プログラムPROGRAM

『あるいは佐々木ユキ』公開記念
福間健二監督作品集
2013年2月15日(金)〜19日(火)
 
「急にたどりついてしまう」
Suddenly Arriving
(1995/90分/35mm)英語字幕版
製作・配給:タフ・ママ
製作:本多昇、禰屋順一、福間健二
監督・脚本:福間健二
撮影:小西泰正 照明:櫻井雅章
同期同時録音:浅沼幸一
編集:金子尚樹 記録:田中小鈴
制作:サトウトシキ、瀬々敬久
音楽:THE WAR BABYS、dè-ga-show
出演:伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、小林節彦、田中要次、伊藤清美
 
『急にたどりついてしまう』は詩人福間健二による初の長編劇映画である。
舞台は東京郊外の町。ソーセージ屋で働く青年信次。彼の出会った女の子リサ。二人をとりかこむさまざまな人物たち。《いつのまにか大事な場面に立ち会っている》それぞれの春。
『急にたどりついてしまう』は、この地上に生きる者たちの息づかいをしっかりとつかまえたリアルライフ・ムーヴィーだ。
 
福間健二は『結婚入門』『行儀のわるいミス・ブラウン』『きみたちは美人だ』『旧世界』といった詩集で、現在の生活風景の隅々にまで言葉を届かせながら、新鮮な映画的イメージを紡いできた。同時にその一方で、1960年代からの映画体験にこだわりつづける独自な視点をもった映画批評を書き、さらに映画を撮りたいという夢を育んできた。
その夢は、彼がこのところ交流をもってきた瀬々敬久、サトウトシキ、上野俊哉、松岡邦彦といったピンク映画の俊鋭監督たちの全面的な協力によって、一気に実現されることになった。
『急にたどりついてしまう』というタイトルは、福間健二の詩集のひとつの題をそのまま持ってきたものだが、作品の内容ばかりでなく、この映画が作られるにいたった過程をも語っているように思えてくる。
 
「岡山の娘」
My Dear Daughter of Okayama
(2008/92分/HD[ブルーレイ上映])
製作:tough mama、岡山映画祭実行委員会、幻野映画事務所
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影・照明:大西一光 音楽:吉田孝之
録音:進巧一、折元亮 記録・編集:福間雄三
 
出演:西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一、東井浩太郎、岡本文子
 
『岡山の娘』は、詩人福間健二の、『急にたどりついてしまう』以来13年ぶりの監督作品である。
日本の地方都市岡山の、ひとりの娘の夢と現実、ひと夏の経験。彼女と彼女をとりまく人々の物語。だれもが立つ地面に詩をひきよせる、いままでになかった語り方の映画である。
私たちはいま、ここで、何に抗議し、何を許すべきなのか。
近年、詩集『侵入し、通過してゆく』と評論集『詩は生きている』で話題をあつめた福間健二が、根底に人間へのあたたかい肯定のまなざしをもって、世界と映画への新しいヴィジョンをつむいでいる。
撮影は、『映画の記憶』『IZANAMI』『青空(映画の記憶2)』を撮影・監督した大西一光。
音楽は、朗読テープ『地下帝国の死刑室』を福間健二と作った吉田孝之。
主演の西脇裕美は、オーディションで選ばれた新人。そのほかのスタッフ・キャスト全員が、この映画への呼びかけに応えて参加した岡山在住の人たちである。
生きる。傷つく。誘惑する。
魅力あふれる岡山の娘たちが駆け抜けるリアルライフ+ファンタジーのなかに、「私たちがいま出会うべき大事なもの」が生まれ、未来への視界をさえぎられて疲労のなかにうずくまるように見えるこの世界へと、あざやかに発信される。
 
「わたしたちの夏」
Summer for the Living
(2011/89分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給 tough mama
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影:鈴木一博 編集:秦岳志
音響設計:小川武
 
出演:吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵、川野真樹子
『岡山の娘』から3年。
冒険的な映像構成に体温とやさしさを引きよせる福間健二の新作です。
詩と映画を結びつけるその果敢な挑戦が、日本が大きく揺れたいまこそ見てもらいたい作品として、そして何よりも女性たちへのオマージュとなる作品として、結実しました。
〈映画は、夢と現実をひとつにする。そして、ひとは、どんなに遠い夢に迷い込んでも、生きて、現実に帰ってくることができる〉。
二人の女性。アラフォー世代と20歳前後。戦争と死者を思い出す日本の夏。
〈つらいこと、苦しいことのなかにこそ、自分を救ってくれるものがある〉。
生きていること、その大切さ。夏の光と影、女性たち、植物の生命力。
この世界の隠された「蜜」を感じとる映像と言葉が、あなたを誘い、あなたに問いかけます。
ヒロイン千景には、瀬々敬久監督『汚れた女〈マリア〉』(98)以来の主演作となる吉野晶。その千景の元恋人・庄平を、一昨年TVドラマ『深夜食堂』のオープニング曲「思ひ出」が話題になった歌手の鈴木常吉、その娘・サキを新人の小原早織が演じます。
この三人をメインに、個性豊かな人物たちが、それぞれの言葉と存在感をもって登場します。
撮影は『ヴァイブレータ』『blue』『あしたの私のつくり方』などの鈴木一博、編集は『エドワード・サイード OUT OF PLACE』『チョコラ!』などの秦岳志、音響設計には『ぐるりのこと』『マイ・バック・ページ』などの小川武が参加しています。
 

《料金》
【各作品】1000円
*「あるいは佐々木ユキ」の半券提示で100円割引

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※内容は予告無く変更する場合があります。

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