イベントEVENT
2012 2

ミュージック・アーカイヴ ─大きい音、小さい集まり─ 2回目
2012年2月18日(土)18:30〜(終了予定21:30/途中参加も歓迎)
 
たとえばあなたが普段MP3プレーヤーからイヤホンを通して聴いている音。
それはヴォリュームを最大にしてみても「あなただけの音楽」という意味において
「小さい音」なのかもしれません。
もしも、その音を大きなスピーカーで再生してみれば──
今まできこえなかったものがきこえることで
音の持つ新しい層が見えてきたり、
よく知った曲にも違うきこえ方が現われてくるかもしれません。
そしてそれは、一人で聴いていた音を誰かと一緒に聴いてみるということからも。
「ミュージック・アーカイヴ」は、一人一人のアーカイヴ、所有する音源を
本来はフィルム・アーカイヴである神戸映画資料館のカフェスペースへ気ままに持ち寄って
大きな音量で聴いてみようという小さくゆるやかな集いです。
ジャンルや年代はまったく問いません。
あなたが大きい音で聴きたい/誰かに聴かせたいと思う音源を持ってきてください。
その音が、かつて再生されたことのない音量であなたと集まった人たちの耳へ届くとき、
それは初めて「大きい音」=「わたしたちの音楽」になり得るのかもしれません。
参考:ミュージック・アーカイヴ 1回目
 再生できる音源 
レコード(スクラッチ不可)、カセット、CD。データも対応予定。

※すべての音源がいわゆるDJミックスできません。
 DJイベントというよりも、参加型の音楽鑑賞会。
 特にDJ経験のない方は、そんな気分で気軽にお越しください。
 
 参加費  500円(ワンドリンク付き。併設のカフェチェリーでご注文ください)
      ※飲み物、おやつの差し入れ歓迎
 会 場  神戸映画資料館ロビー 
 問い合わせ  ongakubu_kobe@yahoo.co.jp(吉野・田中)

[報告]
参加者21人(内、音源持参16人)
 
[プレイリスト]
  1. Nonet / Lester Bowie’s Brass Fantasy
  2. 買物ブギ / 笠置シズ子
  3. マンボイタリアーノ / 雪村いづみ
  4. ガイ・イズ・ア・ガイ / 江利チエミ
  5. ピアノとヴァイオリン / 美空ひばり
  6. カルメンセレクション(ビゼット) / William H Reitz シロフォンソロとオーケストラ
  7. Got My Mojo Working / Muddy Waters
  8. 深南部牛追歌 / 布谷文夫
  9. I’m a Camera / Marc Jordan
 10. I Want You Tonight / Pablo Cruise
 11. Some Kinda Love / Velvet Underground
 12. Bruised Arcade / Pale Fountains
 13. Soknya Doll / After Dinner
 14. 東京タワーを憐れむ歌 / Dowser
 15. Saudade / Dorutti Column
 16. Dee Dee / The Ornette Coleman Trio
 17. カケタ オイカケタ / 堂本剛
 18. 宇宙の雨はね 二人で / 堂本剛
 19. 津軽じょんがら節 / 寺内タケシとブルージーンズ
 20. 教訓Ⅰ / Ryo Kagawa with TE-CHILI
 21. トルコ行進曲 / リリー・クラウス
 22. トルコ行進曲 / グレン・グールド
 23. トルコ行進曲 / ユジャ・ワン
 24. Tristeza / Oscar Peterson
 25. Take on Me / Cap’n Jazz
 26. ゴースト・オブ・マーズ / ジョン・カーペンター
 27. ジーンズぶるうす / 梶芽衣子
 28. Starman / Seu Jorge
 29. Can’t Help Falling in Love / Lick the Tins
 30. エイリアンズ / キリンジ
 31. Popcorn / 電気グルーヴ
 32. Come Wander with Me / Jeff Alexander
 33. さよならの夏 / 手嶋葵
この辺から本格的にカバー曲コーナーに
 34. 春一番の風は激しく / 森ゆに
 35. Yesterday / The Young Group
 36. What a Fool Believes / The Doobie Brothers
 37. Don’t Give up on Us / Chris Christian
 38. What a Fool Believes / Aretha Franklin
 39. The Harder They Come / Keith Richards
 40. Million Dollar Bash / Fairport Convention
 41. また一人 / 九重佑三子
 42. ツイスト・アンド・シャウト / 東京ビートルズ
 43. You Really Got Me / Gate Ball
 44. The Telephone Call / 東京クラフトワーク
 45. スキヤキ / Dick Lee
 46. リンゴ追分 / UA
 47. Harlem Nocturne / Chuck Brown and The Soul Searchers
 48. Sex and Drugs and Rock and Roll / Ian Dury & The Blockheads
 49. Giant Steps / John Coltrane
 50. Wasted Life Blues / Amina Claudine Myers


神戸映画資料館レクチャー:映画の内/外
第7回 ロバート・スミッソンのフィルム《スパイラル・ジェティ》について

 
2012年2月26日(日)16:00〜(終了予定18:00)
レクチャー:小西信之(美術批評家)
対談:小西信之 × 丹生谷貴志
 
「神戸映画資料館レクチャー:映画の内/外」では、1、2ヶ月に1回程度のペースで、さまざまな講師をお招きし、幅広いテーマで講座を開いています。
 今回は、アメリカの現代美術家ロバート・スミッソンについて小西信之氏によるレクチャーと、丹生谷貴志氏との対談、そしてスミッソンの代表作『スパイラル・ジェティ(Spiral Jetty)』の映像作品を参考上映します。
[参考上映]
『スパイラル・ジェティ(Spiral Jetty)』
 (1970/35分/DVD上映)DVD提供:Electronic Arts Intermix
 
ロバート・スミッソンのフィルム《スパイラル・ジェティ》について   小西信之
 「巨大な太陽を一心に見ていると、とうとうその見慣れぬ感じの謎が解けた。燃えているのは1つの星ではなかった。何百万という数の星たちが、分厚いクラスターとなって、群れをなす蜂たちのように、ひとつになってひしめいて密集していた。それによって、分ちがたい一つの炎だと欺かれていたのだ。本当はそれは、無数の太陽の、巨大な螺旋状の星雲だったのである。」(ジョン・テーン『時の流れ』1931年)
 ──ロバート・スミッソンのフィルム《スパイラル・ジェティ》に引用

 1973年に、飛行機事故で34歳の若さで帰らぬ人となったロバート・スミッソン(1938-1973)は、アメリカの現代アートにおけるアースワークの代表的なアーティストである。しかし彼はアースワークという言葉だけでくくるにはあまりにも多様な活動を残した。そのひとつが彼の著述であり、友人だったアーティスト、ソル・ルゥィットは彼の残した最大の作品はこれらの著述であるとさえ述べている。そこでは、恐竜から地質学、心理学から物理学、SFやポップ・カルチャーから古代マヤの神々、庭園論とエントロピー、産業社会とモニュメント、写真とセザンヌ、バロウズからポロックやジャッドに至る同時代の現代アートといった、領域横断的な様々な題材がちりばめられており、きわめて独創的な批評的エッセイあるいは魅惑的なトラヴェローグとなっている。それらは作品と連動しつつ、まさに彼の創造的世界を切り開くモーターの一つだったのだ。
 そして彼の残したもう一つの重要なジャンルがフィルムである。アースワークの記録としての役割も大きいが、スミッソン自身の世界観や批評を純粋に映像にしたものもあり、共作も含め少なくとも5点は制作され、制作されずに構想や絵コンテの状態で終わったものも多数存在する。冒頭に引用したSF作家ジョン・テーヌの文章は、この中でも最も有名なフィルム《スパイラル・ジェティ》の後半のクライマックスで、作家自身が読み上げる部分だ。このフィルムは同名の有名なアースワークの制作後に、制作中の映像に様々なイメージのコラージュを組み合わせ、そこに種々の引用テキストの作家自身によるナレーションがかぶせられた、約30分の映像作品であり、彼が残した映像作品の中でも最も完成度が高く、まさにスミッソン的表現の頂点をなすものと言っていいだろう。
 今回のレクチャーでは、この映像作品《スパイラル・ジェティ》を見、その理解に向けて、映像やテキストのディテールを明らかにしつつ、ロバート・スミッソンという作家の全体像に迫ってみたい。
 スパイラル・ジェティは米国のユタ州グレート・ソルト・レークに、湖面の増減とともに浮沈を繰り返しつつ、塩湖故にこびりつく塩の結晶によってときに真白となり、いわば現代アートの「遺跡」として現在も存在しているのである。
 なお、フィルム《スパイラル・ジェティ》は国内で見ることはできない(美術館での展覧会で2度紹介されたことがある)。今回は、このレクチャーのために米国からレンタルして上映するものである。
 

小西信之
美術批評家、愛知県立芸術大学准教授。訳書にロザリンド・クラウス著『オリジナリティと反復』(リブロポート)、主な論文に彫刻の森美術館開館25周年記念彫刻評論大賞受賞論文「Wasting Sculpture」の再録である「廃棄される彫刻」(『芸術理論の現在』所収)、「アースワークを訪ねて――ロバート・スミッソンのスパイラル・ジェティを中心に」(愛知県立芸術大学紀要No.29)、「スタン・ダグラス――アイデンティティとメディア」(同前、No.32)がある。『Innocent Minds』展(1998、愛知県美術館と共同)、『ベリー ベリー ヒューマン』展(2005、豊田市美術館と共同)などの展覧会企画も行う。『あいちトリエンナーレ2010プレイヴェント 現代美術の発見VI 渡辺豪「白い話 黒い話」』展(愛知県美術館 展示室6、2010年1月6日~3月22日)を監修。

 

丹生谷貴志
思想、映画、文学と幅広い分野で批評活動を行う。神戸市外国語大学教授。著書に『死体は窓から投げ捨てよ』、『死者の挨拶で夜がはじまる』、『家事と城砦』、(河出書房新社)、『ドゥルーズ・映画・フーコー』、『天皇と倒錯 現代文学と共同体』『女と男の帝国 グローバリゼーション下の哲学・芸術』『三島由紀夫とフーコー“不在”の思考』『〈真理〉への勇気 現代作家たちの闘いの轟き』(青土社)、など。近刊予定に、ジャン・ルイ・シェフェール『映画を見に行く普通の男 映画の夜と戦争』(エートル叢書/現代思潮新社、翻訳)がある。

 

《参加費》 1500円
*ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。


[同時開催]
東北ドローイングワークショップ共同制作展(主催:ソレアード)
ホット 展
2012年1月17日(火)〜2月27日(月)[水・木 休み]
 会場:新長田ギャラリー(神戸映画資料館すぐ横)

  
 主催・問い合わせ  神戸プラネット(神戸映画資料館)info@kobe-eiga.net
 企 画  椿崎和生、神戸プラネット
 協 力  新長田まちづくり(株)

2月4日(土)15:00〜16:30ドローイングワークショップ報告会
宮城県でのワークショップのビデオ上映・報告講演、ワークショップ体験、質疑応答
 
 参加費は無料ですが、カフェで行いますので何か一品ご注文をお願いします。
 またワークショップの材料はこちらで用意しますので、手ぶらでお越しください。
 
 場所:神戸映画資料館内シネマカフェチェリー 主催:ソレアード(滑川みさ)


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※内容は予告無く変更する場合があります。