ロビンソン三部作

いつもと異なる視点で日常の風景を意識的に観察することから
世界の転換を標榜するパトリック・ キーラー監督の「ロビンソン三部作」、関西初公開。

 

LONDON02ロンドン London
(イギリス/1994/82分)DVD上映
脚本・撮影:パトリック・キーラー
編集:ラリー・サイダー
プロデューサー:キース・グリフィス
ナレーション:ポール・スコフィールド
1994年ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞

1992 年1月、7年間イギリスを離れていた語り手が、友人のロビンソンに頼まれロンドンに戻る。ロビンソンはこの都市のなかに19・20世紀のパリの残響を追い求めながら、現代ロンドンを蝕む政治的・社会的諸問題に大胆に切り込んでいく。彼の視点はどこか偏狭でもあるが、ユーモラスでもある。奇妙な二人組がシュルレアリスト的な着想をもとにロンドンの風景を切り取った一風変わったロンドン文学散歩。

 

ROBINSONINSPACE01空間のロビンソン Robinson in Space
(イギリス/1997/78分)DVD上映
脚本・撮影:パトリック・キーラー
編集:ラリー・サイダー
プロデューサー:キース・グリフィス
ナレーション:ポール・スコフィールド
1997年ロッテルダム国際映画祭最優秀作品賞

1995 年春。レディングに移り住んだロビンソンから久しぶりに連絡があり、語り手はイングランドの産業問題についての調査にまもなく同行することになる。5か月にわたる大規模な調査旅行によって、二人組はイングランドの地方都市と郊外の風景に、それを形づくっている諸産業(エネルギー産業、軍事・防衛産業、自動車産業、海運、多国籍企業など)の存在をマーキングしていく。イングランドの産業構造を風景の視点から観察した秀作。

 

robinsonstills01廃墟のロビンソン Robinson in Ruins
(イギリス/2010/101分)ブルーレイ上映
脚本・撮影・編集:パトリック・キーラー
ナレーション:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
製作総指揮:キース・グリフィス
2010年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品

オクスフォード近郊に放置されたトレーラーから19本のフィルム缶とノートが発見される。その元々の持ち主は、この地球での人間という種の生き残りの可能性について調査すべく、周辺地域の風景を記録し始めたのだという。研究対象を都市から田舎へと変えたこのロビンソンによる単独調査では、近代以降の権力と土地との関係をめぐる歴史が詳細に描出されている。美しい田園風景に孕まれた経済問題を風景をとおして考察した、ロビンソンによる最終研究報告書。

 

ティーチイン(11月6日・7日)・トーク(11月7日)
木内久美子
(比較文化研究者/東京工業大学准教授)

 

協力:英国映画協会(BFI)、パトリック・キーラー、アテネ・フランセ文化センター

神戸映画資料館にて販売中
ブックレット
『時間のランドスケープス パトリック・キーラー「ロビンソン三部作」』

landscapes_in time01s目次

巻頭 作品解説+監督紹介
ロンドン……2(旅程図+解説)
空間のロビンソン……6(旅程図+解説)
廃墟のロビンソン……10(旅程図+解説)
「ロビンソン三部作」イコノグラフィ……14
*旅程図とイコノグラフィはカラーページです。
*旅程図は本ブックレットのために監督が特別に提供してくださったものです。
『ロンドン』の作品旅程図が見られるのは、世界でこのブックレットだけ!

パトリック・キーラー フィルモグラフィ/ビブリオグラフィ/ディスコグラフィ……16

インタヴュー
風景の未来に向けて パトリック・キーラーに聞く(聞き手・訳 木内久美子)……21
*映画の見所がわかる監督へのインタヴュー

寄稿エッセイ
佐藤元状  「パトリック・キーラーとシュールレアリズム的な想像力」  ……36
萩野亮   「ロンドンの憂鬱」  ……40
東志保   「変わりつつある風景のなかで――パトリック・キーラーの『ロンドン』とクリス・マルケルの映画作品」……47
*新進気鋭の映画研究者・批評家のお三方の寄稿エッセイ

『廃墟のロビンソン』論考
ドリーン・マッシー 「風景/空間/政治――試論」(訳 木内久美子)……53
*現在と歴史をいかにしてつなぐか。日本の今の政治的状況でこそ読まれるべきマッシーの試論。

ロビンソン年代記……xii

“For the Future of the Landscape: An Interview with Patrick Keiller” (Kumiko Kiuchi)……i

編集・執筆・翻訳:木内久美子
編集協力:中村大吾
デザイン:éditions azert
発行元:Office 903
発行年月日:2015年10月16日
印刷・製本:三松堂
定価:1000円
問い合わせ先:flaneurinruins@gmail.com

神戸映画資料館が通信販売を承ります(日本国内のみ)。下記フォームからご注文ください。ご注文をいただいてから、お支払い銀行口座をメールでご連絡いたします。入金確認後、メール便にて発送いたします。
料金(1冊あたり):本体価格1000円(税込み)+送料82円+振込手数料
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Kobe Documentary Film Festival 2015
第7回神戸ドキュメンタリー映画祭
10月17日(土)、31日(土)〜11月10日(火)

上映時間・入場料金会場・問合せ
〈ホームムービーの日 in 神戸〉松本俊夫特集ロビンソン三部作
「波のした、土のうえ」上映と対話ドキュメンタリーの宝箱 山形国際ドキュメンタリー映画祭セレクション

※内容は予告無く変更する場合があります。