プログラムPROGRAM

「加藤泰、映画を語る」増補文庫版 刊行記念
加藤泰を見る、語る
2013年8月10日(土)・11日(日)
ちくま文庫版『加藤泰、映画を語る』
出版記念上映会へ向けて

山根貞男 

加藤泰の講演集『加藤泰、映画を語る』が、ちくま文庫になった。元の単行本は1994年に筑摩書房から出版されたが、絶版になって久しい。近年、加藤泰作品の上映の機会が増えているなか、文庫版による復活は多くのファンへの贈り物になると思われる。しかも、新たに見つかった講演とエッセイを加えた増補版であり、愛娘加藤文の書き下ろしエッセイも収録されている。
この『加藤泰、映画を語る』は安井喜雄とわたし(山根)の編集による。そこで、当然のことながら、安井喜雄が館長の神戸映画資料館で加藤泰作品の上映会を催し、わたしが当館における加藤泰講座の特別版トークをおこなうことになった。
上映作品は『清水港は鬼より怖い』(1952)と『男の顔は履歴書』(1966)。この初期作品と中期作品を合わせて見れば、およそ同じ監督の撮った映画とは思えないことに、だれもが驚嘆するにちがいない。あらためて加藤泰恐るべし。

山根貞男映画講座「特別篇・加藤泰の世界」
8月10日(土)16:30〜
(終了予定18:00)


「清水港は鬼より怖い」
(1952/ 80 70分/16mm)
製作:宝プロ
監督:加藤泰 脚本:木下藤吉、友田晶二郎
撮影:近藤憲昭 音楽:高橋半 美術:鈴木孝俊
出演:大泉滉、沢村国太郎、原健作、尾上菊太郎、加東大介、朝雲照代
日本映画史には次郎長もの映画は無数にあるが、これほどデタラメな映画はめったにないだろう。江戸の老舗の若旦那が侠客に憧れて次郎長の子分になる。たったそれだけの話だが、漫才ミュージカルとでもいうべき奇天烈な時空をくりひろげてゆく。これがデビュー作『剣難女難』前後篇につづく第2作と、だれが信じられよう。(神戸映画資料館収蔵フィルムより欠落の少ない長尺16ミリ版で上映。当初80分と記していましたが、実際は約70分のプリントです。何卒ご了承ください。)
 

©1966松竹

「男の顔は履歴書」
(1966/89分/35mm)
製作:松竹
監督:加藤泰 脚本:星川清司、加藤泰
撮影:高羽哲夫 音楽:鏑木創
美術:梅田千代夫
出演:安藤昇、真理明美、伊丹一三、中谷一郎、内田良平、中原早苗、嵐寛寿郎
加藤泰が初めて松竹で撮った映画で、しかも本格的な現代劇。第2次大戦に敗れた直後の日本では、闇市に建ったマーケットが庶民の暮らしを支えてきた。そこの支配をめぐるいわゆる「マーケット戦争」が、戦中派の医師を主人公に、壮烈なアクション映画として描かれる。主役があの安藤昇なので、やくざ映画と誤解されることもあるが、戦中から戦後へかけての激動の底辺に封じ込められたマグマの噴出に焦点が合わされている。加藤泰はこのあと安藤昇と組んで『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(1966)『懲役十八年』(1967)を連作するが、その戦中派3部作の第1作である。
 

《料金》入れ替え制
[映画]1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
当日、2本目あるいは講座参加者は200円引き
 
[講座]
一般1200円 会員1000円
*講座参加ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。

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