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はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#4
「ルビッチの『反復』と『反転』」

2014年5月31日(土)
13:30〜 参考上映『生きるべきか死ぬべきか』
15:30〜 発表 野原 位
 
エルンスト・ルビッチ。ハリウッド黄金期に活躍をしたこの大監督は、古典的ハリウッド映画を考える際に外すことの出来ない存在である。ただ一方で、ルビッチ映画について語られる機会はホークス、フォード、ラング、ルノワールなどと比較すると少ないように思われる。このルビッチを巡る「語ることの困難さ」は、いったい何なのか。今回の「はたのこうぼうによるアメリカ映画研究会」ではこの謎を考えたい。その鍵を握るのは、ルビッチ映画に数多く出現する(一見語りやすい)「反復」と「反転」の構造、そこに収まらない「ある感情」だ。乞うご期待。
 
濱口竜介、高橋知由、野原位が2013年に結成した脚本ユニット「はたのこうぼう」のアメリカ映画研究会の不定期発表会、その第4回。研究会は全体として、フリッツ・ラング、アルフレッド・ヒッチコック、エルンスト・ルビッチを取り上げる。
 
[参考上映]『生きるべきか死ぬべきか』To Be or Not to Be
(アメリカ/1942/98分/16mm)
監督:エルンスト・ルビッチ
脚本:エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影:ルドルフ・マテ
出演:キャロル・ロンバード、ジャック・ベニー、ロバート・スタック
 
第二次世界大戦の最中。ナチス侵攻の影におびえるポーランドの首都ワルシャワだが、トゥーラー座の芝居は連日、大盛況。そんな人気劇団の座長であり、自称「ポーランドの偉大な名優」ジョゼフには、一つの悩みがあった。ジョゼフが読み上げる『ハムレット』の名台詞「生きるべきか死ぬべきか」を聞くたび、青年(ソビンスキー中尉)が中座してしまうことだ。悩むジョゼフを励ます妻であり看板女優のアンナだが、実はソビンスキーは楽屋のアンナに会うため席を立っていた。しかし、そんな三角関係もすべてナチスが壊してしまう。ナチスのスパイから、愛するアンナを助けるために手を組むジョゼフとソビンスキーを中心に、トゥーラー座はじまって以来の大芝居が幕を開ける。
ルビッチ演出が冴え渡る1942年の今作においても、様々なアイテムの「反復」と「反転」を見ることができる。その最たるものは今作では、緊迫した戦時下において「敵/味方」を超えた人物交換劇として現れる。その大胆さに何度見ても驚かずにはいられない傑作。
 
発表者:野原位(のはら・ただし)
1983年栃木県生まれ。明治大学理工学部卒。07年に東京藝術大学大学院映像研究科の第3期監督領域に入学し、黒沢清監督・北野武監督に師事する。在学中には寺島しのぶが主演する『京子』を監督。同作品は伊坂幸太郎原作のオムニバス映画『ラッシュライフ』中の一編であり、新宿バルト9をはじめ全国主要都市で公開された。また大学院修了作品では、いしだ壱成を主演に迎え、長編映画『Elephant Love』を監督。その後は、CS放送の番組AD、CGプロダクションマネージャーなどの職を経て、昨年5月より神戸に居を移し、脚本ユニット「はたのこうぼう」のメンバーとして「濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe」へ参加。

《参加費》 1500円

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