プログラムPROGRAM

映画史のミッシングリンクを追え! 2 Days

この夏、ルポライター鈴木義昭が長年温めてきた『「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎』(山川出版社)が刊行される。そして、神戸大学の映画研究者・板倉史明による1960年代後半から1970年代におけるピンク映画の製作体制の研究論文(『戦後日本の産業空間:資本・娯楽・興行』所収/森話社)も間もなく発表される。
近年、世界的に高まりつつあるピンク映画研究の最前線を上映とトークでお届けする二日間。初日は黒沢明映画のプロデューサーで後にピンク映画に転じた本木荘二郎関連作品を中心に、二日目は昨年10月に逝去された女優の香取環さんを追悼するプログラムを組んだ。

 

「世界のクロサワをプロデュースした男 本木荘二郎伝」刊行記念
本木荘二郎とその時代
2016年8月20日(土)
baisyunbou02「売春暴行白書」
(1970/72分/パートカラー/16mm)葵映画
監督:渡辺護 脚本:門前忍 撮影:池田清二
出演:青山リマ、大月礼子、千原和加子、浅香なおみ(鈴木いづみ)、吉田純、太田彰二、国分二郎
ラピュタ阿佐ヶ谷で大規模な特集上映が組まれるなど再評価への気運が高まる渡辺護監督。この『売春暴行白書』は長らく失われたと考えられていたが、西原儀一から鈴木義昭が譲り受け神戸映画資料館に寄託した葵映画作品フィルムの中に含まれていた。プリントは良好な状態とは言い難いが補修をすれば上映に耐えると判断、今回のみ特別に上映することにした。「ピンクの黒澤」という異名のあった渡辺護は、「黒澤明作品」をこよなく愛する映画監督だった。本木荘二郎が切り拓いた「ピンク映画」の世界に、東京・滝野川の映画館の息子で黒澤明のように映画好きな青年だった渡辺護のような監督が生まれたのは奇縁だったか。


manokuti02「魔の口紅」

(1949/66分/16㎜)映画芸術協会
企画:本木荘二郎
監督:佐々木康 脚本:鈴木兵吾
原作:斎藤良輔 撮影:石本秀雄
音楽:万城目正
出演:水島道太郎、喜多川千鶴、月形龍之介、浜田百合子
「山の手劇場」を舞台に活動するレビュー劇団で、人気女優が自殺したあと妹がその劇団に入ったが、それから次々と不思議な事件が起き、ついに姉の貞操を奪った悪魔は警察に捕まる。山本嘉次郎、成瀬巳喜男、黒澤明、谷口千吉らによって設立された映画芸術協会の作品で、後にピンク映画監督に転身した本木荘二郎が企画。西条八十作詩・万城目正作曲の主題歌「花の宴」など歌う場面も多い。なお上映プリントは、トップのクレジット部分とラストの一部が欠落しています。ご了承ください。

トーク① 8月20日(土)15:50〜18:00 参加無料
鈴木義昭
(映画史研究家/ルポライター)
参考上映
『ヌード肉体まつり』(製作年不詳/10分/35mm/監督:相良武雄)
『狂熱の果て(監督:山際永三)』予告篇(1961/3分/35mm/大宝映画)
ほか多数

 

追悼・香取環 ミッシングリンクを生きた女優
2016年8月21日(日)
mesuwana02「牝罠」
(1967/72分/パートカラー/16mm)葵映画
監督・脚本:西原儀一 撮影:池田清二
照明:森康 製作:後藤充弘
出演:香取環、中原美智、森三千代、渚マリ、田中敏夫、山田晴生、椙山拳一郎
結婚式を控えた農家の一人娘・陽子(香取環)は、三人の若者に襲われ純潔を散らされる。上京し銀座のホステスに、やがてバーを経営するまでになるが、その肉体には男を憎み狂わす魔性が棲みついていた。美しさゆえに都会の中でもがき苦しみ流転し堕ちていく女。日活出身の香取環と宝塚映画出身の西原儀一が、独立プロ全盛期に結実させた伝説的作品。


hikisakareta02「引裂れた処女」

(1968/72分/パートカラー/16mm)葵映画
監督:西原儀一 脚本:千葉隆志(西原儀一)
撮影:池田清二
出演:香取環、白川和子、清水世津、中尾有理、時沢芳恵、矢島広志、名和三平、松浦康
清純で健康的なホステスの雅美(香取環)は結婚を申し込まれる。男の実家があるという温泉町へと連れられて行くが、待っていたのは女の生き血を吸う売春組織だった。壮絶な地獄絵図の中で「女王」香取環がもがく。「団地妻」以前の白川和子が盲目の少女で登場するのも必見。

トーク② 8月21日(日)15:55〜17:00 参加無料
鈴木義昭
(映画史研究家/ルポライター) × 板倉史明(神戸大准教授)
参考上映
『激情のハイウェー』(部分)(1965/8分/カラー/35mm)
西原儀一監督のピンク映画監督デビュー作品、葵映画第一作
ほか

《料金》入れ替え制
一般1200円 学生・シニア1000円
会員一般1000円 会員学生・シニア900円

《割引》2本目は200円引き

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[シアター内で同時開催]本木荘二郎、幻のピンク映画ポスター展
提供:東舎利樹ポスターコレクション

特設ページ:さよなら、香取環 鈴木義昭

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・香取 環の部屋

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。