プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2010

チベットの真実を知るドキュメンタリー特集 〜2008年を忘れないために〜

2010年3月12日(金)〜14日(日)
2008年3月、チベット自治区をはじめ世界中でチベットの自由を求める抗議活動が湧き上がった。しかし、中国の圧倒的な経済成長の前に各国政府は沈黙し、その後も中国政府によるチベット人への深刻な人権侵害と殺害は止むことなく、チベットの文化と民族のアイデンティティは瀕死の様相を呈している。チベットにはもう時間がないのだ。
チベットの信じがたい真実を直視し、チベット人たちの切なる叫びに耳を傾け、2008年を忘れないため、そして何より人間の尊厳と自由の大切さを我々一人ひとりが世界に訴えるため、死をも辞さない覚悟で撮影されたメッセージ映像に向き合おう。
Aプログラム2本立て
「チベット騒乱の真実」Uprising in Tibet 2008
(チベット/2008/50分/DVD)
チベット人権民主センター(TCHRD)
2008年3月12日、ラサでの僧侶、市民と武装兵士との衝突から、瞬く間にチベット各地に広がった蜂起の波。いったいチベットでは何が起きていたのか? インド・ダラムサラから、チベット本土での人権抑圧の実態を情報収集し、発信し続けているTCHRDが まとめた「チベット騒乱の真実」。
 
「ジグデル 恐怖を乗り越えて」Leaving Fear Behind
(スイス/2008/29分/DVD)
監督:トンドゥップ・ワンチェン、ジグメ・ギャツォ
チベット本土の20人のチベット人が、北京五輪や中国の政策について恐れずにカメラに語った貴重な映像。
 
  
Bプログラム2本立て
「アンダーカバー・イン・チベット 〜チベット潜入取材〜」Undercover in Tibet
(イギリス/2008/50分/DVD)
製作:ジェッザ・ニューマン、タシ・デスパ
チベットで激しい抗議 運動が起きた2008年3月、英国Channel 4は 3ヵ月におよぶ中国支配下のチベット潜入取材を行った。亡命チベット人も投獄と強制送還の危険を冒して英国スタッフに同行した。
 
「遊牧民と呼ばれて」A Man Called Nomad
(ネパール/2002/40分/DVCAM)
監督:アレックス・ガッバイ
中国国内のチベット族。遊牧を生業とし伝統的な生活を守り続けて来た。しかし、近代化の波が彼らを取り巻く環境を急速に変化させる。伝統と近代化の狭間でどう折り合いをつけるのか? 遊牧民として生きていく意味とは? ある家族を通じてチベット族遊牧民の現状を描く。
 
  
13日(土)14:40〜
トーク「私たちのチベット問題」
 鴇明浩(シネマ・アザディ代表)
 チベットとはどんなところ? 一人ひとりがチベット問題に向き合うために、私たちは何を知り、何をすればよいのだろう? チベット関連映像を紹介しつつ、抗議活動を展開してきた鴇明浩氏と、チベット人コミュニティで長年暮らしてきたその仲間が、チベットの魅力やチベット問題を語ります。[参加無料]
 
 

《当日料金》
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円

《割引》
2プロ目は200円引き

協力: SFT(Students for a Free Tibet)、NPO法人ヒマラヤ・アーカイブ・ジャパン、シネマ・アザディ


フリッツ・ラング連続上映 アメリカ時代 2
2010年3月20日(土)〜22日(月・祝)
サイレント末期からトーキー初期に、『ニーベルンゲン』(1924)、『メトロポリス』(1927)などの作品でドイツ映画黄金時代を代表する監督として活躍したフリッツ・ラング。1934年にナチス・ドイツから亡命した後は、ハリウッドで第二の黄金時代を築いた。
今回は、ナチを扱ったスパイ劇『恐怖省』と『外套と短剣』を上映する。
 
「恐怖省」Ministry of Fear
(アメリカ/1944/86分/35mm)
監督:フリッツ・ラング
原作:グレアム・グリーン
脚本:シートン・I・ミラー 
撮影:ヘンリー・シャープ
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:レイ・ミランド、マージョリー・レイノルズ、カール・エスモンド
グレアム・グリーン原作のスパイ・スリラーの映画化。第二次世界大戦中のイギリス。精神病院を退院したばかりの男が、占い師の予言に従いケーキの重量を当てたことから奇妙な事件に巻き込まれ、その背後にあるナチのスパイ活動を知ることとなる。
 
 
「外套と短剣」Cloak and Dagger
(アメリカ/1946/106分/35mm)
監督:フリッツ・ラング 
脚本:アルバート・モルツ、リング・ラードナー・ジュニア
撮影:ソル・ポリト
音楽:マックス・スタイナー
出演:ゲイリー・クーパー、リリー・パルマー、ロバート・アールダ
原子爆研究をめぐるスパイ劇。アメリカ人物理学者(ゲイリー・クーパー)がヨーロッパに潜入し、パルチザンの女闘志らともに、ナチスに協力を強いられている博士の救出を図る。ラングによるの反ナチ映画の4作目にして最終作。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き


プラネット・アーカイヴズ 4
発掘・科学映画
【プラネット・シネマテーク】
2010年3月26日(金)・27日(土)
神戸映画資料館は、大阪のプラネット映画資料図書館が長年収集してきたフィルムなどの映画資料を収蔵管理しています。これらのフィルム整理作業と並行して上映を行っていこうというのが、この「プラネット・アーカイヴズ」です。
第4回目は、戦前のサイレントの科学映画など珍しい教育映画を集めました。
Aプログラム 7本 
「理科の常識 カメレオンととかげ」
(製作年不明/4分/サイレント/16mm)深田商会映画部
 
「理科の常識 第6話 モルモットとねずみ」
(製作年不明/5分/サイレント/16mm)深田商会映画部
 
「理科映画体系 第十篇 もんしろ蝶」
(1936/17分/サイレント/16mm)十六ミリ映画教育普及会
監修:太田仁吉 撮影:鈴木喜代治
 
「理科映画体系 第十六篇 地層の話」
(1937/14分/サイレント/16mm) 十六ミリ映画教育普及会
監修:太田仁吉 撮影:鈴木喜代治
 
「寒天」
(製作年不明/14分/サイレント/16mm)日本視覚教育研究所文化映画部
撮影:荻野茂二
 
「稲」
(製作年不明/18分/サイレント/16mm)奥商会教育映画部
 
「お産の映画 妊娠より正規分娩」
(製作年不明/15分/サイレント/16mm)
 
Bプログラム 6本
「稲の一生」
(1950/21分/16mm)
製作:石本統吉 脚本・演出:太田仁吉、樺島清一 
撮影:鈴木喜代治、後藤義彦
 
「ガラス」
(製作年不明/10分/16mm)モーションフィルムズ 
製作:吉田彦 脚本・監督:八木進 音楽効果:秋山邦晴
 
「日本百科映画大系 蚊」
(1954/11分/16mm)製作:吉野馨二 演出・撮影:吉田六郎
 
「理科学習シリーズ 電気篇 No.1 モーターはどうしてまわるか」
(製作年不明/6分/16mm)十六ミリ映画株式会社
 
「ふきんの科学」
(1960/22分/16mm)監督:清水隆男 撮影:加藤和郎
 
「あかちゃんはどうしてうまれるの」
(1970/14分/16mm)民話社
監修・解説:阿部進 語り手:下重暁子 企画:根本英行 演出:大矢敏行
撮影:佐藤武彦 原画:植本まり子
  

《会費》
1プログラムあたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2プログラム目より200円引き


[貸館]SANAフィルムフェスタ「マスメディアが伝えないイラクがここにある」
2010年3月28日(日)14:00〜
 「SANA(光)衛星テレビ」は、世界から募金が集められ、イラクの市民メディアとして2007年4月に誕生しました。自由平等で平和なイラクの再建をめざす「イラク自由会議」が番組制作・運営を行い、民衆の文化、労働、教育、女性、子どもなどをテーマにニュース映像やドキュメンタリー番組などを放送しています。
 「イラク平和テレビ局inJAPAN」は、その番組を日本で観られるように翻訳・吹き替えしインターネット配信をしていますが、より多くの方々ご覧いただく機会として「SANAフィルムフェスタ」を開催しています。
 マスメディアが伝えないイラクを知り、戦争のない社会をつくるためのオリジナルな映像を発信し、交流する場です。
 
 
 特別上映「イラクの現在〈いま〉と希望 IFC(イラク自由会議)」40分
SANA衛星テレビ局制作/イラク平和テレビ局 in JAPAN 編集
アメリカによる7年間のイラク占領は数え切れない死者と生活破壊をうみだした。しかしその中でイラクの子どもたち、女性、若者、市民、労働者が平和で民主的なイラクの再建に立ち上がっている。IFC(イラク自由会議)がイラクの希望を切り開いている。イラク市民が設立したサナテレビが真実のイラクを伝える。
  その他、最新映像より
 
 
主催:イラク平和テレビ局 in Japan・兵庫
  (連絡先)黒川 078-784-2430  安東 090-3828-9579
   

《料金》大人1000円 シルバー/学生/障がい者500円


タカシ時間 vol.3
3月27日(土)・28日(日) 両日18:30

『ジャスミン王子とアーモンド姫の優しい物語』 (2005/30分)
『セカイのマド』 (2006/7分)
『伊丹 2006年・春』 (2006/26分)
『春節祭』 (2007/8分)
 
 
2005年12月から東京茅場町のギャラリーマキでスタートした新作上映会「季刊タカシ」は、年3、4回のペースで現在も続いています。神戸の「タカシ時間」では、映像作家・崟利子がこれまで作ってきた作品を新たな組み合わせでごらんいただきます。

《会費》1500円

 協力:ギャラリーマキ


山根貞男 連続講座〈新編:活劇の行方〉2 沢島忠
2010年4月3日(土)
2008年に「山根貞男連続講座〈加藤泰の世界〉」と題し、ほぼ月に一回開催した人気企画が、テーマを「活劇」に広げ再開します。
『活劇の行方』をはじめとする著書で、一貫して活劇の観点から映画を論じてきた日本映画批評を代表する山根貞男による「活劇論」です。
この講座では、毎回講義に入る前に関連する作品を参考上映します。
 
今回は、沢島忠監督論を出発点に、中村錦之助論へと展開。<『一心太助』で時代劇が変わった=日本映画が変わった>ということを、縦横に論じてくださる予定です。
 

山根貞男(映画評論家)
1939年大阪生まれ。映画批評誌「シネマ69」(1969-71)を編集・発行。蓮實重彦とともに海外の映画祭で加藤泰、鈴木清順、成瀬巳喜男の特集に関わる。1986年より始めた「キネマ旬報」での日本映画時評は現在も連載中である。主な著書に『映画狩り』、『映画の貌』、『マキノ雅弘―映画という祭り―』などがあり、『映画渡世』(山田宏一との共編)、『加藤泰、映画を語る』(安井喜雄との共編)、『成瀬巳喜男の世界へ』(蓮實重彦との共著編)などのインタビューや編著が多数ある。

 
 

《料金》

会員1500円 学生会員・シニア会員1300円
*招待券の使用不可
*会員のみご予約受付中


ジョン・フォード連続上映 その3 ジョン・ウェインの西部劇
2010年4月9日(金)〜11日(日)
『駅馬車』(1939)、『荒野の決闘』(1946)、『黄色いリボン』(1951)などで知られる大映画監督ジョン・フォード。彼の代表作のほか、知られざる傑作も取りまぜ連続上映していく。
第3回目は、フォード作品を代表する名優、ジョン・ウェイン主演の西部劇を集めた。
 
「アパッチ砦」Fort Apache
(アメリカ/1948/129分/16mm)
監督:ジョン・フォード
原作:ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚本:フランク・S・ニュージェント
撮影:アーチー・スタウト
音楽:リチャード・ヘイゲマン
出演:ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、シャーリー・テンプル、ジョン・エイガー、ペドロ・アルメンダリス
 
南北戦争での失策により降格され、アパッチ砦の守備隊司令官の任に付いたサースデイ将軍(ヘンリー・フォンダ)。プライドの髙い彼は、インディアンの戦法をよく知るヨーク大尉(ジョン・ウェイン)の意見を無視し、自分のやり方で手柄を上げ、汚名を返上しようとするが…。『黄色いリボン』『リオ・グランデの砦』と続くフォードの“騎兵隊3部作”の第一作。
 
 
「黄色いリボン」She Wore A Yellow Ribbon
(アメリカ/1949/103分/35mm/テクニカラー)
監督:ジョン・フォード
原作:ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚本:フランク・ニュージェント、ローレンス・スターリングス
撮影:ウィントン・C・ホック
音楽:リチャード・ヘイグマン
出演:ジョン・ウェイン、ジョーン・ドルー、ジョン・エイガー、ベン・ジョンソン、ハリー・ケリー・Jr、ヴィクター・マクラグレン
 
“騎兵隊3部作”の第二作。1876年の西部。退役を間近に控えた騎兵隊の大尉ネイサン(ジョン・ウェイン)は、隊長の妻と姪を護送役に任命される。しかし、戦況の悪化により二人を伴って隊に戻った彼は、退役までの限られた時間の中、部下とともにインディアンに抗戦する。
 
 
「リバティ・バランスを射った男」The Man Who Shot Liberty Valance
(アメリカ/1962/123分/16mm)
監督:ジョン・フォード
原作:ドロシー・M・ジョンソン
脚本:ジェームズ・ワーナー・ベラ、ウィリス・ゴールドベック
撮影:ウィリアム・H・クローシア
音楽:シリル・モックリッジ
出演:ジェームズ・スチュワート、ジョン・ウェイン、ヴェラ・マイルズ、リー・マーヴィン、エドモンド・オブライエン
 
西部の小さな町。州昇格運動を邪魔する無法者リバティ・バランス(リー・マーヴィン)に対抗する若き法律家(ジェームズ・スチュワート)と拳銃の名手(ジョン・ウェイン)の友情を描く。
 
協力:プラネットプラスワン
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き


日本映画名画鑑賞会
2010年4月18日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)
今回は、去る4月6日他界された西河克己監督作品を追悼上映します。

《料金》
一律500円


[貸館]『アリラン−Arirang−』上映会
2010年4月18日(日)17:00開演 (16:30開場)
 
『アリラン−Arirang−』(韓国/1968/16mm)
原作:羅雲奎 監督:兪賢穆
 
 
お問い合せ:Arirang418@gmail.com
    

《上映協力費》大人1,000円 学生・シルバー 500円

提供:アジア映画社  協力:神戸映画資料館


はじまりの映画 石井聰亙篇
2010年4月23日(金)〜25日(日)
2008年から、毎夏開講してきた神戸映画ワークショップ。これまで、決められたシナリオを使った演習のみだったが、今年は作品を制作する。その5月開講に先立ち、日本映画界を牽引する石井聰亙監督と諏訪敦彦監督の初期作品を上映。
石井監督は8ミリ映画の自主製作出身であり、その作品は、デジタル時代に映画を志す若者に今なお刺激を与えるだろう。
 
[関連上映] [はじまりの映画 諏訪敦彦篇](5月2日〜5日)
 

トークショー
ゲスト:石井岳龍(聰亙)監督
(いしい・がくりゅう)
1976年日本大学芸術学部入学直後、8mm映画『高校大パニック』を撮り、熱狂的な支持層を得る。大学卒業制作の『狂い咲きサンダーロード』で劇場監督デビューを果たす。その後の作品に『逆噴射家族』(84)、『エンジェル・ダスト』(94)、『ユメノ銀河』、『五条霊戦記』(00)、『ELECTRIC DRAGON 80000V』(01)、『DEAD END RUN』(02)、『鏡心(完全版)』(05)など多数あり。
06年より神戸芸術工科大学で映画創作の実習授業を始める。今年、石井岳龍と改名。
ISHIISOGO-GAKURYU.com
 
《料金》無料(要上映会チケット半券)

 
「狂い咲きサンダーロード」
(1980/96分/35mm)
製作会社:狂映舎、ダイナマイトプロ
監督:石井聰亙
脚本:石井聰亙、平柳益実、秋田光彦
撮影:笠松則通
音楽:泉谷しげる、パンタ&ハル、THE MODS
美術:泉谷しげる
出演:山田辰夫、戎谷広、大池雅光、中島陽典、谷忠、小林稔侍
 
日本大学芸術学部の卒業制作として制作され劇場公開となった石井聰亙の監督デビュー作で、日本のインディーズ映画に多大な影響を与えたカルト作品。暴走族の特攻隊長・ジン(山田辰夫)が、権力に懐柔される仲間や右翼に戦いを挑んでいく。  
 

(C)1997 Softgarage

「ユメノ銀河」
(1997/80分/35mm)
製作会社:ケイエスエス
監督・脚本:石井聰亙
原作:夢野久作 撮影:笠松則通
音楽:小野川浩幸 美術:磯見俊裕
出演:小嶺麗奈、浅野忠信、京野ことみ、黒谷友香
 
夢野久作の連作短編「少女地獄」の一篇「殺人リレー」を原作にした幻想的な作品。戦後まもない、ある地方都市。友人の死の真相を知ろうと、連続殺人犯の疑いがあるバス運転手(浅野忠信)に近づいた女車掌(小嶺麗奈)が、彼の魅力の虜となってゆく。
 
協力:神戸芸術工科大学
  

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き


フリッツ・ラング連続上映 アメリカ時代 3
2010年4月29日(木・祝)〜5月1日(土)
サイレント末期からトーキー初期に、『ニーベルンゲン』(1924)、『メトロポリス』(1927)などの作品でドイツ映画黄金時代を代表する監督として活躍したフリッツ・ラング。1934年にナチス・ドイツから亡命した後は、ハリウッドで第二の黄金時代を築いた。
今回は、ラング作品の主要テーマ「憎悪・殺人・復讐」を真っ向から描いた『ビッグ・ヒート 復讐は俺にまかせろ』とアメリカ時代の最終作『条理ある疑いの彼方に』を上映する。
 
「ビッグ・ヒート 復讐は俺にまかせろ」The Big Heat
(アメリカ/1953/90分/35mm)
監督:フリッツ・ラング
原作:ウィリアム・マッギヴァーン
脚本:シドニー・ボーム
撮影:チャールズ・ラング
音楽:ミッシャ・バカライニコフ
出演:グレン・フォード、リー・マーヴィン、グロリア・グレアム、ジョスリン・ブランド
ギャングと警察上層部との癒着を知った刑事が、愛妻を何者かに殺される。一方、ギャングの情婦は刑事と接触したことが元で顔に大やけどを負わされる。刑事と情婦がそれぞれの個人的な恨みを原動力に復讐に向かう。
 
 
「条理ある疑いの彼方に」Beyond a Reasonable Doubt
(アメリカ/1956/80分/35mm)
監督:フリッツ・ラング 
脚本:ダグラス・マロー
撮影:ウィリアム・スナイダー
音楽:ハーシャル・バーク・ギルバート
出演:ダナ・アンドリュース、ジョーン・フォンテーン、シドニー・ブラックマー、フィル・ボウナフ、シェパード・スタッドウィック
ラング監督のアメリカ時代最後の作品。ある新聞社社長が死刑廃止を訴えるため、娘の婚約者を未解決殺人事件の容疑者に仕立て、一芝居打つ。冤罪により死刑が行われる可能性を証明しようというのだ。しかし、無実の証拠を持つ社長が事故死して、計画は狂い始める……。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き


はじまりの映画 諏訪敦彦篇
2010年5月2日(日)〜5日(水・祝)
2008年から、毎夏開講してきた神戸映画ワークショップ。これまで、決められたシナリオを使った演習のみだったが、今年は作品を制作する。その5月開講に先立ち、日本映画界を牽引する石井聰亙監督と諏訪敦彦監督の初期作品を上映。
諏訪敦彦監督は、新作『ユキとニナ』をフランスで制作するなど、日本映画界で独自の展開を見せている。彼の劇場デビュー作『2/デュオ』はフィクションに内包されるドキュメンタリー性をいち早く提示した記念碑的作品である。
 
[関連上映] [はじまりの映画 石井聰亙篇](4月23日〜25日)
 

講演:加藤幹郎(かとう・みきろう/京都大学大学院人間環境学研究科教授)
《料金》無料(要上映会チケット半券)

映画史を解体する映画 諏訪敦彦の映画史的インパクト
  諏訪敦彦監督の『M/OTHER』は世界映画史が一世紀を閲したころに現れたおどろくべき映画である。ここでは映画史が過去80年ほどのあいだ練りあげてきたさまざまな映画技法がことごとく抛擲されている。映画は視覚的媒体としてはじまったが、『M/OTHER』ではもはや登場人物たちの顔はよく見えない。照明や露光になんら配慮がはらわれていないためである。レフ(反射板)ももちろんつかわれていない。映画史初期にはすでに自然照明(太陽光)であろうが人工照明であろうが、フィルムをきちんと露光させ、被写体をできるだけ明るくはっきりと写すことに心砕いていたのだから、『M/OTHER』が意図的に照明や露光を顧慮しないまま被写体にカメラを向けるということは、映画史上、大胆不敵な企てだと言ってかまわない。
   加藤幹郎
 
 
「2/デュオ」
(1997年/90分/35mm)
製作会社:ビターズ・エンド
監督・構成:諏訪敦彦
撮影:田村正毅
音楽:Andy Wulf
録音:滝澤修
出演・ダイアローグ:柳愛里、西島秀俊、渡辺真紀子、中村久美
 
諏訪敦彦監督第1回監督作品。同棲中の女(柳愛里)と男(西島秀俊)のありふれた日常が、ふとしたきっかけで不調をきたす。シナリオはなく、俳優たちがそれぞれの状況の中でセリフを考えていくというユニークな方法で制作された。
 

(C)1998 WOWOW / BANDAI VISUAL

「M/OTHER」
(1999年/147分/35mm)
製作会社:サンセントシネマワークス
監督:諏訪敦彦
ストーリー:諏訪敦彦、三浦友和、渡辺真起子
撮影:猪本雅三
音楽:鈴木治行
編集:掛須秀一
録音:菊池信之
出演:ダイアローグ:三浦友和、渡辺真起子、高橋隆大、梶原阿貴、石井育代、ほか
 
独立した関係を保ちつつ同棲するカップル。しかし、男(三浦友和)が元妻との子どもを預かったことで疑似家族の状態が生まれ、恋人関係が揺らぎ始める。前作『2/デュオ』同様、準備されたシナリオはなく、監督と俳優のディスカッションの下に作られた構成台本を使って撮影された。第52回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。
   
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き


新作ドキュメンタリー「BASURA バスーラ」+2作品
5月7日(金)〜11日(火)
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「BASURA バスーラ」
(2009/102分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給:オフィスフォープロダクション
共同製作:映画5000人製作委員会 共同配給:浦安ドキュメンタリーオフィス
監督・編集:四ノ宮 浩
製作プロデューサー:森崎偏陸/長島洋
配給プロデューサー:金子学
撮影:大廣康夫、瓜生敏彦
整音:久保田幸雄
エンディングテーマ曲:坂本龍一「hwit」
音楽協力:Wong Wing Tsan
推奨・認定:文部科学省選定(青年向け、成人向け、家庭向け)
      東京都推奨映画
[公式サイト]
どうしたら貧困と飢餓と戦争はなくなるのか
20年前、世界の貧困の象徴とされたゴミ捨て場の街「スモーキーマウンテン」で暮らしていた子供たち。彼らの足跡をたどることで見えてきたゴミをめぐる根深い問題と、過酷な現実。
 
『忘れられた子供たち スカベンジャー』、『神の子たち』監督・四ノ宮浩
待望の最新作

「世界という現実を自らの目で見てみよう」と決意して世界を放浪した四ノ宮浩が最後にたどりついたのは、自らの作品の原点フィリピン・マニラだった。売春を行い薬物にまみれた生活を送る子供、ゴミ拾いを仕事として暮らす人々……。以前と変わらぬ貧しい人々の光景に愕然とした四ノ宮浩は、処女作『忘れられた子供たち スカベンジャー』を通して出会った登場人物たちをひとりひとり訪ねる旅に出た。
 
 
 
[旧作上映]5月7日(金)〜9日(日)のみ
  
「忘れられた子供たち スカベンジャー」
(1995/100分/16mm)
製作:オフィスフォー
監督・編集:四ノ宮 浩
撮影:瓜生敏彦、ジュン・マニュエル 
整音:久保田幸雄、菊池信之
音楽協力:叫ぶ詩人の会
 
1995年マンハイム国際映画祭ベストドキュメンタリー賞受賞
1996年地球環境映像祭社会環境映像賞受賞 ほか
 
マニラ市の北に位置し、東洋最大のスラムと称されるゴミ捨て場の街「スモーキーマウンテン」。ゴミの自然発火により年中煙がくすぶるここには、再生可能なゴミを拾って転売する「スカベンジャー」と呼ばれる人々がおよそ2万1000人が暮らしていた。強烈な臭いとハエがたかるゴミの山で「家族のため」という言葉を気負いなくさらりと口にし、あたりまえのように支えあって幼いうちから働くゴミ捨て場の子供たち。
 
 
「神の子たち」
(2001/105分/35mm)
製作:オフィスフォープロダクション、日本ユネスコ協会連盟
監督:四ノ宮 浩
撮影:瓜生敏彦 
整音:久保田幸雄 
音楽:加藤登紀子
 
2002年シネマアンビエンテ国際環境映画祭グランプリ受賞
2002年ベルリン国際映画祭正式招待作品 ほか
 
1995年に「スモーキーマウンテン」がフィリピン政府により封鎖され、強制退去を命じられたゴミ拾いを仕事とする人々の多くは第二のスモーキーマウンテンと呼ばれる「パヤタスゴミ捨て場」へ移り住んだ。しかし2000年7月に起こった崩落事故により1000人に及ぶ住民が犠牲となり、政府はゴミ捨て場の封鎖を決定。本編はゴミ捨て場が再開されるまでの4ヶ月を、12歳のニーニャ一家、妊娠中のノーラ一家、水頭症に苦しむアレックス一家を中心に追う。
 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円

《割引》2本目は200円引き
高校生以下は無料


ドライヤー1927/1964
2010年5月21日(金)〜23日(日)
世界映画史においてもっとも偉大な作家の一人であるカール・テホ・ドライヤー。そのサイレント時代の代表作『裁かるゝジャンヌ』(1927)と、遺作『ゲアトルーズ』(1964)を上映する。23日の即興ライブ演奏にもご期待ください。
 
【特別イベント】5月23日(日)即興ライブ演奏付き「裁かるゝジャンヌ」& パフォーマンス 

 
16:00 第一部 デカルコ・マリィー ライブパフォーマンス=音楽と映像とダンス
   ダンス:デカルコ・マリィー 映像:小倉恒夫
   演奏:尾中泰雄(バイオリン、マンドリン)、木内健弘(コントラバス)
        
16:45 第二部 即興ライブ演奏付き「裁かるゝジャンヌ」上映
   演奏:尾中泰雄(バイオリン、マンドリン)、木内健弘(コントラバス)
 
 
【映画上映】5月21日(金)〜23日(日)
 
『裁かるゝジャンヌ』La Passion de Jeanne d’Arc
(フランス/1927/110分[18fps]/サイレント/16mm)
監督・脚本・編集:カール・テホ・ドライヤー
撮影:ルドルフ・マテ
舞台美術:ヘアマン・ヴァルム、ジャン・ユーゴー
出演:ルネ・ファルコネッティ、ウジェーヌ・シルヴァン、モーリス・シュッツ、ルイ・ラヴェ
ドライヤーのサイレント映画の到達点を示す傑作。実際には数ヶ月間にわたって続いた裁判を、ジャンヌ・ダルクが処刑された1日に凝縮して描く。
 
『ゲアトルーズ』Gertrud
(デンマーク/1964/117分/16mm)
監督・脚本:カール・テホ・ドライヤー
原作:ヤルマール・セーデルベルイ
撮影:ヘニング・ベンツセン
音楽:ヨアン・イェアシル
舞台美術:カイ・ラーシュ
出演:ニーナ・ペンス・ローゼ、ベンツ・ローテ、エッベ・ローゼ、ボアズ・オーヴェ
高名な弁護士の妻でありながら、若い作曲家との愛に生きる女性ゲアトルーズを描いたドライヤーの遺作。オリヴェイラをして「『ゲアトルーズ』は最も並外れて勇気ある、より進歩的な現代映画の真の先駆けになった映画だと考えている。」と言わしめた傑作。
 
協力:神戸芸術工科大学、プラネットプラスワン
 

《料金》
[映画鑑賞](当日2本目は200円割引)
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円
 
[生演奏付き上映会(第一部+第二部)]
一般:1500円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1000円


日本映画名画鑑賞会
2010年5月29日(土)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。