プログラムPROGRAM
2018 5

[貸館]科学探査船タラ号のドキュメンタリー映画
「タラ号 珊瑚の冒険」上映会
2018年5月11日(金)・12日(土)13:30開演(13:00受付、13:15開場)

多くの方々に科学探査船タラ号の活動を理解していただき、船員たちと一緒に地球で今何が起こっているのかを実感して頂きたい。

© Pete West – BioQuest

『タラ号 珊瑚の冒険』TARA, L’Odyssee du Corail
(2017年/約55分)
・the film is produced by the cup of tea
・coproduced by Fondation Tara Expeditions and CNRS Images with the support of France Télévisions/ France O, CNC (Centre National du Cinéma), NHK and Upside Distribution (international sales).

~海は命の源~
海洋生物を保護するための科学探査をするタラ号。
太平洋にて気候変化に直面する珊瑚とその進化を探る。

© Yann Chavance – Tara Expeditions Foundation

© Yann Chavance – Tara Expeditions Foundation

*会場ロビーにて、Tシャツ、本、小物の販売を行います

《料金》 1000円
*当日受付のみです。受付順にご入場いただきます。
お問い合わせ: ​infojp@taraexpeditions.org

主催:タラ財団 協賛:アニエスベージャパン(株)


[貸館]木村卓司監督最新作ワールドプレミア
『コノエイガヲハカイスルトイウコト』
2018年5月19日(土)17:00開演(16:45開場)

『コノエイガヲハカイスルトイウコト』
(2017/60分/DVD上映)監督:木村卓司

ウルトラダイナミックな世紀の映画解体ショー。
この映画で無を跳躍し見た事のない遥かな地平を目指そうとしました。
無の超越は可能なのか。原生起的発生論的動態の出現なのか。

木村卓司の映画はキャメラを向けることがそのまま視覚的アイデアの発見であり、アイデアの発見と同時に映画が立ち上がるのである。この直接性こそが彼が言う「映画の本質」なのだと思う。大概の映画は事前にアイデアがあり、モロモロの準備を経てやっとキャメラが回り、あらかじめ用意されたアイデアが果たして発見たり得えたのかどうかジャッジされる。かかる工程は絶えず「映画の本質」の脅威に晒されているといえる。木村卓司が構えたキャメラはその動き自体が映画の運動であり、運動こそが物質界の相貌を露わにし、それはキャメラを通してしか見出されないもので、「天啓」とはそういうものだと彼は言っている。瞬時に訪れた、いかなる予断も許さない「発見」こそが「思考」であり、終幕近くに告げられる「思考に神は宿る」の実証を我々は見ているのだ。この極限的な直接性、本質性を前にして我々が普段、映画だと思っているものは存立の根拠を奪われる。自らの本質が自らを無に帰す矛盾こそが映画の生成であることを木村卓司の映画は突きつけ続けるのである。
  高橋洋(脚本家・映画監督)

上映後トーク
木村卓司
(監督)+アンドーミチタカ(漫画家)
 
《料金》 1400円
主催:木村卓司


[貸館]松井みさき監督「ケンジとケイスケと」 & ハーバート賢治 ソロライブ
2018年5月20日(日) [1]18:15-19:15 [2]19:45-20:45 (2回上映)


上映:「ケンジとケイスケと」ドキュメンタリー短編映画 松井みさき監督
トーク:松井みさき(映画監督)+ハーバート賢治(ギタリスト)
ライブ:ハーバート賢治
 

《料金》 2000円
予約・お問い合わせ: 070-1459-0711 / misaki@misakimatsui.com
→misakimatsui.com


首くくり栲象──その生の行為
2018年5月19日(土)・20日(日)

首くくり栲象の「首吊り」という特異なパーフォーマンスをいかに映像化するか。異なるアプローチでその「行為」と、首くくり栲象その「人」に迫る2作品を上映。

「Hangman Takuzo」

(2010/46分/DVD上映)
監督・撮影:余越保子
出演:首くくり栲象、黒沢美香、川村浪子
協力:黒沢美香アーカイブズ

映画『Hangman Takuzo』について
──余越保子

映画『Hangman Takuzo』は2010年4月、瀬戸内海の大崎上島にある古民家で撮影されました。当時ニューヨークを拠点に活動していた余越保子が監督と撮影を担当し、首くくり栲象、故・黒沢美香(黒沢美香さんは2016年12月に亡くなられました。)、川村浪子の3名が参加しました。ライブパーフォーマンスという儚い世界で生きてきた4名のアーティストが、永遠を約束してくれる「映像」にロマンと希望を持って臨んだ実験的試みでした。

首くくり栲象さん ──英訳は「Hangman Takuzo」、よって映像のタイトルとなる── は、40年以上「首吊り」という行為を芸術活動として行い、東京の国立市にある自宅の庭にて自身のパーフォーマンスを「庭劇場」として上演し続けています。パートナーは日本のコンテンポラリーダンスのパイオニアである振付家・ダンサーの黒沢美香さんです。この2人が、「この人こそ真のアーテイストだ!」と尊敬してやまない川村浪子さん(撮影当時72歳)は「前進歩行」という、自然の中で裸体で歩くという行為芸術をする人です。浪子さんの行為の目的は、自然に存在する木々や葉っぱのように自然に裸体でいることです。首くくり栲象さんと黒沢美香さんの間で交わされる軽妙な会話とインタビューに稀代のアーテイスト、「前進歩行」で知られる川村浪子さん がパーフォーマーとして加わります。

この3人に共通するのは、自身の身体を使った芸術行為という、その場・その瞬間にしか立ち現れない活動にその人生をかけていることです。その行為は存在した瞬間に消えてしまいます。「その瞬間に生きる」3名を記録に収めるというアイロニーを含んだ映像がこの映画『Hangman Takuzo』です。

 

「首くくり栲象の庭」

(2016/73分/ブルーレイ上映)
監督・撮影・編集:堀江実 音楽:藤田陽介
出演:首くくり栲象、市川淳一、秋山珠羽沙

彼は生きるために、首をくくる。
彼は生きるために、首を吊る。

東京の西のはずれ、まもなく古希を迎えようとしている男は、 自宅の庭で毎日首を吊っている。1960 年代後半より身体表現をはじめた彼は、半世紀生きたことを契機に、チェーホフのワーニャ伯父に自身を重ねながら、日々の営みとして自宅の庭で首を吊り始めた。それから20年近くものあいだ、毎日のように彼は首を吊ってきた。本作の監督・堀江実は、彼の孤高の行為(アクション)に静かな衝撃を受けると、2014年12月の朔旦冬至より、ひとりきりで彼と対峙しながら撮影を開始した。1年以上にも及ぶ撮影を経て、当初の記録映像は、新鋭・藤田陽介の音楽と共鳴しながら、彼の身体の内側へと喰いこむような展開へと飛躍し、やがて、ドキュメンタリーとフィクションの垣根を超えた次元へと結晶化していく……
→公式サイト

 

首くくり栲象くびくくり たくぞう
1947年、群馬県安中榛名生まれ。高校卒業後、演劇を志し上京するも、東京で出会った芸術家たち、とりわけハプナー・風倉匠に感化され、演技、ダンス、舞踏、そのどれにもカテゴライズされえない先鋭的な身体表現に突き進む。1971年には、天井桟敷館にて首吊りパフォーマンスを用いた初めての作品『a’』を発表。その後も、笹原茂朱主宰による劇団夜行館への参加、舞踏の祖・土方巽の死直後に行われた公演『感情の周囲をめぐる物として』(1986)においては自らの胸に焼鏝を押し当てるなど、比類なきラディカルな身体表現の軌跡を描きつづけてきた。1997年より、首吊り行為を自らに課す日々を生き始める。彼の行為によって踏まれつづけた自宅の裏庭は、やがて粘土のような質感を帯び、その歩行の痕跡は緩やかな起伏となってあらわれていく。2004年には、自宅の庭を「庭劇場」と命名、自らを「首くくり栲象」と称して、2018年3月の死の直前まで公演し続けた。

 

トーク 5月19日(土)・20日(日)15:50~16:20 参加無料(当日の映画鑑賞者対象)
余越保子(振付家、『Hangman Takuzo』監督)+堀江実(映画作家、『首くくり栲象の庭』監督)
ゲスト:19日 崟利子(映像作家) 20日 大谷燠(NPO法人DANCE BOX代表・Executive Director)

《料金》入れ替え制
一般:1200円 学生:1000円 会員:900円
《割引》当日2本目は200円引き
*予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、鑑賞希望日時、お名前、ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。

協力:NPO法人DANCE BOX

[連携企画]
首くくり栲象と黒沢美香 ふたりの声とことば
5月19日(土)・20日(日)18:00〜21:00

会場:ArtTheater dB神戸
→詳細


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第4回 『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉

2018年5月26日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

14:00 13:30〜 参考上映
「カメラを持った男」
Человек с киноаппаратом
(ソ連/1929/66分[24fps] 100分[16fps]/16mm)

「キノ・プラウダ」
Kino-pravda
(ソ連/1922/20分[16fps]/16mm)
「キノ・プラウダ」1-12号を再編集したダイジェスト版。
監督:ジガ・ヴェルトフ
伴奏:鳥飼りょう

15:45〜(終了予定17:15) 講座
劇映画を否定し、「不意打ちの人生」を捉まえることを唱え、ゴダールにも影響を与えたソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフ。今回の講座では、彼の代表作であり、映画史上もっとも重要なドキュメンタリー=アヴァンギャルドの一つ『カメラを持った男』について考える。パンク映画と呼びたくなるほど現代的なこの映画を、あえて同時代の文脈の中に置き直して、その画面の意味を読み解いてゆくと同時に、エイゼンシュテインのモンタージュ理論はもちろん、未来派・構成主義といった同時代の芸術運動やスターリン主義などとの関係についても検証する。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 参考上映付き 1800円 学生1200円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。