プログラムPROGRAM

サイレント映画鑑賞会 キートン映画デビュー100周年

2017年10月28日(土)14:00

「恋愛三代記」Three Ages
(アメリカ/1923/58分/無声/16mm)
監督:バスター・キートン、エディ・クライン
出演:バスター・キートン、ウォレス・ビアリー、マーガレット・リーヒー
ピアノ伴奏:天宮遥

いつの世も変わらないもの、それは恋。原始時代、ローマ時代、現代の3つの時代をまたにかけ、バスター青年、乙女、ライバルの3人が壮大な三角関係を繰り広げる大河ドラマ…ならぬドタバタ喜劇。
19本の2巻もの短編喜劇を作ったあと、キートンが満を持して挑んだ初の長編作品である。とはいえ長編の構成にまだ自信のなかったキートンは、尊敬するD・W・グリフィス監督に倣い『イントレランス』のパロディ映画にすることを思いついた。「うまくいかなければ短編に編集しなおして公開できるように」とのキートンの目論見だったが、できあがったのはナンセンスなギャグにウィットを効かせたオフビートな傑作長編であった。まさに時代を超えて存分に楽しめる爆笑巨編、乞うご期待!

 

「キートンの線路工夫」The Railrodder
(アメリカ/1965/24分/16mm)
監督:ジェラルド・パッタートン
出演:バスター・キートン

『恋愛三代記』から42年後に作られた無声短編映画。ロンドンの橋の上で突然カナダへ行きたくなった老キートンは、テムズ川にドボンと飛び込み、大西洋を渡ってカナダの海岸に現れる。そこで都合よくカナダ鉄道のトロッコを見つけ、いざ太平洋へ向けてカナダ横断の一人旅に出る。
あるキートンファンの言によれば、当時カナダ国立映画制作庁はカナダの風物を宣伝する”プロパガンダ映画”(笑)を量産していたらしい。『線路工夫』もその内の一本で、カナダ国有鉄道のPR映画である。喜劇王キートンが主演した(しかも貴重なカラー作品)ことで、『線路工夫』は半世紀以上経った今も傑作として愛されている。今年はカナダ建国150年ということで、カナダ各地でも上映イベントが行われているそうだ。

バスター・キートン Buster Keaton (1895~1966)
映画の中で決して笑わない「偉大なる無表情」で知られるコメディアン/映画監督。チャップリン、ロイドと並ぶ世界三大喜劇王の一人。寄席芸人の両親と共に3才から舞台に立つ。超人的な身体能力でサイレント喜劇の傑作を生んだ。天性の映画作家でありウディ・アレンら後世の監督にも影響を与え続けている。晩年もテレビやサーカス、舞台等で活躍。最後まで現役を貫いた。代表作は『探偵学入門』(1924)『大列車追跡』(1926)『キートンの線路工夫』(1965)サミュエル・ベケットの唯一の映画作品『フィルム』(1965)等。今年2017年はキートンの映画デビュー百周年にあたる。

解説:いいをじゅんこ

《料金》2本立て(入替無し)
一般1000円 学生900円 会員900円
《割引》[第13講コメディ学入門] 参加者は200円引き

クラシックコメディの素晴らしい世界をみんなで楽しむ会
第13講コメディ学入門
BK100 ── 祝・映画デビュー100周年 バスター・キートンの生涯 ──

2017年10月28日(土)15:40〜17:40

クラシック喜劇研究家/ライターのいいをじゅんこが、ひと組の喜劇王にテーマをしぼり、みどころ、歴史、笑いのツボなどを楽しく紹介します。レッツ温故知新!
今回のテーマは
「BK100 ── 祝・映画デビュー100周年 バスター・キートンの生涯 ──」

1917年、バスター・キートンは『デブ君の女装』(The Butcher Boy)で映画デビューした。今年は100年目の記念の年にあたる。キートンの姿が初めてフィルムに焼き付けられたその日は、リュミエール兄弟が世界で初めて映画興行を行った日と同じくらい、映画史において重大な、記憶されるべき日である…と言うのは、おおげさだろうか?(ちなみにキートンが生まれたのは”映画誕生”と同じ1895年である。)

サイレントからトーキーへと映画は移り変わり、やがてテレビが登場。メディアは変遷しても、キートンの喜劇は変わらなかった。まるで吹き荒れる嵐の中心にいるかのように、キートンの喜劇にブレはなかった。だが実生活では、最初の妻との確執、MGMからの解雇、アルコール依存症との戦いがあり、さらにそこからの復活と再評価の時代があった。

コメディ学入門では過去に2回バスター・キートンを取り上げている(第8・9講)。そこではキートンのギャグ解析や映画術を中心に講義した。キートンの喜劇人としてのキャリアに、私生活をいたずらに重ね合わせることはしたくない(とりわけ悲劇的な側面は)というのがわたしのスタンスだが、「人間キートン」に光をあてることで、逆に見えてくるものもあるかもしれない。わたし自身もそんな期待を持ちながら、今回の講座ではキートンの実生活での波乱にもふれ、バスター・キートンの全生涯をていねいに振り返ってみたい。

講座の前のサイレント映画上映会は、キートンの長編処女作『恋愛三代記』(1923)と、晩年の代表作『キートンの線路工夫』(1965 カラー!)の豪華二本立て。さらに講座の翌日には旧グッゲンハイム邸でキートンの最高傑作『大列車追跡』の上映も予定している。神戸の地でキートン映画デビュー100周年を祝える幸せを、今ひしひしと噛みしめている。

「サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)」(運営:いいをじゅんこ)

《参加費》 1000円
*予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。