プログラムPROGRAM

エジプト映画の巨匠 ユーセフ・シャヒーン
2011年4月16日(土)・17日(日)
エジプト映画界のフェリーニあるいは黒澤明とも呼ばれる、ユーセフ・シャヒーン監督。その作品は音楽あり活劇あり歴史あり政治ありの豊かな映像世界で、国際的に賞賛されてきた。
『アレキサンドリアWHY?』では1942年当時国際都市であったアレキサンドリアを、『放蕩息子の帰還』では1960年代ナセル時代末期の小さな町を舞台に物語を紡ぎ、中東現代史の相貌をも浮き彫りにしている。

 ユーセフ・シャヒーン YOUSSEF CHAHINE
1926年エジプト・アレキサンドリア生まれ。大学1年で渡米し、ロサンゼルスで映画と演技を学ぶ。帰国後、24歳の時に父親をモデルにした『誠実なパパ』(1950)で監督デビュー。以降、カンヌやベルリン等の国際映画祭で作品が上映され、高い評価を受ける。『アレキサンドリアWHY?』で、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。1997年『炎のアンダルシア』で、カンヌ国際映画祭の50回記念特別グランプリを受賞。世界を代表する11人の監督によるオムニバス作品『セプテンバー11』(2002)にも参加した。2008年、82歳で逝去。

 
「アレキサンドリアWHY?」 Iskandariyah… lih?
(エジプト/1979/132分/35mm)
製作:ミスル・インターナショナル・フィルム
配給:シネマトリックス、アイディ
監督:ユーセフ・シャヒーン
脚本:ユーセフ・シャヒーン、モフセン・ザイド
撮影:モフセン・ナスル
音楽:ファウド・ザヘリー
出演:モフセン・モヒーディーン、マフムード・メリーギ、モフセナ・タウフィーク、ライラ・ハマーダ、ザイナブ・セドキー
ベルリン国際映画祭銀熊賞・審査員特別賞
1942年のアレキサンドリア。演劇に情熱を燃やす18歳の青年の夢と友情、そして家族との絆を鮮やかな映像で綴る。シャヒーン監督の自伝的4部作(アレキサンドリア・シリーズ)の第1作。アラブ人青年とユダヤ人の娘の恋、エジプト人貴族とイギリス軍兵士のホモセクシャルな愛、そしてチャーチル暗殺を企むナショナリストや戦争成金など、多彩な人間模様。
題名の「アレキサンドリアWHY?」とは、アメリカへの演劇留学の夢断ちがたい主人公が自問する「アレキサンドリアよ、何故僕はここにいなければならない?」に由来するが、同時に「何故、私たちはいつも戦争の時代を生きなければならないのか?」というシャヒーンのプロテストの声も秘められている。
 
 
「放蕩息子の帰還」 Awdet el Ebn el Dal
(エジプト/1976/125分/35mm)
製作:ミスル・インターナショナル・フィルム
配給:シネマトリックス
監督:ユーセフ・シャヒーン
脚本:ユーセフ・シャヒーン、サラーハ・ジャヒーン、ファルーク・ベローファ
撮影:アブデル・アジズ・ファミー
音楽:アブー・ザイド・ハサン
出演:ショクリー・サラハーン、アーメッド・メヘレズ、ソヘイル・モルシェディ、サイド・アリー・クーイラート、ヒシャム・セリム
1952年の革命後、解放者としてのナセルの栄光が、1967年の第3次中東戦争の敗北や経済危機によって失われつつあった1960年代末期の小さな町が舞台。投獄されていた工場主一家の次男の帰還がもたらすある家族の崩壊と、そこから旅立つ若き恋人たちを対比させ描く。歌や踊りを多用するエジプト映画の伝統的手法を使って作られた、シャヒーン独自の “音楽悲劇(ミュージカル・トラジェディー)” 。
1962年にはナセル大統領の栄光を讃える大作『サラディン』を監督したシャヒーンだが、その後、政府の弾圧から逃れるため、64年から66年にかけてレバノンへの亡命を余儀なくされた。
    

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き

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※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。