プログラムPROGRAM

アニメーション作家 相原信洋 特集上映 その3
2008年12月13日(土)・14日(日)

アニメーション作家・相原信洋の初期から最新作までの作品群を上映するシリーズ第3弾。今回は90年代後半から最新作までを一望する。
風、雲、雨といった自然現象や、心で感じとった名状しがたい心象風景を、流麗なドローイング、光と色彩によって映像化する試みは、初期から現在までテクスチャを変遷させながら貫かれ、今なお変化し続けている。一見カオスにみえる映像は精緻な構成に支えられており、スクリーンに運動と緊張が絶妙に響きあうさまは、アニメーションという表現形式の広さと深みを体現するものである。
2000年からは田名網敬一氏との共同制作をスタートした。これは2人の作家がひとつの動画を描く、つまり互いの絵に加筆したり訂正したりすることで、両者のイメージが変容し融合していくコラボレーションの試みである。その最新作『PARADISE FOR EYE』をこのたび神戸映画資料館で初公開させていただく。
最後に相原信洋氏のアニメーションに対する想いを紹介したい。「現在、私にとってアニメーション制作とは、いろいろな見地がありますが、私は自分の楽しむイメージを結果的に映像化したい、それだけです。風景、写真、絵画、それらの光と影や、風や音等々の記録やイメージを拡げれば無限に湧いてきますし、そんな訳で、私は、いろいろな意味でその出会いを大切にしています。よく旅に出るのも、そのひとつと思います。その風景の中の動と静、光と影、風、音等と、その結果頭の中に浮かぶイメージは1シーンから2シーンと連続し、時間が流れていきます。・・・・私はこれからもずっとアニメーションを作り続けてゆくと思います。単純な言い方をすれば、私にとってアニメーションは結果的にアニメーションの作る楽しさ、遊びの楽しさと映像全般への深い興味を現在も与えてくれています」(京都造形芸術大学刊『相原信洋アニメーション・カタログ』より抜粋)
企画:佐野 明子(京都造形芸術大学非常勤講師)
 
 

相原信洋(アニメーション作家)
あいはらのぶひろ。東京のデザイン学校を卒業後、アニメーション会社でTV・劇場用作品を多数手がける。1965年より自主制作を始め、映像個展およびワークショップを国内各地、ヨーロッパ等で開催。現在も精力的に作品を発表し、世界各国で招待上映される。1995年第5回広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員。国際アニメーション協会(ASIFA)会 員。京都造形芸術大学教授。

[90年代~2000年代作品](約60分予定)
『カルマ』(1977/16mm)追加
『水輪(カルマ2)』(1980/16mm)追加
『RAIN』(1996/16mm)
『MEMORY OF CLOUD』(1997/16mm)
『YELLOW FISH』(1998/16mm)
『THE THIRD EYE』(1999/16mm)
『WIND』(2000/16mm)
『MEMORY OF RED』(2004/16mm)
『YELLOW NIGHT』(2005/miniDV)
『YELLOW SNAKE』(2006/DVcam)
『BLACK FISH』(2006)
『LOTUS』(2007/DVcam)
『ZAP CAT』(2008/DVcam)
[相原信洋・田名網敬一の合作+最新作](65分)
『闇の呼吸・夢の陰影』(2000)
『風の呼吸』(2001)
『SCRAP DIARY』(2002)
『WALKING MAN スクラップダイアリー2』(2002)
『FETISH DOLL』(2003)
『LAND SCAPE』(2004)
『夢10夜』(2004)
『TRIP』(2005)
『マドンナの誘惑』(2005)
『ノイズ』(2006)
『一寸法師』(2007)
『CHIRICO』(2008)
『PARADISE FOR EYE』(新作)(2008)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
 

《料金》各回入れ替え
 1回券 
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
 通し券(全6プログラム) 
会員4500円 学生会員・シニア会員3800円

 
《割引》
1回券を複数枚お求めの場合
2プログラム目より200円引き

[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その1
[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その2
[関連イベント] 相原信洋 ライブペインティング
※作品へのコメントがございます。

相原信洋を知らない人は、作品を見て、その繊細なペンタッチに魅せられるにちがいない。人間業とは思えない複雑にして精微な動きに驚嘆するにちがいない。
(かわなかのぶひろ・映像作家)
[京都造形芸術大学刊『相原信洋アニメーション・カタログ』より抜粋]

岩に貼りつけられたロールシャッハ風のデカルコマニーが、大自然の風景の中で不気味に動く幻想的なイメージは卓抜である。
(松本俊夫・映像作家)
[美術出版社刊『新映画事典』より抜粋]

生命のとらえがたい本質に形と動きを与えようとする点で、アニメーションの本質を追求するものといえる。
(那田尚史・映画研究者)
[日本図書センター刊『世界映画大事典』より抜粋]

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。