プログラムPROGRAM
2017 11

新作ドキュメンタリー
記憶の中のシベリア
『祖父の日記帳と私のビデオノート』『海へ 朴さんの手紙』

2017年11月3日(金・祝)〜7日(火)

孫の世代が見つめた シベリア抑留にまつわる2つの記憶
珠玉のドキュメンタリー映画2作品を一挙上映

「祖父の日記帳と私のビデオノート」
(2013/40分/ブルーレイ上映)
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:久保田直人
 
祖父について思い出すこと、それはいつも畑を耕す姿。その祖父には中国での戦争やシベリア抑留の体験があった。祖父は遠い大地で人を殺めたことがあるのか。最後まで百姓として生きた祖父とその戦争の記憶を、孫である私の眼を通して描く。
2014年 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル コンペティション部門大賞受賞

 

「海へ 朴さんの手紙」
(2016/70分/ブルーレイ上映)
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:朴道興(パク・ドフン)、山根みすえ、山根秋夫(写真)
 
ソウルに暮らす朴さんはかつて日本兵だった。朴さんはシベリア抑留を経験していた。彼は日本軍で一緒だった日本人の親友、山根さんに宛てて何度も手紙を送ったがそれが届くことはなかった。私は二人が別れてから60年後、その手紙を届ける旅に出た。
2016年 あいち国際女性映画祭 フィルム・コンペティション部門 出品

 

計り知れない戦争の記憶——

祖父たちの世代が体験したその記憶を、何気ない日々の生活と、四季の移ろいが映し出す風景からささやかに描き出した、珠玉のドキュメンタリー映画2作品が誕生した。

監督はこの2作が劇場初公開となる新鋭、久保田桂子。美術大学で劇映画の製作を学んだ後、ドキュメンタリーの制作をスタート。日常を繊細に捉える視点と、エッセイを読んでいるような独特の描写が評価され、第1作『祖父の日記帳と私のビデオノート』は映画監督の諏訪敦彦(『H story』)、ヤン・ヨンヒ(『かぞくのくに』)らが審査員を務めた、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル コンペティション部門で大賞を獲得している。
第2作の『海へ 朴さんの手紙』は、1作目の制作をきっかけに出会った、シベリア抑留を経験した一人の韓国人男性の人生とその想いを描き、1作目と同様にシベリア抑留が背景にある作品でありながら、より深みのある作品に仕上がっている。

久保田桂子(監督)
長野県生まれ。武蔵野美術大学で劇映画を学んだ後、2004年よりドキュメンタリー制作を開始。2005~2013年、武蔵野美術大学イメージライブラリー勤務。現在は長野県に戻り、病院事務で働きながら映像制作を続けている。2004年から自身の祖父をはじめとする日本、韓国のシベリア抑留者のインタビュー撮影を始める。これらの映像をもとに、2013年に祖父についての作品『祖父の日記帳と私のビデオノート』、韓国の元日本兵・朴さんが日本人の友人へ宛てた手紙についてのドキュメンタリー『海へ 朴さんの手紙』を制作。
 

11月3日(金・祝) 初日ミニトーク 久保田桂子(監督)*当日の映画鑑賞者対象

→公式サイト
→予告編

《料金》
一般:1800円 大学・専門学校生:1500円 シニア:1100円
会員:1100円
*初日サービスDAY 一律1100円


[貸館]
シンポジウム「映画館研究の現状と将来─過去の映画館をどう論じるか─」
2017年11月12日(日) 13:00〜17:00

開催趣旨および共同研究概要 13:00~13:30
上田学(神戸学院大学)
 
第一部 13:30~14:30
「映画館に関する歴史的研究の方法」
 司会・上田
発表1「東京の映画館にみられる近代性:関東大震災から日劇開場まで」 仁井田千絵(早稲田大学)
発表2「「戦ふ映画館」─戦時下日本の上映環境をめぐって」 近藤和都(日本学術振興会)

第二部 14:45~15:45
「神戸の映画館に関する研究の現状」
 司会・板倉史明(神戸大学)
発表3「「神戸映画館マップ」の作成状況と課題」 田中晋平(神戸映画保存ネットワーク)
発表4「トーキー移行期の神戸新開地における映画館の労働と争議」 吉原大志(神戸大学)

パネルディスカッション 16:00~17:00
「映画研究における映画館とは何か」
 
スザンネ・シェアマン(明治大学)、ローランド・ドメーニグ(明治学院大学)、チョン・ジョンファ(韓国映像資料院)、板倉、仁井田、近藤、上田

《参加費》無料   《会場》神戸映画資料館

主催:早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 平成29年度公募研究「演劇博物館所蔵の映画館資料に関する複合的カタロギング」
共催:神戸映像アーカイブ実行委員会
   神戸学院大学人文学部研究推進費「神戸映画資料館所蔵ノンフィルム資料を用いたプラクティス研究」
   神戸大学地域連携事業「映像を媒介とした大学とアーカイブの地域連携」
問い合わせ先:上田(mueda54691@gmail.com)


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第22回 ペレストロイカの時代3

2017年11月18日(土)・19日(日)

「ミスター・デザイナー」

ソ連最後の最高指導者となったゴルバチョフ書記長により進められた改革運動「ペレストロイカ」をテーマにした第3回目は、1988年、1989年に製作された2作品を上映。

 

「ミスター・デザイナー」
Господи́н оформи́тель
(1988/107分/35mm)レンフィルム
監督:オレーグ・テプツォフ
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アナトーリー・ラプショフ
音楽:セルゲイ・クリョーヒン
出演:ヴィクトル・アヴィーロフ、アンナ・デミヤネンコ、ミハイル・カザコフ

20世紀初頭のロシアのペテルスブルク、デザイナーのプラトンは、等身大の蠟人形制作の依頼を受け、ある少女をモデルにして人形を作り上げた。14年後、プラトンは、新居の装飾を依頼してきた実業家の夫人で、自分がかつて作った蠟人形と瓜二つの女性と出会う。脚本はソクーロフ作品を多く手がけるユーリー・アラボフ、音楽をロシア前衛ジャズの重要人物セルゲイ・クリョーヒン、主演は実験演劇で有名なヴィクトル・アヴィーロフ。

 

「ささやかな墓地」Смиренное кладбище
(1989/103分/35mm)
ドヴジェンコ・フィルム・スタジオ
監督:アレクサンドル・イティギーロフ
原作・脚本:セルゲイ・カレーディン
撮影:I.ラシーニナ
美術:アレクセイ・レフチェンコ
音楽:ウラジーミル・マルティノフ
出演:ヴラジーミル・ゴスチューヒン、レフ・ドゥーロフ、ヴィクトル・アヴィーロフ、レフ・ボリソフ、オリガ・マテイコ、ニナ・ルスラノヴァ、アレクセイ・セレブリャコフ

とある墓地を舞台に、墓掘り人たちの姿を淡々と描く。アルコール中毒の妻を持ち、弟から頭を斧で傷つけられ、検察局への出頭を命じられているというこの映画の中心人物である墓堀り人。その人生とはどのようなものであろうか。セルゲイ・カレーディンが自作の小説を自ら脚本化。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。