プログラムPROGRAM

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第20回 ペレストロイカの時代1

2017年3月25日(土)・26日(日)
ソ連最後の最高指導者、ゴルバチョフ書記長により進められた改革運動「ペレストロイカ」は映画界にも大きな影響を与えた。タブーとされてきたテーマを扱った作品や検閲による上映禁止からようやく公開にいたった作品を上映する。

「テーマ 田舎の出会い」Тема
(1979/98分/35mm)モスフィルム
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監督・脚本:グレーブ・パンフィーロフ
撮影:レオニード・カラシニコフ
出演:ミハイル・ウリヤーノフ、インナ・チュリコワ、エフゲーニー・ヴェスニク

体制に迎合した作品により名声を得てきた劇作家が、友人と女子学生を伴い休暇に田舎を訪れる。その「テーマ」や亡命のエピソードにより検閲でお蔵入りとなり、ペレストロイカが始まった1986年にようやくオリジナルが公開、そして翌年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した作品。

 

「自由はパラダイス」СЭР
(1989/78分/35mm)モスフィルム
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監督・脚本:セルゲイ・ボドロフ
撮影:ユーリー・スヒルトラーゼ
美術:ワレーリー・コストリン
音楽:アレクサンドル・ラスカトフ
出演:ヴォロージャ・コズィリョフ、アレクサンドル・ブレーエフ、スヴェトラーナ・ガイタン、ヴィタウタス・トムクス

カザフ共和国の首都アルマアタの少年院。13歳の不良少年サーシャは、まだ見ぬ「自由」と「父」にあこがれる。その父が極北アルハンゲリスクの刑務所にいると知り脱走する。「自由はパラダイス」の頭文字“СЭР”の入れ墨は少年を見つける目印。出会った人びとの好意に支えられ少年の旅は続く。ソヴィエト版『大人は判ってくれない』と言われるボドロフ監督の出世作。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第19回 ソヴィエト・ウエスタン

2017年1月21日(土)・22日(日)
1970年代に作られたソ連版 “西部劇” 二作品を上映。

「七発目の銃弾」Седьмая пуля
(1973/84分/35mm)ウズベクフィルム
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監督:アリ・ハムラーエフ
脚本:フリードリヒ・ゴレンシュテイン、アンドレイ・コンチャロフスキー
撮影:アレクサンドル・パン、ハサン・ファイジーエフ
音楽:ルミーリ・ヴィリダーノフ
出演:スイメンクル・チョクモーロフ、ディロロム・カムバーロヴァ、タルガト・ニグマトゥーリン
1920年代、中央アジアに権力を樹立しようとするソヴィエト政権は、“バスマチ(中央アジアのムスリム)”の攻撃を受けていた。捕虜となった部下の救出のため、主人公はわざと敵に捕まる。ソヴィエト・ウエスタンの代表作の一つで、バスマチは典型的な反革命の悪役としてよく登場した。ただし、ソ連崩壊後は一種の民族独立運動として再評価が進んでいる。

 

「光と影のバラード」Свой среди чужих, чужой среди своих
(1974/95分/35mm)モスフィルム
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監督:ニキータ・ミハルコフ
脚本:エドゥアルド・ヴォロダルスキー、ニキータ・ミハルコフ
撮影:パーヴェル・レベシェフ
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ
出演:ユーリー・ボガトィリョフ、アナトーリー・ソロニーツィン、セルゲイ・シャクーロフ、アレクサンドル・ポロホフシコフ、ニコライ・パストゥーホウ
1920年代初頭、ロシア革命によりソ連が成立するも国内戦の戦火が治まらぬ混乱の時代、革命を担って死闘を繰り広げる男たちを描いたアクション映画。赤軍兵士らが護送する金塊をめぐり、白軍や無政府主義者たちが入り乱れて激烈な争奪戦が展開する。列車強盗あり、銃火戦ありのソ連版 “西部劇”。『太陽に灼かれて』(1994)や『シベリアの理髪師』(1998)で知られるニキータ・ミハルコフ監督の長篇第一作。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第18回 アルメニア監督 ゲンリフ・マリャン

2016年11月19日(土)・20日(日)
アルメニア映画の代表的な監督、ゲンリフ・マリャンの二作品。いずれもロシア語版35ミリプリントでの上映。『三角の家』は日本語字幕を新たに作成し、本邦初上映。

「三角の家」Треугольник
(1967/84分/35mm)アルメンフィルム
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監督:ゲンリフ・マリャン 脚本:アガシ・アイヴァズャン
撮影:セルゲイ・イスラエリャン 美術:ラファエル・ババヤン 音楽:エドゥアルド・バグダサリャン
出演:アルメン・ジガルハニャン、フルンジク・ムクルトチャン、ソス・サルキシャン、パーヴェル・アルセノフ、ズラーブ・ラペラッゼ、ミハイル・オフセピャン、インナ・アラービナ
アルメニア西部、トルコとの国境近くにある街、レニナカン。「三角の家」と呼ばれる鍛冶場の五人の鍛冶職人たちの人生模様と戦時下のアルメニアを、職人の息子である少年の目を通して寓話的に描く。少年が憧れるアメリカのサイレント映画からの引用も楽しい。今回、投影方式の日本語字幕を作成し、本邦初上映。

 

「ナーペト」Наапет
(1977/93分/35mm)アルメンフィルム
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脚本・監督:ゲンリフ・マリャン 原作:ラチヤ・コチャール
撮影:セルゲイ・イスラエリャン 音楽:アレクサンドル・アルチュニャン
出演:ソス・サルキシャン、ソフィク・サルグシャン、ムゲル・ムクルトチャン
オスマン帝国時代の虐殺や1920年の赤軍侵攻によって、民族としての危機にされられたアルメニア人の運命を、家族を失った一人の男の心の傷とその再生を通じて物語る。主人公ナーペト役は、『惑星ソラリス』のソス・サルキシャン。全ソ映画祭で大賞と撮影技術賞を受賞。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社、東海晃久

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目からは200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第17回 女たちの群像

2016年9月10日(土)・11日(日)
モスクワに生きる女性たちの青春期から円熟期の人生模様を映し出す『モスクワは涙を信じない』と、少女たちを通してスターリン体制下の社会を描く『翌日戦争が始まった』の2作品。

「モスクワは涙を信じない」МОСКВА СЛЕЗАМ НЕ ВЕРИТ
(1980/149分/35mm)モスフィルム
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監督:ウラジーミル・メニショフ
脚本:ワレンチン・チェルヌィフ
撮影:イーゴリ・スラヴネヴィチ
美術:サイド・メニャリシチコフ
音楽:セルゲイ・ニキーチン
出演:ヴェーラ・アレントワ、イリーナ・ムラヴィヨワ、ライサ・リャザノワ、アレクセイ・バターロフ
田舎からモスクワに勉強のため出てきた三人の女性。一人は良妻賢母を夢み、もう一人は軽薄に流行を追う。最後のカーチャは上昇志向が強く、有名なスポーツ選手と結婚するが、結局は離婚して子供を育てる。20年後、工場長になったカーチャの前に新たな恋の相手が現れる。現代女性の生きざまを描き、ソ連で絶大な人気を博したメロドラマ。

 

「翌日戦争が始まった」ЗАВТРА БЫЛА ВОЙНА
(1987/86分/35mm)ゴーリキー・スタジオ
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監督:ユーリー・カラ
原作・脚本:ポリス・ワシーリエフ
撮影:ワジーム・セミョーノヴィフ
美術:アナトーリー・コチュロフ
出演:イリーナ・チェルニチェンコ、ナターリア・ネコダ、ユーリャ・タルホワ、セルゲイ・ニコネンコ、ヴェーラ・アレントワ、ウラジーミル・ザマンスキー
独ソ戦前夜の田舎町。禁止されていたエセーニンの詩を朗読した少女は、すぐに父親が「人民の敵」として逮捕される。少女自身も、友人や教師に裏切られ、つらい状況に置かれる。カラ監督の卒業制作だが、40年代の時代状況とともに、大人の一歩手前にいる子供たちの隠微な世界を描き出す手腕は、世界中で高く評価された。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目からは200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第16回 メドヴェトキンをめぐって

2016年4月2日(土)・3日(日)
『アレクサンドルの墓』でクリス・マルケル監督からオマージュを捧げられたロシアの映画作家アレクサンドル・ メドヴェトキン(1900-1989)。その代表作『幸福』とマルケルの『アレクサンドルの墓』の上映、そしてクリスティアン・ フェゲルソンによるトークを急遽開催します。

4月2日(土)17:40〜 参加無料(要当日の映画チケット半券)
トーク「クリス・マルケルとロシア」:クリスティアン・ フェゲルソン
共催:神戸大学大学院国際文化学研究科 メディア文化研究センター
*ご予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、イベント名、日時、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。

クリス・マルケル(1921-2012)は8つの映画を制作し、観客だけでなく、ドキュメンタリー映画を志すものの多くを魅了している。1950年代に映画製作に携わるようになって以来、ドキュメンタリー映画のジャンルを刷新し、控えめながらも重要な影響を与えた。マルケルは『シベリアからの手紙』(1958)の制作のためにロシアを訪れ、従来とは異なる視点からソ連を調査、検証している。この時の体験をもとに『動き出す列車』(1971)、『アレクサンドルの墓:最後のボルシェヴィキ』(1993)、『アンドレイ・アルセニエヴィッチの1日』(1999)も制作された。
講演では、映画エッセイのジャンルの先駆け的作品として『シベリアからの手紙』を取り上げるとともに、ロシアを題材にしたマルケルの作品において、歴史と記憶の問題がどのように描かれているのかを考える。マルケルは『アレクサンドルの墓』の中で複数のアーカイヴ映像を参照しながら、ベルリンの壁崩壊後、メドヴェトキン監督の『幸福』(1934)にみられるようなソ連という特異な経験を、そして今日における映画のあり方を再検証している。ドキュメンタリー映画と劇映画が交差する場において、マルケルは旅する映画、記述する映画という独自のアプローチを試み、1958年から1993年までの自らの主体性をノスタルジックに振り返りながら肯定的に捉えようとしている。

──クリスティアン・ フェゲルソン

クリスティアン・ フェゲルソン Kristian Feigelson
パリ第三大学(ソルボンヌ・ヌーヴォ)映画学科准教授。映画社会学者。ロシア・ソ連文化論。現在、クリス・マルケルとロシアとの関わりをテーマに著書を準備中。クリス・マルケル論「東/西のまなざし:映画史再考」(“Recherches sur Chris Marker”, Théorème 6, Presse Sorbonne Nouvelle Paris, 20002)等。
 

「幸福」Счастье
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(1934年/95分[予定]/サイレント/35mm)ボストークフィルム
監督・脚本:アレクサンドル・メドヴェトキン
出演:エレーナ・エゴロワ、ピョートル・ジノヴィエフ
貧農フムィリの「幸福」の探求を通じて、農村における新旧勢力の対立を描いた寓話的コメディ。煽動宣伝映画の枠に収まらない綺想にあふれ、「最後のボリシェヴィキ」 アレクサンドル・メドヴェトキンの代表作となった。

 

「アレクサンドルの墓:最後のボルシェヴィキ」
Le Tombeau d’Alexandre le dernier bolchevik
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(フランス/1993/117分/ブルーレイ上映)
監督・撮影・脚本・編集:クリス・マルケル
『幸福』を1971年にフランスで初めて紹介し、自ら組織した労働者映画団体を「メドヴェトキン集団」と名付けたクリス・マルケルが、敬愛するメドヴェトキンを追悼したビデオ・エッセイ。メドヴェトキンの作品をはじめ、エイゼンシュテインやヴェルトフ、ドヴジェンコの作品の映像の引用、さらに写真やニュース映像、関係者たちへのインタビューから構成されている。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 学生・シニア1100円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1100円 学生・シニア会員1000円
アテネ・フランセ文化センター会員1100円
*招待券のご利用不可


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第15回 中央アジアの少年たち

2015年12月12日(土)・13日(日)
旧ソ連のカザフスタン、キルギスで作られた映画の中から、少年を主人公にする3作品を紹介する。

「灰色の狼」ЛЮТЫЙ
(1973/96分/35mm)カザフフィルム
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監督:トロムーシュ・オケーエフ
原作:ムフタル・アウェーゾフ
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー、エドゥアルド・トロピーニン
撮影:カドィルジャン・クィドィラリエフ
出演:カムバル・ワリエフ、シュイメンクル・チョクモロフ、アリムジャン・ジヤンゴロゾワ
両親と死に別れ伯父のもとで暮らす遊牧民の少年。伯父が仕留め損ねた狼の子を反対を押し切って育て始めるが、狼の子は逃げ出して野生に戻り少年も家を出る。そして狼の子と再会するが……。カザフを代表する作家アウエーゾフの短編小説を、コンチャロフスキーらが脚色し、キルギス出身の監督が映画化した作品。

 

「白い汽船」Белый пароход
(1976/100分/35mm)キルギスフィルム

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監督:ボロトベク・シャムシエフ
原作・脚本:チンギス・アイトマートフ
撮影:マナスベク・ムサーエフ
出演:ヌルガズィ・スィディガリエフ、サビーラ・クムシャリエヴァ
両親と別れ、森で暮らす7歳の少年。その孤独を癒やすのは、親代わりの老人が語る民間伝承の物語だけだった。しかし、大人たちの「現実」が、少年の夢の世界を押しつぶしていく。1970年代に“キルギスの奇跡”と呼ばれたキルギス映画の代表作。

 

「白い鳩」ЧУЖАЯ БЕЛАЯ И РЯБОЙ
(1986/99分/35mm)カザフフィルム
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脚本・監督:セルゲイ・ソロビヨフ
原作:ポリス・リャホフスキー
撮影:ユーリー・クリメンコ
出演:スラーワ・イリュシチェンコ、リュボミラス・ラウツァヴィチュス、リュドミーラ・サヴェーリエワ
モスフィルムの監督ソロビヨフがカザフの撮影所で制作。カザフの町を舞台に、戦後の過酷な日々を生き抜いた少年の成長を描く。撮影は『スラム砦の伝説』や『神々のたそがれ』のユーリー・クリメンコ。ヴェネチア国際映画祭特別賞受賞作品。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目からは200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第14回 戦争映画

2015年9月19日(土)〜21日(月・祝)
第二次世界大戦を扱った数あるソヴィエト映画の中から、ドイツとソ連の戦闘を描いた3作品を上映。

T-34_01「鬼戦車T-34」ЖАВОРОНОК
(1964/89分/35mm)レンフィルム
監督:ニキータ・クリーヒン、レオニード・メナケル
脚本:ミハイル・ドゥージン、セルゲイ・オフロフ
撮影:ニコライ・ジーリン、ヴィクトル・カラセフ
出演:ヴァチェスラフ・グレンコフ、ゲンナジー・ユフチン、ワレリー・ポゴレリツェフ
1942年、ドイツ東部にあるナチス軍の捕虜収容所では、捕虜を操縦士として乗せたソ連の戦車T-34を標的に射撃実験が行われていた。そんなある日、ソ連軍捕虜たちが戦車ごと大脱走を企てる。ソ連領を目指してドイツ中を走り抜ける本物の戦車T-34が主人公とも言える戦争映画。

 

sokoku_01「祖国のために」
ОНИ СРАЖАЛИСЬ ЗА РОДИНУ
(1972/135分/35mm)モスフィルム
脚本・監督:セルゲイ・ボンダルチュク
原作:ミハイル・ショーロホフ
撮影:ワジーム・ユーソフ
美術:フェリックス・ヤスケビッチ
音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ
出演:ワシーリー・シュクシン、ヴァチェスラフ・チーホノフ、セルゲイ・ボンダルチュク
戦線を実際に視察して書かれたショーロホフの長編小説の映画化。ナチス・ドイツ軍に圧倒されながらも不屈の意志で反撃を続けるソ連軍兵士たちや、戦闘シーンの臨場感は、ボンダルチュク監督の真骨頂。撮影は、ダネリヤの『モスクワを歩く』や『惑星ソラリス』等のタルコフスキー作品を多数手がけるワジーム・ユーソフ。

 

628_02「炎628」ИДИ И СМОТРИ
(1985/143分/35mm)
モスフィルム、ベラルーシフィルム
脚本・監督:エレム・クリモフ
原作・脚本:アレシ・アダモーヴィチ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
美術:ヴィクトル・ぺトロフ
音楽:オレーグ・ヤンチェンコ
出演:アリョーシャ・クラフチェンコ、オリガ・ミローノワ、リュボミラス・ラウツァヴィチュス、ウラダス・バグドナス
628_011943年、ドイツ軍の侵攻を受けたベラルーシの村。たまたま銃を手に入れた少年がパルチザン部隊に加わるが、彼の村はそのせいで全員虐殺されてしまう。生の謳歌と残酷な死とが極端なまでに隣り合わせる戦場の無残を描く衝撃の作品。戦時下に実際にあった「ハティニ村虐殺事件」を題材にした小説の映画化で、そのような殺戮を受けた村の数が628にも及ぶという。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第13回 特撮ファンタジーの巨匠 プトゥシコ

2015年5月23日(土)・24日(日)
神話や民話をもとにしたファンタジックな特撮映画で知られるアレクサンドル・プトゥシコ監督の世界をご堪能ください。
 
「石の花」Каменный цветок
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(1946/80分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:パーヴェル・バジョーフ
撮影:フョードル・プローヴォロフ 美術:ミハイル・ボグダノフ、ゲンナーヂィ・ミャスニコフ
音楽:レフ・シュヴァルツ
出演:ヴラヂーミル・ドゥールジニコフ、タマーラ・マカーロヴァ、ミハイル・トロヤノフスキィ、アレクセイ・ケリベーレル
幼くして石細工の技を心得、誰をも驚かす名匠となったダニーラ。そんな彼はさらに石工としての腕を磨くべく、許嫁のカーチャのもとを離れ、本物と見紛う石の花を作るよう依頼してきた「銅山の女主」のいる地下に下る。しかし、その誘いはダニーラに人間界を忘れさせ、その技を思いのままにしようとする山の主の罠だった。1946年にはカンヌ映画祭でカラー作品最優秀賞、翌年47年には文学・芸術分野でスターリン賞一等を受賞した作品。

 

「妖婆・死棺の呪い」Вий
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(1967/78分/35mm)モスフィルム
監督:コンスタンチン・エルショーフ、ゲオールギィ・クロパチョーフ 原作:ニコライ・ゴーゴリ
撮影:ヴィクトル・ピシャーリニコフ、フョードル・プローヴォロフ
美術:アレクサンドル・プトゥシコ、ニコライ・マルキン、ローザ・サトゥノーフスカヤ
音楽:カレン・ハチャトゥリャン
出演:レオニート・クラヴリョーフ、ナターリヤ・ヴァルレイ、アレクセイ・グラズィーリン、ニコライ・クトゥーゾフ
神学校生ホマー・ブルートは旅先で遭遇した魔女の老婆に苦しめられ、殺めてしまう。しかし、その亡骸は地主の美しい娘に姿を変えていた。旅を切り上げキエフに戻ったホマーが数日後に呼び出された先はなんと自分の殺めた娘の埋葬式。祈祷を上げる三夜のあいだホマーは復讐を謀ろうとする悪霊たちから逃れようとし、最後の夜、彼を付け狙う悪霊たちが、地面にまで睫毛の垂れた鉄の顔を持つ妖怪ヴィイを召喚する。当時モスフィルムスタジオの学生監督だったクロパチョーフとエルショーフのフィルムをベースにプトゥシコの特撮技術と幻想美が加味された、ソ連時代最初で最後のホラー映画。

 

「ルスランとリュドミーラ」Руслан и Людмила
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(1972/約110分149分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:アレクサンドル・プーシキン
撮影:イーゴリ・ゲレイン、ヴァレンチン・ザハーロフ 美術:オーリガ・クルチーニナ
音楽:チーホン・フレンニコフ
出演:ヴァレーリィ・コージネツ、ナターリヤ・ペトローヴァ、アンドレイ・アブリコーソフ
原作は19世紀ロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンによる同名の物語詩。豪傑ルスランは自らの婚礼の席で、許嫁であったキエフ大公国の姫リュドミーラを黒魔術師チェルノモールにさらわれてしまう。大公スヴェトザールは、娘に恋心を寄せる男たちに向かって、姫を取り返した者に結婚を許すと告げると、ルスランを始めとする若者たちがリュドミーラの救出に向かう。プトゥシコの晩年最後にして、最も興行収益の多かった作品でもある。

 
 
作品解説:東海晃久
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第12回 グルジア特集3

2015年3月7日(土)・8日(日)

ミニトーク「入門:グルジアの歴史と文化」
3月8日(日)「青い山/本当らしくない本当の話」上映終了後
 ゲスト:伊藤順二(コーカサス近代史/京都大学准教授)
 聞き手:楯岡求美(ロシア文化史/神戸大学准教授)
 
「グルジアは、大国ロシアと中東・イスラム地域とのはざまで独自の文字や文化を維持し続けています。多くの苦難を経たからこそ、涙と笑いのないまぜになったグルジア映画の世界が醸造されたのでしょう。日本ではあまり語られることの少ないグルジアの歴史と文化について、グルジア近代史をご専門とする伊藤順二さんにお話を伺います。ケフィヤ・ヨーグルトと黒海だけではないグルジアの豊かな文化の一端をご紹介したいと思います。
 
共催:神戸大学大学院国際文化学研究科 研究プロジェクト「映像におけるタブーと美の相克」

「インタビュアー」
Несколько интервью по личным вопросам
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(1978/95分/35mm)グルジアフィルム
監督:ラナ・ゴゴベリーゼ
脚本:ザイラ・アルセニシヴィリ、エルロム・アフヴレジアニ、ラナ・ゴゴベリーゼ
撮影:ヌグザル・エルコマイシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:ソフィコ・チアウレリ、ギア・バドリーゼ、カテワン・オハヘラシヴィリ、ジャンリ・ロラシヴィリ

仕事にも家族にも恵まれ、幸せな人生を送っていると信じている女性が、夫に裏切られて途方に暮れる。グルジアの女性監督が、日常の中で女性たちが直面する問題を繊細に描く。主役の新聞記者を演じるのはパラジャーノフの『ざくろの色』などで知られるソフィコ・チアウレリ。

 

「転回」
Круговорот
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(1986/100分/35mm)グルジアフィルム
監督:ラナ・ゴゴベリーゼ
脚本:ザイラ・アルセニシヴィリ、ラナ・ゴゴベリーゼ
撮影:ヌグザル・エルコマイシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:レイラ・アバシーゼ、リヤ・エリアワ

二人の初老の女性——元スタア女優と言語学者が久しぶりに再会して起こる二人の人生の急転回。女性の生き方に焦点を当てた作品を発表し続けたグルジアの女性監督の代表作。第2回東京国際映画祭(1987)最優秀監督賞受賞。

 

「青い山/本当らしくない本当の話」
Голубые горы, или Неправдоподобная история
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(1984/95分/35mm)グルジアフィルム
監督:エリダル・シェンゲラーヤ
脚本:レゾ・チェイシヴィリ 撮影:レヴァン・パータシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:ラマーズ・ギオルゴビアーニ、ヴァシーリイ・カフリアシヴィリ

作家ソソは「青い山」という小説を書き上げ、出版社に持ち込む。ソソは何度も足を運んで結果を聞こうとするが、出版社の誰もが本来の仕事以外の何事かで忙しい。秋が過ぎ、冬も過ぎ、春になっても、まだ誰も原稿を読んでくれていない。やがて、原稿の行方もわからなくなり……。官僚社会を皮肉ったエキセントリック・コメディー。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第11回 グルジア特集2

2014年11月22日(土)~24日(月・祝)
グルジア映画の新時代を開いたと言われるレゾ・チヘイーゼとテンギス・アブラーゼの作品を上映。

senkawokoetew「戦火を越えて」
Отец солдата
(1964/92分/35mm)
グルジアフィルム
監督:レゾ・チヘイーゼ
脚本:スリコ・ジゲンティ
撮影:レフ・スーホフ、アルチール・フィリパシビーリ
音楽:スルハン・ツィンツァーゼ
出演:ゼルゴ・ザカリアーゼ、ケテワン・ボチョリシヴィリ、ウラジミール・プリワツェフ、アレクサンドル・レベデフ
第二次大戦中のグルジア。戦争で負傷した息子を見舞いに行こうとした農夫が、なりゆきでドイツへ反撃する部隊の兵士となってベルリンまで行くが……。英雄物語ではない個人的体験として戦争を描く。テンギス・アブラーゼと共同監督した『青い目のロバ』(1955)によりグルジア映画の新時代を開いたと言われるレゾ・チヘイーゼ監督作品。

 

naegiw「ルカじいさんと苗木」
Саженцы
(1973/90分/35mm)
グルジアフィルム
監督:レゾ・チヘイーゼ
脚本:スリコ・ジゲンチ
撮影:アベサロム・マイスラーゼ
音楽:ノダル・ガブーニャ
出演:ラマーズ・チヒクワーゼ、ミシコ・メスヒ
幻のナシの苗木を探して、グルジアを旅するルカじいさんとその孫が主人公のロードムービー。二人は道中で出会った人々に助けられながら旅を続ける。昔ながらのもてなしの美徳を保ちながらも、大きく変貌していく町や農村、人間の姿が描かれる。

 

kibounokiw「希望の樹」
ДРЕВО ЖЕЛАНИЯ
(1977/108分/35mm)
グルジアフィルム
監督:テンギス・アブラーゼ
原作:ゲオルギー・レオニーゼ
脚本:レヴァズ・イナニシヴィリ、テンギス・アブラーゼ
撮影:ロメール・アフヴレディアニ
音楽:ベジーナ・クヴェルナーゼ、ヤコヴ・ボボヒーゼ
出演:リカ・カヴジャラーゼ、ソソ・ジャチヴリアニ、ザザ・コレリシヴィリ、ソフィコ・チアウレリ
ロシア革命前の、グルジア東部の小さな村。美しい娘が羊飼いの恋人から引き離され、金持ちと結婚させられたことから起こる悲劇をコーカサス地方の豊かな自然を背景に描き出す。美しくも残酷な処罰のシーンや、愚かしくも魅力的な村人たちが印象的な、アブラーゼのグルジア史三部作の第二作。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第10回 グルジア特集1

2014年9月13日(土)~15日(月・祝)
パラジャーノフ、イオセリアーニ、ダネリヤなど、特異な才能を生み出した旧ソ連のグルジアを特集する。

denenshi01「田園詩」
Пастораль
(1975/98分/35mm)グルジアフィルム
監督:オタール・イオセリアーニ
脚本:オタール・イオセリアーニ、レヴァズ・イナニシヴィーリ他
撮影:アベサロム・マイスラッゼ
音楽:エカテリーナ・ポポーヴァ
出演:ナナ・イオセリアーニ、タマーラ・ガバラシヴィーリ、ミハイル・ナネイシヴィーリ、レーリ・ザルディアシヴィーリ
グルジアのとある奥深い農村に学生音楽家たちが休暇を兼ねて楽器練習に訪れ、再び都会に帰るまでの束の間のひと時が描かれる。監督にとってソ連時代最後の長篇作品となった本作にはグルジア映画特有のコミカルなたとえ話の体裁もなければ、主人公もあらかた不在で、筋書きは意識的に排除され、第一作「落ち葉」の冒頭で描かれていた農村風景の変奏として描かれていくかに見える。しかし、農村の方言はグルジア人にも分からぬ言葉で、都会人と村人たちのそれぞれの世界は互いに閉じたままで、いつまでも出会うことがない。本作はこの出会いの不在をまるで唯一の主人公であるかのように映し出している。(東海晃久)

 

marathon01「秋のマラソン」
Осенний марафон
(1979/94分/35mm)モスフィルム
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:アレクサンドル・ヴォローヂン
撮影:セルゲイ・ヴロンスキィ
音楽:アンドレイ・ペトローフ
出演:オレーク・バシラシヴィーリ、ナターリヤ・グンダレヴァ、マリーナ・ネヨーロヴァ、エヴゲーニィ・レオーノフ
舞台は70年代末のレニングラード。大学教員で翻訳家でもある主人公ブズィーキンはタイピストのアーラと不倫。子供が欲しいと言われるも、妻ニーナと別れる勇気のない彼はいつもの優柔不断さから二人のあいだで引き裂かれ続ける。ソープオペラ的題材を用いながらも、ダネーリヤは主人公を同僚や隣人たちとのあいだをピンボールのように弾いていっては、自らの得意とするシチュエーションの虜に仕立て上げる。不甲斐ないと罵られるべきブズィーキンは次第に観る者の前に、自らの吐き出した糸に絡みとられていく蜘蛛の悲哀を帯び始める。(東海晃久)

 

短篇集
kekkon01「結婚」
Свадьба
(1964/20分/35mm)グルジアフィルム
監督:ミハイル・コバヒーゼ
バスで知り合った女性にプロポーズを決意した若者の運命。セリフや言葉を排し、映像と音楽だけで作られた映画大学の卒業制作。60年代グルジアの映像実験の代表作。

kasa01「傘」
Зонтик
(1967/20分/35mm)グルジアフィルム
監督:ミハイル・コバヒーゼ
自由に跳ね回る傘をつかまえ、軽やかにスキップする男に少女が引き寄せられる。グルジアの監督コバヒーゼは、軽妙な短編で注目されるも、実験性ゆえに不遇をかこった。

arabesque01「ピロスマニのアラベスク」
Арабески на тему Пиросмани
(1986/20分/35mm)グルジア記録映画スタジオ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
グルジア出身のパラジャーノフが、グルジアの国民的画家の運命と作品に捧げたオマージュ。様々な映像手法を駆使しつつ画家の生涯と作品に迫るドキュメンタリー。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第9回 キラ・ムラートワ

2014年6月28日(土)・29日(日)
旧ソ連とルーマニア間で領土争いが繰り返されていたベッサラビア(現モルドバ共和国)生まれで、ウクライナを中心に活動するキラ・ムラートワ監督の2作品を上映する。2013年のロッテルダム国際映画祭では最新作が上映され特集が組まれるなど、約50年にわたり活躍する女性監督。

「長い見送り」
Долгие проводы
(1971/95分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督:キラ・ムラートワ
脚本:ナタリア・リャザンツェワ
撮影:ゲンナジー・カリューク
音楽:オレーグ・カラワイチューク
出演:オレグ・ウラジーミルスキー、ジナイーダ・シャルコ
離婚した母親と、思春期の多感な息子のあいだの葛藤を、瑞々しくも大胆なタッチで描いたムラートワの監督第2作。「ロング・グッドバイ」を意味する原題を持つこの作品と、これとは真逆のタイトルを持つ単独監督デビュー作『短い出会い』の初期2作はアイロニカルにも「地方メロドラマ」と称される。キャメラの繊細な動き、突飛なモンタージュ、音とイメージのずれなど、その斬新な映像センスがすでに比類ない才能を感じさせる驚くべき傑作。党の要請に部分的に従わなかったために、この作品は16年間お蔵入りとなり、ムラートワは以後長きにわたって映画を撮れなくなる。次第に壊れてゆく母親を演じるジナイーダ・シャルコの、ジーナ・ローランズを彷彿とさせる神経症的な演技がすばらしい。

「灰色の石の中で」
Среди серых камней
(1983年/83分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督・脚本:キラ・ムラートワ
原作:ウラディミール・コロレンコ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
出演:イーゴリ・シャラーポフ、スタニスラフ・ゴヴォルーヒン
舞台はおそらく19世紀のロシア。母を亡くしたばかりの少年ワーシャは、妻の想い出に浸って自分を見てくれない父親を避けるようにひとり街を遊び歩くうちに、同い年ぐらいの兄妹と知り合い、奇妙な浮浪者たちが隠れすむ教会の地下に入り浸るようになる。子供向けの物語を借りた大人のための寓話。『長い見送り』の直後からすでにシナリオが書き始められていたが、度重なる検閲によって細部の改変を強いられ、ムラートワはついには完成作から自分の名前を外してしまう。絶えず動き回り、いっせいに話し始める人物たち。理解しがたい行動と、反復される支離滅裂な言葉。混沌としたイメージは、これ以後の作品に共通するものであり、むしろ『長い見送り』以上にムラートワ作品の特徴が現れていると言ってもいい。

作品解説:井上正昭

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第8回 サイレント黄金時代とエルムレル

2014年3月22日(土)・23日(日)


写真提供:国立中央映画博物館
(Museum of Сinema, Moscow)

「帝国の破片」ОбломокИмперии
(1929/100分[18コマ]112分[16コマ]/無声/35mm)
ソフキノ・レニングラード
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:フリードリヒ・エルムレル
脚本:フリードリヒ・エルムレル、カテリーナ・ヴィノグラーツカヤ
撮影:エヴゲニー・シネイデル、グレープ・ブシュトゥエフ
出演:フョードル・ニキーチン、リュドミラ・セミョーノワ
 
第一次世界大戦で記憶を失った男が、意識を取り戻すと目の前に現れたのは、全く見知らぬ革命政権後の世界であった。ソヴィエト版浦島太郎とも言える物語で、フロイトの精神分析の影響も見られる。ソヴィエト映画サイレント時代の転換期の作品。
 
 
 


写真提供:国立中央映画博物館
(Museum of Сinema, Moscow)

「新バビロン」НОВЫЙ ВАВИЛОН
(1929/102分[18コマ]115分[16コマ]/無声/35mm)
ソフキノ・レニングラード
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督・脚本:グリゴリー・コージンツェフ、レオニード・トラウベルグ
撮影:アンドレイ・モスクヴィン
出演:エレーナ・クジミナ、ピョートル・ソボレフスキー
 
アメリカ文化の影響を受けた前衛的劇団「フェクス」から映画界に転じ、その後のレンフィルムを担ったコージンツェフとトラウベルグの初期作品。1871年、民衆の蜂起によるパリ・コミューンを舞台に、バリケードを挟んで引き裂かれる恋人たちを描く。
 
 
 
「呼応計画」Встречный
(1932/110分/35mm)
ロスフィルム
監督:フリードリヒ・エルムレル、セルゲイ・ユトケーヴィチ
脚本:レオ・アルンシタム、レオニード・リユバシェフスキー、フリードリヒ・エルムレル、セルゲイ・ユトケーヴィチ
撮影:アレクサンドル・ギンツブルグ、ジョゼフ・マルトス、ウラジーミル・ラポポルト
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
出演:ウラジーミル・ガルジン、マリア・プリュメンターリ=タマーリナ、タチヤーナ・グレーツカヤ
 
国が掲げる第1次五カ年計画の早期遂行のため、労働者によって自発的に立てられた高い目標計画(呼応計画)のもと、タービン建設に取り組む労働者たちを、社会主義建設に燃える若者と旧世代の熟練労働者の断絶とともに描くトーキー初期作品。
 
* 「帝国の破片」と「新バビロン」の上映スピードは18コマ(1秒間に進むコマ数)を予定していましたが、試写の結果16コマが適切であると判断しました。それにより上映分数が予定より長くなります。
休憩時間の短縮等の処置でタイムテーブルに大きな変更は無い予定ですが、ご了承ください。
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:東京国立近代美術館フィルムセンター、ロシア映画社、国立中央映画博物館、国際交流基金
[関連企画] 3月22日(土)
講演:フリードリヒ・エルムレルとソ連無声映画の黄金時代(1925-1930)
講師:マクシム・パヴロフ(国立中央映画博物館 副館長)
主催:国際交流基金

 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第7回 アレクセイ・ゲルマン特集

2014年2月7日(金)〜9日(日)
「道中の点検」
ПРОВЕРКА НА ДОРОГАХ
(1971/97分/35mm)
レンフィルム
原作:ユーリー・ゲルマン
脚本:エドゥアルド・ヴォロダルスキー
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワディム・ガウズネル
出演:ウラジーミル・ザマンスキー、ローラン・ビーコフ、アナトーリー・ソロニーツィン、オレグ・ボリソフ
父親ユーリーの小説を映画化したゲルマン初の単独監督作品。1942年の冬、ドイツ軍に占領された北西地方で戦っているパルチザン部隊のもとに、独軍に協力していたロシア人が投降してくる。裏切り者のスパイ扱いをされても男は多くを語らず、ただ行動を通して自分が卑怯者でないことを証明してゆく。ゲルマンの演出もまた寡黙で、その緊張感みなぎる画面は、この作品を見事な活劇たらしめている。〈裏切り者〉と〈英雄〉のテーマをリアルかつ曖昧に描くこの映画は、ソ連の英雄神話を深く傷つけ、15年間お蔵入りにされた。
 
 
「戦争のない20日間」
ДВАДЦАТЬ ДНЕЙ БЕЗ ВОЙНЫ
(1976年/102分/35mm)
レンフィルム
原作・脚本:コンスタンチン・シーモノフ
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワレリー・フェドーソフ
出演:ユーリー・ニクーリン、リュドミーラ・グルチェンコ
シーモノフの自伝的小説を映画化した、戦争のない戦争映画。1942年から43年にかけての20日間、従軍記者ロパーチンは、休暇をもらって列車で故郷タシケントを訪れる。前線から遠く離れたここにも戦争の影は色濃い。ロパーチンが自分の手記を映画化しているスタジオを訪れ、戦争の現実を無視していると怒鳴る場面に、ゲルマンの考えるリアルな戦争映画が垣間見える。夢のような戦場のフラッシュバック、列車の窓から一瞬切り取られる幻想的風景。銃後の生活をリアルに映し出しながら、この映画には終始メランコリックな雰囲気が漂う。
 
 
「わが友イワン・ラプシン」
МОЙ ДРУГ ИВАН ЛАПШИН
(1982年/98分/35mm)
レンフィルム
原作:ユーリー・ゲルマン
脚本:エドゥアルド・ヴォロダルスキー
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワレリー・フェドーソフ
出演:アンドレイ・ボルトネフ、ニーナ・ルスラーノワ、アンドレイ・ミローノフ
ペレストロイカ直前に、ゲルマンが父親の短篇小説を映画化した作品。架空の港町ウンチャンスクを舞台に、ソ連史の空白と言われる1930年代、スターリンによる粛清〈前夜〉の荒涼とした雰囲気が、なにかが壊れゆく予感とともに、ざらざらとしたモノクロ画面と不意に挿入されるカラー画面によって見事に描き出される。『戦争のない20日間』以上に物語の線は細くなり、キャメラワークの自由度は増しているが、ラストの警察による殺人鬼の逮捕シーンなど、奇妙で不条理な犯罪活劇の一面も持つ。
 
 
作品解説:井上正昭
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
[関連企画] 2月8日(土)
連続講座:映画批評 第6回 崩壊する国家と崩壊する映画──アレクセイ・ゲルマン
講師:井上 正昭(翻訳・映画雑文)

 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目、あるいは講座参加者は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第6回 SF大国3

2013年12月21日(土)〜23日(月・祝)
「惑星ソラリス」 СОЛЯРИС
(1972/165分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作:スタニスワフ・レム
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、フリードリヒ・ガレンシュテイン
撮影:ワジーム・ユーソフ
出演:ナタリア・ボンダルチュク、ドナタス・バニオニス、ユーリー・ヤルヴェト、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー
人間の意識の深層にある恐れを実体化する惑星ソラリスの“海”。その探査のため宇宙基地に派遣された主人公の前に、自殺した妻が現れ彼のトラウマが露わになる。スタニスワフ・レムの長編小説をタルコフスキーが映画化したSF映画の新機軸。
 
 
「ストーカー」 СТАЛКЕР
(1979/160分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキ一
原作・脚本:アルカージー・ストルガツキー、ボリス・ストルガツキー
撮影:アレクサンドル・クニャジンスキー
出演:アレクサンドル・カイダノフスキー、アリーサ・フレインドリフ、アナトリー・ソロニーツィン、ニコライ・グリニコ
ストーカー(密猟者)と呼ばれる案内人に導かれ、禁断の地“ゾーン”に侵入する男たち。“ゾーン”とは一体何なのか、ただの廃墟に見えるこの場所の何が危険なのか。タルコフスキー監督によれば「これはSFというよりは寓話」。原作者のストルガツキー兄弟自ら脚本を手がけている。
 
 
「死者からの手紙」ПИСЬМА МЕРТВОГО ЧЕЛОВЕКА
(1986/88分/35mm)
レンフィルム
監督:コンスタンチン・ロプシャンスキー
脚本:コンスタンチン・ロプシャンスキー、ヴャチェスラフ・ルイバコフ、ボリス・ストルガツキー
撮影:ニコライ・ポコプツェフ
出演:ロラン・プイコフ、イオシフ・ルィクリン、ヴィクトル・ミハイロフ、アレクサンドル・サビーニン、ノーラ・グリャカロワ
ささいなミスにより核戦争が起きた世界。もはや地球は防毒マスクをつけなければ外に出られない死の大地と化したが、核シェルターには健康な人しか入れず、人々は緩慢な死を迎えている。この黙示録的世界をタルコフスキーのアシスタントを務めたロプシャンスキーが監督。この映画が完成して一ヶ月後、チェルノブイリ事故は起きた。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。