プログラムPROGRAM

pianodecinema01柳下美恵の ピアノ de シネマ @神戸映画資料館
2016年7月31日(日)

 
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19世紀末に誕生した映画は、音声入りの映画が登場するまで生演奏とともにありました。今はサイレント映画とよばれるそれらの映画をピアノ伴奏とお楽しみいただきます。

東京で定期的に開催されている「柳下美恵の ピアノ de シネマ」が関西初上陸! サイレント映画を柳下美恵さんのピアノ伴奏付きで上映、柳下さんとゲストを招いてのトークもあります。
神戸での第一回は、ハリウッド最初期の活劇スター、ダグラス・フェアバンクス(通称ダグ/1883年−1939年)の映画をお楽しみください。

 

Bagdad01s14:00 第一部 長編活劇
「バグダッドの盗賊」The Thief of Bagdad
(アメリカ/1924/140分/16mm)
監督:ラオール・ウォルシュ 原作:エルトン・トーマス
脚本:ロッタ・ウッズ 撮影:リチャード・ホーラン
出演:ダグラス・フェアバンクス、スニッツ・エドワーズ、ジュラン・ジョンストン、アンナ・メイ・ウォン、上山草人

古代バグダッドは東西のかなめとして繁栄していた。盗賊として陽気に生きるアーメッドは、結婚を控えている王の娘に恋をし……。アラビアン・ナイトの挿話を、今見ても色あせぬトリック撮影を駆使し、大アクションスターのフェアバンクス主演でウォルシュが監督した超娯楽大作。

 

16:40 第二部 トーク+短編喜劇(終了予定17:50)
トーク「活劇王 ダグラス・フェアバンクス」
柳下美恵(サイレント映画ピアニスト)+いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)

「飛ぶ魚事件」The Mystery of the Leaping Fish
(アメリカ/1916/25分/8mm)
監督:ジョン・エマーソン 脚本:トッド・ブラウニング、アニタ・ルース
出演:ダグラス・フェアバンクス、ベッシー・ラブ

活劇ヒーローとして大成する前の若きダグラス・フェアバンクスが主演した、奇妙キテレツな短編コメディ。麻薬常習者の男その名も「コーク・エニーデイ(訳すと「いつでもコカイン」!)」は自称「世界一の科学捜査探偵」。ある紳士の失踪事件を依頼され、ド派手な車でビーチへ飛び出す。謎めいた言葉「飛ぶ魚」とは、いったい何を意味するのか!? ヘイズ・コードのはるか以前、映画のドラッグ描写に社会が寛容だった時代ならではのコメディだ。徹底的にナンセンスでありながらも、ダグの高い身体能力とコメディセンスで観る者をぐいぐい引っ張る。

Photo by スズキマサミ

Photo by スズキマサミ

演奏:柳下美恵
やなした・みえ(サイレント映画ピアニスト)
国内各地の映画館や映画祭での演奏に加え、ポルデノーネ無声映画祭、ボローニャ復元映画祭、ボン無声映画祭など海外公演も多数。『裁かるるジャンヌ』『日曜日の人々』などのサイレント作品のソフトや、篠崎誠監督の『あれから』の音楽も担当している。「映画館にピアノを!」などサイレント映画を現代に甦らせる活動も積極的に行っている。

《料金》 通し券
一般1800円 学生・シニア1700円
会員1700円 学生・シニア会員1600円

*招待券のご利用不可

bagdad03東京でスタートしたサイレント映画の伴奏付き上映会、名付けて《ピアノdeシネマ》は三年目を迎えます。
映画ファンの熱烈なプロポーズを受けて、今回、関西初上陸になりました。
初回は往年のアクションスター、ダグラス・フェアバンクス(愛称ダグ)主演の『バグダッドの盗賊』。
フリッツ・ラング監督の『死滅の谷』を見てダグが映画化を思いついた冒険活劇です。
そして『飛ぶ魚事件』はなんとダグがコカイン中毒!?で100年前(1916年制作)の映画です。
夏にピッタリの変幻自在のダグの姿を是非見に来てください。
──柳下美恵

「柳下美恵さんがやってくる!ヤァ!ヤァ!ヤァ!」
「《ピアノdeシネマ》に行ける東京のみなさんがうらやましい…」そんなつぶやきをぽつりともらしたのはいつだっただろう。柳下美恵さん企画によるこのステキなイベントが、ついについに関西にやってくる!
無声映画を初めて柳下さんの演奏で観て以来、わたしはすっかり柳下さんに魅了されてしまった。イントロダクションの演奏には思わず聞き惚れてしまうけれど、それが音のない映画に重なる時、柳下さんの存在が不思議とすうっと透明になって、映画の世界がくっきり立ち現れる。でも、音楽は確かにそこにあって、映画と寄り添いながら、溶け合いながら、戯れながら前進してゆく。この美しい感覚は、実際に体験した人ならわかってくれるだろう。それはたとえば文楽人形と人形遣いの関係にも似ている。蓑助の姿は、見えているのに見えない。彼は人形と完全に溶け合い、命を吹き込む。柳下美恵さんの演奏は、そんな気高い喜びを観客に与えてくれる。
映画が終わり、演奏を終えると、柳下さんは立ち上がって必ずスクリーンに手をさしのべる。「主役はあのすばらしい無声映画人たちなんですよ」と言うみたいに。無声映画への限りない敬意と愛情。わたしは柳下さんのその仕草が大好きだ。だからわたしも、《コメディ学入門》など無声喜劇を語る機会には、いつもマネをする。すばらしき無声映画の世界に愛をこめて。
柳下美恵さんのイベントが関西で開かれることで、ひとつでも多くの劇場にピアノが常設されたり、生演奏や活弁を含めた無声映画上映の場が増えることを願う。関西で生まれ頑張っている演奏者や弁士のみなさんにも、大いに刺激になるだろう。その皮切りとしての《ピアノdeシネマ》関西第1弾が神戸映画資料館で開かれることを、心から喜ばしく思う。当日は柳下さんと対談させていただけることになった。いつも明るく接してくださる美恵さんとどんなトークが展開できるか、わたし自身とても楽しみにしている。

──いいをじゅんこ

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。