プログラムPROGRAM

井上陽一の活弁映画シリーズ

追悼上映会 活動弁士・井上陽一
2021年7月9日(金)〜11日(日)  5月から7月に延期となりました

 
神戸映画資料館で何度も活弁の名調子をご披露いただき、お世話になった加古川市在住の活動写真弁士、井上陽一氏が2月9日に亡くなられた。関西で最後まで活躍していた戦前からの弁士・浜星波氏が1991年に亡くなり、もう現役弁士の声は聞けなくなったと思っていたところ、浜氏の後継者として登場しその存在がクローズアップされ大活躍されてきた。今回は伊藤大輔監督の名作『御誂次郎吉格子』を神戸映画資料館での上映時に録音した音源を付して上映し関西風の語り口を継承してきた井上陽一の話術を偲ぶ。
『井上陽一の世界』は鵜久森典妙プロデューサー、高橋一郎監督、原ひろしカメラマンが生前の井上氏の活動を記録した貴重なドキュメンタリー映画だが、社会派ドキュメンタリー映画監督として知られる高橋監督もこの6月4日に死去された。
井上氏に縁深い鵜久森プロデューサー、大森くみこ弁士をお招きしてトークも開催。

 

「最後の活動弁士 井上陽一の世界」
(2016/46分/デジタル[BD上映])
製作・企画:鵜久森典妙
監督:高橋一郎
撮影:原ひろし
 
無声映画に、情景や心理描写などのナレーションや登場人物のセリフをつけて語る「活動弁士」。井上陽一さんは戦後すぐ、焼け野原に建ったバラック造りの映画館に小遣いを貯めて通い詰め、毎日映画を観たいがために映写技師の資格を所得。そしてある日観に行った上映会で、戦前から活躍し関西を代表する活動弁士・浜星波さんの語りに出会います。「トーキーよりも迫力がある」とたちまち魅せられ、弟子入りを志願。1979年に独立し、550回以上の公演を行ってきました。井上さんの語りは関西独特の七五調で、女性や子どもまで声色を使い分け、場面に応じた音楽も自分でカセットを操り伴奏を付けます。そんな井上さんの人生と活弁の魅力に迫ったドキュメンタリー映画。

 

井上陽一の活弁付き(2009年録音)
「御誂治郎吉格子」
(1931/80分[18fps]/16mm)
監督・脚本:伊藤大輔
撮影:唐澤弘光
出演:大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子、山口佐喜雄、山本禮三郎、高勢實乗
 
伊藤大輔監督による大阪を舞台にした鼠小僧と女たちを描く恋愛時代劇の名作。大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子といった大スターが競演し、撮影の名匠・唐澤弘光による見事なカメラワークなど、サイレント映画黄金時代の醍醐味が味わえる。
今回は、2009年1月、神戸映画資料館の新春上映会で録音した井上陽一氏の語りとともにご覧いただきます。
 

7月10日(土)  トーク
鵜久森典妙(プロデューサー)、大森くみこ(活動写真弁士)、ほか

 

《料金》 入替なし
一般:1500円 シニア(65歳以上):1300円 ユース(25歳以下)・会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


井上陽一の活弁映画シリーズ 9
2014年1月12日(日)13:30〜
新春は、活動写真弁士・井上陽一さんの語りをお楽しみください。
「ストトン節」
(1924/34分[18コマ]/16mm)
松竹キネマ蒲田
監督・脚本:池田義信 撮影:長井信一
出演:新井淳、飯田蝶子、小藤田正一、東栄子、伊志井寛、若林廣雄
 
牛原虚彦監督「鈴蘭」、池田義信監督「ストトン」、島津保次郎監督「最新籠の鳥」の三篇をまとめた「小唄集」として大正13年に封切られた中から第二篇のみを独立改題したもの。二村定一が歌って大ヒットした流行歌の歌詞に沿って物語が展開。女房がありながら洋食屋の若い女に入れ込んだ男の悲哀を描く。
 
 
「鞍馬天狗 恐怖時代」
(1928/40分[18コマ]/16mm)
嵐寛寿郎プロダクション
監督:山口哲平 原作:大仏次郎
撮影:石川東橘
出演:嵐寛寿郎、尾上松緑、市川小文治、五味国枝
 
マキノから独立し嵐長三郎から改名した嵐寛寿郎が、京都双ヶ岡に嵐寛寿郎プロダクション(寛プロ)を興し、第一作「鞍馬天狗」、第二作「安政巷談 黄総の十手」に続いて製作した第三作。幕末の江戸に偽の鞍馬天狗が現れ、本物の鞍馬天狗が捜査。偽天狗の隠れ家である化物屋敷にその一味を見つけて退治する。

井上陽一(弁士)
いのうえよういち。1938年、姫路市生まれ。浜星波に師事。60年から活動写真弁士として活躍。02年「OSAKA映像フェスティバル」で『雄呂血』、04年の京都映画祭では『特急三百哩』『からくり蝶』、08年には『実録忠臣蔵』、11年大阪歴史博物館の「浪花の映画事始め」で『僕らの弟』を名調子で活弁するなど、各地の映画祭等で活躍。関西随一のベテラン弁士である。

《料金》2本立て
一般1800円 学生・シニア1500円
会員1500円 学生会員・シニア会員1300円


井上陽一の活弁映画シリーズ 8「江戸怪賊伝 影法師」
2012年11月18日(日)13:30〜
 
活動写真弁士・井上陽一さんが最も得意とする阪妻(バンツマ)の時代劇をご堪能ください。
「江戸怪賊伝 影法師」
(1925 / 70分[18fps]/ サイレント / 16mm)
東亜マキノ等持院
監督:二川文太郎 原作・脚色:寿々喜多呂九平
撮影 : 田中重次郎
主演:阪東妻三郎、マキノ輝子
 
江戸の街に現れた怪賊は影法師と人々に恐れられたが、人情深く貧しい者たちの味方だった……。時代劇に恋愛とヒューマニズムを持ち込むことにより、斬新な映画として大ヒットした。主演の阪東妻三郎は、阪妻(バンツマ)の愛称で親しまれた人気俳優で田村高廣ら田村三兄弟の父である。
本来は前後篇完結の映画だが、残存するフィルムは前半のみ。上映プリントは70年代に埼玉のコレクター大橋正英から大阪の森田留次(明星映画社、日本映画保存協会)、そしてプラネット映画資料図書館へと引き継がれた16ミリフィルムに、欠落部を京都のコレクター田渕宇一郎が入手した9.5ミリプリントから補完したもの。9.5ミリフィルムのブローアップにあたっては、ボレックス撮影機とパテベビー映写機を連結した自作のコマ撮り装置で行ったのでオプチカルプリンターのようにレジ(レジストレーションの略)が取れず、若干のブレが生じ、フォーカスも甘いですがお許しのほどを。 

井上陽一(弁士)
いのうえよういち。1938年、姫路市生まれ。浜星波に師事。60年から活動写真弁士として活躍。02年「OSAKA映像フェスティバル」で『雄呂血』、04年の京都映画祭では『特急三百哩』『からくり蝶』、08年には『実録忠臣蔵』、11年大阪歴史博物館の「浪花の映画事始め」で『僕らの弟』を名調子で活弁するなど、各地の映画祭等で活躍。関西唯一の現役弁士である。

《料金》
一般1800円 学生・シニア1500円
会員1500円 学生会員・シニア会員1300円



井上陽一の活弁映画シリーズ6
2011年3月5日(土)13:30〜
陽春の候、井上陽一の活弁シリーズとして今回は溝口健二監督の『滝の白糸』を取り上げる。活動写真ファンには懐かしい弁士の声色をお楽しみください。上映プリントは、最近時々上映されているフィルムセンター復元の完全版ではなく、その素材の一部となった結末部を含む関西版で、フィルム復元の研究者にとっても必見だろう。

井上陽一(弁士)
いのうえよういち。1938年、姫路市生まれ。浜星波に師事。60年から活動写真弁士として活躍。02年「OSAKA映像フェスティバル」で『雄呂血』、04年の京都映画祭では『特急三百哩』『からくり蝶』、08年には『実録忠臣蔵』を名調子で活弁するなど、各地の映画祭等で活躍。関西唯一の現役弁士である。

「滝の白糸」
(1933 / 96分[18fps]/ サイレント / 16mm)
監督:溝口健二 原作:泉鏡花
脚色:東坊城恭長、館岡謙之助、増田真二、清涼卓明
撮影:三木茂
出演:入江たか子、岡田時彦、村田宏寿、菅井一郎、見明凡太郎
入江たか子が演じる女水芸人「滝の白糸」は、岡田時彦が演じる村越欣弥のため学資を仕送りしつづけたが、ついに借金までして人を殺してしまう。出世して検事になった欣弥の手で裁かれるという不条理な結末。京都の双ヶ丘撮影所に入江プロダクションが立て籠もって撮影した伝説的作品。
  
 

《料金》
一般1800円 学生・シニア1500円
会員1500円 学生会員・シニア会員1300円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。