プログラムPROGRAM
2010 5

フリッツ・ラング連続上映 アメリカ時代 3
2010年4月29日(木・祝)〜5月1日(土)
サイレント末期からトーキー初期に、『ニーベルンゲン』(1924)、『メトロポリス』(1927)などの作品でドイツ映画黄金時代を代表する監督として活躍したフリッツ・ラング。1934年にナチス・ドイツから亡命した後は、ハリウッドで第二の黄金時代を築いた。
今回は、ラング作品の主要テーマ「憎悪・殺人・復讐」を真っ向から描いた『ビッグ・ヒート 復讐は俺にまかせろ』とアメリカ時代の最終作『条理ある疑いの彼方に』を上映する。
 
「ビッグ・ヒート 復讐は俺にまかせろ」The Big Heat
(アメリカ/1953/90分/35mm)
監督:フリッツ・ラング
原作:ウィリアム・マッギヴァーン
脚本:シドニー・ボーム
撮影:チャールズ・ラング
音楽:ミッシャ・バカライニコフ
出演:グレン・フォード、リー・マーヴィン、グロリア・グレアム、ジョスリン・ブランド
ギャングと警察上層部との癒着を知った刑事が、愛妻を何者かに殺される。一方、ギャングの情婦は刑事と接触したことが元で顔に大やけどを負わされる。刑事と情婦がそれぞれの個人的な恨みを原動力に復讐に向かう。
 
 
「条理ある疑いの彼方に」Beyond a Reasonable Doubt
(アメリカ/1956/80分/35mm)
監督:フリッツ・ラング 
脚本:ダグラス・マロー
撮影:ウィリアム・スナイダー
音楽:ハーシャル・バーク・ギルバート
出演:ダナ・アンドリュース、ジョーン・フォンテーン、シドニー・ブラックマー、フィル・ボウナフ、シェパード・スタッドウィック
ラング監督のアメリカ時代最後の作品。ある新聞社社長が死刑廃止を訴えるため、娘の婚約者を未解決殺人事件の容疑者に仕立て、一芝居打つ。冤罪により死刑が行われる可能性を証明しようというのだ。しかし、無実の証拠を持つ社長が事故死して、計画は狂い始める……。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き


はじまりの映画 諏訪敦彦篇
2010年5月2日(日)〜5日(水・祝)
2008年から、毎夏開講してきた神戸映画ワークショップ。これまで、決められたシナリオを使った演習のみだったが、今年は作品を制作する。その5月開講に先立ち、日本映画界を牽引する石井聰亙監督と諏訪敦彦監督の初期作品を上映。
諏訪敦彦監督は、新作『ユキとニナ』をフランスで制作するなど、日本映画界で独自の展開を見せている。彼の劇場デビュー作『2/デュオ』はフィクションに内包されるドキュメンタリー性をいち早く提示した記念碑的作品である。
 
[関連上映] [はじまりの映画 石井聰亙篇](4月23日〜25日)
 

講演:加藤幹郎(かとう・みきろう/京都大学大学院人間環境学研究科教授)
《料金》無料(要上映会チケット半券)

映画史を解体する映画 諏訪敦彦の映画史的インパクト
  諏訪敦彦監督の『M/OTHER』は世界映画史が一世紀を閲したころに現れたおどろくべき映画である。ここでは映画史が過去80年ほどのあいだ練りあげてきたさまざまな映画技法がことごとく抛擲されている。映画は視覚的媒体としてはじまったが、『M/OTHER』ではもはや登場人物たちの顔はよく見えない。照明や露光になんら配慮がはらわれていないためである。レフ(反射板)ももちろんつかわれていない。映画史初期にはすでに自然照明(太陽光)であろうが人工照明であろうが、フィルムをきちんと露光させ、被写体をできるだけ明るくはっきりと写すことに心砕いていたのだから、『M/OTHER』が意図的に照明や露光を顧慮しないまま被写体にカメラを向けるということは、映画史上、大胆不敵な企てだと言ってかまわない。
   加藤幹郎
 
 
「2/デュオ」
(1997年/90分/35mm)
製作会社:ビターズ・エンド
監督・構成:諏訪敦彦
撮影:田村正毅
音楽:Andy Wulf
録音:滝澤修
出演・ダイアローグ:柳愛里、西島秀俊、渡辺真紀子、中村久美
 
諏訪敦彦監督第1回監督作品。同棲中の女(柳愛里)と男(西島秀俊)のありふれた日常が、ふとしたきっかけで不調をきたす。シナリオはなく、俳優たちがそれぞれの状況の中でセリフを考えていくというユニークな方法で制作された。
 

(C)1998 WOWOW / BANDAI VISUAL

「M/OTHER」
(1999年/147分/35mm)
製作会社:サンセントシネマワークス
監督:諏訪敦彦
ストーリー:諏訪敦彦、三浦友和、渡辺真起子
撮影:猪本雅三
音楽:鈴木治行
編集:掛須秀一
録音:菊池信之
出演:ダイアローグ:三浦友和、渡辺真起子、高橋隆大、梶原阿貴、石井育代、ほか
 
独立した関係を保ちつつ同棲するカップル。しかし、男(三浦友和)が元妻との子どもを預かったことで疑似家族の状態が生まれ、恋人関係が揺らぎ始める。前作『2/デュオ』同様、準備されたシナリオはなく、監督と俳優のディスカッションの下に作られた構成台本を使って撮影された。第52回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。
   
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き


新作ドキュメンタリー「BASURA バスーラ」+2作品
5月7日(金)〜11日(火)
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「BASURA バスーラ」
(2009/102分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給:オフィスフォープロダクション
共同製作:映画5000人製作委員会 共同配給:浦安ドキュメンタリーオフィス
監督・編集:四ノ宮 浩
製作プロデューサー:森崎偏陸/長島洋
配給プロデューサー:金子学
撮影:大廣康夫、瓜生敏彦
整音:久保田幸雄
エンディングテーマ曲:坂本龍一「hwit」
音楽協力:Wong Wing Tsan
推奨・認定:文部科学省選定(青年向け、成人向け、家庭向け)
      東京都推奨映画
[公式サイト]
どうしたら貧困と飢餓と戦争はなくなるのか
20年前、世界の貧困の象徴とされたゴミ捨て場の街「スモーキーマウンテン」で暮らしていた子供たち。彼らの足跡をたどることで見えてきたゴミをめぐる根深い問題と、過酷な現実。
 
『忘れられた子供たち スカベンジャー』、『神の子たち』監督・四ノ宮浩
待望の最新作

「世界という現実を自らの目で見てみよう」と決意して世界を放浪した四ノ宮浩が最後にたどりついたのは、自らの作品の原点フィリピン・マニラだった。売春を行い薬物にまみれた生活を送る子供、ゴミ拾いを仕事として暮らす人々……。以前と変わらぬ貧しい人々の光景に愕然とした四ノ宮浩は、処女作『忘れられた子供たち スカベンジャー』を通して出会った登場人物たちをひとりひとり訪ねる旅に出た。
 
 
 
[旧作上映]5月7日(金)〜9日(日)のみ
  
「忘れられた子供たち スカベンジャー」
(1995/100分/16mm)
製作:オフィスフォー
監督・編集:四ノ宮 浩
撮影:瓜生敏彦、ジュン・マニュエル 
整音:久保田幸雄、菊池信之
音楽協力:叫ぶ詩人の会
 
1995年マンハイム国際映画祭ベストドキュメンタリー賞受賞
1996年地球環境映像祭社会環境映像賞受賞 ほか
 
マニラ市の北に位置し、東洋最大のスラムと称されるゴミ捨て場の街「スモーキーマウンテン」。ゴミの自然発火により年中煙がくすぶるここには、再生可能なゴミを拾って転売する「スカベンジャー」と呼ばれる人々がおよそ2万1000人が暮らしていた。強烈な臭いとハエがたかるゴミの山で「家族のため」という言葉を気負いなくさらりと口にし、あたりまえのように支えあって幼いうちから働くゴミ捨て場の子供たち。
 
 
「神の子たち」
(2001/105分/35mm)
製作:オフィスフォープロダクション、日本ユネスコ協会連盟
監督:四ノ宮 浩
撮影:瓜生敏彦 
整音:久保田幸雄 
音楽:加藤登紀子
 
2002年シネマアンビエンテ国際環境映画祭グランプリ受賞
2002年ベルリン国際映画祭正式招待作品 ほか
 
1995年に「スモーキーマウンテン」がフィリピン政府により封鎖され、強制退去を命じられたゴミ拾いを仕事とする人々の多くは第二のスモーキーマウンテンと呼ばれる「パヤタスゴミ捨て場」へ移り住んだ。しかし2000年7月に起こった崩落事故により1000人に及ぶ住民が犠牲となり、政府はゴミ捨て場の封鎖を決定。本編はゴミ捨て場が再開されるまでの4ヶ月を、12歳のニーニャ一家、妊娠中のノーラ一家、水頭症に苦しむアレックス一家を中心に追う。
 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円

《割引》2本目は200円引き
高校生以下は無料


ドライヤー1927/1964
2010年5月21日(金)〜23日(日)
世界映画史においてもっとも偉大な作家の一人であるカール・テホ・ドライヤー。そのサイレント時代の代表作『裁かるゝジャンヌ』(1927)と、遺作『ゲアトルーズ』(1964)を上映する。23日の即興ライブ演奏にもご期待ください。
 
【特別イベント】5月23日(日)即興ライブ演奏付き「裁かるゝジャンヌ」& パフォーマンス 

 
16:00 第一部 デカルコ・マリィー ライブパフォーマンス=音楽と映像とダンス
   ダンス:デカルコ・マリィー 映像:小倉恒夫
   演奏:尾中泰雄(バイオリン、マンドリン)、木内健弘(コントラバス)
        
16:45 第二部 即興ライブ演奏付き「裁かるゝジャンヌ」上映
   演奏:尾中泰雄(バイオリン、マンドリン)、木内健弘(コントラバス)
 
 
【映画上映】5月21日(金)〜23日(日)
 
『裁かるゝジャンヌ』La Passion de Jeanne d’Arc
(フランス/1927/110分[18fps]/サイレント/16mm)
監督・脚本・編集:カール・テホ・ドライヤー
撮影:ルドルフ・マテ
舞台美術:ヘアマン・ヴァルム、ジャン・ユーゴー
出演:ルネ・ファルコネッティ、ウジェーヌ・シルヴァン、モーリス・シュッツ、ルイ・ラヴェ
ドライヤーのサイレント映画の到達点を示す傑作。実際には数ヶ月間にわたって続いた裁判を、ジャンヌ・ダルクが処刑された1日に凝縮して描く。
 
『ゲアトルーズ』Gertrud
(デンマーク/1964/117分/16mm)
監督・脚本:カール・テホ・ドライヤー
原作:ヤルマール・セーデルベルイ
撮影:ヘニング・ベンツセン
音楽:ヨアン・イェアシル
舞台美術:カイ・ラーシュ
出演:ニーナ・ペンス・ローゼ、ベンツ・ローテ、エッベ・ローゼ、ボアズ・オーヴェ
高名な弁護士の妻でありながら、若い作曲家との愛に生きる女性ゲアトルーズを描いたドライヤーの遺作。オリヴェイラをして「『ゲアトルーズ』は最も並外れて勇気ある、より進歩的な現代映画の真の先駆けになった映画だと考えている。」と言わしめた傑作。
 
協力:神戸芸術工科大学、プラネットプラスワン
 

《料金》
[映画鑑賞](当日2本目は200円割引)
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円
 
[生演奏付き上映会(第一部+第二部)]
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円


日本映画名画鑑賞会
2010年5月29日(土)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


タカシ時間 vol.4
5月29日(土)・30日(日) 両日18:30
『2006年 秋ー2007年 冬』 (2007/42分)
『2007年 春ー初夏』 (2007/38分)
 
 
2005年12月から東京茅場町のギャラリーマキでスタートした新作上映会「季刊タカシ」は、年3、4回のペースで現在も続いています。神戸の「タカシ時間」では、映像作家・崟利子がこれまで作ってきた作品を新たな組み合わせでごらんいただきます。

《会費》1500円

 協力:ギャラリーマキ


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。