プログラムPROGRAM

ソヴィエト映画会①『嘆くな!』
2011年12月17日(土)・18日(日)

 
1991年12月25日、ソヴィエト連邦が解体して今年で20周年。ソヴィエト、ロシア映画の古典や代表作から異色作まで、不定期のシリーズとして上映していきます。
 
「嘆くな!」Не горюй!
(ソヴィエト/1969/94分/35mm)
モスフィルム、グルジアフィルム撮影所
配給:ロシア映画社
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:レヴァス・カブリアゼ
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ギア・カンチェリ
出演:ヴァフタング・キカビッゼ、セルゴ・ザカリアッゼ、アナスタシヤ・ヴェルチンスカヤ、ソフィコ・チアウレリ
 
『不思議惑星キン・ザ・ザ』のダネリヤ監督作品。人々の営みから滲むユーモア、そして死が、歌と踊りの宴会とともに描かれる。舞台は19世紀末のグルジアの小さな町。ペテルブルグで医学を修めた主人公・ベンジャミンが故郷で開業するも患者は集まらない。それを苦にせず呑気に暮らす彼を、姉のソフィコは心配し、裕福な町医者の娘との結婚を画策する。

 ダネリヤ監督は常々、自分が喜劇監督ではないということを繰り返し言い続けています。その例として挙げるのが、『嘆くな!』では三人もの死が描かれているということ。人を笑わそうとして撮る映画には少しも興味がなく、それに似たような要素が見つかるのだとしても、それは我々が日頃感じるユーモアなのだと。
 本作の見所は、主人公の友人の医師レヴァンが自ら開く生前葬の喧噪と静寂のシーンです。
 喧噪の侘しさと別れの虚しさに涙するレヴァンが最後にレースのカーテンを摑むでもなく触るでもなくただ撫で下ろす手をじっと捉えていたカメラが、甕を遠くへ運んでいく子供たちのワンカットを挟んでから再び部屋に戻ると、いつしか静かに消えていなくなったレヴァンを追うようにして隣の部屋の暗闇を覗き込む一連のシークエンス。彼が死の床へ向かったのは確かだとしても、それはすでに映画の外の出来事となっていて、もはや覗き込むこともままならない。この映画で最も美しいシーンだと思います。
 ── 東海晃久
[関連企画] 神戸映画資料館レクチャー:映画の内/外
第6回『不思議惑星キン・ザ・ザ』と知られざるダネリヤの宇宙  講師:東海晃久

《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員1300円 会員学生・シニア1200円

《割引》
[レクチャー:第6回 『不思議惑星キン・ザ・ザ』と知られざるダネリヤの宇宙] 参加者は100円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。