プログラムPROGRAM
2014 6

万田邦敏監督 最新作
「イヌミチ」
2014年6月6日(金)〜10日(火)
「イヌミチ」
(2013/72分/HD[ブルーレイ上映])
監督・編集:万田邦敏 脚本:伊藤理絵
撮影:山田達也 照明:玉川直人
録音・整音・効果:臼井 勝
音楽:齋藤浩太、下社敦郎 音楽監修:長嶌寛幸
美術:萩原周平、赤松直明、鈴木知史
製作・配給・宣伝:映画美学校
映画美学校 2012年度高等科コラボレーション作品

出演:永山由里恵、矢野昌幸、小田篤、小田原直也、古屋利雄、茶円茜、古内啓子、中川ゆかり、古川博巳、柏原隆介、兵藤公美

向き合うことを知らない若い男女の孤独と異形の愛を描いた、
進化し続ける映画監督 万田邦敏 5年ぶりの最新作!

目の前の物に満足し、信じて待つ「イヌ」。その目をみつめて可愛がり、惜しみなく与える「飼い主」。男女がセックスを介在させず肉体関係を結べるもの、それは「イヌ」「飼い主」の関係になる事だけかもしれない。
仕事や恋人との生活において選択する事に疲れている編集者の響子はある日、クレーマーや上司に簡単に土下座をする男・西森と出会う。プライドもやる気もない西森の、無欲な「イヌ」の目に興味を持つ響子。出来心から訪れた西森の家で、二人はおかしな「イヌ」と「飼い主」という遊びを始める。「イヌ」としての盲目的な生活に浸る響子と、その姿に安らぎ「飼い主」になる西森。ほの暗い家の中で、決して交わることのない身勝手な愛を垂れ流す二人の遊びはどこへ向かうのだろうか。

『UNLOVED』(02)、『接吻』(08)で国内外に衝撃を与えた映画作家・万田邦敏監督が5年の沈黙を破り、放つ最新作『イヌミチ』は、個性的で精力的な映画監督を輩出し続けている映画美学校のフィクション、アクターズ、脚本の3コースによるコラボレーション作品である。
第一線で活躍する高橋洋、三宅隆太、村井さだゆき三人の講師陣が揃って太鼓判を押した伊藤理絵によるリアルな女性心理が描かれた独創的なシナリオに、響子役の永山由里恵、西森役の矢野昌幸らがみずみずしくも大胆で躍動する演技と表情で挑み、そして映画に対し熱い血潮を滾らせるフィクション・コース15期生がスタッフとして現場を支える。これからの映画を担う若い世代の感性と万田監督の鋭い演出が混じり合うことにより、『イヌミチ』は現代の若者の孤独と倒錯した愛を描いた、新しい万田邦敏作品としてここに誕生した。

[公式サイト]

《料金》
一般1400円 学生・シニア1200円
会員一般1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》当日、『坂本君は見た目だけが真面目』関連プログラムと連続鑑賞の場合200円引き

「坂本君は見た目だけが真面目」+中短篇
2014年6月6日(金)〜10日(火)
Aプログラム「坂本君は見た目だけが真面目」
(2014/57分/HD[ブルーレイ上映])
監督・プロデュース:大工原正樹
脚本:鳥井雅子 撮影・照明:四宮秀俊
録音・整音:光地拓郎 音楽:長嶌寛幸
編集:和泉陽光 美術:浅雄望 鈴木知史
製作:映画美学校
出演:藤本泉、伊藤凌、ジェントル、宮田亜紀、よこえとも子、大久保了、美輪玲華

大人げない女教師×超マイペース天才中学生。
勝つのはどっち!?

聡子のクラスには問題児がいた。自分の出たい授業にしか出ずに、必要ない授業だと思ったら家に帰ってしまう坂本君。ところが彼は成績優秀、教室で暴れるわけでもなく、出ている授業態度はいたって真面目。そんな坂本君を他の先生もどこか容認していた。しかし、生真面目な聡子は彼がどうしても許せなかった。実力行使、彼が抜け出そうとする廊下や昇降口で待ち伏せては教室へ引き戻そうとする。最近は、面白がる他の生徒が坂本君の脱走に加担するようになって事態はエスカレート。生徒指導に燃える聡子は、あきれる坂本君の誹りにもくじけず、授業に出るよう説得を続ける。ある日、あまりのしつこさに坂本君がついに反撃開始!引くに引けない聡子の教師生命は?!ついにクラスを巻き込んで二人のバトルが始まる!!
映画美学校から、新たなエンターテインメントを発信!
富田克也、古澤健、横浜聡子ら個性的で精力的に活動し続ける映画監督を輩出してきた映画美学校が、2011年にシナリオライター開発に着手。日本映画に新たなエンターテインメントを発信すべく選ばれた第1回作品は、村越繁の脚本、『ただいま、ジャクリーン』を大久明子監督(『モンスター』)が映像化し好評を博した。
第2回にあたる今回は、「もしスティーブ・ジョブスが中学生だったら」という出発点から、お互い何かかけている生徒と教師がぶつかり合いながら分かり合う『坂本君は見た目だけが真面目』が選ばれた。脚本は講師、小中千昭の指導を受けた鳥井雅子のオリジナル作品。講評会では映画監督である高橋洋、篠崎誠、大工原正樹の3人に映像化したいと惚れこまれ、実際に大工原により映像化され、生き生きと、さらにポップにしあがった。

[公式サイト]
併映『純情No.1』(2011/20分/HDV)
監督・脚本:大工原正樹
出演:長宗我部陽子、北山雅康、猪原美代子、市沢真吾
映画美学校に通う良江(長宗我部陽子)はトイレで講師・緒方(北山雅康)の恥かしい姿を偶然見てしまったことから身の危険を感じるようなる。そしてある日、教室で死んでいる女生徒(猪原美代子)を発見した良江は、彼女が自分の身代わりに殺されたのだと確信する。

Bプログラム大工原正樹監督 中短篇集
「赤猫」
(2004/42分/DV)
監督:大工原正樹 脚本:井川耕一郎 撮影:福沢正典
出演:森田亜紀、李鐘浩、藤崎ルキノ、永井正子
私(李鐘浩)の出張中、妻の千里(森田亜紀)が流産した。風呂の電球を替えようとして、椅子から転落して流産したのだ。退院後の千里は何もしゃべらず、マンションのベランダからただ遠くを見つめているだけだった。だが、ある夜、ふとしたことをきっかけに、千里は流産に至る経緯を私に話しだした。

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」(2010/49分/HDV)
監督:大工原正樹  脚本:井川耕一郎  撮影・照明:志賀葉一
録音・整音アドバイザー:臼井勝 音楽:中川晋介
出演:長宗我部陽子、岡部尚、森田亜紀、高橋洋、光田力哉
蠱(こ)とは古代中国の呪術である。母の葬式を終え、かつて暮らした町をぶらりと訪れた妙子(長宗我部陽子)と治(岡部尚)は、次第に心に巣食うバケモノ「あいつ」の幻に襲われ始める……。
「恋の季節」(2013/9分/HD)
監督・脚本:大工原正樹
出演:仲村怜緒、二宮未來、松下仁、市沢真吾、大迫茂生
映画美学校で脚本を教える真理恵(二宮未來)はロビーで自分を触った痴漢(大迫茂生)を捕まえ責めたてる。同じころ、MAルームで自慰をしているところを先輩(松下仁)に見られてしまった瑶子(仲村怜緒)は、真理恵と痴漢の諍いを見てある決心をする。

《料金》1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》当日、2プログラム目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第9回 キラ・ムラートワ

2014年6月28日(土)・29日(日)
旧ソ連とルーマニア間で領土争いが繰り返されていたベッサラビア(現モルドバ共和国)生まれで、ウクライナを中心に活動するキラ・ムラートワ監督の2作品を上映する。2013年のロッテルダム国際映画祭では最新作が上映され特集が組まれるなど、約50年にわたり活躍する女性監督。

「長い見送り」
Долгие проводы
(1971/95分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督:キラ・ムラートワ
脚本:ナタリア・リャザンツェワ
撮影:ゲンナジー・カリューク
音楽:オレーグ・カラワイチューク
出演:オレグ・ウラジーミルスキー、ジナイーダ・シャルコ
離婚した母親と、思春期の多感な息子のあいだの葛藤を、瑞々しくも大胆なタッチで描いたムラートワの監督第2作。「ロング・グッドバイ」を意味する原題を持つこの作品と、これとは真逆のタイトルを持つ単独監督デビュー作『短い出会い』の初期2作はアイロニカルにも「地方メロドラマ」と称される。キャメラの繊細な動き、突飛なモンタージュ、音とイメージのずれなど、その斬新な映像センスがすでに比類ない才能を感じさせる驚くべき傑作。党の要請に部分的に従わなかったために、この作品は16年間お蔵入りとなり、ムラートワは以後長きにわたって映画を撮れなくなる。次第に壊れてゆく母親を演じるジナイーダ・シャルコの、ジーナ・ローランズを彷彿とさせる神経症的な演技がすばらしい。

「灰色の石の中で」
Среди серых камней
(1983年/83分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督・脚本:キラ・ムラートワ
原作:ウラディミール・コロレンコ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
出演:イーゴリ・シャラーポフ、スタニスラフ・ゴヴォルーヒン
舞台はおそらく19世紀のロシア。母を亡くしたばかりの少年ワーシャは、妻の想い出に浸って自分を見てくれない父親を避けるようにひとり街を遊び歩くうちに、同い年ぐらいの兄妹と知り合い、奇妙な浮浪者たちが隠れすむ教会の地下に入り浸るようになる。子供向けの物語を借りた大人のための寓話。『長い見送り』の直後からすでにシナリオが書き始められていたが、度重なる検閲によって細部の改変を強いられ、ムラートワはついには完成作から自分の名前を外してしまう。絶えず動き回り、いっせいに話し始める人物たち。理解しがたい行動と、反復される支離滅裂な言葉。混沌としたイメージは、これ以後の作品に共通するものであり、むしろ『長い見送り』以上にムラートワ作品の特徴が現れていると言ってもいい。

作品解説:井上正昭

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。