プログラムPROGRAM

Wyborny_omote_01クラウス・ウィボニー レトロスペクティヴ
2016年5月15日(日)

物理学者・数学者・音楽家でもある映画作家クラウス・ウィボニーは、映像とは抽象的で時空間に出現し消滅する何ものかであり、現実を記録するイメージではないと言っている。ウィボニーは自作を「時間における印象主義的」作品と呼ぶ。ポール・シャリッツに捧げた『西洋の没落のためのエチュード』を始めとする『大地の歌シリーズ」や劇映画『オープン・ユニバース』で使われるフィルム断片の加工(赤青のフィルター、オーバーラップ、フェードアウト、ネガ反転等)と音楽的モンタージュにズレを伴う変調リズムの自作曲のコンビネーション、デジタル映像とドイツを代表する詩人ドリュス・グリューンバインとのコラボレーション作は、観客を尋常でない視聴覚体験に耽溺させる。(赤坂太輔)

 

クラウス・ウィボニー Klaus Wyborny
映像作家、1945年生まれ、ハンブルクとニューヨークで物理学を専攻。大学在学中に実験映画制作を始め、1968年に映画監督であるヘルムート・コスタールやウェルナー・ネーケス、ドーレ・Oらとフィルムメーカー・コーペラティブを創設する。その作品は「語りへの戦い」(ハルトムート・ビトムスキー/映画監督、批評家)と称され、ジョナス・メカスに絶賛された初期の話法的実験映画からティルダ・スウィントンやハンス・ツィシュラーら俳優と組んだ実験的な劇映画、近年の音楽構造的ランドスケープ・フィルム、詩人ドゥルス・グリューンバインとのコラボレーション、映画史へのアプローチ作品やインスタレーションまで多岐にわたる活動で知られる。
近作としてベートーヴェンへのオマージュ『ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンへのオマージュ』、シュペングラーの書に想を得た『西洋の没落のためのエチュード』、友人である映画監督ハルーン・ファロッキ(2014年没)に捧げられた『想像の美術館-モネのためのエチュード』、自作上映を見る観客を撮影した『世の光』などがある。またシカゴ、ニューヨーク、バルセロナ、リスボン等で作品が上映され、国際的評価が高まっている。
また、ニューヨーク州立大学、オハイオ州立大学、ベルリン芸術大学、マンハイム専門大学等で教鞭をとっている。

クラウス・ウィボニー監督トーク
聞き手:赤坂太輔(映画評論家) 通訳:高木繁光(同志社大学教授)
各回上映終了後 参加無料(要当日の映画チケット半券)
*ご予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、イベント名、日時、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。

 

13:30〜
「西洋の没落のためのエチュード」
STUDIEN ZUM UNTERGANG DES ABENDLANDS

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(1979-2010年/80分/ブルーレイ上映[スーパー8→デジベータ] /台詞なし)
制作・監督・撮影・録音・編集・音楽:クラウス・ウィボニー
オズワルド・シュペングラーの著書「西洋の没落」に想を得て、ニューヨーク、ルール、ハンブルグ、東アフリカ、リミニにおいてスーパー8カメラで撮影した6299カットの映像で作られた5部構成のインダストリアル・ランドスケープ・ムービー。工業地帯、都市、荒廃した自然の風景が赤青溶暗のうちに現れては消えていく映像を自作の曲が彩る。

 

15:50〜
「シラクサ」
SYRAKUS
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(2004-2012年/77分/ブルーレイ上映[デジベータ])
制作・監督・撮影・録音・編集:クラウス・ウィボニー
朗読:ドゥルス・グリューンバイン
2004年以来続いている詩人ドゥルス・グリューンバインとのコラボレーション作品。古代と現在を重ね合わせる詩人自身による朗読と、ローマ、ペルージャ、クーマエ、シラクサ、マルティニー、リミニ、ファノ、スニオン岬、アテネの風景で構成された作品。

 

作品・監督解説:赤坂太輔
共催:アテネ・フランセ文化センター、同志社大学図書館、同志社大学今出川校地学生支援課

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生・シニア会員900円
《割引》2本目は200円割引
*神戸プラネットシネマ倶楽部会員は、5月17日の同志社大学寒椿館クローバーホールでも会員割引があります

→京都 5月17日(火) 同志社大学寒梅館クローバーホール
→東京 5月21日(土) アテネ・フランセ文化センター

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。