プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2017

戦前日本映画蔵出し上映

大阪・中崎町出身の映画監督、山本弘之による炭鉱を舞台にした現代劇、ドキュメンタリー映画監督として著名な柳澤寿男が監督補助を務めた下加茂撮影所の時代劇など、珍しい戦前の作品を蔵出し上映。音声や画面の悪いフィルムが含まれているのでお許しのほど願います。

part 1
2017年4月29日(土)・30日(日)
「山の誓ひ」
(1939/52分/16mm)鉄道省管理局/日活多摩川
監督:山本弘之 原作:陶山鉄
脚色:石田吉男 撮影:福田寅次郎
出演:山本礼三郎、伊沢一郎、近松里子、橘公子、三井智恵

大阪・中崎町出身の山本弘之監督作品。プラネット映画資料図書館がキネマ旬報「日本映画監督全集」のために当時の嶋地孝麿編集長から戸籍謄本取りを頼まれた監督の珍しい残存作品。坑夫として弟の学費を稼ぐ男の苦労と、その苦労に心痛する弟との葛藤を、落盤事故のエピソードを交えて描く。

 

「元禄快挙余譚 土屋主税 落花篇」
(1937/53分/16㎜)松竹京都(下加茂撮影所)
監督:犬塚稔 原作:綠園子 脚本:冬島泰三
撮影:片岡清 監督補助:柳澤寿男ほか
出演:林長二郎、高田浩吉、上山草人、北見礼子、光川京子

土橋式松竹フォーンによる1935年に死去した初代中村鴈治郎の追善映画。松の廊下での浅野内匠頭の刃傷を契機に、討入りを画策する赤穂浪士や吉良邸お隣の土屋主税の動向を描く。林長二郎(後の長谷川一夫)が土屋主税と赤穂四十七士の一人である杉野十平次の二役を演じているので二人を混同しないよう鑑賞に要注意。福祉ドキュメンタリー映画で知られる柳澤寿男監督が下加茂撮影所の助監督として犬塚稔監督に付いていた証の映画としても重要。

 

part 2
2017年5月6日(土)・7日(日)
「小島の春」
(1940/87分/16mm)東京発声映画製作所
監督:豊田四郎 原作:小川正子
脚色:八木保太郎 撮影:小倉金弥
出演:夏川静江、菅井一郎、杉村春子、三津田健、勝見康太郎

瀬戸内海のハンセン病(当時の呼称は「らい病」)療養施設長島愛生園に着任し患者救済に尽力した小川正子の手記を基に映画化したもの。小川を若き日の夏川静江が好演し映画的な評価は高いが、ハンセン病を強力な伝染病のように扱っているなどの問題があるため、近年は上映の機会が少ない。

 

「結婚の生態」
(1941/87分/16mm)南旺映画
監督:今井正 原作:石川達三
脚本:山形雄策 撮影:東健
出演:夏川大二郎、原節子、沢村貞子、高田稔、日暮里子

石川達三原作の同名小説を基に映画化。新聞社会部記者の夏川大二郎が紹介された原節子と意気投合し、結婚し、出産するという展開で、よき結婚生活建設の精神を描く。後に左翼映画の巨匠になった今井正監督の若き日の作品で、原節子ファンには特に見応えがあるだろう。

 

《料金》入れ替え制
part 1 一般800円 学生・シニア700円 会員一般700円 会員学生・シニア600円
part 2 一般1000円 学生・シニア900円 会員一般900円 会員学生・シニア800円
《割引》当日2本目は200円引き


四方田犬彦朗読会『わたしの犬の眼で』
2017年5月13日(土)16:00〜(途中休憩あり/終了予定19:00)

物語は物語の破綻のなかで語られなければならない。なぜならこの破綻と物語の遥かな再生は同じことであるからだ。未来の再生は今ここで生身の「声」によって瞬時になされるだろう。「風と埃が突然巻き起こる」。発せられ消えゆく言葉はすでに呪われている。生と死をめぐるこの極限の語りは、いわゆる文学の「語り」自体を裏切り、嘲笑ってさえいるのだ。
訳者・四方田犬彦自身によるブラジル女性前衛作家イルダ・イルスト「わたしの犬の眼で」の朗読は、それを論証できるまたとない機会だ。われわれはすでに奇妙な劇場にいる。幕はすでに上がっている。
  鈴木創士(現代思潮新社「エートル叢書」 監修)

 

イルダ・イルスト
ブラジルの詩人、小説家、劇作家。1930年に富裕なコーヒー園の娘として生まれる。サンパウロ大学で法学を学ぶかたわら、詩人としてデビュー。2004年、サンパウロ近郊にあった「太陽の家」で逝去。この館で芸術家やゲイの青年たち、百匹の犬たちに囲まれて、創作活動を続けた。数々の著名な文学賞を受賞しながらも、20世紀ブラジル文学界にあって最も毀誉褒貶に満ちた作家として知られる。
四方田犬彦
比較文学・映画研究家、詩人、エッセイスト。著書に『ルイス・ブニュエル』、『モロッコ流謫』、『先生とわたし』、『貴種と転生 中上健次』、『蒐集行為としての芸術』、『わが煉獄』、ほか多数がある。パゾリーニ、ダルウィーシュ、ボウルズの翻訳者としても知られる。サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

 
イルダ・イルスト著・四方田犬彦訳『猥褻なD夫人』(「わたしの犬の眼で」を併載)、エートル叢書第24弾! 現代思潮新社より絶賛発売中!

主催:神戸映画資料館、現代思潮新社
 

《参加費》 1000円


特別先行試写会『自由なファンシィ』
2017年5月14日(日)16:30〜

公開準備中の筒井武文監督最新作『自由なファンシィ』を特別上映。今回が関西初上映となります。

上映終了後 筒井武文監督 Q&A

「自由なファンシィ」
(2015/115分/HD[ブルーレイ上映])

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監督・脚本:筒井武文 脚本:久保寺晃一、松平英子 プロデューサー:桝井省志、土本貴生、山川雅彦
撮影:谷口和寛 撮影監修:柳島克己 照明:森紀博、浦田寛幸 録音・整音:鈴木昭彦 録音:光地拓郎
音楽:中野弘基 音楽監修:長嶌寛幸 美術:柴田正太郎、玉林亜理 美術監修:磯見俊裕 編集:大川景子
制作プロダクション:アルタミラピクチャーズ

出演:岩瀬亮、松平英子、浜崎茜、新井晴み(友情出演)、金橋良樹、奥瀬繁、藤沢大悟、渡邊りょう、 田中里奈、花柳琢兵衛、佐々木一平、羽田野直子、島崎奈央、張丹妮、李嫚倫、馬雅欣、久保寺晃一、菊地結丹佳、篠崎誠、万田邦敏、佐藤歩、諏訪敦彦、鈴野美子、鈴野麻衣、中村研一、趙心智

ぼくの目に映るきみは誰ですか。 きみの目に映るひとは誰ですか。
fancy03〈運命〉であろうとした女と〈運命の女〉だけを求めた男。まだ始まっていない恋。あり得たかもしれないもうひとつの宇宙で、孤独な惑星同士が引きあい、夢を見る。 「擬似=フィクション」であることのあやうさが、2人の隠れた欲望と遊び心にほんの一瞬火をともす。それは素敵な映画の魔法。

もう始まってしまった恋。無限にあり得た可能性のなかから選びとられ、この地上にありふれた関係。移転、恋愛、死別、誕生。過ぎゆくものばかりの世のなかで、2人は日々、自由を得るためになにかを失って生きてきたことを知る。「擬似=フィクション」でしかなかったとしても、いやだからこそ、そのかけがえのない大切な瞬間を「記録=ドキュメント」すること。それもまた、まぎれもない映画の魔法。

ひとまず、『自由なファンシィ』は青年を狂気の愛へと駆り立てるファムファタール(=運命の女)についての映画であるといえる。だがまた同時にこの映画は、そのファムファタール自身の内面に引かれた、現実と夢想の曖昧な境界線をめぐる映画でもあるのだ。そこに映るのは、自らを探求し、内なる空白のキャンバスと対峙しなければならない女/優という不可思議な存在の真実。

fancy02そんな「演じること」と「リアルであること」の間で葛藤しながら、自らと向き合い真摯に歩み続ける主人公のゆかり役に本作が映画初主演となる松平英子。ゆかりに一途な思いを抱きながら、それゆえに翻弄されてゆく千尋をコミカルかつシリアスに演じるのは、『イエローキッド』(10)や「深夜食堂」(09)など舞台・テレビ・映画等で活躍する岩瀬亮。

『孤独な惑星』に続いて、筒井武文監督が贈る「愛の3部作」第2作『自由なファンシィ』。チャーミングでファンタスティックな映画の魔法を愛するすべての人へ。

 

《料金》
一般:1500円 会員:1100円


あったまら銭湯?¤?­ B5表AT1108ATオール淡路島ロケ映画
『あったまら銭湯』
2017年5月12日(金)〜16日(火)

「あったまら銭湯」
(2016/70分/ブルーレイ上映)
監督:大継康高
脚本:酒井麻衣、大継康高、谷垣里都希
撮影:山内隆弘、山本晃大、山内泰
照明:笠井拓児 録音:中村崇志 美術:大野賀世
主題歌:ガガガSP「時代はまわる」
製作:海の映画館をつくろうプロジェクト実行委員会
制作:株式会社海空

出演:笹野高史、松原智恵子、ささの堅太、中尾萌那
コザック前田、山本聡、桑原康伸、田嶋悟士、春田純一

 

淡路島にある小さな銭湯「扇湯」。
銭湯の番台・前田は4世代にも渡り、島の人々の様々な人間関係を見守ってきた。
常連客のひとり、佐々木正信(笹野高史)は、高校生の時、
ある女の子がきっかけで銭湯に行くようになり、
50年たった今も通い続けている・・・
2代目番台の前田は、佐々木正信の高校時代を見つめ、
4代目番台の前田は、67歳になった佐々木正信を見つめる。
これは、銭湯で繰り広げられる不器用な男の恋物語である。

オール淡路島ロケ映画
本作品は、オール淡路島ロケで行われた映画です。
主演の佐々木正信役を演じたのは、淡路島出身の俳優・笹野高史。
その50年前の役を演じたのは、笹野高史の息子で俳優のささの堅太。
佐々木正信の初恋の女性・慶子役には、日本を代表する女優・松原智恵子。
その50年前の役を演じたのは、淡路島全域オーディションでヒロインに選ばれた現役高校生の中尾萌那。
そして、本作品のキーマンである番台役として、神戸を代表するロックバンド・ガガガSPのコザック前田が務めます。
劇中に流れる曲もガガガSPが担当。主題歌「時代はまわる」は、本作品とリンクしている部分も多いので、エンディングでしっかり歌詞を聞いていただけるとよりこの映画を楽しんでもらえると思います。

大継康高(監督)
淡路島出身の映像ディレクター。2012年に映像制作会社・海空を設立。TV番組を中心にCM・MVなどを手掛ける。2016年、自身が脚本・監督を務める映画「あったまら銭湯」を制作。また同時に、「海の映画館をつくろうプロジェクト」を企画し、同年、地元・淡路島に海の映画館をつくり「うみぞら映画祭」を開催する。

→公式サイト
→予告編

[連携企画]
【映画「あったまら銭湯」上映スペシャルツアー
 ~神戸ディープゾーン・新長田の下町食べ歩きと名物銭湯・扇港湯~】
5月14日(日) 主催:ふろいこか~プロジェクト

《料金》 一律 1000円


篠崎誠監督最新作
『SHARING』
2017年5月12日(金)〜16日(火)

14日(日)上映終了後 篠崎誠監督 Q&A

sharing01「SHARING」
(2014/111分/HD[ブルーレイ上映])
監督:篠崎誠 脚本:篠崎誠、酒井善三
撮影:秋山由樹 録音:百々保之 美術:宮崎圭祐
編集:和泉陽光 特技監督・視覚効果:田口清隆
製作:コムテッグ

出演:山田キヌヲ、樋井明日香、木村知貴、河村竜也、高橋隆大、兵藤公美、鈴木卓爾、木口健太、清水葉月、小林優斗、吉岡紗良、三坂知絵子、鈴木一希

2011年3月11日。
地震と津波による大災害は、原子力発電所の爆発をも引き起こし、日本人の心に大きな爪痕を残した。あれから5年。放射性物質の漏れは依然として終息の兆しを見せておらず、私たちの生活は、あの時の不安を拭えないまま続いている。本作『SHARING』(共有の意)は、そうした震災後の日本人の心の問題に、映画的な想像力を駆使して、真正面から向き合おうとしたフィクションである。

社会心理学者の瑛子(山田キヌヲ)は、東日本大震災の予知夢を見た人を調査している。誰にも打ち明けていなかったが、彼女は震災で死んだ恋人の夢をずっと見続けていた。一方、同じ大学の演劇学科に通う薫(樋井明日香)は、卒業公演の稽古に追われている。ある時、311をテーマにしたその公演を巡って、仲間たちと決定的に衝突してしまう。薫もまた、この芝居を初めてから同じ夢にうなされていたのだが…。

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→公式サイト
→予告編

《料金》
一般:1800円 大学・専門学校生:1500円 中高生:1000円 シニア:1100円
会員:1100円
*初日サービスDAY 一律1100円


B5x20万田邦敏監督最新作
『SYNCHRONIZER』
2017年5月19日(金)〜23日(火)

「SYNCHRONIZER」
(2015/83分/HD[ブルーレイ上映])
監督:万田邦敏 脚本:小出豊、竹内里紗、万田邦敏
撮影:山田達也 照明:玉川直人 美術:栗田志穂
録音:河南逵 編集:万田邦敏、小出豊 音楽:長嶌寛幸
製作プロダクション:アルタミラピクチャーズ

出演:万田祐介、宮本なつ、古川博巳、中原翔子、大塚怜央奈、美谷和枝

人間の脳波実験をめぐるこの映画は、
サスペンスか、SFか、
それとも究極のラブストーリーか?

『UNLOVED』(2002年)『接吻』(2008年)の鬼才・万田邦敏の、『イヌミチ』(2014年)につづく最新作となる本作は、自身が教鞭をとる立教大学現代心理学部の映像生態学プロジェクトの一環として製作された。万田監督と共に脚本を手がけるのは、『こんなに暗い夜』(2009年)の監督・小出豊と、2015年に、初監督作『みちていく』が話題を呼んだ新鋭・竹内里紗。緊張感あふれた映像は、『イヌミチ』や篠崎誠監督『あれから』(2012年)を手がけた山田達也が撮影。その緊張感をさらに増長させるのは、サウンドデザイナー/映画音楽家として数々の作品を手がけてきた長嶌寛幸の音楽だ。研究室での奇妙な実験や脳波データなど、どこかSFチックな要素を散りばめながら、サスペンスとラブストーリーが混ざり合った斬新なストーリー展開が見る者を魅了する。

ヒトと動物、いやヒトとヒトの脳波を同期させたら、
いったいどんなことが起こるのだろうか。

男と女の愛と狂気がもたらす、予測不能なサイコスリラー。
人間と動物の脳波を同期させるという無認可の研究を孤独に続ける、研究者の長谷川高志(万田祐介)。研究所で立場の弱い彼を見守る同僚の木下萌(宮本なつ)は、この実験が、脳機能障害をも改善させる素晴らしい成果をもたらすことに気づく。共に研究を続けるふたりは、やがて私生活でも愛し合うようになる。一方高志は、動物だけでなく人間と人間の脳をつなげることで、母・春子(美谷和枝)の認知症を治せるかもしれない、と希望を抱いていた。だが萌はその研究成果が思わぬ結果をもたらすことに気づき、高志を止めようとするが……。
大切な人のために倫理を超えた実験に没頭する男。そんな男を盲目的に愛する女。そして息子の愛を一身に受ける母。3つの愛は、やがて人々を狂気へと誘い、暴走する。果たして彼らの愛が行き着く先には、何が待ち受けているのか?

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→公式サイト
→予告編

《料金》
一般:1800円 大学・専門学校生:1500円 中高生:1000円 シニア:1100円
会員:1100円
*初日サービスDAY 一律1100円


神戸映画資料館開館10周年記念
映画の発掘とフィルムアーカイブの未来
2017年5月27日(土)

2007年3月に開館した神戸映画資料館は今年10周年を迎えました。この記念イベントでは、当館の今後を考えるだけでなく、「フィルムアーカイブ」とは何か、「フィルムアーカイブ」は未来に向けてどんな可能性を開くかということを識者のみなさんとともに考えたいと思います。

13:30〜14:15 講演「日本のフィルムアーカイブ活動史」
石原香絵(NPO法人映画保存協会 代表)

 

14:30〜16:02 染色復元版初上映『特急三百哩』
『特急三百哩』 生伴奏:柳下美恵
(1928 / 92分[16fps]/ サイレント / 35mm)日活京都(大将軍)
監督:三枝源次郎 原作・脚本:木村千疋男 撮影:気賀靖吾
出演:島耕二、山本嘉一、瀧花久子、三桝豊、三田實、吉井康

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神戸映画資料館の母体であるプラネット映画資料図書館が保有していたフィルムを、映画保存協会の前身である映画保存研究会スティッキーフィルムズが調査し発掘、京都映画祭での復元上映が大阪芸術大学の太田米男氏の企画により実現したのは2004年のことでした。このたび、元のフィルムにあった染色シーンを復元した新バージョンを初上映いたします。

 

16:20〜(終了予定18:00)シンポジウム「映画の発掘とフィルムアーカイブの未来」
石原香絵(NPO法人映画保存協会 代表)
太田米男(おもちゃ映画ミュージアム館長)
大傍正規(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
山根貞男(映画評論家)
安井喜雄(神戸映画資料館館長)
司会:田中範子(神戸映画資料館支配人)

 

《参加費》 入替無し
一般:2000円 会員:1500円
*ご予約
info@kobe-eiga.net まで、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。
(5月23日追記)定員に達しましたが、第3部のシンポジウムでは若干の増席が可能ですので、シンポジウムからのご参加のみ引き続きご予約を受付ます。

18:00〜(終了予定19:00)懇親会 会場:神戸映画資料館カフェスペース
どなたもお気軽にご参加ください。
参加費:500円(1ドリンク付き)

主催:神戸映画資料館
共催:一般社団法人神戸映画保存ネットワーク、神戸映画資料館を支える会


アクティブ・アーカイブ・プロジェクト 誰でもアーキビスト
みんなで発掘・宝探し試写会
2017年6月5日(月) 13:30〜

神戸映画資料館には、1万5千本を超える収蔵フィルムがありますが、内容が未調査のものも多数あります。劇映画のほか、教育目的で作られたものやホームムービーなどなど。それらを実際に映写機にかけて上映し見ていきます。一口に映画フィルムといっても多様であることを知っていただく機会です。どんな映像が写っているでしょうか。宝探しの気分でご参加ください。

 

《料金》 無料

主催:神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会
助成:神戸市「まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成対象事業」(平成29年度)


1920年代フランス前衛映画
2017年6月17日(土)・18日(日)

表現主義、未来派、キュビスム、ダダイスム、シュルレアリスムなどの影響のもと、1920年代に生まれた前衛映画を特集する。

ピアノ演奏付き上映
6月17日(土) 演奏:鳥飼りょう

「バレエ・メカニック」

Aプログラム
「理性に帰る」Le Retour à la Raison
(1923/3分[18コマ]/サイレント/16mm)
監督:マン・レイ
 
「バレエ・メカニック」Ballet Mécanique
(1924/14分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:フェルナン・レジェ

「幕間」Entr’acte
(1924/21分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:ルネ・クレール
 
「メニルモンタン」Menilmontant
(1925/38分 26分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:ディミトリ・キルサノフ

 

「アンダルシアの犬」

Bプログラム
「アンダルシアの犬」Un Chien Andalou
(1928/24分/サウンド版/16mm)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ
 
「アネミック・シネマ」Anémic Cinéma
(1926/8分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:マルセル・デュシャン
 
「エマク・バキア」Emak Bakia
(1926/20分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:マン・レイ

「チャールストン」Sur un Air de Charleston
(1926/25分[16コマ]/サイレント/16mm)
監督:ジャン・ルノワール

 

《料金》入れ替え制
演奏付き上映 17日(土)  一般1400円 学生1200円 会員1200円 
サイレント上映 18日(日)一般1000円 学生800円 会員800円
《割引》当日2プログラム目は200円引き


ドキュメンタリー映画
『あるアトリエの100年』
2017年6月16日(金)〜20日(火)

現在のアトリエ内部

女子洋画研究所の生徒たち(16ミリフィルムより)

「あるアトリエの100年」
(2016/110分/HD[ブルーレイ上映])
企画:辻澄子、藤原智子 脚本:千原卓司、山崎欽毅
演出:山崎欽毅、千原礼子
撮影:松田重箕 撮影協力:人見健一、楡金厚行
語り:小原雅一 音楽:松島美毅子
制作:千原卓司
製作:イメージブレーン

2016年キネマ旬報 文化映画ベストテン 第2位

 

 

100年前のアトリエから発見された16ミリフィルム
そこには、日本近代美術史の一頁が刻まれていた

現在のアトリエ外観

東京都渋谷区恵比寿の住宅街に、建てられて100年以上のアトリエが残っています。
1908年に建てられたこのアトリエは、洋画家 岡田三郎助、その妻岡田八千代(小説家・劇作家。小山内薰の妹)、洋画家 辻永(ひさし)が住み嗣いできた歴史あるアトリエです。
最近、このアトリエの調査で、16ミリフィルムが発見され、それをデジタル化してみると、岡田三郎助や辻永関連の貴重な映像が浮かび上がってきました。
岡田の文化勲章の受賞式、洋画界上げての祝賀会の様子、銅像の贈呈式などに加え、当時のアトリエに通っていた、女子洋画研究所の女学生たちがカラーフィルムで登場していました。いずれも昭和初期の映像です。
岡田三郎助をはじめ、岡田八千代、辻永、岩田藤七、有馬さとえ、森田元子、三岸節子、古沢岩美、いわさきちひろ・…明治、大正、昭和にかけて、このアトリエに関わり、一流の芸術家に育っていった人たちの足跡を、残された16 ミリフィルムの映像、アルバムの写真、関係者のインタビューや美術館などの取材を通して、明らかにしていきます。

→公式サイト

アトリエの主人たち
左から岡田八千代、岡田三郎助、辻永

《料金》
一般:1500円 大学・専門学校生:1200円 中高生:1000円 シニア:1100円
会員:1000円
*初日サービスDAY 一律1100円


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第2回 ジョン・フォードと西部劇の神話──『駅馬車』をめぐって

2017年6月24日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
 
このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。
 
13:30〜 参考上映
「駅馬車」Stagecoach
(アメリカ/1939年/99分/16mm)
監督:ジョン・フォード
製作総指揮:ウォルター・ウェンジャー
原作:アーネスト・ヘイコックス
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:バート・グレノン、レイ・ビンガー
出演:ジョン・ウェイン 、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー、ルイーズ・プラット、ジョン・キャラダイン

 
15:30〜(終了予定17:00) 講座
ジョン・フォードと西部劇の神話──『駅馬車』をめぐって
「古典的完成にまで達したスタイルの成熟を示す理想的な実例」という言葉でアンドレ・バザンが絶賛した、西部劇の代名詞とも言える名作『駅馬車』。完全に低迷していた西部劇を復活させると同時に、ほとんど無名だったジョン・ウェインを一躍スターへと変貌させた、このあらゆる意味で神話的な作品を、西部劇の歴史とジョン・フォードのフィルモグラフィーのなかに位置づけ直し、分析を加えてゆきながら、ウェルズやストローブ=ユイレなどの〈現代的〉作家たちからも絶対的な評価を得ているこの巨匠の魅力に迫る。
 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)などの訳書がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

 

《参加費》 1500円(参考上映付き)


関西初上映
『ちかくてとおい』
2017年6月30日(金)〜7月11日(火)[水・木休映]

7月1日(土)各回上映終了後 トーク 大久保愉伊(監督)+ 高橋知由(構成)

「ちかくてとおい」
(2015/53分/ブルーレイ上映)
監督・撮影・テキスト・編集・ナレーション:大久保愉伊
構成:高橋知由 音楽:大久保正人 撮影補:西川尚志、高橋知由、小森はるか MA・音楽収録:吉田俊光
助成:GBFund 製作・宣伝・配給:Revolving-Lantern

大津波から30年後
2041年28才になる姪へ

津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町。
かつて町があった場所はかさ上げ工事のために土に埋もれてしまう。
この町で生まれ育った映画作家は、震災後に生まれた姪に向けて、
彼女が大人になる頃には見れなくなる風景について映画で伝えようとする。

風景の記録映像で構成された53分の町の記憶
監督は2011年に『槌音』を発表した大久保愉伊。
彼が生まれ育ったふるさとの記憶と風景を、未来の姪に向けたメッセージで語る、ビデオレターのようなドキュメンタリーが本作『ちかくてとおい』である。本作の主役となるのは様々な時期の大槌の風景。震災前の町並み、震災直後の変わり果てた町の光景、草花が住宅の基礎を覆う夏の景色、町の跡を練り歩く祭り。
現れては消えていった風景の映像に、震災後に生まれ、大人になる姪に向け、町の記憶やメッセージが監督自身の声で語られる。

「2041年あなたの目の前には、どのような町並みが広がっているのだろう? そこではどんな景色が見え、どのような音が聞こえるのだろう?」

インタビューもなければ、登場人物もいない。
ある日突然消えていった風景から、これから生まれる風景を想像させる映像詩。

昨日と今日、今日と明日は似ているようでまるで違う

大久保愉伊(監督)
岩手県大槌町出身。映像作家。成城大学芸術学科に入学後、映画研究部に所属し映画を作り始める。東日本大震災の被災地である故郷を記録した『槌音』(2011)は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011やキューバ新人監督映画祭などで上映され、日本映画復興会議奨励賞を受賞。同じく故郷を記録した『ちかくてとおい』(2015) は山形国際ドキュメンタリー映画祭2015、ニッポンコネクション2016(フランクフルト)で上映された。以後も故郷を記録し続けている。

→公式サイト
→予告編

《料金》
一般:1200円 学生・シニア:1000円 会員:1000円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。