プログラムPROGRAM

佐藤央作品集
8月20日(土)・21日(日)
神戸映画資料館の製作で、昨年末にここ新長田で撮影を行い、今年4月に『MISSING』として作品を完成。新境地を開いたと好評を得て一般公開準備中の佐藤央監督。これまでにも洗練されたコメディ作品なども数多く手がけています。それら2008年以降の監督作品をまとめて上映。また、『MISSING』では脚本で参加した小出豊監督の短編も特別上映します。

より不可解な、より奇妙なものへ
            濱口竜介
(映画監督 『PASSION』『THE DEPTHS』)
 佐藤央は、上手い。そのことは厳然たる事実として確認しておきたい。おそらく日本で現在活動している映画監督の中でも2番目ぐらいに上手いし、そしてそのことはおそらく、世界で10本の指に入るぐらい上手い、ということでもある。
 しかし、佐藤央のフィルモグラフィを彼が手練れていく過程として捉えてはいけない(彼は劇場デビュー作『シャーリーの好色人生』の時点で既にその域に達している)。彼のフィルモグラフィはどちらかと言えば、彼の映画がより不可解な、より奇妙なものへと生成して行く過程である。その奇妙さがあまりに威風堂々たるもので、奇妙なのは映画の方ではなくむしろ我々の暮らすこの世界の方に思えて来るほどだ。案外、それこそ事実なのかも知れない。
 そして、まさかそんなわけはあるまいと思う貴方こそ、佐藤央の映画を見るのに最も相応しい観客でもある。神戸に急げ。

 
Aプログラム3本立て
「シャーリーの好色人生」
(2008/44分/DVCAM)製作:シネマパンチ
監督:佐藤央 脚本:佐藤央、冨永昌敬 
撮影・照明:芦澤明子(JSC)
美術:田中浩二 衣装:小磯和代 
音楽:近藤清明 編集:佐藤央、桝田亮
制作:渡辺裕子 企画:大内立子
プロデューサー:冨永昌敬、直井卓俊
制作協力:ユーロスペース、ぽんずフィルム
出演:福津屋兼蔵、夏生さち、杉山彦々、宮田亜紀、小田豊、中川安奈
姉の家に転がりこんだシャーリーを待っていたのは、女性たちからの誘惑だった。彼が選ぶ女性はいったい誰……?冨永昌敬の「シャーリー」シリーズの一篇で、同監督の『シャーリーの転落人生』とともに公開された。2008年水戸短編映像祭特別招待作品。
「結婚学入門(恋愛篇)」
(2009/18分/DVCAM)製作:gpm
監督:佐藤央 
脚本:チームナム(高木幹也・三宅唱・佐藤央)
撮影・照明:四宮秀俊 録音:新垣一平
美術:田中浩二 衣装:小磯和代 
メイク:小櫃香菜 編集:山崎梓 
音楽:近藤清明 制作:阿部史嗣、草野なつか
助監督:三宅唱  プロデューサー:佐々木利記
出演:汐見ゆかり、スズキジュンペイ、小野ゆり子、杉山彦々、小田豊
万田邦敏の呼びかけによるオムニバス映画『葉子の結婚』の一篇。ドタバタ喜劇でありながらソフィスティケイトされた作品。2009 大阪ヨーロッパ映画祭上映作品。
「結婚学入門(新婚篇)」(2011リマスター版)
(2010/31分/DVCAM)製作:gpm 
監督:佐藤央 
脚本:チームナム(高木幹也・佐藤央)
撮影・照明:四宮秀俊 録音:新垣一平
音楽:長嶌寛幸 美術:田中浩二
衣装:小磯和代 メイク:知野香那子
編集:桝田亮 助監督:堀切基和
スチール:鈴木淳哉
プロデューサー:佐々木利記、佐藤央
出演:汐見ゆかり、スズキジュンペイ、小野ゆり子、杉山彦々、小田豊
カツラ会社で働く新婚夫婦。新婚旅行を前日に控えた彼らだが、突然部長の命令により、自社の新型カツラを売り込むべく、長官も出席するカツラシンポジウムに乗り込む…。『結婚学入門(恋愛篇)』に続く作品。2011 ニッポンコネクション上映作品。
 
 
Bプログラム3本立て+小出豊監督作品
「月曜日にはゲバラを殺せ」
(2010/25分/DVCAM)月イチ金曜会企画
監督・編集:佐藤央 脚本:小山侑子
撮影:矢野正義 照明:倉本光佑
録音:舟木健児 音楽:近藤清明
製作・助監督:横田蕗子
プロデューサー:神野輝、小山侑子
アソシエート・プロデューサー:富岡邦彦(PLANET+1)
出演:一ノ瀬美和子、市原文太郎、今西洋貴、佐々木嘉子、小谷可南子
ナナはこれまで心も身体も満足させてくれる男に出会ったことがない。姉のモモが憧れの「本当の男、チェ・ゲバラ」を探しに旅に出ることを知ったナナは…。映画制作に携わる人、興味のある人の交流の場 “月イチ金曜会”(現・KINEMIC)から生まれた作品。
「MOANIN`(モーニン)」
(2010/31分/DVCAM)
製作:佐藤央ワークショップ
プロデューサー・原案・監督・編集:佐藤央
脚本:高木幹也 撮影:四宮秀俊、三宅唱
録音:渡辺一輝 音楽:山田耕治
助監督:三宅唱 制作:草野なつか
コーディネーター:松井宏
公園で死体が発見された。死体をめぐって様々な人物たちが集い、交錯するなか、誰かがひとりの男を死体にそっくりだと主張しはじめる……。佐藤監督を講師に迎えた俳優ワークショップの成果として作られた。 
 
「MISSING」
(2011/55分/HD)製作:神戸映画資料館
監督・編集:佐藤央 脚本:小出豊
撮影・照明:四宮秀俊 録音:新垣一平
音楽:近藤清明 美術:大石佳奈
助監督:大岸智博 制作:唐津正樹
出演:土田愛恵、きく夏海、信國輝彦、昌本あつむ、八尾寛将、堀尾貞治
夫と1人息子のヒロと幸せな生活を送っていた清瀬晧子は、軽い気持ちからヒロとの約束を破ってしまう。その日以来、ヒロは二度と帰ってこず、「自分のせいだ」と自らを責める晧子は夫と別れ1人ヒロを待ち続ける。それから5年の月日が過ぎ…。
 
特別上映 「お城が見える」
(2006/11分/DV)
監督・脚本:小出豊
撮影:山岡太郎、深田晃司、四宮秀俊、川口力
出演:吉岡陸雄、おぞねせいこ、大谷伸
第4回CO2エキシビジョン・オープンコンペ部門優秀賞。夫による妻への暴力がきっかけで、妻は息子を殺してしまう。犯行を隠蔽しようと、息子の死体を海に遺棄する夫…。『MISSING』の脚本を手がけた小出豊監督の短編。

佐藤央
1978年大阪生れ。映画美学校フィクションコースを卒業後、2005年、短編ドキュメンタリー『キャメラマン 玉井正夫』を監督(フィルムセンター、三重映画フェスティバル、神戸映画資料館などで上映)。2007年、オムニバス映画『夢十夜 海賊版』の一本「不安」(第八夜)、2009年には『シャーリーの好色人生』を監督し、冨永昌敬(『パンドラの匣』『乱暴と待機』)との二本立て映画『シャーリーの好色人生と転落人生』として全国で公開。各方面で高い評価を得る。2009〜10年には自主制作で『結婚学入門(恋愛篇・新婚篇)』の2作を続けざまに監督。最新作『MISSING』の一般公開準備中である。

 

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

*神戸映画ワークショップ2011の参加者は無料
《割引》2プロ目は200円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。