プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2015

[貸館]KINEMICAL VIRTUES presents
” オマージュ映画 ” について私が知っている二、三の事柄

2015年5月10日(日)19:00〜

Cradle of Images Pro.が昨年6月から展開している「KINEMICAL VIRTUES」の神戸初上陸上映。
「KINEMICAL VIRTUES」は、人間のスピリットの本質であり、人格の中身そのものである「美徳」の実践を日常生活の中で復活させることを目的とした教育プログラム「ヴァーチューズ・プロジェクト」が使っている52枚構成のカード「ヴァーチューズ・カード (美徳のカード)」をくじ引きとし、くじを引いた自主映画監督等がそれを読んで内省し、インスピレーションや気付きなど受け取るものから映画を制作するというチャリティ・プロジェクトですが、神戸在住の映画作家、衣笠竜屯さんの最新作『クラブのジャック ~やすらぎの銃弾』がようやく出来上がりました。同作品の上映に合わせて旧作から二本と招待作品一本で構成する本プログラムはある種のオマージュ映画を集めてみた格好です。例えばジャームッシュ?あるいはゴダール『パッション』?小津?『殺しの烙印』???映画狂的な精神に支えられた上映となりました。そして集めてみた結果、「俳優・白澤康宏小特集」になってしまっていました。最近は白澤康宏さん出演率が急上昇の関西自主映画シーンですので、関西の今を感じることが出来る注目の特集と言えましょうか。”シラフィル”の方(だがそんな者がおいでなのでしょうか?)お楽しみに。お待ち致しております。

Cradle of Images Pro. 代表 戸田光啓拝

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『エンプティ』手取住吉(15min)
【美徳カード】愛
【キャスト】杉山翔也、白澤康宏、寺本宏明、高木沙織杉山翔也、白澤康宏、寺本宏明、高木沙織
【作品概要】ある寒い晩、ある山道、原付に乗ったある青年はガス欠を起こす。助けを呼ぼうにも車通りが少なく、携帯の電池も切れている。途方に暮れた青年は、遠くに自販機を見つけ、とりあえずそこを目指すのであった。

 

grand『グランドオダリスク』林知明(22min)
【スタッフ】脚本・編集:林知明 脚本・助監督:岩昌司
【キャスト】吉田佳、武本雅美、chee、立見翼
【作品概要】バイト感覚で殺人を行う総司。名も知らぬ女から標的を指示されて依頼を実行する総司だったが、次の標的は美しい少女だった……。その世界は歴史的名画に重なってゆく。【ノワール】をテーマに製作された作品。
→トレーラー

 

bansyu『晩秋の旅人』古谷英稔(24min)
【美徳カード】柔軟性
【キャスト】中本貴洋、市川茶子、岩田徳承、塩崎秀雄、西出明、神崎等、白澤康宏、権内雅世、乗定裕、南野佳嗣
【作品概要】弟子の田島と揉めた後、茶道の師匠は引退を決意し娘の節子に後を継がせることにした。責任を感じた田島は…。

 

 

yasuragi『クラブのジャック ~やすらぎの銃弾』
衣笠竜屯
(37min)
【美徳カード】やすらぎ
【スタッフ】脚本:衣笠竜屯 撮影:南野佳嗣 録音・照明:衣笠竜屯 脚本分析:浦山陽子 脚本協力:佃 光 音楽:川人千慧・畑 裕也 銃器協力:有馬佳彦 ロケ協力:生田 稔 殺陣:舛本昌幸 ギミック制作:椿 智之 / 鎌田尚純 制作進行・記録:本郷紀子
【キャスト】白澤康宏、新宮風香、河口彩華、舛本昌幸、神野 輝、炭谷真一郎、友野龍雄、手取住吉、樋渡あずな(声のみ)
【作品概要】殺し屋クラブのジャックこと黒場道影は妻を壊したスペードのジャックこと辻明を追う。クラブの2は囁く「闇のカード達は4つのスート。エースが強くて2は弱い」
これは 復讐 と やすらぎ についての物語。KINEMICAL VIRTUES参加作品。私たちが引いたカードは「やすらぎ」。どうぞ暗い夜をお楽しみください。
→トレーラー

《料金》1000円
売り上げの10%を東北震災関連のチャリティと致しております

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第13回 特撮ファンタジーの巨匠 プトゥシコ

2015年5月23日(土)・24日(日)
神話や民話をもとにしたファンタジックな特撮映画で知られるアレクサンドル・プトゥシコ監督の世界をご堪能ください。
 
「石の花」Каменный цветок
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(1946/80分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:パーヴェル・バジョーフ
撮影:フョードル・プローヴォロフ 美術:ミハイル・ボグダノフ、ゲンナーヂィ・ミャスニコフ
音楽:レフ・シュヴァルツ
出演:ヴラヂーミル・ドゥールジニコフ、タマーラ・マカーロヴァ、ミハイル・トロヤノフスキィ、アレクセイ・ケリベーレル
幼くして石細工の技を心得、誰をも驚かす名匠となったダニーラ。そんな彼はさらに石工としての腕を磨くべく、許嫁のカーチャのもとを離れ、本物と見紛う石の花を作るよう依頼してきた「銅山の女主」のいる地下に下る。しかし、その誘いはダニーラに人間界を忘れさせ、その技を思いのままにしようとする山の主の罠だった。1946年にはカンヌ映画祭でカラー作品最優秀賞、翌年47年には文学・芸術分野でスターリン賞一等を受賞した作品。

 

「妖婆・死棺の呪い」Вий
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(1967/78分/35mm)モスフィルム
監督:コンスタンチン・エルショーフ、ゲオールギィ・クロパチョーフ 原作:ニコライ・ゴーゴリ
撮影:ヴィクトル・ピシャーリニコフ、フョードル・プローヴォロフ
美術:アレクサンドル・プトゥシコ、ニコライ・マルキン、ローザ・サトゥノーフスカヤ
音楽:カレン・ハチャトゥリャン
出演:レオニート・クラヴリョーフ、ナターリヤ・ヴァルレイ、アレクセイ・グラズィーリン、ニコライ・クトゥーゾフ
神学校生ホマー・ブルートは旅先で遭遇した魔女の老婆に苦しめられ、殺めてしまう。しかし、その亡骸は地主の美しい娘に姿を変えていた。旅を切り上げキエフに戻ったホマーが数日後に呼び出された先はなんと自分の殺めた娘の埋葬式。祈祷を上げる三夜のあいだホマーは復讐を謀ろうとする悪霊たちから逃れようとし、最後の夜、彼を付け狙う悪霊たちが、地面にまで睫毛の垂れた鉄の顔を持つ妖怪ヴィイを召喚する。当時モスフィルムスタジオの学生監督だったクロパチョーフとエルショーフのフィルムをベースにプトゥシコの特撮技術と幻想美が加味された、ソ連時代最初で最後のホラー映画。

 

「ルスランとリュドミーラ」Руслан и Людмила
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(1972/約110分149分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:アレクサンドル・プーシキン
撮影:イーゴリ・ゲレイン、ヴァレンチン・ザハーロフ 美術:オーリガ・クルチーニナ
音楽:チーホン・フレンニコフ
出演:ヴァレーリィ・コージネツ、ナターリヤ・ペトローヴァ、アンドレイ・アブリコーソフ
原作は19世紀ロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンによる同名の物語詩。豪傑ルスランは自らの婚礼の席で、許嫁であったキエフ大公国の姫リュドミーラを黒魔術師チェルノモールにさらわれてしまう。大公スヴェトザールは、娘に恋心を寄せる男たちに向かって、姫を取り返した者に結婚を許すと告げると、ルスランを始めとする若者たちがリュドミーラの救出に向かう。プトゥシコの晩年最後にして、最も興行収益の多かった作品でもある。

 
 
作品解説:東海晃久
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

「クレヴァニ、愛のトンネル」
2015年5月15日(金)〜26日(火)[水・木 休館]

舞台挨拶&サイン会 5月16日(土)
今関あきよし監督舞台挨拶 13:30の回上映終了後
今関あきよし監督・未来穂香さん舞台挨拶 18:30の回上映終了後
サイン会 20:00〜(要当日の「クレヴァニ、愛のトンネル」チケット半券)
*16日(土)の鑑賞券ご予約受付中[18:30の回は満席につき受付終了]
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、ご希望の上映回を書いてお送りください。追って予約受付確認のメールを差し上げます。
今関あきよし監督8mm上映トークライブ
5月16日(土)15:30〜
監督がトークを交えながら自ら映写機を廻します!

上映予定作品
8mm映画
「ORANGING’79」三留まゆみ主演、ぴあフィルムフェス入選
「スプリング・ハズカム日記3」風野桂子主演
「APPLE’84」和久井志保主演
16mm映画
「フルーツバスケット」矢野ひろみ、庄司真由美、大蔵悦子主演(デジタルDVD変換版)
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《料金》1500円
*「クレヴァニ、愛のトンネル」16日当日鑑賞者:500円割引

*ご予約受付中
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、イベントタイトルを書いてお送りください。追って予約受付確認のメールを差し上げます。

klevanichirashi_w「クレヴァニ、愛のトンネル」
(2014/85分/HD[ブルーレイ上映])
製作・企画・原案・監督:今関あきよし
脚本:いしかわ彰、今関あきよし
撮影監督:藍河兼一 音楽:宮﨑道
配給宣伝:アイエス・フィールド
宣伝協力:アルゴ・ピクチャーズ

出演:未来穂香、小山田将、水野勝、板尾創路、岡村洋一、嵯峨周平、魚住ちえこ、川村虹花、小柳朋恵

 

ウクライナに実在する緑のトンネル、
そこは奇跡を起こす場所
世界初の映画ロケ敢行!
日本・ウクライナ初の合作映画が遂に完成

ウクライナの田舎町の外れに実在する、緑に包まれたトンネル。貨物列車が1日に1往復するだけの幻想的な美しい場所。ここでキスした恋人たちは永遠に結ばれる……。20年前に失った恋人の幻影を追い求めてそのトンネルにたどり着いた男、そして現れた少女。だが彼女に逢えるのはその場所だけだった――。狂おしいまでの愛のせつなさが胸に迫る映像叙事詩。
Klevani01緑のトンネルで再会する恋人・一葉に『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』『思春期ごっこ』の未来穂香。恋人を失い喪失感を抱えて生きる圭に小山田将。少女たちのきらめいた一瞬を切り取ることに定評のある今関あきよし監督が、20年の時を越えて人たちの切ない愛の物語を作り上げた。
「愛のトンネル」と言われ世界的に有名なウクライナ・クレヴァニ村の緑のトンネルは実際に存在し、映画で撮影されたのは世界初となる。

 

[公式サイト]

《料金》
一般:1500円 学生・シニア:1300円
会員一般:1300円 会員学生・シニア:1100円

西独・日本の秘録ドキュメンタリー

2015年6月5日(金)〜7日(日)

1962年にヤコペッティの『世界残酷物語』が世界的に大ヒットし、後に「モンド映画」と呼ばれる作品群が騒がれることになったが、それ以前から秘境もの、残酷もの、性医学もの、歴史ものなど数多くのドキュメンタリー映画が製作され、壮絶な題名や誇大な広告とともに一般映画館で公開されていた。今回は50年代、60年代に西ドイツと日本で作られた作品を特集上映。

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chitonamida02「血と涙と墓場」

(日本/1966/72分/モノクロ/16mm)
構成編集:伊勢長之助 監修:大宅壮一
取材:井出昭、中村清美 音楽:八洲秀章
解説:杉山真太郎

約二年十カ月にわたり、ドミニカ、キューバ、アラブ、イスラエル、インド、パキスタン、インドネシア、中国、ソ連、ベトナムを取材、動乱の地の現状を平和への希求を込めて描く長編記録映画。児童劇映画『ドレミハ先生』(1951)に主演したり、数々の流行歌や校歌の作曲などで知られる八洲秀章が音楽を担当。

 

13kaidan02「ニュールンベルクの戦犯 13階段への道」
Der Nurnberger Prozess
(西ドイツ/1957/67分/モノクロ/16mm/日本語発声&字幕)
監督:フェリックス・フォン・ポドマニツキー
日本版解説:佐々木敏全

第二次世界大戦の終了後、ドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判「ニュールンベルク裁判」が開かれたが、その裁判記録を軸に1933年のナチス政権獲得から45年の敗戦までの12年間のドイツファシズムの歴史を描き出す。冒頭の絞首刑や戦後ユダヤ人強制収容所など、残酷な映像の数々を提示することにより平和の尊さを浮き彫りにする。

 

seinohokoku01「W・ブルグハルト教授の性の報告書
―黒い血の恐怖―」
Seitenstrassen Der Prostitution
(西ドイツ/1967/85分/モノクロ/16mm/日本語発声&字幕)_
監督:ゲルハルト・アンマン
撮影:ペーター・バウムガルトナー
音楽:フランク・ファルドル
日本語版監修・解説:木崎国嘉

チューリッヒのW・ブルクハルト教授とオスロのN・ダルンボルト教授の共著『現在の性病』というレポートにもとづいて製作されたセミ・ドキュメンタリー。第一部は、写真および図表を豊富に使用し、性病の恐ろしさ、広がり方を示す。第二部では、港の労働者と売春婦、トラック運転手とヒッチハイクの娘、同性愛、海外旅行、ティーン・エージャーの乱交パーティ、浮気、フリーセックス、などのエピソードを連ねて、性病がどのような径路で感染して行くかを示す。

 

hadakanotairiku01「アマゾンの魔境 ―裸の大陸―」Hito Hito
(西ドイツ/1958/80分/カラー/16mm/日本語発声)
監督:ハンス・エルトル
撮影:モニカ&ハンス・エルトル

ヒトラーのキャメラマンと言われ、レニ・リーフェンシュタールの『民族の祭典』(1938)のメイン・キャメラマンとしても知られるハンス・エルトルと、その娘のモニカ・エルトルら探検隊が、ボリビア奥地に入りアマゾン流域の自然や人々を記録したドキュメンタリー。生まれたままの姿で生活するシリオノ族という部族の生活風習、探検隊との交流を中心に描かれる。上映プリントの経年によるカラー褪色が残念だ。

《料金》入れ替え制1本あたり
一般900円 学生・シニア800円 会員800円 学生・シニア会員700円
《割引》当日に限り2本目は200円引き

没後30年 加藤泰監督の幻の映画特別上映
2015年6月19日(金)〜21日(日)
これまで上映プリントの状態が悪く永らく幻の映画となっていた『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』のネガが発見され、シネマヴェーラ渋谷の特集「祝・芸能生活50周年 安藤昇伝説」のためにニュープリントが作成された。折しもこの6月17日は加藤泰の没後30年にあたる。これはなんとしても神戸で上映したいという想いがついに実現した。併映はハムレットの翻案で大川橋蔵主演『炎の城』。

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トークイベント
6月20日(土)15:15〜 参加費1000円
山根貞男(映画評論家)
1939年大阪生まれ。映画批評誌「シネマ69」(1969-71)を編集・発行。蓮實重彦とともに海外の映画祭で加藤泰、鈴木清順、成瀬巳喜男の特集に関わる。1986年より始めた「キネマ旬報」での日本映画時評は現在も連載中である。主な著書に『映画狩り』、『映画の貌』、『マキノ雅弘―映画という祭り―』などがあり、『映画渡世』(山田宏一との共編)、『加藤泰、映画を語る』(安井喜雄との共編)などのインタビューや編著が多数ある。最新刊は『日本映画時評集成2000-2010』。

幻の加藤泰映画が没後30年に蘇る

山根貞男(映画評論家)

 加藤泰没後30年——この言葉を聞いたとき、しみじみするよりも前に愕然とした。日頃、歳月を数える習慣がないから意表をつかれたのである。たしかに加藤泰が世を去ったのは1985年で、思えば、その翌年、わたしは今に続く日本映画時評の連載を始めたわけではないか。ああ、馬齢を重ねるとはこのことだ……。
 いや、私的な感慨を振り払い、そんな2015年に、幻の『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』が蘇ったことを喜ぼう。永らく上映プリントがなく、ネガが行方不明で、VHSもDVDも出ていなかったのが、ネガが発見され、ニュープリントで見られるのである。
 かつて加藤泰監督、安藤昇主演の映画が3本、立て続けに撮られた。1966年の『男の顔は履歴書』と『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』、そして67年の『懲役十八年』である。このうち『男の顔は履歴書』は、少し前、神戸映画資料館で上映された。あのとき見た諸氏は、あの映画に渦巻く活気、ヤバイほどの面白さに、半世紀という歳月などないかのように魅せられたに違いない。
 さて、『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』はどうか。いっさいの予断を抜きに、画面に接していただきたい。ただひとことだけ、安藤昇のほほえみが素敵ですよ、とひそかに囁いておこう。
 もう1本は大川橋蔵主演の『炎の城』。1960年の時代劇版「ハムレット」として知られるが、めったに上映されない。
 この2本立てはじつに珍しい。神戸だからこそ成り立つプログラムであり、神戸は加藤泰の生地である。
ネガ発見のいきさつ、2作品の魅力についてなど、触れるべきことは多々あるが、それは神戸で聞いていただくとしよう。

 

©1966松竹株式会社

©1966松竹株式会社

「阿片台地 地獄部隊突撃せよ」
(1966/92分/カラー/35mmニュープリント)
製作:ゴールデンぷろ 監督:加藤泰 原作:紙屋五平
脚本:国弘威雄、加藤泰 撮影:川崎新太郎
出演:安藤昇、ペギー・潘、南原宏治、佐々木孝丸、菅原文太、久保菜穂子、伊沢一郎、左卜全、砂塚秀夫

加藤泰は松竹大船に招かれ安藤昇を主演に『男の顔は履歴書』(1966)を監督した後。安藤のゴールデンぷろで『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(1966)を、さらに東映で『懲役十八年』(1967)を監督。これらの三作品は戦中・戦後三部作と呼ばれ、ファン必見の映画となっている。中国の北支戦線で地獄部隊員となった陸軍少尉と、日本軍による阿片栽培を憎む美しい中国娘との男女の物語を軸に、八路軍(パロ)や日本軍との軋轢の間で苦しみ生きた人々の姿を満州映画協会啓民映画部に所属した加藤監督が大陸経験を活かして描く。

 

©東映

©東映

「炎の城」
(1960/98分/カラー/35mm)
製作:東映 
監督:加藤泰 脚本:八住利雄

撮影:吉田貞次 音楽:伊福部昭
出演:大川橋蔵、三田佳子、大河内傳次郎、高峰三枝子、明石潮、黒川弥太郎、薄田研二

シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の翻案で、『緋ざくら大名』(1958)、『紅顔の密使』(1959)、『大江戸の侠児』(1960)に続く加藤監督による橋蔵主演の第四作目。遣唐使として唐に渡っていた王見城の跡継ぎが、留学から帰ってみると叔父が城主の父を毒殺し母を娶って独裁権力を振るっていた。狂人を装い復讐する機会を窺う橋蔵の演技が見どころで、最後は農民一揆の大群が城内に流れ込み城が炎上、ついに復讐が遂げられるという展開。ハムレットのような結末にならなかったのは、会社側がファンの希望に沿うよう、悲劇的な結末を避けるよう指示したからと言われている。「別冊近代映画」の特集号で加藤監督は「怒りと憎しみの中で苦悩する若い魂……を橋蔵さんは力いっぱい演じぬいてくれるものと私は大きな期待を寄せています」と抱負を述べている。

 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1300円 学生・シニア1200円 会員1200円 学生・シニア会員1100円
《割引》当日に限り2本目は100円割引
*招待券のご利用不可

転形期のインディペンデント映画
第4回 キャメラマン・高木風太 小特集

7月4日(土)・5日(日)
『味園ユニバース』(2015/山下敦弘監督)、『水の声を聞く』(2014/山本政志監督)など注目の作品の公開が続くキャメラマン高木風太。石井裕也監督(『バンクーバーの朝日』)、大根仁監督(『モテキ』)をはじめ若手監督作品も多数手がけている。個性派監督たちの併走者、高木風太の小特集。

7月4日(土)トーク:高木風太・板倉善之・[スカイプ参加]柴田剛(予定)

Aプログラム
nikume01「にくめ、ハレルヤ!」
(2009/76分/ DVCAM[ブルーレイ上映])
監督・脚本・編集:板倉善之
撮影・照明:高木風太 録音:松野泉
美術:内堀義之 音楽:桝井孝則
ラインプロデューサー:城内政芳
助成:シネアスト・オーガニゼーション・エキシビジョン大阪
製作:思考ノ喇叭社
宣伝・配給:カプリコンフィルム
出演:苧坂淳、藤本七海、長綾美、デカルコ・マリィ、絵沢萠子
[公式サイト|現在復旧待ち]

10年前の阪神大震災で両親を亡くし、認知症の祖母とともに引取られた青年・裕人。平穏に暮らしていたある日、瓦礫の街の記憶、そこに<サキ>という妹がいたことを知り、震災の悲痛な記憶と直面することになる。そんなおり、街中で裕人と似た境遇の少女・沙樹と出会う。沙樹は自分の妹<サキ>ではないのか…。2人の逃避行が始まった。

 

Bプログラム2本立て
gui_aiueos05「ギ・あいうえおス
-ずばぬけたかえうた-」

(2010/56分/HD[ブルーレイ上映])
監督:柴田剛
原案:柴田剛、野口雄介、松永後彦
撮影:高木風太 録音・整音:森野順
美術:西村立志 編集:高倉雅昭
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県文化情報センター
制作協力:シマフィルム株式会社
出演:柴田剛、西村立志、森野順、野口雄介、酒井力、高木風太、田中誠一、西山朋宇
平成21年度愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品
[公式サイト]

ギ・あいうえおスはバンドである。ギターやドラムなどの楽器は持たず、映画制作のツールを用いて音楽のように映画をつくる。それがギ・あいうえおスの活動である。いま、ギ・あいうえおスは最初の旅に出た。ロケ車でありバンドワゴンである「くじら号」に乗って、音を録り、画を撮り、行く先々の空間や人々と交わる。これは、エピソード0である。ギ・あいうえおスは、旅に出たばかりだ。世界を奏でるために。

yokujitsu01「翌日」
(2012/17分/HD[ブルーレイ上映])
監督:柴田剛 撮影:高木風太

人気バンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」のPV作品で、35mmフィルム手巻きムービーカメラ“LomoKino”で撮影された。

 

Cプログラム2本立て
yamanai01「止まない晴れ」
(2013/32分/HD[ブルーレイ上映])
監督:熊切和嘉 脚本:辻田洋一郎
撮影:高木風太 録音:小山道夫
制作:山本政志 照明:秋山恵二郎
編集:堀善介 整音:光地拓郎
製作・配給:シネマ☆インパクト
出演:伊藤尚美、関寛之、樹香、吉原大地

ささやかで平凡な生活を送っていた夫婦が、同窓会に参加したことから徐々に驚愕の事実が明らかになっていく。日常に潜む狂気を見事にえぐり出した作品。実践映画塾「シネマ☆インパクト」プロジェクト第3弾作品。

arihureta01「ありふれたライブテープにFocus」
(2012/44分/HD[ブルーレイ上映])
監督:山下敦弘 構成:向井康介
助監督:平波亘 撮影:高木風太
録音:高田伸也 制作:山本政志
製作・配給:シネマ☆インパクト
出演:細川佳央、大津尋葵、黒田将史、細川岳、北川絢椛、前野健太

フィリピンから母親を捜しにやってきた女を助けながら、その過程をドキュメンタリー映­画にしていく学生達。いかがわしくて可笑しい、山下敦弘のフェイクワールド! 「シネマ☆インパクト」プロジェクト第2弾作品。

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円 会員1000円 学生会員・シニア会員900円
《割引》当日に限り2プログラム目は200円引き
*招待券のご利用不可


木村卓司監督最新作『庭』
+映画美学校フィクションコース ミニコラボ

7月11日(土)・12日(日)

niwa01前作『時』から三年、21世紀の異端映画作家・木村卓司最新作『庭』がついに完成。
その初公開にあわせて、映画美学校より提供いただいた「フィクション・コース第18期ミニコラボ実習制作」の4作品を同時上映。ミニコラボ実習とは、プロの映画監督である講師が監督を担当、受講生はスタッフとして監督の演出風景を間近で見ながら映画を作るという実習。1日の撮影で10分程度の短編を作るという制約の中で生まれたこれらの作品は、映画の核がむき出しになった面白さ。
そして、京都造形芸術大学卒業制作作品で、新たに再編集した斗内秀和の『シネパトス』も上映。

 

「庭」(2015/サイレント/18分/DVD)
監督:木村卓司
制作期間は2014年1月から今年の3月までの15ヶ月。木村が暮らす自宅のごく普通の庭に、森羅万象、大自然を描き出す野心作。

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映画美学校フィクション・コース第18期ミニコラボ実習制作作品(2014年制作)
「恋のいちじく」(11分)監督:西山洋市
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愛するがあまり人を恨み、愛するがあまり人を殺す。様々な愛が入り混じり、仮想と現実の垣根を越えていく。

「くびすじに卍」(14分)監督:市沢真吾
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父親は殺された、くびすじに卍のあざのある女に。

「新しい人」(16分)監督:大工原正樹
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あるオーディション会場。現れた女は奇妙な発言を繰り返す。

「4:45 2nd chance」(24分)監督:三宅唱
2nd01
4:44から4:45の1分間、幽霊は人間に戻ることができる。

 

cinepathos01「シネパトス」
(2015再編集版/21分/HD[ブルーレイ上映])
監督:斗内秀和 撮影:竹田岳
出演:関谷和希、大西礼芳、中川春樹、松野泉
京都造形芸術大学2012年度映画学科卒業制作作品で、今回、新たに再編集した新バージョンでの上映。恋人同士である2人の男女。女が突然姿を消し、男は彼女を追いかける。2人は再会、彼女はそこで映画を作っていた。そして、男は次第に彼女の映画撮影に巻き込まれていく。
→コメント

 

協力:映画美学校

《料金》入れ替え無し(通し券)
一般1400円 会員1200円 学生500円
*招待券のご利用不可


[貸館]KINEMICAL VIRTUES presents 直子の場合
2015年7月12日(日)13:00〜

Cradle of Images Pro.が昨年6月から展開している「KINEMICAL VIRTUES」の神戸上陸第二弾作品。
「KINEMICAL VIRTUES」は、人間のスピリットの本質であり、人格の中身そのものである「美徳」の実践を日常生活の中で復活させることを目的とした教育プログラム「ヴァーチューズ・プロジェクト」が使っている52枚構成のカード「ヴァーチューズ・カード (美徳のカード)」をくじ引きとし、くじを引いた自主映画監督等がそれを読んで内省し、インスピレーションや気付きなど受け取るものから映画を制作するというチャリティ・プロジェクトです。
前回に続き、今回も神戸在住の映画作家をご紹介致します。垂水で映画制作をされている八十川勝さんによる最新作『鬼子母神の子守唄 直子』が完成致しましたので、お披露目致します。同作品は、「KINEMIC劇場」という短編上映プログラム中の『鬼子母神の子守唄』の続編です。前作はTSUTAYAのレンタルに供され、好評を博している怪談映画ですが、さて今回はどのような感じに仕上がっておりますか?ご期待下さい。ご来場をお待ち致しております。

Cradle of Images Pro. 代表 戸田光啓拝

naoko01『鬼子母神の子守唄 直子』八十川勝(90min)
【美徳カード】尊敬
【スタッフ】撮影・編集・原案:八十川勝
脚本:月瀬りこ、堤健介 音楽:山崎篤志
特殊メイク:高橋彩夏、布野慶一、わだゆずき
録音助手:桜井徹 照明助手:柴田薫 
協力:NPO法人ぴーす、笑花堂鍼灸マッサージ院、鷲尾皮フ科、Cafe1512、しげ盛、特殊メイクスタジオ、KID’S COMPANY
製作:垂水映画
【キャスト】門磨由美、藤本淳、和田真知、夢原まひろ、佐藤矢騎、伊織ゆき、白澤康宏、芝央也、浜ひろ子

【作品概要】あれから十数年、直子も、大人の女性に成長し、満月の晩に化物になってしまうという自らの正体を隠しつつ、保育士として、ひっそりと暮らしていた。そこへ、保育をしている幼児の保護者、今井慎次が現れた。直子の幼馴染の男性であった。十数年ぶりの再会に心浮かれ、日に日に距離が近づく2人。今井との時間を楽しむ直子であったが、彼の姉を獲物として食べていたという事実にそれまで保たれていた彼女の平常心が崩れ始める。何も知らない慎次。「あのさ、明日一緒に橋でも見に行きませんか?」「陽がくれるまでなら。。大丈夫」これは、真実の愛が試される物語。

→トレーラー

《料金》1500円
売り上げの10%を東北震災関連のチャリティと致しております

ヴェルナー・シュレーター映画祭2015
7月17日(金)〜20日(月・祝)

オペラ・狂気・愛と死を主題に先鋭的な映像作品を発表し続けたヴェルナー・シュレーター。古典映画・演劇に傾倒しつつ、一方でウォーホルなど実験映画のエッセンスを受け継いだ独自の映像美学はファスビンダーやダニエル・シュミットにも大いに影響を与えた。今回はシュレーター初期から中期の代表作6本を一挙上映。

トーク「シュレーター映画と西洋芸術・思想」
7月18日(土)17:25〜 参加費600円
鈴木創士(フランス文学)・渋谷哲也(ドイツ映画研究)
鈴木創士氏をゲストに迎え、かつてミシェル・フーコーがシュレーターについて述べた「パッション(情熱・受難)」というキーワードを手がかりに、シュレーターの映画に織り込まれた様々な西洋芸術や思想、その古さと新しさの混在するコラージュの手法を紐解いてみたい。

レクチャー「ニュージャーマンシネマにおけるシュレーター」
7月19日(日)15:25〜 参加無料
渋谷哲也(ドイツ映画研究)
ドイツ敗戦の年に生まれたシュレーターは、彼なりの鋭いセンスで戦後ドイツの停滞した空気を芸術的に引き裂いた。そこで彼の映画の手法やモチーフ等から、彼の映画の政治的な内包と他のニュージャーマンシネマの映画監督(ファスビンダー、クルーゲ、シュミット、ジーバーベルク)との関係性を検証する。

 

EikaKatappa_s「アイカ・カタパ」Eika Katappa
(西ドイツ/1969/143分/DVD上映/*一部日本語字幕無し)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:ヴェルナー・シュレーター、ロベルト・フォン・アッケレン
出演:ギゼラ・トロヴェ、カルラ・アウラウル、マグダレーナ・モンテツマ

若きシュレーターの実験映画の集大成。9つのパートに分かれ、奇数パートは脈絡のない映像・音楽・言語がコラージュされる。偶数パートは映画やオペラの場面の再現で、2部『ニーベルンゲン』、4部『リゴレット』、6部『トスカ』、8部『椿姫』である。北国ドイツの南国イタリアへの憧れと苦悩が通奏低音となる。

 

Bomberpilot_s「爆撃機パイロット」Der Bomberpilot
(西ドイツ/1970/65分/DVD上映)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:ヴェルナー・シュレーター
出演:カルラ・アウラウル、マーシャ・エルム、マグダレーナ・モンテツマ
ドイツ第二テレビ(ZDF)の放映用映画として製作された奇想天外な歴史ドラマ。ナチ時代に舞台で活躍した3人の女優たちが、第二次大戦中と戦後のアメリカ占領下の時代を生き抜いてゆく。鍵十字のはためく悪趣味なレビュー演出は、シュレーター自身によれば「不真面目なナチ・オペレッタ」とのこと。

 

MariaMalibran_s「マリア・マリブランの死」
Der Tod der Maria Malibran
(西ドイツ/1972/104分/DVD上映)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:ヴェルナー・シュレーター
出演:マグダレーナ・モンテツマ クリスチーネ・カウフマン キャンディ・ダーリング

19世紀に実在したオペラ歌手マリア・マリブランの生涯をモチーフとしつつ、全般に童話・絵画・オペラへの憧憬を散りばめた。人の顔と身振りへの注目により限りなく純粋な映像ドラマを生み出したシュレーター初期の代表作。彼の常連女優マクダレーナ・モンテヅマの七変化の怪演も見どころ。

 

WillowSprings_s「ウィロー・スプリングス」
Willow Springs
(西ドイツ/1973/78分/DVD上映)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:ヴェルナー・シュレーター
出演:マグダレーナ・モンテツマ、クリスチーネ・カウフマン、イラ・フォン・ハスペルグ

異郷アメリカの荒野で生活する3人の女、彼女たちは他人と交流せず女の自立を守ってきたが、ハワイ出身の青年が入り込んできたことで均衡が乱されてゆく。マリリンやガルボなどアメリカの女優神話を再現する試みであり、シュレーターのオペラ的身振りが西部劇と交錯し衝撃の大団円へと向かってゆく。

 

Regno4presse_s「ナポリ王国」
Nel Regno di Napoli(Neapolitanische Geschwister)
(西ドイツ/1978/130分/DVD上映)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:トーマス・マウホ
出演:ロメオ・ジーロ、アントニオ・オルランド、ティツィアーナ・アンブレッティ

シュレーター初の商業映画。ナポリを舞台に第二次大戦末期から70年代までのある貧しい一家の年代記が語られる。初期ヴィスコンティのネオレアリスモを引き継ぐように素人の出演によるドキュメンタリータッチと濃厚なオペラ的身振りが融合し、資本家やコミュニストに翻弄される人々の姿を浮き彫りにする。

「オーストリア映画博物館にて―監督、「ナポリ王国」を語る」
Werner Schroeter im Österreichischen Filmmuseum
(オーストリア/1978/16分/DVD上映)
編集:シュテファン・ドレスラー、クリスティアン・ケテルス
協力:ヴェルナー・シュレーター、ペーター・コーンレヒナー

ウィーンでの『ナポリ王国』上映に際しての会場の質疑応答を記録したもの。映画製作の背景やナポリの事情を語っており、映画の副次資料として大変興味深い。

 

Tagderiditoen_s「愚か者の日」
Tag der Idioten
(西ドイツ/1981/106分/DVD上映)
監督:ヴェルナー・シュレーター
撮影:イヴァン・スラペータ
出演:キャロル・ブーケ、イダ・ディ・ベネデット、イングリット・カーフェン

女優デビュー間もないキャロル・ブーケを主演に迎え、社会で生きられない一人の女の彷徨と精神病院での生活を描く。映画は内と外、狂気と正常、不安と平静の境界を絶えず揺るがせ、最終的に逃げ場の見出せない非情な現実世界を見せつける。叫びと囁きと恍惚のポリフォニーが展開する映画的受難劇。

 

ヴェルナー・シュレーター Werner Schroeter
1945年生まれ。少年時代にラジオでマリア・カラスを聴いて心酔する。ミュンヘン映画大学に入学するが数週間で退学し、自主的に8ミリや16ミリの実験映画を撮って各地の映画祭で注目を集める。1969年に長編第一作『アイカ・カタパ』を発表、幅広く才能を注目された。以後独自の映像スタイルを貫き、ニュージャーマンシネマの中でもっとも異色の存在として個性を発揮している。1972年以降は演劇やオペラの演出と活動の場を広げた。日本公開作は『薔薇の王国』(1986)、『マリーナ』(1991)、『愛の破片』(1996)。2010年65歳で死去。彼の撮影監督だったエルフィ・ミケシュが生前の彼の姿を捉えたドキュメンタリー『MONDO LUX』が2011年に公開。

 

*「アイカ・カタパ」はドイツ語と英語の科白は日本語字幕有り。オペラの歌詞とナポリ方言の科白は字幕なし。
GI_Logo共催:大阪ドイツ文化センター、神戸映画資料館
協力:アテネ・フランセ文化センター、渋谷哲也

 

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般 600円
大阪ドイツ文化センタードイツ語講座受講生・神戸プラネット会員 500円(会員ポイント対象外)


サイレント映画鑑賞会 ハロルド・ロイド集

2015年7月25日(土)・26日(日)

「ロイドの要心無用」Safety Last!
(アメリカ/1923/76分[18コマ]/無声/16mm)
監督:サム・テイラー、フレッド・ニューメイヤー
原作:ハル・ローチ、サム・テイラー、ティム・フェーラン
出演:ハロルド・ロイド、ミルドレッド・デイヴィス、ビル・ストローザー

ロイド短篇集
「都会っ子」The City Slicker
(アメリカ/1918/16分[16コマ]/無声/16mm)

「ロイドのバックステージ」Ring Up the Curtain
(アメリカ/1919/14分[16コマ]/無声/16mm)

「ロイドのブロードウェイ」Bumping into Broadway
(アメリカ/1919/13分[フランス語・短縮版/16コマ]/無声/16mm)

「巨人征服」Why Worry?
(アメリカ/1923/16分[短縮版/16コマ]/無声/16mm)

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般800円 学生・シニア700円
会員700円 会員学生・シニア600円

《割引》当日2プログラム目、あるいは[第11講コメディ学入門] 参加者は200円引き


[貸館]石田大明プレゼンツ
港町神戸色上映会
2015年7月26日(日)13:20〜、15:20〜
石田企画 第一弾 短編映画二本立て
企画・製作・脚本 石田 大明

dairokkan「第六感」
監督:衣笠竜屯
制作:平田晋作
音楽:山崎裕子
撮影:南野佳嗣
照明:中谷丸
録音:永井和男、吉田勝二
記録:アカツキサトシ、森山一也、本郷紀子
きもの衣装:舛本昌幸
助監督:吉田勝二、石山昇一
協力:大人の映研部、ATTIC still photo studio、劇団残夢(のこんのゆめ)
出演:雪えりこ、谷口勝彦、樋渡あずな、首藤七海、白澤康宏、天音

さえないサラリーマン岡部は若い女の美樹と浮気をしている。ある日、妻の幸恵はなぜかそのことに気づく。その第六感は霊界から見守るそれぞれの守護霊達の話し合いの結果だった。

sakura「桜」
監督:吉田勝二
制作:吉田勝二、石山昇一、石田大明
音楽:山崎篤志
撮影監督:衣笠竜屯
撮影:南野佳嗣
録音:坂厚人、永井和男
助監督:佐野洋子、石山昇一、石田大明
記録:石田大明
協力:武安家、武安都、モリショップ、吉田家
出演:宮崎みよし、寺本宏明、篠崎雅美、浦山陽子、炭谷真一郎、武安鞠

真一と百合は結婚の報告のため祖母のよしえの家を訪ねる。しかし百合はお腹の中にもうすでに赤ちゃんを宿していた。それを知ったよしえは…。

《料金》1500円
お問い合わせ:090ー9866ー2575
[Facebook]

OPEN THE COVER 未公開映画のフタを開ける
8月1日(土)〜11日(火)
思わずドキドキする日本映画3作品の連続公開が決定!
良質な未公開作品の発見シリーズ第一弾として、先どり、蔵出し、カルト感が漂う、何れもいまどきジャパンの青き春を描いたラインアップ。

damn01「ダムライフ」
(2011/84分/ HD[ブルーレイ上映])
監督・脚本・撮影・編集:北川仁
出演:笠継景太、菅原佳子、米元信太郎、小野孝弘、武井哲郎、菊池翔空
第33回ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2011グランプリ作品
第24回東京国際映画祭 日本映画・ある視点出品
釜山国際映画2011 ニューカレンツ部門ノミネート出品

子供の頃、妹を殺してしまいトラウマを持って育ったロボットのような青年小谷。ダム工事の現場で働き始めるとすぐにいじめにあう。偶然に起きた同僚の転落死をきっかけに事態は急変、小谷はトンデモ大殺戮を引き起こしてしまう。引きの演出、狙った画面、意外な展開…。北川仁監督の強烈な長編デビュー作!

併映「りんご」
(2013/10分/ HD[ブルーレイ上映])
監督:北川仁 出演:池脇千鶴 制作・提供:ユニジャパン
第66回カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナー出展
第12回ウラジオストク国際映画祭短編コンペティション部門出品
被災した土地で、略奪を重ねながら生き抜く女。ある日、朽ち果てた一軒家に侵入した女が見た光景とは…。主人公のセリフを一切排し、荒涼とした風景の中に生と死を強烈に描き出した、ひとつの極北の物語。女を演じた池脇千鶴の圧倒的な演技が印象を残す。

 

SRチラシ表面入稿原稿「スーパーローテーション」
(2011/77分/HD[ブルーレイ上映])
監督:斎藤久志
脚本:加瀬仁美 撮影:水口智之
出演:下村響子、藤原慧、小泉将臣、倉持幸歩、中村圭吾、安藤尋
日本映画学校 25期俳優科卒業ドラマ作品

若い男女のありようを優れた洞察力で描いてきたPFF出身の斎藤久志監督の軽やかな恋愛劇。演劇学校に通うヒロイン恋愛の心変わりをユーモアでほろ苦く切り撮った演出は、良質の映画を撮れる監督として再評価が望まれる。

 

 

 

 

 

SRチラシ表面入稿原稿「つまさき」
(2014/102分/HD[ブルーレイ上映])
監督・脚本:加瀬仁美 撮影:岩永洋
プロデューサー:斎藤久志
出演:河野桜、圓若創、松井美波、小川智子、川瀬陽太、クノ真季子

相手がいなくなった交換日記…女子中学生の繭子は好きな友達が拒食症で入院したことで心の変化が訪れる。中年男との寒々しい出会いや気になるイケメンの先輩。抜けるような空と孤独感をキーワードに、少女の魂の成長を全編手持ちのカメラで温かく見守る視点は、女性監督群の新たな一翼となるだろう。

 

 

 

北川仁 中・短篇集
「ポストガール」(2010/49分)PFFアワード2010入選作品
「コレクト」(2007/10分)福井映画祭入選
「大根侍」(2008/11分)
「blanc」(2009/22分)ふかや映画祭優秀賞受賞 福井映画祭審査員特別賞受賞

 

《料金》入れ替え制
当日券 一般1700円 学生・シニア1100円 会員1000円
前売券 3回券3000円 1回券1300円[当館で発売中]


ストローブ=ユイレによるブレヒト映画
2015年8月14日(金)〜16日(日)

レクチャー:時空を超えるブレヒトの旅
8月16日(日)16:45〜 参加無料
渋谷哲也(ドイツ映画研究)
「ブレヒト主義者」を自称していたストローブ=ユイレはブレヒトのテクストを用いて2本の映画を製作した。どちらも彼の亡命中に執筆したテクストを用いて、限りなく挑発的な技法を特徴としつつ、それ以上に映画的な快楽を溢れさせた傑作である。『歴史の授業』の長大なトラヴェリングとカエサル神話の資本主義的読み替え、『アンティゴネー』での円形劇場に限定された空間での言葉の果たし合い。限りなく禁欲的でありながら、心の奥底を揺さぶるような映画体験をもたらしてくれる。

rekishino01「歴史の授業」
Geschichtsunterricht(1972/85分/16mm 35mm
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:レナート・ベルタ

ベルトルト・ブレヒトの未完の小説『ユリウス・カエサル氏の商売』を基にローマの古代と現代を交差させたエッセイ風劇映画。カエサルの死後40年目にして伝記を執筆しようとする歴史家青年の前で、生前のカエサルを知る者たちの証言が、世紀の英雄の真実の姿を次第に浮き彫りにしてゆく。

 

antigone01「アンティゴネー」
Die Antigone des Sophokles nach der Hölderlinschen Übertragung für die Bühne bearbeitet von Brecht 1948(1991-1992/100分/35mm)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキ

ソフォクレス作の古典ギリシャ悲劇をヘルダーリンがドイツ語に翻訳した草稿を基に、ブレヒトが大胆に加筆改稿した戯曲を映画化した。戦争のさなかで国の裏切り者となって死んだ兄の遺骸を弔うアンティゴネ—と、それを反逆行為として糾弾する叔父クレオン王との対決。ブレヒトはそこに戦争とファシズムへの批判を読み込んだ。

 

作品解説:渋谷哲也
協力:神戸ファッション美術館、アテネ・フランセ文化センター

《料金》入れ替え制
一般:1300円 学生・シニア:1200円
会員一般:1200円 会員学生・シニア:1100円

《割引》当日2本目は200円引き


エドガー・G・ウルマー入門
2015年8月23日(日)・24日(月)

講座:〈亡命〉映画作家エドガー・G・ウルマーが辿ったまわり道
8月23日(日)16:30〜 参加費1000円
井上正昭(翻訳・映画研究)
〈亡命〉という言葉は適当ではないかもしれない。しかし、エドガー・G・ウルマーという映画作家が生涯置かれていた状況を知れば知るほど、”exile” という言葉こそそれにふさわしいと思えてくる。『日曜日の人々』の制作に共に携わったワイルダー、シオドマク、ジンネマンらがハリウッドで成功を収める姿を横目で見ながら、同じヨーロッパ移民組のなかで彼らよりも遙かに映画的才能に恵まれていたはずのウルマーだけは、なぜ生涯日陰の道を歩まねばならなかったのか。ヨーロッパで生まれ育ち、そこで映画デビューし、その後渡米してハリウッドで成功をつかみかけた矢先に、メジャーで活躍する道をなかば完全に断たれ、マイナー映画、アンダーグラウンド映画、少数民族向け映画、はては健康PR映画といった、ありとあらゆる映画の周縁をさまよい続けた、真にマージナルな映画作家ウルマー。彼の映画にはヨーロッパの影がいつもちらついて見えるのだが、その一方で、晩年、ヨーロッパで映画を撮ることを余儀なくされてからも、彼はハリウッドで成功する夢を決して諦めなかった。いわば、ヨーロッパとアメリカの狭間で帰るべき場所を失ってしまった故郷喪失者。そしてそんな故郷喪失者たちは、『黒猫』や『恐怖のまわり道』を始めとする彼の映画作品の中でも暗に繰り返し描かれてきた。ウルマーはしばしば〈B級映画の王者〉などと呼ばれる。たしかにそれは間違ってはいない。しかし、この呼称がウルマーという映画作家を型にはめてきたことも事実である。この講座では、伝説と事実が分かちがたく入り交じり、いまだ謎に満ちた彼の生涯を、新資料にもとづいて改めて辿り直しながら、より大きな視点からウルマーの映画について再考してみたい。そしてそれは、表には描かれることのなかった、映画史の影の領域を浮き彫りにすることにもなるはずである。

「日曜日の人々」生演奏付き上映
8月24日(月)18:40〜 ピアノ演奏:柳下美恵
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「日曜日の人々」Menschen am Sonntag
(ドイツ/1930/73分/DVD提供:株式会社ブロードウェイ)
製作:モーリツ・ゼーラー、ハインリッヒ・ネーベンツァール
監督:ロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマー 脚本:ビリー・ワイルダー、カート・シオドマク
撮影:オイゲン・シュフタン 撮影助手:フレッド・ジンネマン
編集:ロバード・シオドマク(クレジットなし)、オイゲン・シュフタン(クレジットなし)
音楽:オットー・シュテンツェル 美術:モーリツ・ゼーラー
出演:エルヴィン・シュプレットシュテーサー(タクシー運転手)、ブリギッテ・ボーヒャート(レコード店員)、ヴォルフガング・フォン・ヴァルタースハウゼン(ワイン店員)、クリストゥル・エーラース(エキストラ女優)、アニー・シュライヤー(モデル)
後にハリウッドで名を馳せる監督らが一堂に会し、ラフな脚本だけを頼りに、素人俳優を使ってほぼ即興で撮り上げた彼らの記念すべき処女作。当時のベルリンの日常を活写したこの映画は、『伯林-大都会交響楽』などの前衛作品を受け継ぐ一方で、その斬新な映画作りはヌーヴェルヴァーグを遙かに予告しており、今見ても新鮮である。
Photo by スズキマサミPhoto by スズキマサミ

 
 

wifeofmont「モンテ・クリストの妻」The Wife of Monte Cristo
(アメリカ/1946/78分/16mm/日本語字幕無し)
製作会社:PRC(Producers Releasing Corporation)
製作:レオン・フロムケス 共同製作:ジャック・D・グラント
監督:エドガー・G・ウルマー 脚本:ドルカス・コクラン
脚色:エドガー・G・ウルマー、フランツ・ローゼンワルド(アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』より)
脚本監修:シャーリー・ウルマー(クレジットなし)
撮影:エドワード・A・カル(アドルフ・エドワード・カルの名前で)、オインゲン・シュフタン(クレジットなし)
編集:W・L・バジエ(ダグラス・バジエの名前で)
音楽:パウル・デッサウ 美術:エドワード・C・ジュエル
舞台:グレン・P・トンプソン 衣装:モナ・バリー
出演:ジョン・ローダー(警察長官ド・ヴィルフォール)、レノール・オベール(モンテ・クリスト伯爵夫人)、チャールズ・ディングル(ダングラール男爵)、フリッツ・コートナー(メイヤール)、エドゥアルド・シャネリ(ジャック・アントワーヌ)、マーティン・コスレック(モンテ・クリスト伯爵)

PRC時代のウルマー作品としては破格の製作費をあてて作られた冒険活劇。スタッフ・俳優の大部分が中欧系移民で占められ、『日曜日の人々』の名キャメラマン、オイゲン・シュフタンも撮影に協力している。ワイマール時代のドイツ映画を思わせる夜の街頭風景や、ラングの『M』を彷彿とさせる悪夢めいた裁判シーンが目を惹く。

 

hersisterssecret「ある姉妹の秘密」Her Sister’s Secret
(アメリカ/1946/83分/16mm/日本語字幕無し)
製作会社:PRC(Producers Releasing Corporation)
製作:ハインツ・ブラッシュ(ヘンリー・ブラッシュの名前で)
監督:エドガー・G・ウルマー
脚本:アン・グリーン(ジーナ・カウスの小説『Die Geschwister Kleh』[英題「Dark Angel」]より)
脚本監修:シャーリー・ウルマー(クレジットなし)
撮影:フランツ・プラナー 編集:ジャック・W・オギルヴィー
音楽:ハンス・ゾマー 美術:エドワード・C・ジュエル
舞台:グレン・P・トンプソン
出演:ナタリー・コールマン(トニ・〈アントワネット〉デュボワ)、マーガレット・リンゼイ(ルネ・デュボワ・ゴードン)、フィリップ・リード(ディック・コノリー)、フェリックス・ブレサート(カフェ店主ぺぺ)、レジス・トゥーミイ(ビル・ゴードン)、ヘンリー・スティーブソン(デュボワ氏)

ウルマーがPRCで撮った最後の作品で、彼には非常に珍しいメロドラマ。画面の華麗さでは敵わぬものの、繊細な感情描写はダグラス・サーク作品と比べても少しも遜色がない。ウルマーの隠れた傑作の一つである。原作の舞台をウィーンからアメリカに移し替えてあるが、ウルマーのコスモポリタニズムは随所に垣間見える。

 

作品解説:井上正昭
協力:株式会社ブロードウェイ

《料金》入れ替え制
演奏付き上映 一般1500円 学生・シニア1400円 会員1300円 *招待券のご利用不可
上記以外(日本語字幕無し) 一律700円 *当日に限り2本目は200円割引


戦後70年特集 収蔵フィルムで綴る 戦時下の暮らし
2015年8月29日(土)・30日(日)

Aプログラム
参考上映+講座:運命の歌姫 李香蘭
8月29日(土)13:00〜(終了予定15:10)
羽鳥隆英(神戸映画保存ネットワーク研究員)
山口淑子(1920年‐2014年)とは何者か? 敗戦70年を迎えるに際し、この難問に取り組みたい。彼女が中国人歌手=女優李香蘭の仮装の下、15年戦中期の日本人を熱狂させ得たのはなぜか? 敗戦後、彼女はいかに日本の芸能界に「復員」し、さらにアメリカや香港の芸能界に進出したのか? あるいは今年、彼女にはいかなる別れの言葉が送られたのか? 激動の世紀を生きた運命の歌姫の軌跡を辿りつつ、新たな研究の可能性を探りたい。

 

Bプログラム
issen01「一銭の力」

(1940/17分/16mm)
愛國兒童協会作品 監修:国民貯蓄奨励局
後援:大蔵省企画院 原案:天野雉彦
製作:長瀬鉄男 撮影・現像・録音:日本ラヂオ・トーキー
福島県小高町の小学生が登校中に一銭のお金を落としたが、授業で先生から偉人の話を聞いた。その人は明治の水害で天皇から下賜されたお金をもとに無駄遣いせず増やし学校に奉安殿を寄付した。感動した少年は下校する際に必死にお金を探す。勤倹貯蓄、消費節約がテーマ。

 

santa01「三太のラッパ」(1941/39分/16mm)
原作:高須賀公正 監督:津田不二夫 撮影:源裕介
出演:林文夫、高橋君子、田中春男、末鮫洲
愛媛県三津浜梅田小学校。出征する兵隊さんを送るために楽隊を作りたいと願う三太らが、仲間を集め先生と共に練習する。ラッパを買うために果物市場で働き病に倒れるが、仲間の皇国少年音楽隊が出演したラジオを聴いて元気が出る。「愛国行進曲」「愛馬進軍歌」「出征兵士を送る歌」などの軍歌が聴ける。部分欠落、画像不良。

 

Cプログラム
tachiaga01「銃後美談 起ち上った少年」(1940/29分/16mm)
提供:国民精神総動員聯盟、大阪朝日新聞社
脚本・監督:細山雅皓 撮影:源祐介 装置:小池一美
照明:服部卯三郎
出演:小高まさる、小高たかし、鴨川京子、土屋詩郎、小柳壽郎、竹村信夫、一條真一郎、観堂正夫、小山富士雄
一家の大黒柱である父親が出征し、母と弟との三人で暮らす貧しい一家の少年が大阪朝日新聞の配達をして母親を助ける銃後の美談。堅忍持久の精神こそ国民の心構えひとつであると訴える。

 

gohei01「五作ぢいさん」(1940/31分/16mm)
監督:徳光壽夫 撮影:高井四郎 装置:小池一美
照明:轟木次郎
出演:横山運平、片桐日名子、朝川清、河田京子、竹村信夫、田邊若男、大友純、國方博之、澤村春次郎
尋常小学校国語読本・巻七の挿話を映画化。病に倒れ納税免除になっていたじいさんが、納税のために溜めたお金を自ら村に差し出す感動美談。アナウンサーの徳光和夫の父で神戸出身の映画監督・徳光壽夫の珍しい残存作品。

 

Dプログラム
akatsukino01「暁の路(無声版)」(1935/51分/16mm)
原作:簡易保険局 脚色・監督:清涼卓明 撮影:藤井清
照明:内田照天 舞台設計:伊藤熹朔 舞台装置:橋本欣三
出演:浅田健二、歌川八重子、森山保、山縣直代、一條桂子、片岡好右ヱ門
父を亡くし母の苦労で大学を卒業したものの職はなく、毎日職探しに明け暮れる主人公。自分が今あるのは亡き父が残してくれた郵便年金のお陰と知る。ある日、酒場で不良に絡まれた紳士を助けたのがきっかけでその紳士の勤める会社に就職ができた。トーキー作品の字幕入無声版。

 

kiku01「菊作る家」(1941/27分/16mm)
企画:逓信省 原作・脚色:青地忠三
潤色・演出:下間登良男 撮影:宮崎正男
出演:第一協団・全日本自由契約映画俳優協会(浅田健三、木下ゆづ子、金光嗣郎、阿部好司、文野朋子、國方博之、清水元、原田耕一朗、上野市郎、千葉栄)
紀元二千六百年紀念映画。景気が良かった頃に遊び惚けたために不景気になって困窮した老人の例を示した後、父が菊作りをする一家に場面は転じ、長兄が出征中にもかかわらず三男が飲み歩くのを次男が戒め、兄弟ともに工場の団体年金に加入し銃後の使命を果たす。最終部欠落。

 

*すべて当時のプリントにつき画像・音声共に不良で、欠落部分もございます。予めご了承ください。

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円 会員1000円 学生・シニア会員900円
《割引》当日に限り2プログラム目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。