伸子 メイク:岡本まりの
助監督:遠藤海里、小森ちひろ
制作担当:池田有宇真、谷澤亮
配給・宣伝:アルミード
 
出演:村上由規乃、上川拓郎、辻凪子、佐々木詩音、窪瀬環、吉井優

夏が永遠のように続く世界で生きるエマ。最近、物忘れがひどい彼女はノートを手放さず、家にもあらゆるメモを貼っている。そんなある日、彼女の元に、孤児院時代の幼馴染であり 現在行方不明のヤンから象の絵が届く。エマはその消印を手掛かりに彼を探す旅に出た。道中で彼女は、ヤンと同様に幼馴染であったバンに邂逅し、その恋人であるユリとも知り合う。タヒチへ高飛びする計画が失敗した彼らは、ずるずるとエマの旅についていくこととなる。その一方で、エマはヤンへの思いを募らせ、また自らの記憶の喪失が加速していることを恐れ始めていた…。

終わらない夏に終末感が漂う中で、
誰もが誰かの背中を追い、誰かを待っている。
カセットテープを巻き戻していくかのような旅が今、始まる。

異常な高温が続き、誰もが汗ばむある夏の日々を描いた本作は、寺山修司著書の一節から着想された、当時22歳の女性監督が手掛けた渾身のロードムービーである。アジアの異国を思わせる中華街や市場、そして鮮やかな新緑の草原など彼らの旅路を彩る様々なロケーションの移ろいは、観る人を日常からどこかへと連れ出してゆく。日本の見慣れた街並みから外れた“無国籍”な雰囲気が取り巻くこの世界で、私たちは彼らの愛、そして希望を目撃するだろう。
第40回ぴあフィルムフェスティバルにてグランプリ・ひかりTV賞を獲得後、なら国際映画祭学生部門NARA-waveではゴールデンKOJIKA賞と観客賞をダブル受賞など、数々の映画祭を席巻した珠玉の作品。
ひとつの季節に閉じ込められ、やがて明瞭になっていく彼らの孤独を独特の世界観で描き出した本作。 “忘れゆく”、あるいは“忘れられてしまう”という絶望の中に、この映画は、ある光を映しだした。
スクリーンの中で生き続けていく彼らの姿は決して忘れられない。

『オーファンズ・ブルース』は撮りながらもう次回作のことを考えているようなさもしさとは無縁の、退路を断った厳しさに貫かれている。その未来のなさが全篇を現在形できらめかせるのだ。私が褒めるのではない。すべてを肯定せよとこの映画が私の胸ぐらをつかんで迫ってくるのである。
藤井仁子(映画評論家)
「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン 選評」より

→「オーファンズ・ブルース」公式サイト

 

「海抜」
(2018/80分/デジタル)
監督・製作・脚本・編集:高橋賢成
製作・監督補:田村太一、名取佳輝
撮影:伊藤はるか 照明:渡邉知里 録音:窪田りかこ
美術監督:田村太一 共同編集:鵜野澤まみ
スクリプター:菅谷光津子 プロデューサー:秋山涼子
製作顧問:金田克美 配給・宣伝:アルミード
 
出演:阿部倫士、松﨑岬、佐藤有紗、奥田誠也、三森晟十朗

高校時代、“事件”を目撃しながら何もできなかった男。
12年間に及ぶ贖罪のドラマ。

高校時代、中学校の同窓生同士で起きた強姦事件を目の当たりにしながら、何もできなかった男・浩。忘れてはならない過去から目を背けたまま、大人になってしまった浩や当事者たち。しかし事件から数十年後、忘れたかった過去が、再生し始めていた浩の人生に重く覆いかぶさってゆく──。

第31回東京国際映画祭正式招待!
ドイツ日本映画祭ニッポン・コネクションで最高賞受賞!!

『愛がなんだ』の今泉力哉監督をはじめ、新進気鋭の映画作家を数々紹介してきた東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に、史上最年少の22歳で招待された高橋賢成監督の鮮烈なデビュー作。ひとつの強姦事件で壊されたいくつもの人生を、断片的かつ突き放した視点で描く重厚な人間ドラマ。
主人公・浩を演じる阿部倫士をはじめ、メインキャストおよびスタッフは撮影当時全員大学生。大学の卒業制作として制作されたにも関わらず、荒くもストレートに題材にぶつかる骨太な物語が高く評価され、各国の映画祭で絶賛を浴びた。

→「海抜」公式サイト

 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1700円 シニア(65歳以上)1100円
ユース(25歳以下)・会員1000円


第45回 くにづか月イチ上映会
2020年6月13日(土) 13:30〜

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


上映再開プログラム
神戸映画資料館所蔵作品フィルム上映
2020年6月6日(土)〜

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため4月より上映を休止してきましたが、間もなく再開できそうな情勢となってきました。当館では所蔵作品の上映から始めます。時代劇からドキュメンタリー、巨匠監督による名作とバラエティ豊かに取り揃えました。
 

・ 状況により上映を中止・延期する可能性があります。
 
・ ご入場は座席数の3分の1以下の12席に制限いたします。
 
・ メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039
 
・ 風邪等の症状や体調に不安があるお客様は、ご来場をお控えくださいますようお願いいたします。
 
・ ご来館時にはマスクの着用をお願いいたします。
 
・ 所蔵フィルムは今後も上映する機会が多くありますので、不安のある方は次の機会にお願いいたします。

 

「折鶴お千」
(1935/90分/サウンド版/35mm)第一映画
監督:溝口健二 原作:泉鏡花
脚色:高島達之助 撮影:三木稔
出演:山田五十鈴、夏川大二郎、羅門光三郎、芝田新
悪徳商人に食い物にされている女・お千が、愛する男のために尽くすが、貧しさのあまり次々に悲劇が襲う。弁士説明用に黒バックに白字の字幕が多数出る無声映画だが、従来のフル・フレームではなくサウンド・トラックに松井翠聲による活弁が入るサウンド版。

 

「春秋一刀流」
(1939/74分/16mm)
監督・脚本:丸根賛太郎 撮影:谷本精史
美術:鈴木孝俊 音楽:高橋半
出演:片岡千恵蔵、沢村国太郎、市川小文治、原健作、仁礼功太郎、轟夕起子
博徒の親分笹川繁蔵と知り合い、飯岡助五郎との大利根河原の決闘に笹川方の助っ人として参加し闘死した幕末の剣客平手造酒を主人公に描く。巻頭から始まるチャンバラに次ぐチャンバラ、テンポの良い画面編集、高橋半による力強い音楽、字幕が随時挿入され、まるで和洋合奏で観る無声映画のようだ。

 

「怒りの葡萄」
The Grapes of Wrath
(アメリカ/1940/129分/16mm)
監督:ジョン・フォード
原作:ジョン・スタインベック
脚本:ナナリー・ジョンソン
撮影:グレッグ・トーランド
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダイン
30年代半ばのアメリカ中西部、小作農の一家は、カリフォルニアを目指す。大恐慌時代の苛烈なアメリカ社会を描いたジョン・フォード監督の傑作。撮影は『市民ケーン』(1941)のグレッグ・トーランド。

 

「蜂の巣の子供たち」
(1948/86分/35mm)
監督・脚本:清水宏
撮影:古山三郎
音楽:伊藤宣二
清水監督は戦災孤児を引き取りともに生活をしていたが、その子どもたちを出演させてオール・ロケーションで撮影した自主製作作品。下関に降り立った復員兵が出会った浮浪児たちを連れて広島、神戸と山陽道を歩いて行く。山中貞雄、小津安二郎、そして溝口健二が天才と呼んだ、清水宏監督の「子ども」と「旅」のテーマが凝縮されている。

 

「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」
Night of the Living Dead
(アメリカ/1968/96分/16mm)
監督・原案・撮影:ジョージ・A・ロメロ
脚本:ジョン・A・ルッソ
出演:デュアン・ジョーンズ、ジュディス・オディア
今なお色褪せないゾンビ映画の古典にして、白黒16ミリ、低予算で作られたインディーズホラーの魅力あふれる作品。父親の墓参りに来た兄妹が甦った死体と遭遇し、逃げ込んだ一軒家で死闘を繰り広げる。

 

「満山紅柿 上山 ― 柿と人とのゆきかい」
(2001/90分/16mm)
製作:上山名産紅干柿の記録映画を作る会
監督:小川紳介+彭小蓮(ペン・シャオリン)
(第一期撮影)製作:小川プロダクション
監督:小川紳介 撮影:田村正毅
(第二期撮影)監督:彭小蓮 撮影:林良忠
『1000年刻みの日時計』(1987)に入れることができなかった「牧野物語・紅柿編」として撮影したフィルムを、中国の女性監督・彭小蓮と、台湾から林良忠カメラマンを招いて完成したドキュメンタリー作品。小川紳介が詳細な構成メモを残していたので、彭はその構成メモに従い忠実に仕上げた。
 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の3分の1以下の12席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


第46回 くにづか月イチ上映会 映像で見る昭和の生活文化
2020年7月4日(土) 13:30〜
神戸映画資料館が所蔵するフィルムの中から、昭和の暮らしを写し出す映像を、毎回3〜4本(計約60分)上映してゆく新企画。

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。