プログラムPROGRAM

GEIDAI-CINEMA #4 in KOBE
11月20日(土)〜23日(火・祝)
2005年に設立された東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻。その4期生の修了作品5本を上映します。
先輩にあたる1期生から3期生には、加藤直輝監督(1期生/『アブラクサスの祭』今秋公開)、池田千尋監督(1期生/『東南角部屋二階の女』)、濱口竜介監督(2期生/『PASSION』)、瀬田なつき監督(2期生/『彼方からの手紙』)、真利子哲也監督(3期生/『イエローキッド』)らがおり、すでに映画界で頭角を現しています。
新たに誕生した日本映画の才能をご覧下さい。

20日(土)16:10〜トーク
第4期生監督:大橋礼子、栗本慎介、後閑広、長谷部大輔、ヤング ポール

ゲスト:黒沢清(映画監督)
 
《料金》無料(要・当日の上映会チケット)
 
[関連イベント] 11月19日(金)18:00〜〈黒沢清、「映画」を語る〉
       会場:神戸市外国語大学小ホール(学生会館2F)
       主催:神戸市外国語大学黒沢清監督講演会実行委員会

コメント
  目の前に2010年の過酷な現実があり、背後からは鉄壁の映画史が責めたて、上には観客というもやもやした圧力、足元には自分自身という底なしの黒い穴……そんな息詰まる緊張の中で、どこに属することも拒否した驚くべき不機嫌な映画が5本、いっせいに誕生した。しかも、この5本は決して孤独ではない。各々が各々に対して開かれ、連帯を求めて盛んに触手を伸ばしあっている。何かものすごいことが始まる前触れのようだ。
   黒沢清(映画監督) [各作品に対するコメントは↓]
 
[紹介サイト] 筒井武文(映画監督)による解説あり
「海への扉」
(2010/70分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:大橋礼子 制作:名倉愛
撮影監督:安部雅行 録音・整音:宮城則仁
美術:松尾博美 編集:後河大貴
助監督:川口力 楽曲提供:toe
音楽:王健治、青木瑠生
出演:兼子舜、富田理生、大浦龍宇一、
洞口依子、ガダルカナル・タカ、千浦僚
新聞配達員のケンは、もぐりとして大学に通っている。ケンが考古学研究室の前で骨片を盗むのを、ハルは見ていた。「こんなに人に近付いたのは初めてだ」真夜中の路上で抱き合う二人。共に暮らし始めた矢先、再び盗みを働いたケンは捕えられる。准教授の敷島は、盗みを咎めずに、研究へとケンを引き入れるのだった。ある夜、ハルの元に敷島がやってきて告げる。彼女が、死者によく似ているのだと。恋人たちの孤独な旅は、加速していく。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
堂々とした青春映画です。本当にしっかり作っています。物を投げたり走ったりという細かいアクションを確実に撮影し、巧みに編集された映画のお手本のような作品です。
また、主役の若い二人もいいのですが、洞口依子さんやガダルカナル・タカさんなどベテラン陣の演技がまた素晴らしいです。普通の商業映画を見ているような手ごたえを感じます。

 
「cage」
(2010/61分/HD[上映DVCAM])
監督:栗本慎介 制作:小川大樹
撮影監督:白浜哲 助監督:市原悠
録音・MA:鳥越惣太 美術:川西那奈
編集:若林龍 脚本:栗本慎介、島村隆
音楽:theygroup
出演:中丸新将、大谷英子、内田雅樹、
玉城タイシ、比嘉玲子
地方公務員・戸籍課の元宮は趣味のバードウォチングで山を訪れた際、男が黒い袋を埋めているのを目撃してしまう。後日、役所で婚姻届を提出しにきた女がその男の車に乗ったことから、次第に事件への妄想を膨らませ、元宮は女の生活を監視し始める。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
見れば見るほどよくなってくる作品です。いくつかのカットは本当に素晴らしいです。すれ違いざまにスピンして追っかけてくるカーアクションとか、車からの見た目で山を撮っているカット、冒頭の不穏な雰囲気など印象的なカットがいたるところにあります。
本格的なサスペンス映画になっていて、ヒッチコックと青山真治があわさった映画です。

 
 
「テト」
(2010/104分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:後閑広 製作:柄本かのこ
助監督:森内康博 撮影:白浜哲
照明:菊池のどか 美術:濱瀬乃理子
装飾・CG:有吉信寛 録音・MA:中島智也
編集:真下雅敏 音楽:CARRE
出演:阿部翔平、安藤サクラ、
裵・ジョンミョン、モロ師岡、史朗、
安達俊信、松岡大、渡辺幸作、山崎雄太
諜報員訓練生のテト。総合格闘技ジムで鬱憤を晴らす日々を送る女子高生のハト子。ハト子はテトを見た日に猫の自殺を目撃し、戦う意思に目覚める。一方でテトは上官からの最終試験としてある集団への潜入を命じられる。そこはある孤児院出身者で構成された劇団。夜毎、民話の「狐目の寅吉」という伝説の無法者をモデルにした舞台のリハーサルが繰り返される。舞台劇と時代劇が交錯していく中で、テトと座長も奇妙な相似形を形成し始める…。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
やりたい放題と言っていいでしょう。こういう映画を待っていました。スパイ映画です。若い人が映画をつくるならこうあるべきだというようにワンカット、ワンシーンが何でもありで、立て続けにいろんなことが起きる、とっても楽しい映画です。
ゴダールみたいな楽しさです。「ウイークエンド」のころ、五感の才能が全面に開花しています。

 
「浮雲」
(2010/55分/16mm)
監督:長谷部大輔 プロデューサー:江口友起
撮影監督:浅見貴宏 助監督:関力男 音:青木瑠生
美術:難波和之 編集:橋本良平
出演:梶田豊土、松元夢子、野村喜和夫、淡島小鞠、ほたる
愛葉るび、岡部尚、西本竜樹、工藤和馬
クモスケは身ごもった恋人・ふみよを捨て、昔の恋人・清子に会いにいく。妹の光と夫のさちおは突然住みついたクモスケに疑いの目を向けるが、清子の弟の振りをして平然と暮らすクモスケ。ある日、便秘に苦しむ清子はクモスケに便を口から吸い出してほしいと懇願する。さちおは妻が便を吸い出されていることに嫉妬し、光に同じ行為をしてしまう…。奇妙で悲しい人たちとの出会いと別れ。その先には…。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
ピンク映画の経験が生きていると思います。よくこのタイトルをつけたと思いますし、どうしてこんな映画を撮るのか、よくこんなことを平然とやるなと、いつもびっくりしています。男と女の愛の物語ですが、これはもうとんでもない愛の物語です。
学生映画という枠も超えて、おもいっきり個性的な映画で強いて言えば鈴木清順や田中登ですかね。

 
 
「真夜中の羊」
(2010/73分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:ヤング ポール
製作:李桓美 撮影:和野花
録音:鳥越惣太 美術:金子弘明
編集:後河大貴 音楽:網守将平
出演:岡部尚、宮本りえ、山田キヌヲ、
松浦祐也、吉岡睦雄、本城丸裕、
綾田俊樹、なかみつせいじ
不動産屋に勤務する沢口慎二は、ある時偶然、落下してきた隕石を発見する。その翌日、10年間失踪していた姉・栞が彼の前に現れる。突然の帰郷に戸惑いを隠せない慎二。一方、彼の周囲では不思議なことが起こり始め、栞が歌う不穏なメロディが街へと広がっていく。
栞の不思議な存在感を中心に、慎二の婚約者である麻紀をはじめとして人々は変化して行くが、一体彼女は何者なのか。そして慎二は、奇妙な事態に巻き込まれていく…

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
これは大傑作だと僕は思います。宇宙人が侵略してくるというSFホラーの王道を堂々と、ずばり、「ボディ・スナッチャー」を日本で完璧にやっていますがそれだけではありません。
監督自身の独特の個性も十分に出ていて、不思議な味わいがあります。いたるところにハッと息をのむような瞬間が連続するような映画です。

 
  
協力:東京藝術大学
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き

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※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。