調査研究事業Research Project

タグ別アーカイブ: 35mm

2019年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「園遊會 大正十四年[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50187
撮影年:1925年

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 10分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
 
缶表の記載が「大正十四年四月三十日 園遊會」であることから、1925年4月に行われた久邇宮朝融王(くにのみや あさあきらおう)の結婚披露宴の園遊会と推定できる。映像からは朝融王をはじめ、父親の久邇宮邦彦王(くにのみや くによしおう)、妃(きさき)となる知子女王のほか、東郷平八郎や後藤新平の姿も確認できる。また、木製箱形の35mm映画撮影機ウィリアムソンらしきものも見える。残っている映像は、教育業者らによる正式な記録映画のための編集前の映像の一部、または個人的な記録の一部とも考えられる。
調査者:佐崎順昭(映画史家)、衣川太一(映画保存ネットワーク客員研究員)

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2019年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「関東一府六縣防火大運動 川口消防組宣傳実況 昭和五年十二月一日」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50023/50027
撮影年:1930年

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 13分/7分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒
完全度:ほぼ完全(全2巻)

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
 
製作会社:川口消防組

作品番号50023と50027は同一作品と考えられる。

タイトル採録:T1「昭和五年十二月一日 関東一府六縣 防火大運動 川口消防組 宣傳実況」、T2「川口警察署長 鴻巣吉太」、T3「川口消防組頭 田島房邦」、T4「川口消防副組頭 廣瀬福太郎」、T5「帝國在郷軍人会 川口町分会長 永瀬四朗」、T6「私設消防工場主」、T7「川口消防本部 並ニ 川口消防組役員」、T8「川口神社」、T9「川口警察署」、T10「川口消防本部」、T11「川口町役場」、T12「川口鑄物同業組合」、T13「川口商工會館」、T14「川口信用組合」、T15「川口町驛」、T16「善光寺」、T17「錫杖寺」、T18「防火大運動会」、T19「川口消防組」、T20「終 川口消防組」。

埼玉県川口市消防団の前身にあたる川口消防組の記録。『映画検閲時報』の当該年にこの作品の記録はないが、関連作品に『全國消防組頭大會實況』(12月5日、日活、1巻)がある。東京消防庁ホームページの中の「火災予防運動のあゆみ」には、「北丹後地震後3年目に当たる、昭和5(1930)年3月7日に大日本消防協会は、府県の消防協会と共催して、第1回の防火運動を近畿地方で実施(中略)。好評を博した第1回防火運動に刺激され、昭和5年の12月1日には、関東地方の東京、神奈川、千葉、埼玉、長野、群馬、それに福島を加えた一府六県が、12月1日を防火デーと定め、府県ごとに一斉の防火運動を行いました」とある。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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2019年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「東京報告」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50335
撮影年:1946年頃

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 9分
音声:トーキー
色:白黒
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録

製作会社:日本記錄映画社

CCD認証番号「C1048」。映像の中に「白井茂/栗原久四郎/長谷川義信/石川てつ/道林一郎」の表札も見え、『日本ニュース』と同一ショットも確認できることから、日本映画社のスタッフが撮った映像を、「日本記錄映画社」の名の下に再編集して(『日本ニュース』のアウトテイクも利用して)、作品としたものと思われるが、『映画年鑑』などに記録がなく、今後の調査が必要な作品である。
『日本ニュース』と同一ショットの主なものは以下の通り。
第260号:1945年11月13日封切、「苦悩する都市 浮浪者の群」
第261号:1945年11月22日封切、「農民組合結成 準備委<時の話題>」「全国戦災者大会<時の話題>」
第262号:1945年11月30日封切、「国民は中止する 第八十九臨時議会」「新に指名された 戦争犯罪人」
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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2019年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「東京見物[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50006

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 9分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒・染色
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
 
題名は缶表によるもので、中間字幕には「宮城二重橋 楠公銅像」「櫻田御門 日々谷公園」「高輪泉岳寺 乃木邸」「帝國大學 青山御所」「靖國神社 上野公園」「西郷銅像 上野動物園」「不忍池 浅草中店」「淺草観音 淺草公園」「両國橋 國技舘前」「中央停車場 高架鐵道」とあり、映像の冒頭には日本橋や銀座通りが写っている。明らかに1923年の関東大震災以前の映像と思われる。浅草六区の映画館前の幟から読み取れる作品名『泰西悲劇 清き操』『軍神廣瀬中佐』『関取千両幟 新内出語』『英國史スコット』『俠艶錄』『悲絶壮絶 社會劇 焰!!!』などから判断すると1910年代とも推定できるが、特定には至っていない。また、国技館の大相撲取組表からは太刀山、西ノ海、石山、玉手山らの名前が読み取れ、取組力士の一人は梅ヶ谷にも見えるが、これも特定できていない。参考までに、文部省が1930年に発行した『教育映画目録』には、震災前の東京を記録した作品として『偲ばるゝ大東京』(東京シネマ商会、1913年)や『東京見物』(東亜キネマ、1922年)がある。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「奈良葬式[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50126

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 4分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
 
タイトルなどの情報がなく、誰の葬儀なのかは不明だが、中井座の幟が写っていることから、時期は中井座が撮影した『春日神社正遷宮 各町村催物實況 昭和五年十一月十日』と同時期の大正後期から昭和前期、場所も奈良市瓦堂町付近と推定される。中井座の幟には結び柏の紋章が入っていることから、帝国キネマ演芸株式会社との関係も考えられ、幟に見える文字の断片からアメリカのユニヴァーサル映画も上映していたことが裏付けられる。盛大な行列に加わった人々の中には、奈良市木辻町にあった「奈良遊郭あぶらや(油屋)」の法被を着ている人物も確認できる。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「宮川モスリン工場[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50121

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 9分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒・青調色
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
 
映像に写っている法被や社旗などの情報から、宮川モスリン株式会社の工場及び周辺の様子と思われる。宮川モスリンは大阪の実業家・伊藤萬助が1921年、三重県度会(わたらい)郡小俣(おばた)村(現 三重県伊勢市)に創業した羊毛を主とする織物業者で、工場の操業は1924年。のちに工場内に女性従業員のための学校も作られた。撮影年代は特定できないが、フィルムストックの情報などから操業当初の1920年代と思われる。宮川モスリンはその後、大日本紡績(現 ユニチカ)に合併され、宮川工場は2009年頃まで操業を続けていた。桜の名所・宮川堤と思われる花見風景の中には重役らしき人物も見える。また、参宮線から撮影された映像からは、宏大な敷地を有した工場の眺望が見てとれる。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「別子銅山・採鉱より製錬[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50120

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 6分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:記録
製作会社:寺田活動寫眞店[撮影]
 
別子銅山はかつて愛媛県新居浜市にあり、住友別子鉱業所(のち住友金属鉱山)が経営していた。現在は近代産業遺産としてその遺構の一部が保存・公開されている。現存しているタイトルからは「東平(とうなる)全景と坑口(こうぐち)」「索道鑛石運搬と汽車積込」「製錬作業実況 溶銅より伸銅」などが読み取れ、新居浜港や製錬所のあった四阪島(しさかじま)の様子なども見てとれる。撮影を行った「寺田活動寫眞店」は、大阪にあった教育映画業者・寺田清本店映画部のこととも考えられるが、特定にいたっていない。寺田清本店映画部は『日本文化映画年鑑 昭和15年版』(文化日本社、1940年)によれば、代表者は寺田清四郎で「明治四十三年創立され教育映画、劇映画の製作提供を行つてゐた」(109頁)とある。この記録映画も関係者の証言から1910年代と推定されている。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
「怪談 皿屋敷[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50008

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 11分[16fps.]
音声:サイレント
色:染色・調色
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:劇

字幕に青山主膳の用人・相川忠太夫や、お菊、さらには吉原・三浦屋の花魁・大淀太夫(実はお菊の妹でお縫)の名前が確認できることから、お菊の「皿屋敷」ものの一つとされる。2009年、フィルムセンター(現 国立映画アーカイブ)の「発掘された映画たち 2009」で上映された際、『怪談 皿屋敷』と仮題が付され、「おそらく日本映画のなかで現存する最古の「皿屋敷もの」。撮影・編集のスタイルから関東大震災以前の作品と推測できる」とされた。また、2018年、姫路文学館の特別展「怪談皿屋敷のナゾ 姫路名物お菊さん」で上映された折、同館学芸員・甲斐史子によって『文芸倶楽部』1916年6月号掲載の筋書「誌上の活動写真 怪談於菊虫」(桂田阿彌笠著)との類似が指摘され、1916年の天活作品『お菊虫』(怪談於菊虫/番町怪談お菊虫)の可能性があるとされた。この筋書によると、場面は全部で23場、そのうち18場「お菊古井戸へ斬込まる」の終りの部分と、19場「忠太夫苦悶の魘言(うわごと)」が残存フィルムの部分に該当する。女形の使用や書割のセット、室内場面で暖簾などが風に揺れていることから、スタジオでの室内撮影ではなく、野天での太陽光による撮影と思われる。同時代の皿屋敷ものとしては、女形の澤村源之助(四代目)一派が演じた1922年の松竹キネマ作品『番町皿屋敷』(監督:吉野二郎)なども考えられるが、いずれにせよ俳優の特定にはいたっておらず、今後の考証が待たれる。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク


 
混合断片一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50041

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 8分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒・染色
完全度:断片

【内容について】
製作国:日本
種別:劇
 
フィルムの入っていた缶には「内外優秀映画配給 清水映画商會(京都配給所)/全壱巻/各社スター競演 映画名優の日本競演録」と記載されているが、いわゆる名場面集といったものではなく、複数の作品断片が脈絡なく繋いであるようにみえる。2018年10月の「神戸発掘映画祭 2018」で参考上映された後に参加者から情報提供があり、嵐寛寿郎主演作の一部は『強羅三平 お江戸放浪記』(1931年、寛プロ作品、東亜キネマ配給、監督:仁科熊彦)と判明した。共演の女優は歌川絹枝、魚屋金太は阪東太郎。その他、河部五郎出演作や乃木将軍ものなど、作品名はいずれも不詳である。
調査者:佐崎順昭(映画史家)

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平成30年度美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク
 
題名不明(村の記録)一部抜粋  → 題名判明 「関東の遭難と小川水兵」
神戸映画資料館所蔵ID:50054

【フィルム状態】
フォーマット:35mm
長さ: 4分[16fps.]
音声:サイレント
色:白黒・染色・調色
完全度:部分

【内容について】
製作国:日本
種別:劇
製作年:1920年代 1925年
製作会社:国際活映(国活)巣鴨撮影所
監督:内田吐夢
撮影:円谷英一(英二)
出演:西沢武夫、本田歌子、水島欽三郎、水島三千男

解説(2024年7月更新)
現存部分から推測できる物語は、座礁した帝国海軍の水兵を村民が救助した場面があることから、1924年12月に福井県越前海岸沖で起こった特務艦関東遭難事件などが考えられた。それを題材にした劇映画は『日本劇映画総目録』(朱通祥男編、日本アソシエーツ、2008年)によれば、日活の『噫 特務艦関東』(1925年1月公開、監督:若山治、出演:南光明)と、国活の『特務艦関東と小川水兵』(製作年不詳)の2本である。しかし日活作品は出演俳優の相違などから当該作品の可能性は低いと思われた。国活作品に関しては、雑誌『音楽と映画』1925年3月号の口絵に「国活巣鴨スタヂオ作品『関東と小川水兵』」の写真があり、水兵と村娘の扮装が残存映像と似ていることと、同誌の広告に「『関東の遭難と小川水兵』全3巻/監督 内田吐夢 撮影 田谷英一[ママ] /配役 清水老医長…水島欽三郎 小川水兵…西沢武夫 母お国…鈴木はま子 妹お春…本田歌子」を確認することができた。さらに残存映像に映っている俳優の水島欽三郎と子役の水島三千男(のちの水島道太郎)が、内田吐夢が国活巣鴨撮影所の解散後に同じスタジオを利用して監督した社会教育映画研究所の『少年美談 清き心』(1925年)に出演している二優と同一人物であることが判明した(ちなみにこの作品は神戸映画資料館が発掘した作品であり、初公開時の題名は『潔き歩み』である)。また。『福井新聞』の伊与登志雄氏の調査により、座礁した関東艦が見える夜間の映像は、岩の形状などから南越前町糠の現在「特務艦関東艦遭難之地」の碑が立つ付近と考証された。以上のことからこの断片映像は『関東の遭難と小川水兵(特務艦関東と小川水兵/関東と小川水兵)』と推定された。なおこの作品の封切年月日は1925年1月30日、封切館は東京・魚河岸キネマである(『都新聞』同日の7面、「活動」欄)。
調査者:佐崎順昭(映画史研究者)

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