プログラムPROGRAM

サイレント映画鑑賞会 バスター・キートン再び
2014年7月12日(土)・13日(日)  *12日のみ生演奏付き上映

「キートンの蒸気船」Steamboat Bill Jr.
(アメリカ/1928/69分/16mm)
監督:チャールズ・F・ライスナー、バスター・キートン
脚本:カール・ハルボー
出演:バスター・キートン、アーネスト・トレンス、マリオン・バイロン、トム・ルイス

無表情の、小柄な青年が、ひとりぽつんと立っている。青年の背後には、二階建ての家。サイクロンの強風にあおられ、家の壁はぐらぐらと不安定にゆれている。どっしりと重い壁は、やがてゆっくりと倒れる、何も気づかぬ青年の頭の上に。だが、奇蹟が起きる。二階の小窓が彼の体をすりぬけ、青年は間一髪で命拾いする・・・
この小柄な青年は、名をバスター・キートンという。キートンが主演し監督もしたサイレント喜劇映画では、運命は、彼をしばしばきまぐれにもてあそぶ。そのくせ運命は、いつでも彼の味方をするのだ。
「映画史上最高のスタントアクション」として知られるこの「壁ギャグ」は、バスター・キートンの映画を観たことがない人でも、きっとどこかで目にしているだろう。ジャッキー・チェンをはじめ、さまざまな映画やドラマ、CMで引用されてきた。
しかし、キートンとまったく同じ状況でこのアクションを再現しえた人は、誰もいない。なぜなら、キートンは、このギャグに文字通り命を賭けたからだ。壁の重さは2トンあり、小窓はとんでもなく小さかった。わずか数センチの誤差で、キートンは確実に壁の下でぺしゃんこになる可能性があったのだ・・・
サイレント長編『キートンの蒸気船』において、このアクションは生まれた。今回、神戸映画資料館において、本作を生伴奏つきフィルム上映で観られるということは、すなわち、歴史の目撃者となることにひとしいのである。もちろん、「壁ギャグ」以外にも見所はたっぷりだ。名優アーネスト・トレンスとキートンの父子愛や、新人女優マリオン・バイロンとの可憐な恋物語。クライマックスの嵐のシーンの迫力には、度肝をぬかれることまちがいない。

キーボード演奏をつとめるのは、無声映画伴奏で活躍いちじるしい「深海無声團」のメンバー、藤代敦さん。モダンでエレガントな演奏には定評がある。いつもはプラネットプラスワンを拠点に、活動弁士大森くみこさん、伴奏家のMomeeさんとのチームで活動しており、3月には資料館で『海底王キートン』の弁士上映も成功させている。今回はソロでの演奏ということで、これもまた楽しみだ。
映画上映につづいて、筆者が講師をつとめる講座《コメディ学入門》を開催する。もちろんテーマは「バスター・キートン」。作品鑑賞とあわせてご参加いただければ、幸いである。(いいをじゅんこ)

演奏:藤代 敦(キーボード) *12日のみ生演奏付き上映

いいをじゅんこさんの「第8講コメディ学入門 バスター・キートン入門」(7月12日)と合わせてお楽しみください。

《料金》
一般1400円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》*12日[第8講コメディ学入門] 参加者は200円引き
*13日(演奏なし)は200円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。