プログラムPROGRAM
2013 11

スクリーンに甦る 黒沢清『蛇の道』
2013年11月2日(土)・3日(日)・4日(月・祝) 13:30〜

©1997角川書店

「蛇の道」
(1997/85分/35mm)
製作:大映
監督:黒沢清 脚本:高橋洋 撮影:田村正毅 音楽:吉田光 美術:丸尾知行
出演:哀川翔、香川照之、柳ユーレイ、下元史朗、翁華栄、砂田薫、丹治匠
 
小学生の娘を暴行のうえ殺された宮下(香川照之)は、謎の男、新島(哀川翔)の手を借りて復讐を実現しようとしていた。ある組織の幹部を次々に拉致し、拷問まがいのやり方で、事の真相を問いただしていくのだが……。黒沢清監督がVシネマを多作していた1990年代中期に手がけた傑作。
 
[関連企画] 11月3日(日)15:15
はたのこうぼうのアメリカ映画研究会#2「ラングから黒沢清へ」
発表:濱口竜介(映画監督)

 

《料金》
一般1400円 学生・シニア1200円
会員1200円 会員学生・シニア1000円

*招待券のご利用不可
 
《割引》
[たのこうぼうのアメリカ映画研究会#2] 参加者は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第5回 SF大国2

2013年11月9日(土)・10日(日)
「火を噴く惑星」
(1961/83分/35mm)
レニングラード科学普及映画スタジオ
監督:パーヴェル・クルシャンツェフ
原作:アレクサンドル・カザンツェフ
脚本:アレクサンドル・カザンツェフ、パーヴェル・クルシャンツェフ
撮影:アルカージー・クリモフ
出演:ウラジーミル・エメリヤノフ、ゲオルギー・ジジョーノフ、ゲンナジー・ヴェルノフ
1957年のソ連のスプートニク1号の打ち上げ成功により、宇宙への夢が高まった1961年に作られた宇宙冒険SF。現実には金星の環境が未知であった時代だが、国際調査隊が金星に降り立ち、そこで謎の宇宙生物に襲われるという物語を、空想豊かに造形された宇宙船や怪獣とともに描いたカルト作品。
 
 
「エバンス博士の沈黙」
(1973/90分/35mm)
モスフィルム
監督・脚本:ブディミール・メタリニコフ
撮影:ユーリー・ソコル
出演:セルゲイ・ボンダルチュク、ジャンナ・ボロトワ、オリゲルト・クロデルス、イリーナ・スコブツェワ
人間の寿命を延ばす研究をしているエバンス博士が、飛行機事故に遭う。異星人により救出されるた博士をふくむ8人の乗客たち。自分の研究に異星人の科学を役立てようと考える博士だが、宇宙船が軍から攻撃を受け、異星人は救出した地球人たちの記憶を消して地球へ戻す。エバンス博士の記憶を除いて……。
 
 
「ピルクスの審問」
(1979/100分/35mm)
タリンフィルム=プリズマト(ポーランド)
監督:マレク・ペストラク
原作:スタニスワフ・レム
脚本:マレク・ペストラク、ウラジミール・ワルツキー
撮影:ヤヌシ・バウロフスキー
出演:セルゲイ・デスニッキー、ボレスラフ・アバルト、ウラジミール・イワショフ、アレクサンドル・カイダノフスキー
ロボット開発でしのぎを削る民間企業が、アンドロイドの能力を試す目的で宇宙船に人間の飛行士に紛れ込ませる。クルーの誰がアンドロイドなのか、航海中につきとめようとするピルクス船長だが……。スタニスワフ・ レムの短編連作集『宇宙飛行士ピルクス物語』の一編「審問」をアクション性を盛り込み映画化した作品。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


うたう幻灯会
2013年11月30日(土)
静止画像の拡大映写メディアである幻灯(スライド)は、映画に比べて費用もかからず、運用も簡単なため、誰にでも作り、上映することのできる草の根の映像メディアとして、戦後の社会運動や文化運動で広く活用されました。当時の幻灯は、幻灯機を手で操作してフィルムを1コマずつスクリーンに映写し、ナレーションやせりふをその場で読み上げながら上映されていました。「画面が動かない」デメリットも補いうる、ライブ・パフォーマンスにおける工夫の余地の大きさが、幻灯というメディアの独自の魅力のひとつだったといえるでしょう。今回は神戸映画資料館が所蔵する1950年代の社会運動に関連する貴重な幻灯のコレクションの中から、とりわけ「ライブ・パフォーマンス」面を重視して作られたと思しき3本の作品を、生演奏とコーラス付で上映します。

第一部 14:00〜15:15
上映「ぶどうぱん―三越斗争の記録―」
(1953年?)
製作:全三越労働組合
後援:全日本百貨店労働組合連合会・官公庁映画サークル協議会
配給:日本幻灯文化社
戦後初のデパートの女性従業員による労働争議として大きな社会的反響を呼んだ、1951年12月の全三越労組の賃金ベースアップ要求・組合幹部不当解雇反対ストライキを記録する幻灯。原作の同名詩集『ぶどうぱん』と共に、三越闘争支援のカンパ集めを主目的として製作されたものと考えられる。1950年代に数多く作られた労働争議記録・支援幻灯の中でも初期の代表作のひとつで、台本の朗読のみならず、コーラスやハミングなどの「うたごえ」やピアノ伴奏などの効果が指定されている点も、後に続く作品に影響を与えた可能性がある。

講演「三越争議(1951)と『ぶどうぱん』―60年後に振り返るその成果と蹉跌」
谷合佳代子[大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)館長]

第二部 15:30〜16:30
上映「戦争案内」
(1959年?)
原作:ベルトルト・ブレヒト
編集:関西幻灯センター 古志峻・田窪清秀・高原宏平
製作:日本幻灯文化株式会社
版権所有:ドイツ民主共和国 ベルリン オイレン・シュピーゲル社
1955年にドイツ民主共和国・ベルリンで出版されたブレヒトの写真詩集『戦争案内 KRIEGFIBEL』の幻灯版。各国の新聞・雑誌に掲載された戦争報道写真に、ブレヒトによる4行詩を付したオリジナルの写真詩集から、約半数にあたる38コマを抜粋・編集して構成されている。個人で読むための書籍として発表された原作を、幻灯/スライドというメディアの特性を活かし、多数に向けた上映・上演のために翻案する試みとしても興味深い。ドイツ第三帝国の権力者たち、軍需工場、爆撃機のコックピット、防空壕から空を見上げる市民、破壊された市街、殺し殺される兵士たち、生命を脅かされる子どもたち、「戦争」のさまざまな局面が万華鏡のように映し出される。

上映
「わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん』
(1954年)
製作:東大セツルメント川崎こども会
作画:加古里子
絵本作家・児童文学者として知られる加古里子(かこさとし)が、東大セツルメント川崎こども会での活動の一環として創作した一連の幻灯作品のひとつ。1951年にまず掛図式の大型紙芝居として創作した作品を、さらにカラーの幻灯として改作したもの。加古里子の絵本作家としてのデビュー後、再度紙芝居化(童心社)、絵本化(偕成社)されているが、それぞれの画面構成はかなり異なっている。音楽の好きな国の住民たちが、意地悪な悪魔に妨害されながらも、楽器を盗まれれば動物や虫の鳴き声で、動物や虫を盗まれれば自分たちの歌声で、にぎやかな音楽を奏でつづける本作からは、子どもたち主体で運営されていたセツルメント幻灯会の楽しい雰囲気が伝わってくる。

ピアノ伴奏:山川亜紀
合唱・朗読:田中裕介、神矢匡

*各作品に、適宜伴奏やコーラスを付して上映します。

《参加費》1000円(一部・二部通し/高校生以下は無料)

共催:「戦後社会運動資料としての幻灯の再発見・再評価とアーカイヴス間連携による資料保管・公開体制の構築」(研究代表者:鷲谷花)、プラネット映画資料図書館、神戸映画資料館
*この事業は公益財団法人三菱財団の助成により行われます


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。