公開研究会
[貸館]記憶を集める・公開する ──まだ存在しない「アーカイブ」を考える
2019年3月16日(土)10:00〜17:30 10:30〜18:00
近年、映像や写真といった視覚資料を扱うデジタル・アーカイブ構築の議論をよく目にするようになりました。しかしどうしてもそれが設備・施設や、技術的関心に先導され、肝心な目的、資料の存在とその活用──「誰の」「どんな記憶を伝承していくのか」という論点が置き去りにされることが、少なくないように思われます。
本研究会では、前日(3月15日)に京都大学で開催されるデジタルアーカイブ学会における同タイトルの企画セッションでの問題提起を引き継ぎ、具体的なプロジェクトと資料映像・写真群を見ながら、そこで扱われる資料、活用を支える組織や人的ネットワーク、権利処理や運営に関する問題について、ディスカッションを展開していきます。(水島久光)
10:00〜12:00 10:30〜12:30
沖縄の映像と戦後
進行 水島久光(東海大学)
13:00〜15:00 13:30〜15:30
コミュニティとナショナルの間をどうデジタル・アーカイブはつなぐのか
進行 原田健一(新潟大学)
15:30〜17:30 16:00〜18:00
映像アーキビスト資格とは何か?
進行 羽鳥隆英(新潟大学)
*開始時間が30分早まりました(3月10日変更)。
*各セッションの詳細は今後HPでアップします。
主催:新潟大学地域映像アーカイブ研究センター
《参加費》無料 《会場》神戸映画資料館
21世紀ドイツ映画の潮流 ベルリン派探訪
2019年3月17日(日)
21世紀初頭のドイツでは若い映画作家たちが研ぎ澄まされた映像美学の映画を次々と発表し、『ベルリン派』と呼ばれた。その第一世代トーマス・アルスラン、クリスティアン・ペッツォルト、アンゲラ・シャーネレクはドイツ統一前後の90年代にベルリン映画テレビアカデミーに学んでいた。現在彼らはドイツを代表する監督となり、ここ数年はベルリン映画祭コンペの常連となっている。神戸映画資料館では2012年アルスランのレトロスペクティヴを開催したが、ペッツォルトとシャーネレクは今回初上映の機会となる。すでにベテランの域に達した彼らには『ベルリン派』という商標は必要ないのかもしれない。だがドイツ映画といえばいまだナチスやヒトラー、そしてニュージャーマンシネマという認識が続いている。そんな中で映画とは何かを真摯に追求した彼らの活動はもっと注目されてよい。(渋谷哲也)
「マルセイユ」Marseille
© R.Vorschneider
(ドイツ/2004/95分/DVD上映)
脚本・監督:アンゲラ・シャーネレク 撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:マーレン・エッガート、マリー=ルー・ゼレム、ルイス・シャネレク、デヴィット・シュトリーゾフ
2019年のベルリン映画祭では最新作『家にはいたけれど』がコンペで上映されるシャーネレクの出世作であり、ミニマルで研ぎ澄まされた彼女独自の映画美学を決定づけた。写真家ゾフィーは部屋交換の広告を見て、しばらくの間マルセイユに滞在する。やがて舞台はベルリンに移り、ゾフィーの写真の仕事や女優ハンナの息子や恋人と生活が綴られる。恋人との関係に揺れるハンナ。一方ゾフィーはもう一度マルセイユを訪れる。
「イェリヒョウ」Jerichow
© Hans Fromm
(ドイツ/2008/92分/DVD上映)
脚本・監督:クリスティアン・ペッツォルト 撮影:ハンス・フロム
出演:ベンノ・フューマン、ニーナ・ホス、ヒルミ・ゼーツァー
『未来を乗り換えた男』が日本公開され、今やメジャー監督となったペッツォルト中期の一作。アメリカのB級映画やスリラーへの偏愛を色濃く感じさせる佳作である。統一後のドイツ、旧東独の小村にトーマスは戻ってくる。彼は亡き母の家に一人で生活し、一帯の軽食店を取りまとめるトルコ系移民のアリと美貌の妻ラウラと知り合う。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を下敷きにしたスリリングな三角関係が幕を開ける。
講演:渋谷哲也(ドイツ映画研究)
共催:大阪ドイツ文化センター
企画協力・解説:渋谷哲也
《料金》
「マルセイユ」 一般:1400円 学生:1200円
会員(神戸プラネット会員・大阪ドイツ文化センタードイツ語講座受講生):1200円
「イェリヒョウ」 一律:600円
第32回 くにづか月イチ上映会
2019年3月23日(土) 13:30〜
恋人とともに新天地オーストラリアを目指す脱獄囚。(90分)
《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈
主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会
ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第26回 ウズベキスタン特集
2019年3月30日(土)・31日(日)
1991年にソ連からの独立を果たしたウズベキスタン共和国。独立前のソ連時代に国営のウズベクフィルムで製作された1960年代後半の2作品を上映する。
「タシケントはパンの町」Ташкент – город хлебный
(1968/97分/35mm)ウズベクフィルム
監督:シュフラト・アッバーソフ
原作:アレクサンドル・ネヴェーロフ
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー
撮影:ハタム・ファイジエフ
音楽:アリベルト・マラーホフ
出演:ウラジーミル・ヴォロベイ、ウラジーミル・クデンコフ、バフティヨル・ナビエフ
体験をもとに書かれた児童文学の映画化。ロシア革命後の国内戦の時期。飢餓に瀕したヴォルガ河一帯の人々は、中央アジア穀倉地帯の豊かな町タシケント(現ウズベキスタン首都)を目指す。主人公の少年もその一人で、家族のためにタシケントに旅立つ。
「恋するものたち」Влюбленные
(1969/83分/35mm)ウズベクフィルム
監督:エリヨル・イシムハメドフ
脚本:オデリシャ・アギシェフ
撮影:ガサン・トゥトゥノフ
音楽:ボグダン・トロツュク
出演:ロジオン・ナハペートフ、アナスタシヤ・ヴェルチンスカヤ、ルスタム・サグドゥラーエフ
タシケントの寮に住む主人公は消防士。大規模火災の鎮火で出張するうちに、恋人の心は離れていく。一方、寮で同室のギリシャ人は、祖国へ戻って母と妹を見つける。脚本家自身とその周辺の人びとの実際のエピソードをもとに、自由な雰囲気にあふれる60年代の青春群像を抒情的映像で描き出すメロドラマ。
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
《料金》
1本あたり
一般1200円 学生1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き