サイレント映画鑑賞会 マック・セネットのキーストン喜劇①
2013年2月2日(土)・3日(日)

サイレント喜劇の大プロデューサー、マック・セネットが作った「キーストン社」で製作した4本を上映。
いいをじゅんこさんの第2講コメディ学入門「喜劇王は俺だ!マック・セネットvsハル・ローチ」とあわせてお楽しみください。
「バーニー・オールドフィールドの人生競争」*Barney Oldfield’s Race for a Life
(アメリカ/1913/16mm/無声/16分[16コマ])
製作・監督:マック・セネット
出演:メーベル・ノーマンド、マック・セネット、フォード・スターリング
「女房様々」☆Wife and Auto Trouble
(アメリカ/1916/16mm/無声/18分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:デル・ヘンダーソン、マック・セネット
出演:ウィリアム・コリアー、ブランシュ・ペイソン、ジョセフ・ベルモント
「珍飛行」☆Dizzy Heights and Daring Hearts
(アメリカ/1916/16mm/無声/30分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:チェスター・コンクリン、クレア・アンダーソン、ニック・コグレイ
「雨中の逃亡」Teddy at the Throttle
(アメリカ/1917/16mm/無声/30分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:クラレンス・G・バジャー
出演:グロリア・スワンソン、ボビー・ヴァーノン、ウォーレス・ビアリー
*過去にシネマテーク上映された時の邦題
☆神戸映画資料館の2・3月の総合チラシでは仮の日本語題を表記しましたが、公開題が判明しましたので、訂正いたします。
《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円
《割引》[第2講コメディ学入門] 参加者は200円引き
西日本初公開「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」
2013年2月8日(金)〜12日(火)
ピンクリンク編集部 企画
ピンク映画50周年 特別上映会 〜映画監督・渡辺 護の時代〜
→特集上映
渡辺 護監督・井川耕一郎監督、来場トークショー
2月9日(土)17:20〜 2月10日(日)13:00〜 *要 映画鑑賞チケットの半券

「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」
(2011/122分/DVCAM)
構成:井川耕一郎
出演・語り:渡辺 護
撮影:松本岳大、井川耕一郎
録音:光地拓郎 編集:北岡稔美
構成補:矢部真弓、高橋 淳
製作:渡辺 護、北岡稔美
協力:渡辺典子、太田耕耘キ、淡島小鞠、荒木太郎、広瀬寛巳、向井淳子、映画美学校
監督生活50年にならんとする巨匠・渡辺護にカメラは密着する。本作は渡辺護の映画演出を具体的に探るドキュメンタリーでありつつ、また渡辺護が自分の人生を題材にして作った新作映画でもある。
ピンク映画というのは1時間前後の尺の中に、セックスシーンが4回、5回ないといけないとか、何分間に1回ないといけないとかいう条件のもとで作られますよね。その条件は、監督にとってふつう「制約」として受け止められるじゃないかと思うんです。できたら無理矢理セックスシーンなんて入れたくはないけど、そうしないといけない決まりだから仕方なく撮る、というふうに。しかし、ある一群の監督や脚本家たちにとってはそれが制約ではなく、いや始めは制約であったにもかかわらず、すぐにセックスそのものがドラマの中心テーマに据えられるようになるという奇妙な逆転が起りますよね。渡辺さんもそうだったのか。でなければ、2百本以上のピンク映画は撮れないのか。しかしこのドキュメンタリーを見ていると(聞いていると)、渡辺さんにとっての関心はピンクそのものではなく、ピンクだろうとなんだろうと如何に面白く撮るか(如何に面白く語るか)、ただそれだけなんだということがわかってきました。つまり渡辺さんにとってピンクは、驚くべきことに今もなお「たまたまそうだった」であり続けているのではないかということです。渡辺さんには「映画」という糸が、ずっと切れないままつながっているんではないでしょうか。
───万田邦敏(映画監督)
もしオリヴェイラが渡辺護を見たら、ええ! サイレント時代から映画を撮ってた人が俺以外にもいたの!とビックリするのではないだろうか。もちろん渡辺護は100歳ではない。ピンク映画の黄金期を支え、200本以上の映画を撮り続けた彼のデビューは1965年。彼の映画にずいぶんと遅れて出会った私たちは、その画面に、彼が語る言葉に、肉体に、マキノ、伊藤、衣笠ら活動大写真の興奮が息づいている不思議に呆然とした。井川耕一郎がドキュメンタリーの製作に踏み切ったのも、何としてもこの不思議を記録せねばならないと思ったからに違いない。渡辺護が語るのは体験談ではない。“体験”なのだ。クラシカルな嗜好とは無縁の、現在であり続ける“体験”。彼の映画がオリヴェイラ同様刺激的なのはそれ故だ。我々はスクリーンを通じて、スクリーンを見ている時だけ、この“体験”を共有できる。渡辺護の演出を捉えたメイキング映像は抱腹絶倒の面白さ!
───高橋洋(映画監督)
渡辺 護(わたなべ まもる)
1931年、東京生まれ。1965年 、成人映画『あばずれ』で監督デビュー。映画監督本数:約230作品。谷ナオミ、東てる美、美保純、日野繭子、可愛かずみ…数々のスター女優を発掘しヒロインに育て上げてきたピンク映画界の第一人者であり、現役映画監督。
井川 耕一郎(いかわ こういちろう)
1962年生まれ。脚本家・映画監督、映画美学校 講師。ピンク映画の脚本は、1994年『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(監督:鎮西尚一)、1996年『黒い下着の女教師』(監督:常本琢招)など。最近作は2008年『喪服の未亡人 ほしいの…』(監督:渡辺護)。2000年『寝耳に水』(出演:長曾我部蓉子)監督。
《料金》
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円
『あるいは佐々木ユキ』公開記念
福間健二監督作品集
2013年2月15日(金)〜19日(火)
「急にたどりついてしまう」
Suddenly Arriving
(1995/90分/35mm)英語字幕版
製作・配給:タフ・ママ
製作:本多昇、禰屋順一、福間健二
監督・脚本:福間健二
撮影:小西泰正 照明:櫻井雅章
同期同時録音:浅沼幸一
編集:金子尚樹 記録:田中小鈴
制作:サトウトシキ、瀬々敬久
音楽:THE WAR BABYS、dè-ga-show
出演:伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、小林節彦、田中要次、伊藤清美
『急にたどりついてしまう』は詩人福間健二による初の長編劇映画である。
舞台は東京郊外の町。ソーセージ屋で働く青年信次。彼の出会った女の子リサ。二人をとりかこむさまざまな人物たち。《いつのまにか大事な場面に立ち会っている》それぞれの春。
『急にたどりついてしまう』は、この地上に生きる者たちの息づかいをしっかりとつかまえたリアルライフ・ムーヴィーだ。
福間健二は『結婚入門』『行儀のわるいミス・ブラウン』『きみたちは美人だ』『旧世界』といった詩集で、現在の生活風景の隅々にまで言葉を届かせながら、新鮮な映画的イメージを紡いできた。同時にその一方で、1960年代からの映画体験にこだわりつづける独自な視点をもった映画批評を書き、さらに映画を撮りたいという夢を育んできた。
その夢は、彼がこのところ交流をもってきた瀬々敬久、サトウトシキ、上野俊哉、松岡邦彦といったピンク映画の俊鋭監督たちの全面的な協力によって、一気に実現されることになった。
『急にたどりついてしまう』というタイトルは、福間健二の詩集のひとつの題をそのまま持ってきたものだが、作品の内容ばかりでなく、この映画が作られるにいたった過程をも語っているように思えてくる。
「岡山の娘」
My Dear Daughter of Okayama
(2008/92分/HD[ブルーレイ上映])
製作:tough mama、岡山映画祭実行委員会、幻野映画事務所
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影・照明:大西一光 音楽:吉田孝之
録音:進巧一、折元亮 記録・編集:福間雄三
出演:西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一、東井浩太郎、岡本文子
『岡山の娘』は、詩人福間健二の、『急にたどりついてしまう』以来13年ぶりの監督作品である。
日本の地方都市岡山の、ひとりの娘の夢と現実、ひと夏の経験。彼女と彼女をとりまく人々の物語。だれもが立つ地面に詩をひきよせる、いままでになかった語り方の映画である。
私たちはいま、ここで、何に抗議し、何を許すべきなのか。
近年、詩集『侵入し、通過してゆく』と評論集『詩は生きている』で話題をあつめた福間健二が、根底に人間へのあたたかい肯定のまなざしをもって、世界と映画への新しいヴィジョンをつむいでいる。
撮影は、『映画の記憶』『IZANAMI』『青空(映画の記憶2)』を撮影・監督した大西一光。
音楽は、朗読テープ『地下帝国の死刑室』を福間健二と作った吉田孝之。
主演の西脇裕美は、オーディションで選ばれた新人。そのほかのスタッフ・キャスト全員が、この映画への呼びかけに応えて参加した岡山在住の人たちである。
生きる。傷つく。誘惑する。
魅力あふれる岡山の娘たちが駆け抜けるリアルライフ+ファンタジーのなかに、「私たちがいま出会うべき大事なもの」が生まれ、未来への視界をさえぎられて疲労のなかにうずくまるように見えるこの世界へと、あざやかに発信される。
「わたしたちの夏」
Summer for the Living
(2011/89分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給 tough mama
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影:鈴木一博 編集:秦岳志
音響設計:小川武
出演:吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵、川野真樹子
『岡山の娘』から3年。
冒険的な映像構成に体温とやさしさを引きよせる福間健二の新作です。
詩と映画を結びつけるその果敢な挑戦が、日本が大きく揺れたいまこそ見てもらいたい作品として、そして何よりも女性たちへのオマージュとなる作品として、結実しました。
〈映画は、夢と現実をひとつにする。そして、ひとは、どんなに遠い夢に迷い込んでも、生きて、現実に帰ってくることができる〉。
二人の女性。アラフォー世代と20歳前後。戦争と死者を思い出す日本の夏。
〈つらいこと、苦しいことのなかにこそ、自分を救ってくれるものがある〉。
生きていること、その大切さ。夏の光と影、女性たち、植物の生命力。
この世界の隠された「蜜」を感じとる映像と言葉が、あなたを誘い、あなたに問いかけます。
ヒロイン千景には、瀬々敬久監督『汚れた女〈マリア〉』(98)以来の主演作となる吉野晶。その千景の元恋人・庄平を、一昨年TVドラマ『深夜食堂』のオープニング曲「思ひ出」が話題になった歌手の鈴木常吉、その娘・サキを新人の小原早織が演じます。
この三人をメインに、個性豊かな人物たちが、それぞれの言葉と存在感をもって登場します。
撮影は『ヴァイブレータ』『blue』『あしたの私のつくり方』などの鈴木一博、編集は『エドワード・サイード OUT OF PLACE』『チョコラ!』などの秦岳志、音響設計には『ぐるりのこと』『マイ・バック・ページ』などの小川武が参加しています。
《料金》
【各作品】1000円
*「あるいは佐々木ユキ」の半券提示で100円割引
福間健二監督最新作「あるいは佐々木ユキ」
2013年2月15日(金)〜19日(火)

もうすこし歩いて
もうすこしへんになってみる。
「あるいは佐々木ユキ」
A Fairy Tale(2013/79分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給:tough mama
製作:福間恵子
監督・脚本:福間健二
撮影:鈴木一博 編集:秦岳志
音響設計:小川武
出演:小原早織、吉野晶、千石英世、文月悠光、川野真樹子、籾木芳仁、萩原亮介、川島加奈代
2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と藤村記念歴程賞をW受賞した詩人であり、1995年『急にたどりついてしまう』、2008年『岡山の娘』、2011年『わたしたちの夏』と、精力的に映画づくりに取り組んできた福間健二の新作。
20歳の女の子、佐々木ユキの夢と現実を、インタビュー、詩、ダンスをふくむ斬新な構成によってとらえる。ユキは、その分身的存在や彼女を見守る人物たちと出会い、別れ、次のステップへと向かう。アゴタ・クリストフ、アンデルセン、文月悠光、そして「青い家」をはじめとする福間健二の詩を盛り込んだ、アイドル・コミック・ポエトリーファンタジー。21世紀の妖精物語。
主役の佐々木ユキには、『わたしたちの夏』のサキ役で注目を浴びた小原早織。
吉野晶、千石英世、川野真樹子の、『わたしたちの夏』のメンバーに加えて、詩人文月悠光も出演。主要スタッフは、『わたしたちの夏』につづいて、撮影・鈴木一博、編集・秦岳志、音響設計・小川武。福間健二のあらたな冒険をささえている。
2月16日(土)18:30の回上映前 福間健二監督による詩の朗読
2月17日(日)16:15〜
トークイベント《詩から映画までを生きる》 福間健二 × 細見和之
ぼくは、詩を書き、映画をつくっている。青春期を送った1960年代後半にこの二つの魅惑につかまり、そこから紆余曲折した人生の迷路の先にそういうことになった。
長い物語であるが、ぼくはそれを自分だけの物語だとは考えていない。
ふつうは、詩は自分ひとりで書き、映画はスタッフ・キャストとの共同作業でつくっているという違いがある。
自分で写真を撮ることの延長のように映画をつくる、いわゆる個人映画という領域もあるが、ぼくの場合、規模は小さくても、スタッフ・キャストとつくるやり方にこだわっている。理由のひとつは、創作の過程で他者に出会っていたいということ。もうひとつは、たくさんの名作のならぶ映画史を意識した表現をつくりたいということだ。
四本の長篇映画をつくったいま、詩と映画で、別のことをやっているという意識は次第に薄らいできたけれど、それは意識の上でそうだということであり、実際にやることはちがう。映画には、机の上で原稿を書いているのとはちがう体の使い方が必要だ。言葉も、そこでは、紙のページに印刷して読んでもらうのとはちがうものになる。
詩から映画までを生きる。大きく言えば、どんなジャンルにおいても、そのことが必要なのだとぼくは思っている。そして、詩と映画のあいだにおこるフィードバックから、詩についても映画についても新しいヴィジョンが生まれる。そのことを語りたい。
――――福間健二
ゲスト:細見和之
大阪府立大学人間社会学部教授、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)、『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(みすず葛房)、『「戦後」の思想――カントからハーバーマスへ』(白水社)、『永山則夫――ある表現者の使命』(河出書房新社)、『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』(岩波書店)、『「戦後」の思想』(白水社)、『永山則夫』(河出書房新社)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)などがある。
福間健二 監督・脚本
1949年、新潟県生まれ。都立大学在学中に16ミリ作品『青春伝説序論』を高間賢治の撮影で監督する。同時に詩を書きはじめ、現代イギリス詩の研究者としての道を歩みながら、詩と映画への情熱を燃やしつづける。首都大学東京教授。
95年、劇場映画第一作『急にたどりついてしまう』を発表。08年には『岡山の娘』、11年に『わたしたちの夏』を発表し、若い世代の映画作家・批評家たちから熱い支持を受ける。詩論集に『詩は生きている』(05/五柳書院)。詩集に『きみたちは美人だ』(92/ワイズ出版)、『旧世界』(94)、現代詩文庫版『福間健二詩集』(99)、『秋の理由』(00)、『侵入し、通過してゆく』(05/以上、思潮社)など。2011年7月に出した新詩集『青い家』(思潮社)で第19回萩原朔太郎賞と第49回藤村記念歴程賞をW受賞。映画関係の本として、『石井輝男映画魂』(92/ワイズ出版)、『大ヤクザ映画読本』(93、山﨑幹夫との共編著/洋泉社)、『ピンク・ヌーヴェルヴァーグ』(96/ワイズ出版)などがある。
[公式ブログ]
[公式ツイッター]
[フェイスブック あるいは佐々木ユキページ]
《料金》
一般1500円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円
トークイベント1000円
*ポエトリー割引:詩集ご提示で映画鑑賞一般料金を200円引き
新作ロードショー「空の境界(くうのきょうかい)」
2013年2月22日(金)〜26日(火)

愛を知る為に真実を受け入れる。
誰しもが“境界”を超えて強くなる。
「空の境界」
(2013/92分/HD[ブルーレイ上映])
監督:堀江慶 監修:松本明 原案・心理学監修:藏本天外
脚本:堀江慶、井土紀州 音楽:三枝伸太郎
撮影:ふじもと光明
製作:[空の境界]製作委員会
配給:横田佳代子事務所、セントラルメディアプロモート
出演:河北麻友子、藏本天外、井上正大、伊藤かずえ、あめくみちこ、永澤敏矢、工藤綾乃、牧田哲也
県立水泳競技場の事務職員として働いている澤村悠子(河北麻友子)は、ジュニア時代、有望な飛び込み選手であったが、8年前から飛び込みが出来なくなる。ある日、悠子は恋人の笹原聡(牧田哲也)からプロポーズされるが踏み切れない。そんな中、悠子はメンタリストである「響翔(藏本天外)」の講演会に足を運び、カウンセリングを受ける事に。飛び込みが出来なくなった事、そして結婚に踏み切れない事は8年前に悠子に起こった事件がトラウマとなっての事だった……。
急増する精神的トラブル(うつ、虐待、いじめ、自殺、トラウマ、アダルトチルドレン等)に答えを見出せない現代社会──。
現役メンタリスト(心理カウンセラー)の実体験をドラマ化した野心作。
[公式サイト]
《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円